指定の公示について(指定番号第147号)
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。更新日:令和6年2月29日
担当:輸出・国際局 知的財産課
Traditional Grimsby Smoked Fish(トラディショナル・グリムズビー・スモーク・フィッシュ)
1 | 指定年月日 | 令和6年2月29日 |
2 | 指定番号 | 第147号 |
3 | 締約国の名称 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国) |
4 | 農林水産物等の区分 | 第7類 水産加工品類 加工魚介類(くん製のタラ及びコダラ) |
5 | 農林水産物等の名称 | Traditional Grimsby Smoked Fish(トラディショナル・グリムズビー・スモーク・フィッシュ) |
6 | 農林水産物等の生産地 | イギリス グリムズビー(ノース イースト リンカンシャー州(North East Lincolnshire)に位置し、行政区画として定義されている都市) |
7 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 | (1)特性 「トラディショナル・グリムズビー・スモーク・フィッシュ」は、定義された地域内で伝統的な製法で冷燻製された、200~700gのタラとコダラの切り身である。色はクリーム色からベージュ色で、パサパサした食感と、やや塩気を含む燻製の風味を有するのが特徴である。加工された状態で、専用の箱(総重量5kg以下)又は個包装の真空パックで、様々な販売経路で販売されている。 (2)生産方法 新鮮な丸ごとの魚や切り身を、通常の場合、アイスランド、フェロー諸島、ノルウェーから調達するが、他の地域から調達することも可能である。熟練した職人が魚を丸ごと手作業で捌く。次に、捌いた魚を塩水に10~15分間浸し、その日の終わりに、スピート(speat)と呼ばれる金属製のロッドラック(棒をわたした棚)で水気をきる。魚をスピートに乗せたまま、冷燻製に適した高さで燻製場に並べる。 燻製場の底部はおがくずで覆われており、そこに「火」が入り、おがくずが燻り始める。燻製の速度は魚の大きさによって異なるが、周囲の温度と湿度にも大きく左右される。夏は、ほんのわずかな「火」でもおがくずがくすぶり始めるので、酸素を除去する必要がある。 一方、冬は、おがくずがくすぶり始めるには、より多くの「火」が必要となるので、酸素を除去する必要がほとんど、あるいは全くない。身は一晩(最低8時間)そのまま置いておく。熟練の燻製師が定期的に確認し、必要に応じて魚を移動させたり取り出したりしながら、均等に燻製されているかどうかを確認する。加熱はしない。その理由は、燻製の過程で魚が調理され、フレーク状になり、スピートから落ちてしまうからである。 その後、燻製場から魚を取り出して冷ます。冷ました魚は、交互に配置された専用の浅い箱又は個別の真空パックに入れ、イギリス内外の様々な販売経路に向けて出荷される。 包装し、本産品を販売する際、生産・製造者に関する情報(連絡先と識別番号)、製品情報(種類、重量、賞味期限)を包装上に記載しなければならない。 (検査機関) North East Lincolnshire Council (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 グリムズビーは、北海とハンバー川を隔てる岬角に位置しているという点で、イギリスでは他に類を見ない港である。この位置は、海や入り江からの冷たく乾いた風にさらされ、夏でも平均最高気温が20℃未満であるため、内陸部に比べて格段に気温が低く、伝統的な魚の燻製工程にとって理想的な環境となっている。 もう1つの利点として、グリムズビーは東海岸に位置しているため、イギリスの他の地域に多く見られるような、南西風を伴う湿気の多い雨の日が少ないという点も挙げられる。海洋性気候であるため、季節的な天候の変動は少ないものの、日々変化しやすい気候ではある。 このような変化を予測するには、長年港で魚を燻製してきた知識が不可欠となる。それはまず、燻製に適している魚を選別することから始まる。年に一度の繁殖サイクルを過ぎると、魚の状態は激変する。幸運なことにグリムズビーは、経験豊富なバイヤーが一年中いつでも燻製に適した魚を見つけることができるほど、広い地域から魚を調達することができる。魚を上手く燻製するためには、先に述べたように、魚、季節、天候の変化を考慮する必要がある。グリムズビーでは、何世代も引き継がれてきた専門知識により、職人たちは伝統的な魚の燻製を、触感と目視だけで、常に一定の品質を保ちながら製造することができる。 「トラディショナル・グリムズビー・スモーク・フィッシュ」の特徴は、伝統、評判、燻製工程、工程に携わる人々の技術において、この生産地に関連している。この技術は、世代から世代へと受け継がれてきた。 燻製の伝統と工程は、19世紀後半までさかのぼって証明・実証することができる。1850年に初めて、燻製した魚がロンドンへ鉄道により迅速に輸送され、最終的には国の隅々まで届けられるようになって以来、イギリスでは魚の燻製と言えばグリムズビーだと認識されている。この時代には、もちろん、魚などの生鮮食品や腐りやすい食品を保存するのに今日使われているような冷蔵設備や製氷機能は存在しなかった。生鮮食品を保存し、貯蔵期間を延長するには、塩漬け、乾燥、燻製、あるいはこれらのすべてを組み合わせて加工するという選択肢しか無かった。グリムズビーの伝統的な燻製法は、国内の他の地域では機械式の燻製が多くなったにもかかわらず、今もなお人気を失っていない。 イギリス全土において、グリムズビーという都市は魚の燻製の代名詞となっている。この都市の港と町は、一世紀以上にわたり、魚商人があらゆる種類の魚を、国内や、更には最近ではヨーロッパの他の国に向けて販売していることを誇りに思っている。本産品は、この港に関連する最も重要な製品の一つである。 20世紀前半のかなりの期間、グリムズビー港は世界最大の漁港であった。ビーゴ(Vigo)、エスビアウ(Esbjerg)、ブローニュ=シュル=メール(Boulogne Sur Mer)、ブレーマーハーフェン(Bremerhaven)など、グリムズビーの姉妹都市においても、その地位は揺るぎないものとなっている。今日でも、この都市はイギリス最大の魚肉生産の中心地であり、現在106社がグリムズビー魚商協会(FMA:Grimsby Fish Merchants Association)のメンバーとして登録されている。この多彩な販売拠点は常に港の強みとなっており、イギリスのみにとどまらず、ヨーロッパ・レベルの鮮魚市場においても、グリムズビー フィッシュ マーケットは極めて重要な役割を担うことになった。 伝統的な製法で魚を上手に燻製するための経験と技術は、代々受け継がれる専門知識でしか学ぶことができない。これは、ダイヤルを回すだけで機械が加熱・調整してくれる、密閉型のオーブンのような近代的な燻製器とは異なる。持続可能な供給源と、冷蔵魚流通ネットワークの中心に位置する、グリムズビーの戦略的立場のおかげで、イギリス国内どこへでも出来立ての燻製魚を毎日、出荷することができる。 高級食品小売組合(The Guild of Fine Food Retailers)は、グリムズビーの品質への取り組みを認め、本産品に賞を与えた。優れた地域生産品としての重要性は、多くのシェフや料理本の著者からも高く評価されている。 |
8 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |
(2)登録商標 | - | |
(3)指定商品又は指定役務 | - | |
(4)商標登録の登録番号 | - | |
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234