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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第138号)

下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

更新日:令和6年2月29日
担当:輸出・国際局 知的財産課

Orkney Scottish Island Cheddar(オークニー・スコティッシュ・アイランド・チェダー)


1 指定年月日  令和6年2月29日
2 指定番号  第138号
3 締約国の名称 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(ナチュラルチーズ)
5 農林水産物等の名称  Orkney Scottish Island Cheddar(オークニー・スコティッシュ・アイランド・チェダー)
6 農林水産物等の生産地  イギリス

 スコットランド北部のオークニー諸島(Orkney Islands)、カークウォール(Kirkwall)中心部
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
「オークニー・スコティッシュ・アイランド・チェダー」は、生産地内から現地調達された牛の生乳を使用して製造されている。この牛乳の特性は、牛から生産されたすべてのクリームを含み新鮮かつ清潔であること、また、不純物の混入が全くないことである。このチーズは適度に鋭い酸味がある一方で、豊かな風味とナッツの香りがあり、実に丸みを帯びた味わいがある。また、香りがすっきりとしており、チェダーの特徴である硬くて滑らかで緻密な引き締まった食感がある。本産品は、通常6~18か月間熟成される。また、中熟成、熟成、超成熟など、さまざまな風味がある。

チーズは通常、次の3つの熟成度で販売される。
-中熟成:6~12か月の熟成期間で、やや香ばしい風味となめらかな食感
-熟成:12~15か月の熟成期間で、ややシャープで香ばしい風味としっかりしたなめらかな食感
-超熟成:15~18か月の熟成期間で、シャープな香ばしい風味としっかりとしているがわずかにもろい食感があり、乳酸の結晶も見られる。

本産品は20kgのブロック形状で製造され、必要に応じ熟成後にさまざまな形状とサイズにカットされる。本産品の色は白色とカラーがあり、チーズ全体が均一で明るい色をしている。これは低温殺菌後に植物性色素を添加することにより、白色とは異なる着色されたチーズが製造されるからである。
本産品の化学的基準は次のとおりである。
水分量:33~36%、脂肪:33~36%、乾物中の脂肪:50~52%、塩分:1.6~2.1%、製造時のpH:5.1~5.4
本産品の微生物規格基準は次のとおりである。
25g中にリステリア菌、ブドウ球菌エンテロトキシン、サルモネラ菌が存在しないこと。


(2)生産方法
「オークニー・スコティッシュ・アイランド・チェダー」は、生産地内で生産された低温殺菌牛乳から製造されている。牛乳は、新鮮な牧草とサイレージを食べる乳牛から生産される。乳牛は6か月間放牧され、残りの期間は屋内で飼育される。飼料には、地元の蒸留酒製造工場から調達した自家製の大麦、カブ、醸造用穀物が配合される。補足飼料として、地域外から調達した非遺伝子組み換え大豆(タンパク質補給)、テンサイ(エネルギー補給)、及びミネラル補給飼料が配合される。この給餌方法により、乳牛は脂質、タンパク質、乳糖のバランスの取れた生乳を生産することができる。生乳は毎日乳製品製造工場に届けられる。チーズ用の生乳は低温殺菌され、この段階で遠心分離機にかけられ、バター脂肪とタンパク質の比率が一定になるようにクリームを取り除いて標準化される。生乳を標準化する工程により、チーズの硬さを一定に維持することができる。この工程がなければ、チーズの硬さは年間を通じて変化してしまう。
次に、牛乳はチーズバットに送られ、乳酸菌培養液(ラクトコッカス属クレモリス種(Lactococcus lactissubsp.cremoris/lactis)及びサーモフィラス菌(Streptococcus salivarius subsp.thermophilus)が添加され、チーズの酸味と風味が形成される。チーズを着色する場合は、この段階でアナトー(アナトーの木の種子から抽出される色素)を混合する。レンネットが添加され、牛乳が凝固して固形ジャンケットになるまで、31℃で60分間継続的に攪拌する。チーズ生産者が手作業でチェックするが、確認には約25分かかる。ジャンケットは、最初は機械の刃を回転させてカードとホエーを分割することにより、非常にゆっくりとカットされる。次に40~45分間かけてバット内の温度を40°Cまで上げることにより、カード粒子が固まる。次の段階では、カードとホエーを仕上げテーブルに排出する。ホエーのみを排出し、カードは、レンネットを加えた後3時間15分から3時間25分の間の加塩が行われる点まで継続的に攪拌する。バットのピッチングから加塩まで、カードを連続的に攪拌する工程は、乾式攪拌技術と呼ばれる。加塩が行われる正確なポイントは、酸度が約0.28に達したときであり、これはチーズ生産者の技術により決定される。乾燥した加塩カードは、真空でブロックフォーマータワーに吸引され、そこで結合して20kgのブロック形状になると機械から排出される。
その後、チーズは袋に真空パックされ、完全なトレーサビリティを確保するため独自のラベルが付けられる。熟成が行われている間ブロック形状を維持するために、木製スラットがチーズに手作業で固定され、8~10°Cで6~18か月間熟成される。その後、最大20kgのさまざまなパックサイズにカットされる。
チーズは独立した格付け職人によって12週齢で等級付けされる。第1級カテゴリーに分類されたチーズだけが「オークニー・スコティッシュ・アイランド・チェダー」と呼ばれる。

第1級の定義:
-一般的な要件は、すべてのチーズがハードプレスされ、牛乳から製造され、固形分中脂肪分が48%以上含まれていることである。
-風味はさっぱりしていて、牛乳に苦味やその他雑味がない。
-色は全体的に均一で、まだらが見られない。
白色:粉を吹いていない。色付き:全体的に明るい均一な色。
-チーズは硬く、滑らかで絹のようである。
-ガス穴がないため食感は緻密である。
-仕上がりと外観は正方形の側面を示し、ぴったりとした袋に包装される。粉が吹いたり、カビが生えたりすることがない。

