このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定前の公示(第192号)

更新日:令和7年8月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Džiugas (ジュガス)


1 指定前の公示の番号  第192号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ)
4 農林水産物等の名称  Džiugas (ジュガス)
5 農林水産物等の生産地  リトアニア

 生産地はリトアニア北西部のサモギティア高地(the Samogitian Uplands)のテルシェイ(Telšiai)地区に位置するテルシェイ市市民教区で構成され、テルシェイ地区 (リトアニア) のリシュケナイ(Ryškėnai)、デガイシアイ(Degaičiai)、ガドゥナウァセ(Gadūnavas)、ヴィエシュヴェナイ(Viešvėnai)各市民教区と隣接している。

6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性

 ジュガスは、牛乳を標準化し、低温殺菌し、酵素で凝固させた後、凝乳とチーズマスを特殊な加工と熟成にかけたチーズである。このチーズは牛の放牧期間中に得られた乳のみから製造されており、長期熟成チーズには最高の官能的及び微生物学的検査の指標が与えられる。

表1.ジュガスチーズの官能検査指標
指標 特性
色み -12ヶ月以上熟成させたチーズ:クリーム色/黄色みを帯び、皮の近くではやや色が濃い

-18ヶ月以上熟成させたチーズ:黄色みからクリーム色を帯び、皮の近くではやや濃く緑がかった色合い

-24ヶ月以上熟成させたチーズ:黄色みクリーム色を帯び、皮の近くではやや濃く光沢の無い緑がかった色

-36ヶ月以上熟成させたチーズ:黄色で、赤黄色または茶色の大理石のような模様をなすこともあり、皮の近くでは色が濃くなる

-48ヶ月以上熟成されたチーズ:黄色で、オレンジ色を帯びることもあり、皮の近くでは色が濃くなる

-60ヶ月以上熟成されたチーズ:黄色は徐々に濃い黄色になり、赤味がかった黄色となり、皮の近くの端に沿ってより濃くなり、色のグラデーションが際立つ。チーズの塊の断面を見ると、オレンジ色がかった黄色で、白いカルシウム塩の結晶が見える。

-100ヶ月以上熟成されたチーズ:非常に濃い黄色で、皮の近くではオレンジ色がかっており、色のグラデーションが顕著になり、より豊かな色合いとなる

-120ヶ月以上熟成されたチーズ:深みのある黄色で、皮の近くでは色のグラデーションが非常に顕著となり、赤黄色又はオレンジ色がかった色がより強くなる。
外観  平らな円筒形のチーズホイールの寸法:高さ:9.0~10.0cm、直径:22.0~24.0cm、重量:4.2~4.5kg
断面  チーズには穴は無いが、不規則な小さな穴やわずかなヒビが入っていることはあり得る。小さな白いカルシウム塩やアミノ酸チロシンの結晶も見られることがある。
味及び香り  濃厚で甘く、それでいてシャープな味わいで、このチーズ特有の乳酸には異臭や味がない。
食感  チーズの塊は硬いが割れやすい。熟成期間が長ければ長いほど、チーズはより硬くなり、歯ごたえのある結晶を多く含むようになる。

表2.ジュガスチーズの物理化学的特性

指標名 基準値
チーズ乾物中の脂肪分(%) 40±3
水分量(%) 34±3
塩分量(%) 2.0-0.4
 
(2)生産方法

〇ジュガスの原材料(加工品のみ)及び飼料(動物由来製品のみ)
-放牧期間中 (5月から10月) にのみ得られる牛乳;その時点で放牧されている牛には、補助飼料を与えてはならない
-桿菌 (Lactobacillus) と好熱性球菌 (Streptococcus) のスターター培養物;
-酵素、普通塩

〇特定された地理的地域内で行われなければならない生産における特定のステップ
 混合乳の調整、乳清スターターの製造、混合乳の酵素凝固、凝乳(カード)とチーズの粒の処理、チーズの成型圧搾、塩漬け、熟成はすべて、定められた地域で行われる。

(ア)乳混合物の調整及び凝固
 採取された生乳は、成熟チーズの乾物中の脂肪含量が規定された要件を満たすように、
分離、清澄化及び標準化される。乳混合物は、少なくとも72.5°Cの温度で20秒間殺菌される。殺菌後、乳混合物は10°Cを超えない温度で18時間以内保存することができる。

