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農林水産省

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活動レポート Vol.1:私たちのガーデン&研究のビジョンを紹介します(北海道音更高等学校)

未来咲きガーデンバナー。農林水産省が主催する「2027年国際園芸博覧会政府出展参画プログラム」に採択された5つの高校生グループが、日本政府苑に「未来咲きガーデン」を制作!トゥンクトゥンクと一緒に見たい景色を、研究活動を通して作り上げていきます。

北海道音更高等学校・農業倶楽部

私たちはこんな取り組みをします!

  • ガーデンのテーマ:オーガニックフラワーガーデン~有機で山・川・海の豊かさを守る~
  • 課題研究テーマ:乳酸菌と有機肥料で持続可能な農業の実現を︕

〇オーガニックフラワー

オーガニックと言うと”食“というイメージが強いですが、乳幼児や妊婦さん、アレルギーを持つ人や疾患を持つ人などが安全に触れることができる花にオーガニックがあっても良いと思います。化学肥料や農薬を使用しないオーガニックフラワーは、私たちの健康に安心・安全なばかりではなく世界が抱える課題「環境」に大きく貢献できるものです。化学肥料を多量に施肥するとその成分を分解するために温室効果ガスである亜酸化窒素が発生することになります。有機農業の実現は未来の地球を守ることに繋がります。

〇地元のチーズ工房から排出されるホエイを活用

私たち農業倶楽部は、先輩たちが近隣のチーズ工房から排出されるホエイに注目し、乳酸菌がオーガニックの栽培に活用できないか研究しています。また、栽培の主要栄養成分であるリン酸は100%輸入に頼っている現状にあります。日本オーガニックフラワー協会との連携により豚糞堆肥を活用した花栽培にも取り組みます。

オーガニックフラワーというものがまだまだ認知されていないことから、博覧会を機会に健康ばかりではなく持続可能な農業の実現に貢献できることを紹介していきたいと思います。

ガーデンのデザイン

オーガニックフラワーは、化学肥料や農薬を使用しない有機農業で栽培された花であるため、入場者が一目でわかるものではありません。そこで、環境との結びつきを考えSDGsの持続可能な開発目標にある“海の豊かさを守ろう”“陸の豊かさを守ろう”をデザインすることにしました。
豊かな自然である山・川・海を守るためにオーガニックフラワー、有機農業をアピールできたらと思います。
山は木材で4つに区切り日本の四季を花の色で表現します。川と海は石とガラスを利用して透明感ある水にしたいと思います。そして花は、多年草、1年草を使い背の高い花と低い花を配置してそのバランスを楽しんでもらいたいと思います。さらに、撮影スポットとしてベンチを置き来場記念に写真を撮って帰ってもらいたいと思います。

ガーデンデザイン 4月~9月頃のイメージ
4月~9月頃のイメージ
ガーデンデザイン 4月~9月頃のイメージ2
4月~9月頃のイメージ2

課題研究の内容と活用方針

オーガニックフラワーの知名度を上げるためには、その特徴をアピールすることとその栽培方法を広く紹介していくことが必要です。そこで、次の研究を進めその成果を発信したいと思います。

1 乳酸菌を利用した栽培の可能性を探る

北海道はナチュラルチーズ工房が多く製造したときの副産物、ホエイの処理が課題となっています。ホエイには乳酸菌が多く含まれていることからその乳酸菌を使用して土壌改良や病害虫の予防にどのような効果があるのかを検証します。
乳酸菌を使用して土壌改良した土は、ガーデンの中で場所を限定して使用、紹介したいと考えています。また、メンテナンスでも乳酸菌を定期的に散布する予定です。

チーズ工房
チーズ工房
チーズ工房から排出されるホエイ
チーズ工房から排出されるホエイ
乳酸菌を利用した太陽熱養生処理
乳酸菌を利用した太陽熱養生処理


【令和7年度の調査・研究】

農業に乳酸菌を利用した研究事例は報告されています。私たちの先輩が、チーズを製造したときに排出されるホエイに含まれる乳酸菌を利用してオーガニックフラワーの栽培ができないか調査・研究を進めています。

1.太陽熱養生処理(写真A)
北海道は気温の上昇が本州に比べて遅いことから調査は5月連休後となりました。調査区に腐葉土を施用して耕起、その後表面に乳酸菌を散布し透明マルチを張り最高地温を記録しながら積算温度が900℃を超えるまで待ちました。処理終了後白マルチに張り替え調査したところ乳酸菌を散布した定植床の方が雑草の発生が少なく、雑草抑制効果の可能性が感じられる1年目となりました。

A 乳酸菌を利用し太陽熱養生処理をした定植床(右側)A乳酸菌を利用し太陽熱養生処理をした定植床(右側)

