指定前の公示(第194号)
更新日:令和7年8月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。 |
Hollandse Geitenkaas (ホランセ・ヘイテンカース)
1 | 指定前の公示の番号 | 第194号 |
2 | 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称 | 欧州連合 |
3 | 農林水産物等の区分 | 第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ) |
4 | 農林水産物等の名称 | Hollandse Geitenkaas(ホランセ・ヘイテンカース) |
5 | 農林水産物等の生産地 | オランダ(オランダ王国の欧州部分) |
6 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 |
(1)特性
ホランセ・ヘイテンカースは、オランダで生産されるセミハードの、自然熟成またはホイルで熟成されたチーズ製品の伝統的な地理的名称であり、オランダを拠点とする山羊飼育場で生産される山羊のミルクから作られるゴーダチーズと同等の方法で製造される。本産品は、皮を形成して自然に、またはホイルで包装された皮なしチーズとして、消費可能な製品に熟成される。皮を形成する自然熟成は、オランダでのみ行われなければならない。熟成期間は概ね4週間、最低25日間である。
特徴 - 色:熟成中の色は、若く成熟したホランセ・ヘイテンカースの場合の白から、熟成の進んだホランセ・ヘイテンカースの場合の象牙色まで様々である。 テクスチャー: 4週間ではやや軟らかい。水分が少なくなるにつれて硬くなる。 - 組成: チーズ生産農家に供給されるミルクの脂肪分は2.8-6.2%であり、タンパク質の含有量は2.6-4.4%である。イラクサ、フェヌグリーク、タイム、トマトなどのハーブ、スパイス及び野菜は、最終製品でそれらの特徴的な味が識別できる場合に限り、チーズに加えることができる。 - 脂肪分: 乾物量で、50%以上60%以下。 - 水分量: 凝固後14日以内44%以下。 - 塩分: 乾物量で、4.1%以下。 - 味: 柔らかくまろやかですっきりとした味わい。チーズが熟すにつれて、味と香りが強くなる。 - 断面: スライス後のチーズは、断面が密であるか、均一又は不均一に分布した穴がある。 - 皮:自然に熟成した場合、皮は硬く、滑らかで、乾燥していてクリーンで、菌叢はない。ホイル包装された本産品は硬い皮は無いが、プレスされ、食塩水に浸されている。ホイルで熟成した本産品は、硬く、滑らかで、乾燥していてクリーンで、菌叢はない。 - 熟成温度:自然熟成の場合は10~14℃、ホイル熟成の場合は4~7℃。 - 賞味期限:製造後28日から1年以上。 その他の特徴 チーズは平らな円筒形または角張った形をしているか、ローフ型またはブロック型をしており、重さは1.5~20 kgである。平らな円筒形は、辺が滑らかにカーブして上下が平らな丸い形状で、高さは直径の四分の一から半分である。角張った形状は、1つの湾曲した縁と1つの鋭い縁のある平らな円筒形である。「ローフ型」という用語は、長方形のチーズを表している。 山羊のミルクは、動物又は微生物のレンネットを使用して、28℃以上、32℃以下の温度で凝固される。ミルクは、Lactococcus変異体と、通常はLeuconostoc変異体、場合によっては好熱性のLactobacillus又はLactococcus培養物と組み合わせた、ホランセ・ヘイテンカースの適切な中温性スターター培養物の微生物混合培養物を加えることによって凝固される。 調整された食塩水では、温度、塩分含有量及びpHは可能な限り一定に保たれる。ホランセ・ヘイテンカースは、最小17ボーメ度、最大20ボーメ度の塩分含有量の食塩水に浸漬される。pHは4.8未満であり、温度は最低10℃、最高16℃である。 (2)生産方法
〇原材料 (加工品のみ)
