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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第146号)

下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

更新日:令和6年2月29日
担当:輸出・国際局 知的財産課

Traditional Cumberland Sausage(トラディショナル・カンバーランド・ソーセージ)


1 指定年月日  令和6年2月29日
2 指定番号  第146号
3 締約国の名称 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ソーセージ類)
5 農林水産物等の名称  Traditional Cumberland Sausage(トラディショナル・カンバーランド・ソーセージ)
6 農林水産物等の生産地 イギリス

カンブリア(Cumbria)郡:カンバーランド(Cumberland)及びウェストモーランド(Westmorland)の古い郡並びにランカシャー北部及びヨークシャー北部の一部から構成。
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
「トラディショナル・カンバーランド・ソーセージ」は、渦巻き状の味付けのポークソーセージである。その特徴は、つなぎ目で分けられている他のソーセージとは異なり、長い渦巻き状に繋がっている点である。
本産品は円筒形であるが、最終製品は、独特な渦巻き状に巻かれた形になっている。粗い質感があり、通常はピンク色で、調味料が斑点となっているのが見える。様々な大きさや重さがあり、伝統的な精肉店、スーパーマーケット、総菜屋、飲食店など、幅広い販売経路で販売されている。

本産品の材料は次のとおりである。

 ・骨なし豚肉
 ・ラスク - 小麦ベースの生地、馬鈴薯でんぷん、フレークライス、スペルト小麦、
 ・大豆グリット、グルテンフリーのラスクを入れることができる
 ・水/氷
 ・調味料 - 白コショウ、黒コショウ、塩、タイム、セージ、ナツメグ、メース、カイエン

使用する材料の分量は各肉屋によって異なるが、次の物理的及び技術的特性を順守
しなくてはならない。

 ・ソーセージは、特徴的な粗い食感を実現するために、直径20mm以下であること
 ・肉の含有量は80%以上であること。豚皮は剥ぎ、皮や軟骨を取り除くこと
 ・5%以下の水分含有量
 ・15%以下のタンパク質含有量
 ・20%以下の脂質含有量
 ・11%以下の結合組織

容認されているハーブとスパイスの組み合わせは肉屋により異なる。本産品は、ハーブの強い風味と大量のコショウが効いており、非常にスパイシーである。
ソーセージはつなぎ目をつけない状態で、量り売りされる。通常、パックに入れた状態、又は肉屋のカウンターで、渦巻き状のソーセージとして販売される。つながったままで非常に長いというのが、本産品の重要な特徴の1つとなっている。


(2)生産方法
本産品の製造、加工、準備は、カンブリア郡で行う必要がある。これには、次のような原材料の準備も含まれる。

 ・肉をミンチにする
 ・塩及び調味料を含む他の原材料を添加する
 ・原材料を混合して練る
 ・豚肉の天然ケーシングに充填する
 ・形状を整える

豚肉は骨なしの豚肉の切り身で構成されている。肉には豚脂も含まれる。豚肉の切り身は皮を剥ぎ、皮と軟骨を取り除く。ソーセージの肉含有量は、2003年食肉製品規制で定義されているように80%以上でなければならない。
骨なしの豚肉の切り身はミンサーを使うか、又は手で刻む。ミンサーを使用する場合、プレートのミンチ穴は直径4.5mm以上にする必要がある。これにより、粗い食感が保たれる。

次に、豚ひき肉を(多くの場合)手作業で混ぜる。機械式ミキサーを使用する場合もある。しかし、ボウルチョッパーなどを使用すると最終製品が容認できないほど乳化するため、その使用は禁止されている。

ラスク、氷水/氷、調味料を豚ひき肉に加え、ミキサー又は手で混ぜ合わせる。混合時間の長さは、使用する機器の種類により異なる。ラスクは小麦ベースの生地だが、片栗粉、フレークライス、スペルト小麦、又は大豆グリットが含まれる可能性もある(これらは乾燥させて、パン粉サイズに刻む)。グルテンフリーのソーセージが必要な場合は、グルテンフリーのラスクを使用することもできる。調味料は肉屋の個々のレシピにより異なるが、次に挙げるスパイスの組み合わせだけ(白コショウ、黒コショウ、塩、タイム、セージ、ナツメグ、メース、カイエン)が容認される。使用する材料の分量は各肉屋によって異なるが、次の物理的及び技術的特性は順守する必要がある。

 ・ソーセージは、特徴である粗い食感を実現するために、直径20mm以上であること。
 ・肉の含有量は80%以上であること。また、豚皮は剥ぎ、皮や軟骨を取り除くこと。
 ・5%以下の水分含有量
 ・15%以下のタンパク質含有量
 ・20%以下の脂質含有量
 ・11%以下の結合組織