2.スイートコーンで乳酸菌試験
ハウス栽培のスイートコーンで乳酸菌を使用して試験をしました。雑草抑制効果はスイートコーンでもその傾向は見られましたが継続した調査が必要です。害虫の忌避効果についても植物体に散布して調査し、アブラムシの発生をやや抑えられたような結果となりましたが明確に差があるといえるものにはなりませんでした。

3.次年度への課題
雑草抑制効果、害虫忌避効果について継続して調査していくことが必要であること、植物体に散布した場合チーズのホエイを散布しているため乳酸発酵臭(ヨーグルト臭)が感じられたため花の香りを邪魔しないか調査する必要があります。

B スイートコーン栽培で乳酸菌利用試験Bスイートコーン栽培で乳酸菌利用試験

2 100%輸入のリンを豚ぷん堆肥から

リンは100%輸入している状況です。令和7年度から三井住友信託銀行が研究している豚ぷん堆肥からリンを回収した肥料をサンプルとして提供していただき生育状況の調査を進めていく予定です。シクラメンやプリクトランサスの鉢花での比較試験と切り花での比較試験を今年度予定しています。令和8年は有機圃場で調査対象の花の種類を増やして試験予定です。また、他の肥料や有機資材の関係性が心配されるため令和7~8年で実証試験を行う予定です。
その試験結果を活かして豚糞堆肥を博覧会のガーデンにも使用したいと思います。期間が長いので途中で追肥として利用します。

豚ぷんたい肥からリンを回収した肥料を使用1
豚ぷんたい肥からリンを回収した肥料を使用1
豚ぷんたい肥からリンを回収した肥料を使用2
豚ぷんたい肥からリンを回収した肥料を使用2
豚ふん堆肥施用(左)無施用(右)
豚ふん堆肥施用(左)無施用(右)


【令和7年度の調査・研究】

オーガニックガーデンにも成長に必要な栄養成分を施用することが重要です。高校生ガーデンエントリーにあたり豚ふん堆肥から回収したリン肥料を提供していただけることになり、チッソ成分が含まれる有機肥料と組み合わせ今後調査して博覧会でも使用してその効果を紹介できればと思います。

1ヒマワリで試験
太陽熱養生処理後白マルチに張り替えヒマワリを定植しました。写真の左は定植前に豚ふん堆肥から回収したリン肥料を施用したものですが、草丈がやや低い結果となりました。その結果について現在検証中ですが次年度も調査していきたいと思います。
2鉢花で試験
プレクトランサスに置肥として豚ふん堆肥から回収したリン肥料を施用して調査しています。9月からの調査のためその違いについてはわかりませんが続けて調査をしていきます。また、シクラメンについても今後施用して調査を進める予定です。


鉢花:プレクトランサスで調査鉢花:プレクトランサスで調査

今後の活動に向けた意気込み

高校に入学しオーガニックフラワーに初めて触れ、国際園芸博覧会に参加できることにワクワクが止まりません。メンバーと協力してオーガニックフラワーの魅力と見る人の心に残る空間作りに全力で取り組みます。持続可能な未来へ私たち高校生の思いを届けます。
メンバーの写真

~未来咲きガーデンプロジェクト(2027年国際園芸博覧会政府出展参画プログラム)とは?~

2027年、横浜市で日本では37年ぶりとなる最上位クラスの国際園芸博覧会が開催されます。農林水産省と国土交通省は、開催国政府として「日本の自然観を再考し、未来へ進む」をテーマに魅力ある展示の準備を進めています。その一環として、農林水産省は、次世代の花き園芸、造園、農業の担い手となりうる高校生を対象に「花とみどりで創る景色」をテーマとしたガーデン制作と課題研究活動のプログラムを企画しました。
全国から応募のあった中から5グループが採択され、採択された高校生たちは、世界各国から集まる来場者に向けて、来場者に共感や発見を届けるガーデンづくりに仲間と共に挑戦します。活動の様子を随時発信していきますので、応援よろしくお願いします。

~日本政府出展について~

農林水産省と国土交通省は、「日本の自然観を再考し、未来へ進む」をコンセプトに出展します。
政府出展が位置するのは、横浜市内を流れる和泉川の流頭部。この貴重な自然環境を引き継いでいくため、流頭部の自然環境を読み解き、既存の樹木や在来の植物を活用し、屋外展示では美しい風景としての「令和日本の庭」をつくりあげます。また、屋内展示ではプラネタリーバウンダリーといった地球規模の課題について、“みどり”で解決する可能性を体感・共感し、来場者が考え、ひとりひとりが取り得る行動への一歩を提案します。

政府出展のイメージ図1
(※政府出展のイメージ)

お問合せ先

農産局園芸作物課花き産業・施設園芸振興室

代表:03-3502-8111(内線4827)
ダイヤルイン:03-6738-6162