本産品は、オランダの乳用山羊から採取された低温殺菌された山羊の全乳、山羊 (乳清) クリーム、山羊の脱脂乳又は半脱脂乳を使用して作られる。 他の動物の乳は使用できない。 セミハードのホランセ・ヘイテンカースは、オランダ白山羊、またはオランダ白山羊と他の代表的な乳用山羊との交雑種のミルクで作られる。 オランダの山羊のミルクの一貫した品質とまろやかな風味は、モニタリングされた飼育システム、職人技、品質保証プログラムの使用の結果によるものである。 品質保証プログラムにより、乳用山羊農家は一貫して高品質の山羊のミルクを生産することができる。このプログラムは、作業衛生、獣医学、動物の健康と福祉、飼料と飲料水、乳の生産と冷却などの分野で基準を定めている。 乳用山羊の飼育に対する品質保証プログラムは、最低限、EUの衛生要件を満たしており、オランダ乳・乳製品品質管理中央会(中央オルガアン・ヴォール・クヴァリテイッサーンゲレンゲンヘデン・イン・デ・ズイヴェル、COKZ)によってモニタリングされている。 輸送された山羊のミルクは毎回、サンプリングされる。サンプルの脂肪含有量、タンパク質含有量及びさまざまな品質パラメータが分析される。山羊農家への支払いは、これらの基本的な乳品質データに基づいて行われる。COKZは、サンプリングおよびサンプリング分析の全プロセスと結果の正確な処理を監督している。 〇飼料(動物由来製品のみ)
オランダ産山羊は、オランダ原産の牧草サイレージ又はトウモロコシサイレージ、ピース飼料及び藁を与えられる。亜麻仁、プレスパルプ及び醸造用穀物のようなサプリメントは許可される。外部供給業者から提供される飼料は、乳用山羊飼育品質保証プログラム及び関連する欧州動物飼料の要件を満たす必要がある。乳用山羊には、玉ねぎなどの、ミルクやチーズ(香り、まろやかな風味など)に悪影響を及ぼす可能性のある飼料を与えない。 〇定められた地理的地域で行われなければならない生産の特定のステップ 製造に使用される山羊のミルクは、オランダに拠点を置く乳用山羊の飼育地から得られる。ホランセ・ヘイテンカースはオランダで生産され、自然に熟成される。 生産プロセスの特徴的な段階を以下に示す。 -山羊のミルクは、農場の農家が搾乳する。搾乳したミルクは、最大で8回分を農場内の冷却タンクで6℃以下の温度で保管する。 -認定されたミルク集荷ドライバーは、山羊のミルクをサンプリングし、それを集荷し、チーズ酪農家に届ける。 -ミルクはチーズ酪農家が受け取り、タンクに保管される。 -チーズは、ミルクを最低温度71.8℃で15秒以上低温殺菌して作られる。低温殺菌された山羊のミルクにレンネットと乳酸が加えられる。 -凝固させて処理した後、ホエーを取り除き、チーズを型に入れてプレスする。 -チーズは食塩水に浸す。チーズの直径と形状によって、浸す時間が決まる。チーズの塩分は、乾物量で4.1%を超えてはならない。 -チーズは最低25日間、条件の整った気候の中で自然に熟成される。その間、定期的に向きを変え、カビの発生を防ぐためにフードコーティングが施される。熟成温度は10~14℃である。オランダでは、皮が乾燥していることを確認するために、皮を形成する自然熟成が行われている。熟成時間と温度は、チーズに望ましい官能性を与えるために重要である。オランダで開発されたセミハードチーズの熟成の専門知識によって、ホランセ・ヘイテンカースの品質と風味が与えられている。ホイル包装されたチーズは、4~7℃の冷蔵庫で少なくとも25日間熟成される。ホイル包装されたチーズは、オランダ以外でも熟成させることができる。ホイルのため、温度を監視するだけでよい。この場合、熟成の専門知識はそれほど重要ではない。 〇表示に関する特定の規則 ホランセ・ヘイテンカースという名前の自然熟成チーズにはカゼインマークが付されている。ホイル熟成のホランセ・ヘイテンカースにはカゼインマークはない。 (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
地域の簡潔な定義
