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農林水産省

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指定前の公示(第190号)

更新日:令和7年8月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Neretvanska mandarina(ネレトヴァンスカ・マンダリーナ)


1 指定前の公示の番号  第190号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第1類 農産物類 果実類(マンダリン)
4 農林水産物等の名称  Neretvanska mandarina(ネレトヴァンスカ・マンダリーナ)
5 農林水産物等の生産地  クロアチア

 本産品が生産されるネレトヴァ渓谷(Neretva Valley)の地理的領域は、北はボスニア・ヘルツェゴビナと国境を接し、南はアドリア海沿岸に囲まれている。ネレトヴァ渓谷は、南、南東、北西はディナリック(Dinaric)山脈に囲まれている。本産品の生産地域は、メトコヴィッチ(Metković)、オプゼン(Opuzen)、プロチェ(Ploče)の各町と、スリヴノ(Slivno)、クラ・ノリンスカ(Kula Norinska)、ザジャブリェ(Zažablje)の各自治体を含む。

6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
 ネレトヴァンスカ・マンダリーナは、温州-薩摩(Citrus unshiu ‘Marcovitch’)に属するミカンの果実である。植物分類学上は、ミカン科(Rutaceae)、ミカン亜科(Aurantioideae)、ミカン属(Genus Citrus)に属するマンダリンオレンジ(Citrus reticulata 'Blanco')である。

 ネレトヴァンスカ・マンダリーナの果実は、房のある多肉質の柑果 (hesperidium)で、果皮は髄から分離しやすい。果実の可食部は、ジューシーで種は無く、オレンジ色をしており、容易に分離できる房に分かれている。本産品の果実の可食部のカロテノイド含有量は、15.50~26 mg/kgの間である。酸味があり、爽やかで、酸に対する糖の比率によっては甘味がある。果実の形状は、扁平なものから扁平な円形のものまで様々である。果皮の色は果実の熟度によって様々に変化する。熟し始めは、果皮は薄緑色をしており、徐々に薄黄色から金色に変化し、完熟するとオレンジ色になる。果実は、マイルドでバランスのとれた爽やかな香りを有するが、損傷したり皮を剥かれたりして芳香成分が放出されるとその香りは強くなる。

 ネレトヴァンスカ・マンダリーナの品質は、以下のパラメータに基づいて決定される。
  - 果汁含有量:40%以上
  - 果実の総酸含有量:0.7~1.3%の範囲内
  - 果実の糖と酸の最低許容比:7:1 (全可溶性固形分/滴定酸)
  - 果実のサイズ:口径1-XX (67-78mm)から口径4 (50-60mm)までの範囲
 
(2)生産方法
 ネレトヴァンスカ・マンダリーナの生産は、地理的地域でのみ行われる。

 容量30kgの箱(木箱)に集められた果実は、パレットに積み上げられ、販売・流通センターに配送される。果実の更なる加工は、以下の手順に従ってセンター内で行われる。
  - 搬入時の品質とトレーサビリティの管理
  - 果実の熟成(必要な場合)
  - 選別
  - スプレーによるワックスがけ
  - 乾燥
  - 5~8°Cでの冷却
  - 工程終了(出庫)時の品質及びトレーサビリティの管理
 ネレトヴァンスカ・マンダリーナを市場に出荷する準備ができるまでの許容時間 (果実が販売センターに到着してから出荷されるまでの期間) は、最長5日間又は120時間である。
 製品を市場に出す際には、各製品のパッケージに「Neretvanska mandarina」という名称を明確に表示しなければならない。サイズ、活字、色 (タイポグラフィ) の点で、名称の文字はパッケージ上の他のどの文言よりもはっきりと目立つ必要がある。「Lot broj」(「Lot No」ロット番号)の文字も、完成品の申告上、明確に区別できる必要がある。これにより、トレーサビリティが保証され、いつでも生産者とのつながりが確立できる。

(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由

自然
 この地域の微気候は、海に近いことで決定づけられ、冬の低温と夏の高温を緩和する効果がある。ネレトヴァ渓谷地域では、2002年~2012年までの10年間の年間平均気温は15.8℃である。冬の平均気温は7.25℃である。空気の相対湿度は、生物気候学的に重要な要素である。これは、気温や風とともに、ミカンの木の成長における栄養生殖期(生育相)と生殖相とが規則正しく確実に移行するために非常に重要である。平均相対湿度 (10年の平均) は69%である。ネレトヴァ渓谷地域の主な特徴は、豊富な水、険しい水路を持つ湖や川、手掘りの露天排水路であり、水文学的にもユニークである。ネレトヴァンスカ・マンダリーナのプランテーションと自然の露天水源とは、最大500メートル離れている。この地域の水文学的特徴は、高い地下水位と相対湿度の上昇をもたらし、それは果実が熟す時期(9月、10月、11月)に特に顕著である。この時期に、植物に水を適切に供給することは、果実の品質にとって極めて重要である。ネレトヴァ渓谷地域の土壌は沖積土起源の堆積物で、その組成は著しく不均一である。その質感に関しては、壌質砂土と砂質埴壌土が優勢である。それらの毛細管現象が顕著で、ミカンの成長を促進する。

 上記の栽培地域の自然的特性の結果として、「ネレトヴァンスカ・マンダリーナ」の果実は、薄く滑らかな果皮を剥きやすく、種子が無く、果肉が簡単に分離する特徴で区別することができる。

 果実の可食部は黄金色をしており、熟すにつれてオレンジ色に変化する。これはカロテノイドの高含有量と関連している。ネレトヴァ地方のミカンの重要な特徴の一つは、果実の可食部にカロテノイドが多く含まれていることである。本産品のサンプルで実施された分析の結果、果肉中のカロテノイド濃度は平均以上であった。(V. Dragović-Uzelac et al. 2012.: Određivanje specifičnih svojstava Neretvanske mandarine (Citrus reticulata L.) zbog zaštite geografskog podrijetla (GI), Faculty of Food Technology and Biotechnology, Zagreb)また、本産品の特徴は、果実の可食部に多くの果汁が含まれていること、乾物含量が高いこと、糖と酸のバランスが調和していることで、これによって爽やかな味と際立った香りという特有の官能特性を備えている。ネレトバ渓谷でのミカンのプランテーション栽培は、1961年と1962年の埋め立て工事の完了後に始まった。教会の記録(of the Sv. Ilija parish office in Metković)によると、「1971年にネレトバ渓谷が大干ばつに見舞われたにもかかわらず、ミカンの収穫量は900トンにも上ると推定される」と記載されている。したがって、本産品は特定の製品であり、その特異性は環境との相互作用(気候、場所、地形)だけでなく、生産の長年の伝統によっても影響を受けている。地理的には、ネレトバ渓谷は、ヨーロッパで最も北に位置する3つの柑橘類栽培地域のうちの1つである。このことは、生産の構造、品種や台木の選択を大きく左右し、最終的に果実の主要な品質要素に影響を与える。本産品の商業目的での植栽はすべて、カラタチ(Poncirus trifoliata)の台木に接ぎ木される。果実の品質と成長の早さに直接反映されるという利点があるため、この台木の選択は不可欠だと考えられている。それとは別に、海に近いことが(昼から夜までの)気温の日中の変化に強い影響を与える。気温の変動は、秋に特に顕著で、海水温が周囲の気温を上回ることがある。これらの温度変動は、果実の色、果肉中のカロテノイドの量、成熟の均一性と早さに直接影響を与える。80年以上前から続く栽培の長い伝統と新しいノウハウと技術の応用が、ネレトバ渓谷におけるミカン栽培の過去10年間の拡大に対してだけでなく、品質の向上に対しても大きく貢献している。農業技術に多くの変化があったにもかかわらず、当該の地理的地域と伝統的栽培の重要な要素のすべてが保存されている。これらは、すべて特に補助的な技術プロセス (剪定、樹冠の剪定、若い植栽から生えてきた意図しない果実の芽の除去) に関連しており、未だに手作業のみで行われている。

7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和7年8月1日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和7年11月4日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234

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