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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第143号)

下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

更新日:令和6年2月29日
担当:輸出・国際局 知的財産課

Staffordshire Cheese(スタッフォードシャー・チーズ)


1 指定年月日  令和6年2月29日
2 指定番号  第143号
3 締約国の名称 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(ナチュラルチーズ)
5 農林水産物等の名称  Staffordshire Cheese(スタッフォードシャー・チーズ)
6 農林水産物等の生産地 イギリス

イングランド スタッフォードシャー州
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
「スタッフォードシャー・チーズ」は、スタッフォードシャー州の農場で飼育されている牛の生乳から作られている。滑らかでややもろい食感で、熟成期間に応じてハード又はセミハードになる。淡いクリーム色をしており、クリーミーで爽やかな乳酸の風味がある。脂肪分は30~35%で、固形分中脂肪分は48~51%である。円筒形で、重さは8~10kgあり、布包装で販売している。

(2)生産方法
スタッフォードシャー州の農場から集乳した新鮮な生乳を、冷蔵温度0~5℃で一晩保管する。2日目に、スタッフォードシャーのクリーム(同州内の農場から集乳した乳脂)を牛乳に加え、15分間攪拌する。この牛乳とクリームの混合物を、72~75.5℃で15~20秒間ほど低温殺菌する。次に、混合物をポンプでチーズバットに送り込み、温度を32.5~35℃に設定する。28°Cで、ラクトコッカス属クレモリス種、ラクトコッカス属ラクチス種及びラクトコッカス属ジアセチルラクチス種などの菌株を含む0.2~0.4%の混合スターター株を牛乳に加え、酸を発生させて風味づけする。
32.5℃で60~75分熟成させた後、31~33℃の温度でレンネットを加える。
レンネットによる乳凝固は45~50分を要し、カットする前に指を入れてその凝固度合いを確認する。
カードは、サクッと割れる硬さになる。35~45分後、垂直にナイフを入れてカードをバット全体の長さと幅にカットし、次は水平に同じようにカットする。この工程には20分ほどかかる。
次に、カードを30~32℃で40分間かき混ぜる。その後、その混合物を35分間ほど放置させ、バットの底にあるふるいを通して乳清(ホエイ)を排水させる。ホエイの排水が終わると、酸度0.29%の乳酸ホエイになる。続いて、45分間にわたって、15分毎にカードを粉砕する。第一粉砕時の酸度は0.39%、第二粉砕時で0.45%、最終粉砕時の酸度は0.53%になる。
その後、ステンレス製のペグミルでカードを粉砕する。粉砕中に2.5%の塩を加える。塩は、食品用のプラスチックシャベルで1回、その後はカードを手で3回ほど回して混ぜ込んでいく。それ以上になるとカードが乾燥してしまうので、チーズは合計で4回しか回転させない。
続いて、塩漬けしたチーズを、モスリンの布で裏打ちされたステンレス製の型に、手作業で詰めていく。布は円形の底部分に縫い付けられており、型はホエイ排水とチーズの整形のために特別に作られたものである。その後、チーズを21~25℃で、1平方インチの面積につき2ポンドの力で一晩プレスする。プレスが終わったら、チーズの表面をチーズクロスで覆う。チーズは7~10℃で棚に保管し、最初の1週間は毎日、その後は週に1回ひっくり返す。マイルドチーズは2~4週間で熟成するが、最大12ヶ月間熟成させることもできる。
チーズ製造に使用される原材料の供給業者による品質保証や、製造工場から出荷後のチーズのトレーサビリティについて、英国食品基準庁の定める食品安全管理システムに記載されており、それに従い、チーズがホールで販売される場合、送り状(インボイス)に製造日が記載されている。小分けで販売する場合は、ラベルに記載された包装日に基づいて、製造に関する加工記録することが可能である。本システムでは、バッチ管理や在庫記録、売上請求書、顧客情報も管理対象となっている。

(検査機関)
Staffordshire Trading Standards Service


(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
スタッフォードシャー州は、温暖で雨が多く、西岸海洋性気候の地域であり、土壌は炭素質の石灰岩の層で覆われて、青々とした放牧地を生み出しているため、チーズの特徴をもたらすクリーミーな牛乳の生産を可能にする。この土壌は、良質な牧草が育つのに適している(近隣のチェシャー州やダービーシャー州は、スタッフォードシャー州に比べて降水量や気温が高い傾向にある)。この牧草の性質は、「スタッフォードシャー・チーズ」の特性に欠かせない。本産品の原材料となる牛乳とクリームは、全てこの牧場で放牧されている牛から生産されている。冬には、牛はスタッフォードシャーの土壌から採れる牧草サイレージとトウモロコシサイレージを与えられるが、ここに飼料のタンパク質を高めるために少量の濃厚飼料を加えている。

本産品の起源は、13世紀にスタッフォードシャー州のリークに定住したシトー会の修道士に関連する。修道士たちは、祈り、勉強及び畑仕事をして生活していた。彼らは自給自足を目指し、農業、陶芸、パン作り、醸造、チーズ製造及び印刷業などを営んでいた。この地域のチーズ製造技術は、この修道士たちによって持ち込まれたものである。本産品は、第二次世界大戦が勃発するまで生産されていたが、ミルク マーケティング ボード(MMB:Milk Marketing Board)による中央集乳政策により、イギリスの農場産チーズ生産の多くは衰退した。戦時中の食糧供給政策によって失われた多くのチーズの中でも、この伝統的なチーズを(地元農家とアルチザンつまりチーズ職人の協力により)復活させたことは意義深い。本産品は、小売業者や消費者からの人気を再び確立しつつある。

本産品が、周辺の州で製造される他のチーズと異なる点は、独特な牛の飼料、ミックスされたスターター培地、そして最終製品に独特のボディとテクスチャーを生み出す布を巻いて熟成させたチーズの大きさである。
本産品は、ファーマーズマーケットやファームショップ、地元のデリカテッセン、通信販売などで販売されている。

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234