(イ)乳の硬化
 ジュガスを製造するための乳混合物を32~34°Cに加熱し、乳混合物を添加する際に、混合物の2.0%までを含む液体乳酸菌スターター (下記の手順に従って調製されたもの)をチーズメーカーに加え、さらに好熱性ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)菌の凍結スターターを加える。チーズメーカーが乳混合物で満たされたら、微生物由来の乳硬化プロテアーゼ-クラスの酵素を加える。酵素を加えたら、乳混合物を十分に混合し、凝固させるために置く。

(ウ)液体乳酸菌スターターの製造
 スターターの製造には残留乳清(ホエイ)が使用される。これは、品質と組成に基づいて選択される:固形分中の脂肪分(dry matter)含量:少なくとも6.3%。まず、乳清発酵スターターを準備する:乳清を低温殺菌し、凝乳温度まで冷却し、乾燥冷凍スターターを使用して凝固させる。次に、プロダクティブ・スターターは次のように準備される:乳清を低温殺菌し、凝乳温度まで冷却し、発酵スターターを2%まで添加する。
 
(エ)カードとチーズの粒の処理
 乳混合物の凝固時間は15分から35分である。凝乳(カード)がかなり硬く、鋭利なエッジのある割れ目で小さなフレークに崩壊せず、まだ明らかに透明なホエイが残っている場合は、カットの準備ができている。凝乳は、0.7から1.0cmの間の粒径でカットされる。カットには最大15分かかる。チーズの粒を33°Cから50°Cまで45~55分間加熱することで2回目の加熱をする。2回目の過熱にかかる時間は合計1時間以内である。

(オ)チーズの塩漬け
 チーズは塩漬け用タンクで最大8日間塩漬けされる。タンクでの塩漬けの温度は8°Cから12°C、pHは4.5 から5.4の間である。塩水の塩分濃度は、18から22%の間である。

(カ)チーズの熟成と貯蔵
 チーズは、規定された要件が満たされるまで、30日間を超えない範囲で、相対湿度80から85%、温度10-12°Cで熟成される。その後、チーズホイールはビニール袋に真空密封される。チーズは、10°Cを超えない温度で12~120ヶ月間熟成される。熟成中は、温度が2°Cから6°Cの間に調整された部屋で貯蔵される。


(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由

歴史
 ジュガスと地理的地域との関連性は、このハードチーズの製造と熟成における地元の熟達したチーズメーカーの経験によって決定された、本産品の高い評価に基づいている。ジュガスは、ジウゴ・カルナス(Džiugo kalnas)として知られる丘の砦があるテルシェイシティ市民教区で製造されている。古代の伝説によると、この丘はサモギティアの武将ジュガスに敬意を表して名付けられた。ジュガスの強さの秘密は、彼の農家の貯蔵庫に保管されていたチーズであり、それを食べると彼は並外れた力を得ると信じられていた。
 歴史的には、リトアニアでは牛乳を固めるために乳酸菌だけを使用してカッテージチーズが製造されていた。しかし、リトアニア北西部のジェマイティア(以下「サモギティア」という)では、農家の妻たちも乾燥させた子牛の胃を使って発酵チーズを作る方法を知っていた。テルシェイにあるサモギティア博物館「アルカ(Alka)」には、農家の妻たちが発酵チーズを製造するために使用した木製のチーズ型が展示されている。18世紀の年代記には、サモギティア人が独特の味、香り、硬さ、外観のチーズの作り方を知っていたことが記されている。書籍Didžioji Virėja(1936年、クライペダのサカラ出版社)には、1、2年間熟成させた自家製ハードチーズのレシピが記載されている。
 1926年にテルシェイ教区が設立されると、テルシェイの町はサモギティアの民族学的・歴史的地域の首都となり、現在ではこの地域の精神的、文化的、教育的、科学的な中心地となっている。そのため、この地域のあらゆる分野で最高の名工たちが昔からこの町に集まってきたのである。
 チーズやその他の乳製品は、長い間この地域の人々の主食となってきた。この地域には20世紀初頭からチーズ産業があった。サモギティア人にとって、ハードチーズ生産への道のりは長いものだった。最初の酪農は1924年にテルシェイで始まったが、新しく建設された生産工場でジュガスの基礎となるハードチーズの実験的生産が始まったのは1985年のことだった。1994年には、新しい技術指示書や明細書が登場し、チーズの生産量が増加し始めた。2006年以降、生産量は著しく増加し、その傾向は現在まで続いている。毎年約10,000トンのハードチーズが生産されている。生産量の増加は、デンマーク、フィンランド、イタリア、その他の国々へのジュガスの輸出によるものである。本産品は、リトアニアで最も有名で、最も広く購入されているハードチーズである。