対象となる地理的地域は、オランダ王国のヨーロッパ地域であり、伝統的な名前「Holland」としても知られている。 〇地理的地域の特異性 概要 太古の昔から、オランダの土壌と気候条件は、耕作と畜産に理想的な国であった。これらの条件は、乳用山羊の飼育にも理想的である。 このことは、典型的な酪農種の使用、飼養・飼育方法、チーズ作りの豊かな伝統、そして地元の職人技と相まって、オランダ王国のヨーロッパ地域で本産品を作るために山羊のミルクを使用するのに適した条件を作り出した。 地形 気温、土壌組成、降雨量の組み合わせにより、オランダは長い間、乳用山羊の飼育を含む耕作及び畜産に理想的な国であった。 オランダは海と風が重要な要素となる海洋性気候である。大きな水域 (北海とアイセル湖) が存在するため、他の国に比べて気温の変動が少ない。水は気温を和らげる効果を有する。オランダの長期的な年平均気温は8.9から10.4℃、年平均降水量は700から950 mm (データは国立気象・気候・地震学知識研究所による(www.knmi.nl)) である。 オランダの土壌は、主に農業や家畜飼料作物の生産に適した粘土質、砂質、泥炭質の土壌である。地下水位は重要な指標である。特に湿潤地帯は、主に畜産用などの牧草の栽培に適している。 乳用山羊 ホランセ・ヘイテンカースは、オランダ白山羊、またはオランダ白山羊と他の代表的な乳用山羊の交配種のミルクから作られる。1880年から1920年にかけてスイスから輸入されたサーネン乳用山羊は、オランダの乳用山羊飼育の歴史において重要な役割を果たした。輸入された山羊は、在来種と交配された。村々は独自の繁殖組合を設立し、オランダの乳用山羊登録簿を設立したオランダ山羊繁殖機構(オランダ政府機関、NOG)の支援の下、州レベルで調整された。国の目標はすぐに設定された。それは、大きくて丈夫で角のない、高い飼料摂取能力と乳生産レベルを持つ山羊を繁殖させることだった。 以上のような発展により、オランダの乳用山羊飼育は、世界で最も効率的な乳生産方法の1つとなった。オランダの乳用山羊の平均生産量は、一流の管理と優れた遺伝学の結果、毎年増加し続けている。 製品と職人技 中世からチーズを作り続けているオランダには、チーズ作りと職人技の豊かな歴史がある。18世紀からゴーダチーズの製造技術が習得された。ゴーダチーズの製造においてオランダで培われた知識と専門技術は、本産品の生産に大きな影響を与えてきた。ゴーダセミハードチーズの製造技術は、山羊のチーズの生産に直接受け継がれ、製品の均一な品質と風味の開発に大きく貢献した。 オランダで生産されるセミハードチーズの職人技と品質と風味へのこだわりは、半世紀以上にわたって開催されているオランダ全国チーズ試食大会(ネーデルランズ・ナショナル・カースケールコンコース、NNKC)によって実証されている。チーズ部門の専門家は、ホランセ・ヘイテンカースの特徴的な風味を含め、チーズとその風味を区別する能力を練習し、テストしている。 組織と物流 オランダは小国であり、距離が短いため、農家と生産者および生産監視組織、あるいは、農家と生産監視組織との間には、多くの接触と知識共有が行われている。何世紀にもわたって、酪農家とチーズ製造業者の職人技は、オランダ当局によって推進された研究、教育、情報の結果として、高度で均一な水準に達してきた。現在、ワーゲニンゲン大学と研究センターのクラスターに蓄積されている知識と応用科学研究は、今日でもチーズ製造と教育を含む分野の高度な組織と知識の実用化のモデルとなっている。 〇製品の特殊性 製品と職人技 本産品は柔らかく、まろやかですっきりとした味がする。このチーズは、自然熟成では4週間後に、ホイル熟成ではより長い期間を経て、このまろやかで酸味のある風味を得る。石鹸っぽくなく、苦味はほとんど又は全くない。自然熟成のものは、チーズが熟して水分量が減少するにつれて、より硬くなり、その風味はより濃くなる。 本産品は、低温殺菌された山羊のミルクから作られたゴーダチーズと同等の方法で製造されたセミハードの、自然熟成又はホイル熟成チーズ製品である。ゴーダチーズの製造の特徴は、中温性のスターター培養物を使用し、時には好熱性の培養物を追加し、ミルクを凝固させ、プレスしてチーズを成形し、調整された食塩水に浸してチーズを塩漬けにすることだ。 自然熟成は、ゴーダの伝統的な生産にも由来する条件下で行われる。チーズは空気にさらして熟成させ、定期的にひっくり返してチェックする。このように熟成されたチーズは、乾燥した皮を発達させる。特徴的なプレスと浸漬に続いて、ホイル熟成の場合はホイルで包装され、低温で熟成される。