指定の公示について(指定番号第151号)
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。更新日:令和6年2月29日
担当:輸出・国際局 知的財産課
Welsh Laverbread(ウェルシュ・レイバーブレッド)
1 | 指定年月日 | 令和6年2月29日 |
2 | 指定番号 | 第151号 |
3 | 締約国の名称 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国) |
4 | 農林水産物等の区分 | 第7類 水産加工品類 加工海藻類(海苔加工品) |
5 | 農林水産物等の名称 | Welsh Laverbread(ウェルシュ・レイバーブレッド) |
6 | 農林水産物等の生産地 | イギリス ウェールズ |
7 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 | (1)特性 「ウェルシュ・レイバーブレッド」は、ウェールズの海岸から採集又は摘み取られた海苔(海藻)から作られた伝統的なウェールズの珍味である。 本産品に用いられる海苔のラテン語名は「porphyra umbilicalis」と言い、小さな赤色/紫色の藻類(幅20cmまで、長さ50cmまで)で、不規則な形の広い葉がついており、細胞1つ分の厚さしかないため海藻としてはユニークな存在である。採集又は摘み取られた海苔の色は漆黒で、紫色や濃い緑色がかった部分も見られる。成長中は終始薄い絹のような質感があり、夏の間は硬くなる。 本産品は、塩と水で調理された海苔で、他の材料や添加物は加えられておらず、次のような特徴を有する。 ・外観と食感:暗い黒緑色。海苔は細かく刻んで濃厚で柔らかいゼラチン状のピューレ又はペースト状にする。又はみじん切りにして粗い食感を残すこともできる。 ・香りと味:本産品は、岩場から摘み取って洗った直後の新鮮な海苔を調理するため、海の塩分と新鮮な磯の香りを留めた独特の強い塩味と香りを持つ。海苔が摘み取られたウェールズの海岸のさまざまな条件により、微妙な風味の違いが生じる。 栄養分としては、ミネラル(特にヨウ素と鉄分)とビタミンが豊富で、カロリーは低い。本産品は、それ自体で(何も付けたり加えたりせずに)、あるいは料理に味わい深さ及び新たな方向性を加える食材としても楽しむことができる。 本産品は、主に魚市場の屋台、魚屋、魚の卸売業者でばら売りされるか、顧客の要求に応じて包装して販売されるが、その際の状態は、新鮮なまま、又は冷凍された状態の時もある。 (2)生産方法 ◯海苔の採集 ・海苔は、一年を通じて、岩場から採集されるか、手作業で摘み取られる。「摘み取る(pluck)」という用語は海苔を生育場所から引き抜く工程を意味する。海苔は、海苔の葉が岩から引き抜くのに十分な長さになったときに摘み取られることとしており、10cm未満の葉の採集はできない。 ・きれいな水源が近くにある場合、採集者はきれいな海水で海苔を予備的にすすぐ。 ・採集された海苔は、工場又は加工業者に運ばれそこで加工されて本産品が完成する。 ◯レイバーブレッドの作り方 ・海苔を飲料水で繰り返し洗浄し、砂、砂利、異物を取り除き(手作業又は機械による)、その後、排水して余分な水を取り除く。 ・海苔の葉の長さは、採集時の年齢により異なる。葉が30cmを超える場合、調理前に海苔を大まかに刻む場合がある。 ・海苔を洗って水気を切ったら、すぐに調理しなければならない。 ・塩を加えた水に、洗ってきれいにした海藻を入れる。塩は、純水乾燥真空塩(PDV:Pure Dried Vacuum)、海塩、又は同様のものを使用する。塩は保存剤として機能し、洗浄工程中に除去された塩分を補う。加えられる塩の量は、本産品のメーカーの技術と経験に基づいているが、最終製品の1%を超えることはない。 ・水は海苔を加工して本産品を生産する際に媒介として使用される。使用する水の量は、海苔の年齢や海苔を収穫する季節などの様々な要因により異なる海苔の食感によって決まる。例えば、春に収穫された海苔は、他の時期の収穫物よりも水分量が多いため、調理に必要な水は少なくなる。必要な水の量は、本産品の加工業者の経験に基づく技術により決定される。 ・海苔は、98℃を超える温度で3~4時間、又は80℃の低温で最長9時間、バッチごとに調理される。又は、非常に少量の海苔を圧力鍋で20分間、あるいは、中心温度が85℃に達するまで調理することもできる。調理時間は一年を通して変わる可能性がある。春に採集した、水分量の多い、若い海苔の場合、調理時間は短くなる。必要な調理時間は、本産品の加工業者の経験に基づく技術により決定される。 ・海苔を調理する際、その水分含有量に応じて、最初に水分を排出させるか、ミンチマシンに直接入れてピューレにするかを決定するが、より質感のあるレイバーブレッドを製造する場合、海苔を大まかに刻むこともできる。 ・調理後の海藻はステンレス鋼(又は同様)の浅いトレイに入れ、冷却装置で冷やす。 ・完成品は滅菌コンテナに入れ、再び冷却装置に戻して、発送を待つ。 ◯パッケージング及びラベリング ・「ウェルシュ・レイバーブレッド」は、顧客要件に応じて梱包され、重量が測定され、ラベルが貼られる。製造重量と許容誤差は、仕様書を参照して決定される。 ・品質保持期限日と製造日が表示される消費期限日を表示する場合は、「製造日(DOP)」+6日となる。 ・加工された本産品の各バッチは、ラベルの日付から、採集された海苔の元のバッチまでさかのぼることができる。 (検査機関) City and County of Swansea, Trading Standards Division (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 海の塩気と潮の香りが残る「ウェルシュ・レイバーブレッド」の特徴は、海苔、塩などの原材料、採集場所の海水、製造工程などに由来している。 本産品は、味も見た目もその起源に由来し、海水の清浄度や温度、製造工程に大きく左右される。 ウェールズの海岸線には、非常に多様な潮間帯の植物相がある。開放されている海岸線から、保護区域となっている岩場や砂防部、あるいは、完全に塩分を含んだ海水から淡水に近い河口部まで、海苔には様々な生息地がある。海苔は岩の多い海岸や様々な場所の環境条件にうまく適応することができる。長期間、空気に晒されても耐えることができ、ほとんどの紅藻よりも大波の衝撃に対して強い。潮間帯全域に単独で発生、又は群生するが、特に潮間帯の上層部に多く見られる。 ウェールズの海岸線の大部分は、保全特別地域(Special Areas of Conservation)に指定されている。また、海苔採集区域の多くはブルー フラッグ ビーチ内に含まれている。水質が良好であることを保証する責任を負うナチュラル リソース ウェールズ(Natural Resources Wales)が、定期的に水質を検査している。アイルランド海を取り巻く地域に大都市や工業地帯がないため、その水質の良さが、これらの地域で採集される海苔の品質と風味に反映されている。ナチュラル リソース ウェールズが行った調査でも、この地域の海水温は季節により上昇しており、それが海苔の成長に影響を与えていることが示されている。気候変動による海水温の上昇に加えて、ウェールズ沿岸は(ウェールズ沖の海水温を上昇させる)北大西洋湾流の影響を受けている。海水温が暖まり始める春には、海苔はより速く成長し、若くて新鮮な海苔は、とても柔らかいため調理時間が短く、本産品のジューシーで絹のような食感が実現される。 1607年、カムデンのブリタニカには、バイキングとローマの侵略の際に本拠地から追い出されたイギリス人が「海から得られた生き残りのための食べ物」として食した海苔又は「ローヴァン(lhawvan)」が記録されている。ウェールズ人による海苔の消費については、1865年にジョージ・バロウ(George Borrow)がウェールズを旅したときに、初めて記録された。 歴史的に、本産品は、高栄養、高エネルギーの食料源として、特にそれを朝食の際の主食としていたサウスウェールズの鉱山渓谷の勤勉な炭鉱労働者にとって非常に重要な食料源となっていた。竪坑の地下で働いていた女性と子どもたちは、しばしば栄養不良に悩まされていたが、医師は鉄分を十分に含んでいる本産品を彼らに推奨した。 1800年から1950年にかけて、本産品の製造用海苔の採集は、ペンブルックシャーの小規模家内産業として行われていた。海苔は茅葺き小屋に運び乾燥させて、馬とカートに乗せてペンブローク駅に運んだ。そこから、スウォンジーの企業に売られ、そこで調理され、地元の市場で販売された。歴史的に海苔の調達は、ペンブルックシャーとガウアーの海岸線で行われていたが、現在は主に北ウェールズと南ウェールズの海岸線に沿って採集されている。ただし、加工は今でもガウアーのペンクラウドで行われている。 歴史的に採集した海苔は、手洗いされた後、炭火で沸騰させた鍋で調理したり、乾燥所で乾かしたりしていた。現代の加工工場では、最新の設備と技術を使用しているが、海苔の製造は依然として家内工業であり、伝統的な調理方法が尊重されている。海苔を摘み取ったり、採集したり、調理したり、細かく刻んだりして、適切な一貫性を実現する伝統的な技術は、世代を超えて受け継がれてきた。 本産品は、ウェールズ内外で認められている、ウェールズの有名な珍味・嗜好品である。伝統的には、素揚げするか、オートミールに巻いて食されてきた。多くの場合、伝統的なウェールズの朝食として、ベーコンやザルガイとあわせて食される。 本産品は、専門家や有名人からも「ウェールズのキャビア」「ウェールズそのもの」「日本人が「旨味」と呼ぶものが豊富に含まれる」などと高い評価を受けている。 |
8 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |
(2)登録商標 | - | |
(3)指定商品又は指定役務 | - | |
(4)商標登録の登録番号 | - | |
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234