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農林水産省

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大崎市有機農業・グリーン化推進協議会

主体概要・取組概要

宮城県大崎市では、世界農業遺産「大崎耕土」(平成29年認定)の豊かな自然環境を維持しながら将来にわたって持続可能な農業を地域に定着させるため、環境保全型農業を広く普及しています。みどりの食料システム戦略と協調し、地域に適したグリーンな栽培体系を検証するため、「グリーンな栽培体系への転換サポート」事業を活用し、平地と中山間地に適した栽培実証を行っています。

構成員:大崎市、新みやぎ農業協同組合、宮城県大崎農業改良普及センター、農業者、農機メーカー

取組内容

検証事例 (中鉢 守

農業者紹介

事業概要

平成10年頃、実家の水稲300~400aを継承。就農直後は現在と違い慣行栽培であったが、その後徐々に耕作面積を増やしながらJAS有機も手掛ける。現在は水稲を750aまで拡大、繁殖牛なども経営。

今後の展望

農業に関わる人手は今後も減っていくので、省力化とデータ活用で有機農業を続けていきたいと考えている。

アイガモロボット活用による水田の雑草抑制

GPSで代掻き後の水田を自動航行して、水中を撹拌し泥を巻き上げることで光を遮り、土の物理性に影響を及ぼし、水面下にある雑草の生長を抑制。除草剤を使わずに雑草が生えにくい状態をつくることで、除草にかかる労力削減を検証しています。

農業者の意見

Q. 検証を行った背景は?
中山間地で稲作の有機栽培を行っています。どうしても除草が大きな課題となり、これまでも多くの取組にチャレンジし、かつて合鴨も使って有機栽培を行っていましたが、獣害が増えたことで難しくなりました。アイガモロボットは、手間がかからない点と、他の現場でも見ていたこともあり、検証してみたいと思いました。また、高齢化も進み環境に配慮した取り組みに力を入れていきたいと考えていました。
Q. 利点、特徴は?
スクリューで泥をかき混ぜて雑草が生えないようにできます。GPSを利用した自動航行のため、電波の弱い中山間地域でも利用できるのは利点になります。また、ソーラーパネルの電力で動くためエコなことや、使う期間は放っておけるのがとても便利です。使用できる期間は、田植え直後の3週間ほどですが、その間の除草の手間が省けるのはありがたいです。
Q. これから求めたい点は?
田んぼの水位が浅いと泥をかんで止まってしまうことがあります。また、引っかかると手で回収する必要があります。そのため、操作方法と合わせて、水位についてやトラブル時の対応などマニュアルの整備をしてもらいたいです。

アイガモロボットの使用感

    アイガモロボット

水管理システムによる水田水位の遠隔管理

ほ場の水位・水温等を各種センサーで自動測定し、スマートフォン等においていつでもどこでも確認が可能。給水口等の遠隔操作や、農業者による設定値に基づく自動制御が可能な製品も存在しており、見回りの頻度・作業時間の削減について検証しています。

農業者の意見

Q. 利用した感想は?
水位の見回りをしなくていいのがとても便利です。水位に加えて水温も計測できるので、稲の高温障害を防ぐことができます。
Q. 今後の活用展望は?
データを分析して、より良い栽培を目指したいです。手間を減らし、収量を増やすことができると期待しています。水田3~4枚以上を持っている生産者であれば導入するメリットはあると思います。

水管理システムの使用感

    水管理システム

検証事例 (上野 健夫

農業者紹介

事業概要

昭和57年、約20頭の肥育牛から就農。その後、水稲も耕作し、アイガモ50羽を活用して有機農業を開始。平成19年発足「鳴子の米プロジェクト」理事長を現在まで務め、水稲420a、繁殖和牛15頭を経営。

今後の展望

消費者と直接つながって取引することも増えてくるので、グリーンな栽培体系によって安心・安全なものを提供していきたい。

リモコン草刈機による畦畔等の除草

急傾斜地や人が入りにくい耕作放棄地での除草作業で使用可能な、リモコンにより遠隔操作する草刈機。畦畔等の除草作業を省力化できるか検証しています。

農業者の意見

Q. 検証してみた感想は?
不安定な斜面の草刈作業が安全に行えるようになりました。刈取りながら草を裁断するので、水路に刈り取った草が入りにくくなりました。操作は5分程度で覚えられるので初心者でも使用でき、2WDと4WDの切り替えがすぐにできるので、操作感は良いです。作業スピードや燃料の使用量についても違和感なく使うことができています。
Q. 改善が必要な点は?
車両を保管させる際は重量があるため、自走させるかトラックの荷台に板を使用して積む必要があります。カタログ上では斜面が45度までとなっているが、転倒させると起き上げるのが大変なので、まだ斜面での利用は控えています。細かい起伏があるところで使用するには向いていないと感じています。水路よりも河川の斜面での使用が向いている可能性があると感じています。

リモコン草刈機の使用感

    リモコン草刈機

普及指導員・関係者からの視点

水稲での有機栽培では除草、水位管理がとても重要であり、これを機械で管理できれば、省力化につながります。検証段階で、想定より順調に行くこともあれば、想定外なこともまだあります。初めての機械で苦労する点もあったかと思いますが、導入検証いただいた生産者さまのご協力に感謝しています。他地域からも問い合わせをいただいているので、地域を越えて協力してグリーンな栽培体系の普及につなげていきたいです。

まだ検証段階でもあるので、条件の違いによって発揮する効果の違いは出ている状況です。協議会を通じて先行して検証し、この検証結果を活用してマニュアルの作成や改善に繋げていきたいです。担い手が不足している中山間地域に限らず、平場の農業でも活きると思います。スマート農業というと、大規模な農家さんのイメージがと思いますが、担い手の少ない中山間地域でこそ効果を発揮すると考えます。

お問合せ先

農産局技術普及課

担当者:みどりユニット
ダイヤルイン:03-6744-2107