処理中にソーセージ混合物内の温度を下げるために氷を使用する。次に、混合物をケーシングに充填するためにソーセージ充填機に移す。ソーセージのケーシングを機械のノズルに置き、肉の流れを手動で調整し、ソーセージを手動で充填する。ソーセージのケーシングは、子羊の腸よりも大きい天然の豚の腸から作られていなければならない。これらにより、比較的直径の大きいソーセージを製造する。天然の豚の腸から作られていない人工ケーシングは伝統的なものと見なされていないため、使用できない。
ソーセージはつなぎ目をつけない状態で量り売りされる。通常、パックに入れた状態、又は肉屋のカウンターで、渦巻き状のソーセージとして販売される。

現在、ソーセージは、開梱した際に肉の含有量のパーセンテージ表示(80%以上)、使用しているラスク、防腐剤、促進剤、調味料、着色料が判るようにラベル付けされている。
本産品を製造する際、取引基準に従い製造者はトレーサビリティの記録を保管する必要がある。この記録を用いて、原料の豚肉が牧場から食肉加工場、卸売業者を経て製造者に届くまで追跡することができる。更にバッチごとに、原材料、バッチ番号、製造日、賞味期限、納品詳細(納品数と受取人の記録)が記録される。小売業者は、製造者名及び肉含有量を記載して、ばら売り又はパック売りで販売する。

(検査機関)
Cumbria Trading Standards


(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由

〇歴史的関連性
ソーセージはカンブリアと強いつながりがあり、1911年に発行された「カンバーランドハムとベーコンの硬化とカンバーランドスタイルの内臓の準備に関する信頼できるガイド(Reliable Guide to the curing of Cumberland Hams and Bacon and the Preparation of the offal in the Cumberland Style)」に、初めて記載された。地元の民間伝承によると、ソーセージはもともと16世紀にドイツ人鉱夫がこの地域に作り方を伝授したと言われている。

「トラディショナル・カンバーランド・ソーセージ」は、元々はラージホワイトから交配され、カンブリア郡の涼しく湿った気候で進化した固有のカンバーランド豚から製造されていた。 カンバーランド豚はラージホワイトよりも体長が短く体重があり、背中の脂肪の層が厚く、のどの垂れ肉が大きく、肩と背中が広くなっていた。 カンバーランド豚は1960年代初頭に絶滅した。

1950年代まで、ほとんどの農場と多くの世帯は、自給自足の手段として少数の豚を飼っていた。秋になると、豚は屠殺されて吊るされ、食肉用に切り分けられた。生食(内臓などのくず肉)、ブラックプディング(血液)、保存食及び塩漬け(ベストカット)、又はソーセージ、ファゴット、パイ(スモールカット)のいずれかに全ての部位が利用された。

1850年代にまでさかのぼることができるレシピも1点残されている。19世紀半ばには、ソーセージはしばしばハムやベーコンと共に室内に吊るされていた。非常にスパイスが効き、保存のために半乾燥されていたことが記録されている。その後、ソーセージを茹でたりスライスしたりして、サラミのように食していた。室内に吊り下げる際、ソーセージの乾燥を防ぐ目的で、また、大きな豚の腸がケーシングに使用されたことも手伝って、ソーセージの直径は大きくなった。

〇評判
歴史的には、本産品は現在よりも強く味付けされていた。今日でも他のイギリスのソーセージよりも強く味付けされている。レシピは世代を超えて受け継がれている。18世紀に南北アメリカとアフリカの間の貿易によりイギリスで3番目に大きい港として繁栄したホワイトヘブン(Whitehaven)港に伝わったエキゾチックなスパイスを使っている。この期間に、現在カンブリアとして知られている地域では、黒コショウ、生姜、ナツメグだけでなく、糖蜜やラム酒など他の食品も使用されるようになった。その結果、今日のカンブリア地方の特産品の多く(ソーセージ、グラスミア ジンジャーブレッド、ケンダル ミント ケーキなど)には、スパイス又は砂糖が大量に使用されている。

1990年、カンブリア郡ワバースウェイトの地元の肉屋であるリチャード・ウッドオール(Richard Woodall)は、エリザベス2世女王に本産品を献上し、王室御用達許可証を授与された。ほぼ全てのカンブリア郡の肉屋が、地元に由来する独特の産品として誇りをもって生産し、父から息子へと何世代にもわたってレシピを伝えている。肉の非常に高い含有量、粗い食感、そして強い味付けと伝統的な形状により、イギリスを代表する素晴らしい豚肉製品の1つとなっている。


8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234