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農林水産省

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指定前の公示(第196号)

更新日:令和7年8月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Jabłka grójeckie(ヤプカ・グルイェツキエ)


1 指定前の公示の番号  第196号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第1類 農産物類 果実類(りんご)
4 農林水産物等の名称  Jabłka grójeckie(ヤプカ・グルイェツキエ)
5 農林水産物等の生産地  ポーランド

〇マゾフシェ(Mazowieckie)県:
• グロジェツ(Grójec)郡全域 (以下の自治体:ベルスク・ドゥジ(Belsk Duży)、ブウェンドゥフ(Błędów)、ヒヌフ(Chynów)、ゴシュチン(Goszczyn)、グロジェツ(Grójec)、ヤシェニエツ(Jasieniec)、モギエルニツァ(Mogielnica)、
  ノベ・ミアスト・ナト・ピリツォン(Nowe Miasto nad Pilicą)、プニェヴィ(Pniewy)及びバルカ(Warka));
• ジラルドゥフ(Żyrardów)郡内のムシチョヌフ(Mszczonów)自治体;
• ピャセチュノ(Piaseczno)郡内のタルチン(Tarczyn)、プラジムフ(Prażmów)、グラ・カルヴァリア(Góra Kalwaria)
  各自治体;
• オトヴォツク(Otwock)郡内のソビエニエ=イェジオリ(Sobienie Jeziory)自治体;
• ガルボリン(Garwolin)郡のビルガ(Wilga)自治体;
• コジェニツェ(Kozienice)郡のグラブフ・ナト・ピリツォン(Grabów nad Pilicą)、マグヌシェフ(Magnuszew)各自治体
• ビャウォブジェギ(Bialobzegi)郡のストロミエツ(Stromiec)、ビャウォブジェギ(Bialobrzegi)、プロムナ(Promna)各自治体;

〇ウッチ(Łódźkie)県:
• ラワ・マゾビエツカ(Rawa Mazowiecka)郡のビャワ・ラフスカ(Biala Rawska)、サドコビツェ(Sadkowice)、レグヌフ 
  (Regnów)、チェロンツ (Cielądz)各自治体;
• スキエルニエビツェ(Skierniewice)郡のコビエシ(Kowiesy)自治体。

6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
 ヤプカ・グルイェツキエは、定義された地域で栽培されているリンゴである。下記の品種のリンゴは、下表に定める販売時の色、大きさ及び果肉の硬さに関する最低要件を満たす場合には、エクストラ・クラス(大玉)及びクラスIのヤプカ・グルイェツキエとして販売することができる。また、ヤプカ・グルイェツキエは、原則として当該品種の平均より5%高い酸度を有する。ただし、このパラメータの値は、栽培期間中の大気条件に依存する。
 さらに、ヤプカ・グルイェツキエは、植物防疫製品の残留に関するより厳しい要件を満たさなければならない。認可された植物防疫製品のうち5種類以上の残留物を含んではならない。ヤプカ・グルイェツキエ中のこれらの物質の最大許容レベルは、一般的に適用される欧州連合の法律に定められた基準の50%である。残留レベルは、本産品が輸出されるすべての国における残留物に関する規則にも適合しなければならない。
 品種、大きさ、硬さ、着色の要件を満たしてはいても、果実の総表面積の20%を超えない範囲で、霜による明らかな損傷又は雹による損傷の痕跡の明らかな兆候を示すヤプカ・グルイェツキエは、380kgまでのバルク包装単位で加工用に供給することができる。損傷はすべて(保護層ができるなどして)自然に修復されて(healed)いなければならない。腐敗は認められない。この果実には「加工用ヤプカ・グルイェツキエ」と明確に表示し、エクストラ・クラス又はクラスIの「ヤプカ・グルイェツキエ」とは区別した包装で保管しなければならない。

別添 ヤプカ・グルイェツキエ品種表(PDF : 289KB)
 