生産地域との結びつき
 この地域の特徴的な製品を生み出すのに役立ったのは、地元の熟練職人達の独特の技術である。4kgのチーズホイール1個には、放牧期間中に得られる約60リットルの牛乳が必要である。この牛乳が、長期熟成チーズに最も優れた官能的及び微生物学的指標を与える。チーズ製造過程の一部として、乳清で培養されたプロダクティブ・スターターの中の乳酸菌(ラクトバチルス菌(Lactobacillus))と連鎖球菌(ストレプトコッカス菌(Streptococcus bacteria))の最適な比率を確保することが非常に重要である。プロダクティブ・スターターは、調製された発酵スターター(乳清は乾燥冷凍スターターを使用して発酵させる)から得られ、10回も培養することができる。その後のプロダクティブ・スターターは、以前に調製されたもので発酵される。乳清から作られた各プロダクティブ・スターターは、ラクトバチルス菌とストレプトコッカス菌の必要な比率を有していなければならない。プロダクティブ・スターターが成長している間は、細菌培養物間の比率が、必要な比率からわずかに異なることがある。そのため、熟練したチーズ製造業者は、ある(一つの)細菌の培養と別の細菌培養の比率を一定に保つために、プロダクティブ・スターター(乳清)の低温殺菌とその行程に要する時間を調整している。スターターの乳清は自動的に殺菌される。ジュガスの生産において非常に重要な段階は熟成であり、これもまたチーズ製造業者の伝統的な匠の技(savoir-faire)に大きく依存している。熟成中、ジュガスは、連続的に回転する丸い棒の上の特別な容器に垂直に置かれる。チーズホイール全体の水分含有量が減少するにつれて、チーズの側面が滑らかで均一に乾燥していることを保証するために、ジュガスは少なくとも週に2回、手作業でおおよそ60°回転される。したがって、熟成段階の終わりまでに、チーズは360°回転されているので、ジュガスの品質指標は一定に保たれている。地元のチーズ製造業者の伝統的な匠の技(savoir-faire)のおかげで、ジュガスはその特別な特徴によって際立っており、それが評判の高さを決定づけている。
 ジュガスの良い評判は、次のことに基づいている。(1)リトアニア国内及び世界中で受賞した数々の賞(2)リトアニアの象徴的な食品となっており、外国からの賓客への贈答品として提供されることが多い。(3)当該のチーズの名声は、味だけでなく、教育活動の積極的な展開とチーズ消費文化の促進の結果でもある。