その結果、硬い皮は形成されず、若い山羊のチーズのまろやかな風味がより長く保たれる。 本産品は山羊のミルクのみから作られる。他の種類のミルクは使用できない。 1946年、獣医師で元国家畜産顧問のE.J.Dommerhold氏は本産品の基本的なレシピを詳細に記述し、衛生要件を満たす十分な山羊のミルクが含まれている必要があることを強調した。この本の関連セクションでは、ハーブの添加についても説明している。当時は、本産品は農場で小規模に作られていた。 組織と物流 1980年代初頭からオランダの乳牛農家は、高い乳生産割当コストのため山羊の飼育に切り替えた。その結果、チーズ生産に利用できる山羊のミルクの量が増加した。非常に小規模な農場生産から本産品の生産に特化した工業的チーズ酪農へと移行した。 〇地理的地域と製品の評判またはその他の特性 地理的表示としてのホランセ・ヘイテンカースの保護は、地理的特性、製品と職人技、組織と物流のレベル、そしてその具体的な評判に基づいている。 地理 オランダの土壌組成、温暖な海洋気候、生産者の知識は山羊の飼料の生産に役立ち、山羊のミルクが本産品を作るのに適していることを保証している。これは、本産品にまろやかな風味を与えるミルクのすっきりとしたまろやかな味を得るために重要である。 乳用山羊 20世紀初頭、オランダは生産性の高い乳用山羊を繁殖させることにした。山羊一頭当たりの平均乳量の増加と、山羊のミルクの一貫した品質と風味は、適切なケア、良好な栄養、高い健康状態、山羊の遺伝学の結果である。典型的で、生産性の高い乳用山羊とゴーダチーズ作りの文化が存在したことは、ホランセ・ヘイテンカースの生産のための要件である。 製品と職人技 山羊の飼育と本産品の製造に関する指示は、1946年の文書に記載されている。山羊飼育方法と本産品の製造方法は、今日でもその指示に基づいている。 オランダの乳用山羊の飼育と本産品の製造と熟成で長年にわたって得られた知識は、独自の経験をもたらした。だからこそ、本産品は、スタッフがこの種のチーズに特化した徹底した研修を受けているオランダの酪農場でオランダのミルクで作られることが重要なのである。 組織と物流 国の規模が小さく、組織のレベルが高いため、この部門はうまく運営されており、山羊農家は、ミルク品質保証プログラムへの参加が義務付けられている。これは、チーズとその原料となる山羊のミルクの高い品質を常に維持するために重要である。 評判 山羊のミルクが手に入りやすくなり、本産品の生産量が増えたことで、消費者は1980年代にこのチーズを特産物として「再発見」した。この製品の評判の良さは、その後の大規模な広告やマーケティングを行わなくても販売数が増加したという事実によって証明されている。 現在、オランダのチーズ生産において本産品は重要な地位を占めている。オランダにおける山羊のチーズ生産量は2000年の3,700トンから2012年には19,780トンに増加した(Dutch Dairy Board)。 本産品は国内的にも国際的にも高品質で需要の高い製品として認められている。 本産品の国内での評判に関しては、毎年多くのチーズテイスターが集まり、国内で定義された製品プロファイル (NNKC) に基づいて山羊のチーズの風味を評価している。 本産品の国際的な評判は、国際的なテイスティングで受賞した多数の賞によって裏付けられている。本産品は、例えばマディソン (USA)、DLG (ドイツ)、ナントウィッチ (イギリス) などのチーズコンテストに何年にもわたって見事に出品されている。 |
7 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |
(2)登録商標 | - | |
(3)指定商品又は指定役務 | - | |
(4)商標登録の登録番号 | - | |
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - | |
8 | 公示の年月日 | 令和7年8月1日 |
9※ | 意見書提出期間 (公示開始日から3か月間) |
令和7年11月4日まで |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234