(2)生産方法
 ヤプカ・グルイェツキエの生産における以下のステップは、上記5項で定義された地域で行われなければならない。
  - 栽培現場の準備
  - 植え付け
  - 切断と整形
  - 施肥
  - 灌漑
  - 植物防疫
  - 果実の品質向上処理
  - 収穫
  - 仕分け
 ヤプカ・グルイェツキエは、既存又は新設の果樹園において、リンゴ生産の統合植物生産 (IP) システム、GlobalG.A.P.システム、又は有機生産規則に従って生産される。

〇収穫
 収穫は、通常(※)、9月10日から10月31日までに行われる。ただし、早生の品種は例外である。
(※収穫は気象条件に従って行われるため、気候変動の影響等により、カレンダーの日付で正確に定義することは困難である。生産者のノウハウと栽培経験によって、リンゴの収穫時期を決定する。)

〇保存
 ヤプカ・グルイェツキエは、包装されるまで、5項で定義された場所に保存されなければならない。
 ヤプカ・グルイェツキエの最適な保存条件は以下のとおりである。温度:1~3℃ -数ヶ月間の長期保存、4~10℃ - 収穫後の保存、12日までの短期保存。許容される保存期間は品種によって異なる。保存期間終了時の硬度が、本産品の品種表に記載された硬度以上であることが不可欠である。
 生産者が、地理的表示保護の対象となっていない他のリンゴも栽培している場合は、果実が混ざらないように保存しなければならない。本書に定められたすべての要件を満たすリンゴ(すなわち規定の内容に沿って選別されたリンゴ)のみ、「ヤプカ・グルイェツキエ」の名称で販売できる。

〇包装
 包装は、5項で定義された地理的地域内で行わなければならない。様々な種類の個別包装及び20kgまでのバルク包装の単位が使用される。果実は機械的損傷を最小限に抑えるために、手作業又は特殊な機械で包装される。包装に制限があるのは、製品の高品質を維持し(なおかつ機械的損傷のリスクを回避するため)、そして本産品が他のリンゴと混ざらないようにする必要があるためである。このことはすべて、本産品の評判を維持するのに役立つ。
 加工用「ヤプカ・グルイェツキエ」の場合、380kgまでのバルク包装が許可される。

〇原産地証明
 生産者は、ヤプカ・グルイェツキエが識別可能であり、その履歴を追跡できる(トレーサビリティ)のために使用することが義務付けられている識別番号を協会から受け取る。この番号を販売ラベルに記載する義務は無い。販売ラベルは、法律に従い、契約業者と合意した条件の下で実施されるべきである。

〇監視機関
 農業食品検査局
 Główny Inspektor Jakości Handlowej Artykułów Rolno-Spożywczych
 [Chief Inspector of Agricultural and Food Quality]
 Aleje Jerozolimskie 98, 00-807 Warsaw

(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由

自然的要因
 ヤプカ・グルイェツキエの生産地は、ポーランド中央部、ワルシャワ平原とラワ高原、ビャウォブジェギ渓谷(Białobrzegi Valley)と中央ヴィスワ渓谷(Central Vistula Valley)に位置している。これらの地域は、中央マゾフシェ低地(Central Masovian Lawlands)と南マゾフシェ低地(Southern Masovian Lawlands)の一部を形成している。
 これらの地域では、リンゴ園の栽培に理想的な、平均的及び低評価クラス(low valuation classes*)の砂、粘土、辺縁堆積物の上に形成されたポドゾル土壌(Podsolic soils)又は偽ポドゾル土壌(Pseudopodsolic soils)が優勢である。この地域の年間降水量は、600mmである。本産品の生育期間は約200日であり、この期間中にほとんどの品種のリンゴを栽培することができる。この地域の比較的温暖で大陸に近い気候は、霜に弱い品種であっても大幅な作付け損失を防ぐ。
 この地域には、収穫前の期間中(9月から10月上旬) の夜間の気温が0℃前後と気温の低さが際立っているという特徴的な微気候がある。
 特定されたヤプカ・グルイェツキエの生産地域は、非常に均質な特徴を有している。地域の中心、すなわちグロジェツの町からその境界まで、リンゴの木はすべての地域で栽培されている。グロジェツ周辺の地域で70%に達する作物の濃度(集中度合い)は、町からの距離が離れるにつれて減少する。特定された栽培地域の境界を越えたところで、リンゴの木の栽培パターンはまばらになる。これが、この地域が「ヨーロッパ最大の果樹園」と呼ばれる理由だ。
 簡単に言うと、土壌と特定の微気候が作り出す独特の自然条件により、本産品は、より早く色づいて平均以上の赤みを持ち、ヨーロッパ中の加工業者に珍重される高い酸味を獲得する。

(*注:低評価クラスとされている層に属する土壌は肥沃度が低く、穀物等の一般的な畑作物には向かないが、リンゴの木を含む特定の種類の多年生作物には適しているとされている。)

歴史的要因及び人的要因
 グロジェツ周辺地域が「ヨーロッパ最大の果樹園」と呼ばれるようになった所以は、園芸と果樹栽培に興味を持っていたことで知られるボナ女王の時代にさかのぼる。1545年、ボナ女王はグロジェツ地域に広大な土地を与えられ、後に市場向け野菜・果物農園菜園の所有者に様々な特権を与える規定を設けた。その後、1578年にボナ女王の息子が出した国王令によって、果樹栽培の法的地位が強化された。これが果樹園、特にリンゴ園の発展のきっかけとなった。歴史的文献には、グロジェツ地域の荘園や農民の果樹園の発展に関する多くの記述がある。
 ヤプカ・グルイェツキエの歴史において、重要な役割を果たしたのは、19世紀にこの地域の果樹栽培で最も重要な人物であった聖職者たち(ベルスクのRoch Wojcicki、ウェンチェシツェのNiedźwiedzki、ゴシュチンのStefan Roguski、コナリのEdward Kamiński)であった。20世紀初頭には、ポドグジツェのJan Cieslakの仕事に象徴されるように、商業果樹園が設立された。彼は、リンゴの栽培と貯蔵技術を改良するために尽力した(1918年にポーランドにおける最初の果物貯蔵庫を建設した)。
20世紀初頭には、最初のコンサルタントの出現も見られた。この地域で最も有名なコンサルタントの一人がWitalis Urbanowiczである。彼は1909年に「園芸10箇条」を作成して有名になった。
 第二次世界大戦後、Szczepan Pieniążek教授の名前が代名詞となっているグロジェツ地域の果物栽培が急速に成長した時期が始まった。最新の知識と経験を地元の果物農家に伝える土壌・花卉栽培研究所(Zakład Doświadczalny, Instytut Sadownictwa i Kwiaciarstwa)が彼の勧めで設立された。彼の門下生Eligiusz Gajewskiは、土壌・花卉栽培研究所 (Zaklad Doswiadczalny Institutu Sadownictwa i Kwiaciarstwa)の実験場をノバ・ビエシ(Nowa Wieś)に設立した。これは、グロジェツの果物農家に実践的なノウハウを伝えるモデル農場へと発展した。
 時が経つにつれ、ヤプカ・グルイェツキエの栽培が広く行われるようになったが、1958年に地元農家の収穫が失敗に終わり、これをきっかけに、グロジェツの国民評議会地区幹部会の副議長であるWaclaw Przytockiは、リンゴと地域全体の振興を目的としたアップル・ブロッサム・フェスティバル(リンゴの花の祭典、Dni Kwitnacych Jabloni)を開催した。当初、この祭典は、毎年異なる場所、異なる名前(「Dni Kwitnących Jabłoni」、「Dni Kwitnącej Jabłoni」、「Grójeckie Dni Kwitnącej Jabłoni」、「Grójeckie Dni Kwitnącej Jabłoni」、「Kwitnącej Jabłoni」、「Święto Kwitnącej Jabłoni」)で開催されていた。当該の名前は10年以上も使用されている。

特異性
 本産品の赤みは、概して平均より5%濃い。リンゴの美しい赤みは、見栄えの良さだけでなく、アントシアニンとカロテノイドを中心とする色素が皮の組織に多く含まれていることを反映している。本産品の酸度はまた、概して当該品種の平均より5%高い。ただし、このパラメータの値は、生育期間中の大気条件に左右される。

地理的地域と本産品の品質又は特性との因果関係
 ヤプカ・グルイェツキエと5項で定義された地理的地域との関連は、前述の特異性で説明されている特定の品質に由来する。これは、前述の自然的要因と、以下で説明する評価の結果として達成されたものである。
 ヤプカ・グルイェツキエの生産地域で発生する自然条件、特に土壌と特定の微気候は、本産品がより早く色づき、平均以上の濃さの赤みと、ヨーロッパ中の加工業者から高く評価されている高い酸味を持つことを意味する。夜間の低温は、収穫直前のリンゴに生じる生理的プロセスに好影響を与える。これは、夜間の休止期間中の酸化プロセスがそれほど激しくなく、その結果、糖酸比が向上し、本差品の絶妙な味に大きく貢献するためである。
 ヤプカ・グルイェツキエ独特の特徴は、その特定の微気候の結果として、リンゴが栽培されている地域と密接に結びついている。さらに、グロジェツ地域の収穫前の期間は、気温が大幅に下がることが特徴である (9月と10月初旬には0℃まで下がる)。つまり、土壌と特定の微気候が作り出す独特の自然条件により、本産品はより早く色づいて平均以上の赤みを持ち、ヨーロッパ中の加工業者から高く評価されている高い酸味を得る。
 グロジェツ地域のリンゴの木の栽培に適した条件は、500年近く前からますます強くなり続けている類まれな評判をもたらした。マゾフシェ(Mazowieckie)県や近隣の県に住むほとんどの人にとって、グロジェツといえばリンゴ栽培の代名詞だ。果物栽培への言及は、この地域の至る所で見られる。例えば、グロジェツ地域や多くの自治体(ヒヌフ(Chynow)、ベルスク・ドゥジ(Belsk Duży)、ブウェンドゥフ(Błędów)、ヤシェニエツ(Jasieniec)、コビエシ(Kowiesy)及びサトコビツェ(Sadkowice))の紋章には、リンゴが描かれている。また、サトクフ(Sadków)やサトコビツェ(Sadkowice)などの地名(「sad」はポーランド語で果樹園を意味する)に、リンゴ狩りを描いたグロジェツの園芸館の浅浮き彫り(bas-relief)に、大人気の毎年恒例のアップル・ブロッサム・フェスティバルや、毎年グロジェツで開催される全国果樹園会議で、さらに「緑の果樹園」を意味するZielony Sadのような町の一部に与えられた名前にも使われている。何世紀にもわたる伝統のおかげで、地元の果樹栽培者はリンゴの木を手入れする技術をほぼ完璧にマスターすることができた。また、地元の産業も、果物栽培のニーズに応えることに主眼を置いている。例えば、果物加工工場、商社、生産者団体、果樹園の必需品のサプライヤー、機械メーカーなどがある。グロジェツ地域は現在、集中的な低木果樹園の本拠地であり、全国のリンゴ生産のほぼ40%を占めている。自治体によっては70%を占めるところもある。
 この地域の気候条件とリンゴ栽培の長い伝統による本産品の素晴らしい評判は、2008年9月に実施された全国消費者調査で裏付けられた。調査結果は、グロジェツ地域が果物栽培、特にリンゴの生産といかに強く結びついているかを示している。回答者の27.7%がグロジェツ地域と果物栽培との関連性を指摘した。ポーランド人の19%が、グロジェツ地域とリンゴ栽培を結びつけている。グロジェツ地域とリンゴを結びつけている回答者の割合は、マゾフシェ県に隣接する県ではさらに高く、ウッチ(Łódźkie)県では32%、シフィエンツコシスキェ(Świętokrzyskie)県では36%であった。

  本産品の評判は、新聞の関連記事によっても裏付けられている。以下にその例を示す。
‘Co czwarte jabłko z Grójca’ (1991)、‘Z Grójca do Szwecji’ (1992)、‘Jabłko ekologiczne’ (1993)、‘Eurojabłka z Grójeckiego’ (1995)、‘Sady po klęsce’ (2000)、‘Jabłkowe centrum Europy?’ (2001)、‘Grójeckie jabłka najlepsze’ (2007)。

7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和7年8月1日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和7年11月4日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234

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