(検査機関)
Orkney Islands Council Trading Standards


(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
「オークニー・スコティッシュ・アイランド・チェダー」は、伝統的なレシピと工程に従って、オークニー諸島の地元の牛乳を使用して製造されている。本産品の製造は、チーズ生産者の職人技と地元オークニー島の牛乳を組み合わせたものである。

〇地理的地域
本産品の生産地は、過去5000年間の土地耕作の結果出来上がった、肥沃な表土が覆う深い起伏の少ない農地にある。この地域には、世界遺産となっている新石器時代のモニュメントがあり、また、環境に配慮した地域(ESA:Environmentally Sensitive Areas)及び特別科学関心地区(SSSI:Sites of Special Scientific Interests)にも分類されている。メキシコ湾流に近接しているため、気候は温暖で、土壌中にはヨウ素と硫黄の豊富な供給源がある。緯度が高いため真夏頃には絶えず日光が降り注ぎ、主にホルスタイン/フリージアンとエアーシアの乳牛のために、緑豊かな牧草地が生み出される。このような条件が組み合わさることにより、物理的地理的地域に囲まれたチーズ製造用の高品質の牛乳を供給する地域が独自に誕生した。

〇チーズ生産者の技術
チーズ生産者は、酸性の変化をモニタリングして、適切なレベルになったら、バットからピッチングを行い、ホエーを排出し、テーブルで乾いたカードを処理する等の工程を管理する。カードは適切な粘土と酸性度を必要とするため、カードへの加塩には高いレべルの技術が必要となる。
塩は、オークニー地域で何世代にもわたって行われてきた種まきに似た技術によって手作業で撒かれる。正しい量の塩を添加し、カード全体に均一に広げる必要があるため、これを巧みに行うことが重要である。また、チーズの製造を監視するチーズ生産者の技術は、工程全体を通してチーズを正しい酸性度の状態に維持するためにも重要である。チーズ生産者は、長年の経験を通して、正しい食感と風味を持ったチーズを製造することができる。第1級の定義を満たす高品質のチーズを一貫して生産するには、技術と経験が必要なのである。

〇乾式攪拌技術
本産品は、独自の乾式攪拌技術により、他の従来のチェダーとは大きく異なっている。この製造方法は1984年に開発され、現在でも使用されている。短時間の工程で効率的にチェダーを生産しようと努力していた経営陣たちのアイデアの相乗効果により生み出され、従来のチェダーチーズの製造方法とは一線を画すものである。この製法は、硬い濃厚なチーズを作り出す。標準化された牛乳を使用することにより、一年中一貫して丸みを帯びたまろやかな風味のチーズになる。
乾式攪拌は、伝統的なチェダーのレシピを適用したもので、バットが仕上げテーブル上に投げ入れられ、ホエーが流された後、カードが互いに結合しないことでつくられ、これを継続的に攪拌し塩を加えてまろやかにする。加塩のベンチマークテストは、レンネット後3時間15分から3時間25分の間で行われ、0.28の酸性滴定を基準とし、これによりチーズは緻密な食感となる。加塩が手作業で巧みに行われると、より小さなカード粒子に塩が添加され、従来のチェダーチーズよりも塩が均一に分配される。次に、カードとチェダーチーズを一緒にブロックフォーマータワーに入れる。その後、袋詰めされ、束ねられた木製スラットで熟成される。

〇評判
オークニー諸島のチーズ製造業の歴史は、数百年前にまで遡ることができる。当時、農民の妻たちは収入を補うため余った手作りのチーズを販売していた。数か月にわたる長い冬の食事を補うため、オートミールガーネルに保存されたチーズもあったと考えられる。
最初のチーズ製造所は、1946年にカークウォール(Kirkwall)に設立された。これは、第二次世界大戦中に島に拠点を置く60,000人の軍人の食料を供給するため、牛乳の供給が増加したためである。伝統的には布包装された円筒形、ブロック形、ホイール形の硬いチーズだったが、牛乳生産量の増加に伴い、より近代的な製造方法に切り替えられた。1958年に新しいクリーマリーを導入し、チェダーチーズのレシピを確立した。これは、伝統的なレシピに革新的なバリエーション加えて試行錯誤した後、1984年に実施された「乾式攪拌技術」が導入されたものである。
本産品は現在、従来の乳製品の製造工程を再現しながら、その品質を維持するため、最新の設備を使用して製造されている。チーズの品質の高さは、以下に挙げる、主要なコンテストで継続的に受賞したことによっても実証されている。
ナンウィッチ インターナショナル ショー(ゴールド マイルド ホワイト2009)(Nantwich International Show(Gold Mild White 2009))、ロイヤル ハイランド ショー(ゴールド アンド ベスト スコティッシュ エキシビション2009)(Royal Highland Show(Gold and Best Scottish Exhibit 2009))、バス アンド ウェストショー(第1回マイルドホワイト2007)(The Bath and West Show(1st Mild White 2007))、ブリティッシュ チーズ アワード(ゴールド マイルド ホワイト2006)(British Cheese Awards(Gold Mild White 2006))、グレート ヨークシャー チーズ アンド デイリーショー(第1回マイルド ホワイト2010)(Great Yorkshire Cheese And Dairy Show (1st mild White 2010))。
このチーズはロンドンの有名なランガムホテル(Langham Hotel)のメニューに採用されている。

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234