受賞歴
 1998年から2017年の間に、このチーズは合計51の賞を受賞したが、そのうちのいくつかは特筆に値する。本産品は1998年に初めてリトアニアの年間最優秀製品に選ばれ、翌年の「AgroBalt'99」国際展示会では金メダルを獲得した。
 最も人気のある製品を選ぶコンテストが2009年から毎年開催されている。このコンテストでは、消費者の選択や国内の小売チェーンにおける大半の販売、そして品質基準に基づいて、様々なカテゴリーの候補が区別される。本産品は既に6年連続で最優秀賞を受賞し、その年の最も人気のある製品として認められている。
 このチーズは、2005年にロシアの「Prodexpo」で開催された国際展示会で初めて金メダルを獲得し、2008年、2010年、2014年にも同じ展示会で金メダルを獲得した。サンクトペテルブルクで開催された国際専門展示会「Peterfood-2010」では、最も人気のある製品として表彰状を授与された。2011年にブリュッセルの国際味覚品質機構(iTQi)が主催した食品・飲料のテイスティング・コンテスト「Superior Taste Award」(優秀味覚賞)では、二つ星を獲得し、2013年にも続いて同じ結果となったが、2014年には36ヶ月熟成のジュガスが初めて最高評価の三つ星のうち三つ金星を獲得した。2015年と2016年に再び三つ金星を獲得し、三年連続で三つ星のうち三つの金星を獲得した製品にのみ授与される「CRYSTAL TASTE AWARD」を獲得した。
 この他にも、ドイツで開催された「Goldener Preis - 2011」(ドイツ)、「International Cheese Awards in the UK」(2012年)、「World Food 2012」(モスクワ)ですべて金賞、「SIAL CHINA国際食品展示会」(2013年)でSIAL Innovation Grand Prixディプロマ、第18回国際見本市「EuroGastro フェア」(2014年、ポーランド)で24年熟成ハードタイプが最優秀製品に認定、国際認証協会ICERTIASの「Best Buy Award」(2015年スイス)、「Premio Roma 2017」で36ヶ月熟成タイプがディプロマを受賞している。
 その独特の味のために、本産品はリトアニアの象徴的な食品の一つとなっており、外国にいる友人やビジネスパートナー、あるいは海外に移住した親族への贈り物としてよく利用されている。リトアニア大統領から外国の指導者たちへ贈られている。
 2013年、リトアニアのダリア・グリバウスカイテ(Dalia Grybauskaitė)大統領は、ドイツ連邦議会選挙でのアンゲラ・メルケル首相の勝利を祝い、彼女にリトアニアのジュガスを贈った。2013年10月15日付のStilius誌の記事では、ドイツにおけるサモギティア(Žemaitija)ジュガスの受け入れについて肯定的な評価がなされ、2014年5月3日付のリエトヴォス・リタス(Lietuvos rytas)紙の記事では、本産品の世界的な評判は、生産者が一貫した品質を維持することを義務づけていると述べている。ジュガスはハードチーズの王様と言われ、消費者の間で特に人気がある。2016年9月1日付のドラウガス(Draugas)紙は、リトアニアのチーズであるジュガスが米国の食卓に並ぶようになったことを祝った。2017年1月28日付のリエトヴォス・リタス紙の記事は、海外のリトアニア大使館でゲストがどのように本産品でもてなされているかを紹介している。ジュガスはリトアニアを世界中に宣伝している。記事は本産品がブリュッセルで受賞した賞について論じ、本産品がアジアで評価された最初のリトアニアのチーズであることに言及している。2017年3月18日付のリエトヴォス・リタス紙の記事は、本産品は、その並外れたユニークな味の特徴から、リトアニアで最も高く評価されているチーズであると述べている。
 ジュガスについての記述は、チーズ専門誌「Good cheese 2013 – 2014」や、世界中のチーズについて述べた本(Dorling Kindersley Ltd, World Cheese Book, 2015, P.352)にも見られる。

 ジュガスの生産も始まる5月の放牧シーズンの始まりには、テルシェイで「ジュガス・デー」フェスティバル(’Džiugas Day’ festival)が開催される。このフェスティバルでは、特別委員会が、一年前に製造されて12ヶ月間熟成させたチーズの官能検査を行う。さらに長期間熟成させたチーズも試食され、色み、味、食感、その他の特性が比較される。
 2013年には、ジュガス・ハウス(‘Džiugas’ namai)がテルシェイ、ヴィリニュス、クライペダに設立され、チーズの試食会や教育プログラムが開催されている。これらの試食会には、既に約13,000人が参加している。2016年、ジュガス・ハウスはジュガス博物館の本拠地にもなった。会場の1階に設置された展示では、歴史上の様々な時代の酪農産業、サモギティアの乳製品製造の伝統、そしてハードチーズであるジュガスの生産の歴史を訪問者に紹介している。ジュガス・ハウスは既に数年前からサモギティアの首都で営業しており、テルシェイ地区で最も人気のある観光名所の一つとなっている。ジュガス・ハウスに関する情報は、サモギティア観光情報センター(VĮ Žemaitijos turizmo informacijos centras)で得ることができる。

7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和7年8月1日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和7年11月4日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader