指定の公示について(指定番号第153号)
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。更新日:令和6年2月29日
担当:輸出・国際局 知的財産課
West Country Lamb(ウェスト・カントリー・ラム)
1 | 指定年月日 | 令和6年2月29日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 指定番号 | 第153号 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 | 締約国の名称 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4 | 農林水産物等の区分 | 第2類 生鮮肉類 めん羊肉(ラム肉) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 | 農林水産物等の名称 | West Country Lamb(ウェスト・カントリー・ラム) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
6 | 農林水産物等の生産地 | イギリス イングランドのウェストカントリー区域:コーンウォール、デヴォン、ドーセット、グロスターシャー、サマセット、ウィルトシャーの6州 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
7 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 | (1)特性 「ウェスト・カントリー・ラム」は、イングランドのウェストカントリーで生まれ育った羊を、ウェストカントリー地域内又はその地域外にある承認済みの食肉処理場で、ミートサウスウェスト(MSW)又は同等の規格に従って食肉処理した枝肉、枝肉半丸、又は切り身である。承認済みの食肉処理場、カッティング工場は、独立検査機関による検査を受けており、製品が完全に追跡可能で信頼性が高いことが担保されている。また、これらの食肉処理場・工場は、本産品を処理する認可をミートサウスウェスト(MSW)から受ける。さらに、サプライチェーンは全ての段階で確認され、独立した検査機関によって検証される。 全ての家畜は合意された内容に沿って高い基準で飼育されるため安全性も確保されている。 本産品は、以下の要件を満たしていなければならない。 ・ウェストカントリーの地域内において生まれ、かつ最終飼養地である ・まぐさを基本とした食事が与えられている ・現行の全ての法律に準拠している ・全ての関連行動基準を備えており、認識している ・「5つの自由」、すなわち、飢え/喉の渇きからの自由、不快からの自由、痛み/傷害/病気からの自由、恐怖/抑圧からの自由、正常な行動を表現する自由、に基づいた家畜の健康と福祉が確保されている ・完全な追跡システムが確実に存在する ・有能な牧畜業者と訓練された職員による家畜の管理が確保されている ・輸送中、売買中、及び屠畜前の家畜の安全と福祉が確保されている ・屠畜は、生産品の信頼性を確保するために、承認及び認可された施設で、完全に追跡可能な状態で行われている 農場及び食肉処理場・カッティング工場は、定義された検査手順に従って、独立した検査機関により検査される。 本産品のスキームの要件を満たすには、生産者は検査中に、羊がウェストカントリー地域内で生まれ、肥育され、仕上がったことを証明しなければならない。餌の記録と、子羊に、生涯に渡り、まぐさが70%以上の食事を与えたことの証明が必要となる。このスキームでは、屠畜前に適切な期間(通常は2か月)の放牧を確保することも含めて、幅広いスキームが要求される。 ポールドーセットとドーセットホーンは、ほぼ通年に渡って草が成長するという地域の利点を活かして開発されており、数あるこの地域の品種のうちの2つの例に過ぎない。これらの品種は、繁殖が頻繁で秋に出産できるというその性質によって、多くの農場で使用されている。これにより、生産者は1月下旬から市場に出せる状態のラム肉を生産することができる。その他の低地の羊は1月と2月に生まれ、ボドミンムーア、ダートムーア、エクスムーアなどの高地に位置する農場での出産は4月と5月になるため、自然に一年を通してラム肉が生産され供給される。 羊は屠畜時点で12か月を超えていてはならない。(i) どの年においても10月1日より前に生まれ、(ii) 翌年の1月1日から4月30日までの間に屠殺された羊の肉は、熟成の対象としなければならない。これには、屠畜から最終的な消費者への販売までに5日間以上の冷蔵調整を行うか、又は1994年食肉畜産委員会(MLC)のラム肉計画書で規定された熟成プロセス(電気刺激、腰吊りなど)の1つを施す。仕上がり重量で9kgから26kgの間でなければならない。 指定された牧草を中心とした食事は、脂肪酸組成、ビタミンE含有量、官能品質の点で、肉の化学的成分と官能特性を向上させる。これにより風味がより豊かになり、優れた食味が得られる。脂肪の色は白からクリーム色までの幅があるが、特定の食餌を与えるとクリーム色となる。肉の色はピンクから濃い赤までさまざまで、熟成すると濃い赤になる。最高の食味を確保するための枝肉の分類仕様(EUROPシステムに基づく)は以下のとおり。 -枝肉は、脂肪等級2~3Hで、適合O以上として分類される。
枝肉のサイズは、市場の好みと羊の種類を反映して変わる。 屠殺後、本産品は、以下のような様々な形で市場に出される。 -枝肉丸ごと:食べられない内臓、皮、頭部、四肢を除去したもの。腎臓と腎臓周りの脂肪は、そのまま残っていてもかまわない -枝肉半丸:縦に分割された枝肉の半分 -プライマルカット:枝肉/枝肉半丸をより小さい、認識できる各部に(顧客の好みに合わせて)分割した切り身。切り身は、骨付き又は骨なしで、保護包装に入れて提供される場合もある -分類前に取り出した食用のくず肉 本産品は、生鮮肉(冷蔵)又は冷凍で販売できる。 (2)生産方法 「ウェスト・カントリー・ラム」の生産に使用される羊は、屠畜時に12カ月を超えていてはならない。 羊が(i)任意の年の10月1日より前に生まれて、(ii)翌年の1月1日から4月30日までの間に屠殺した場合は、品質を保証するために1つのプロセス手順が取られる。当該のプロセスでは、高電圧電気刺激(HVES)、腰吊り、又は冷蔵温度で5日間の熟成、のいずれかを行う。 熟成中に、肉に含まれる自然の酵素で筋肉組織が壊され、肉の柔らかさと食味が増す。高電圧刺激を使用する場合は、コールドショートニング(死後筋肉を急激に冷却すると観察される現象)のリスクが低減し、肉の軟化が早まるため、熟成時間を短縮することができる。枝肉を正しく冷蔵及び熟成するため、記録が保管され、温度、処理過程及び時間がわかるようになっている。本産品は、調整の温度と長さについても最適な調整手順を実行しているため、最適な風味と食感が確保されており、これにより、イングランド・ウェストカントリー産のラム肉に特有の官能品質及びその他の品質効果が強化される。 1)農場における飼養 羊はイングランドのウェストカントリーの地域内にある農場で生まれ、最終段階まで飼育されなければならない。肉の優れた風味を確実にするために、まぐさ70%を基本とする餌が与えられる。この餌供給システムは、本産品の元になる羊の生産に例外なく使用される。 集中的な餌やりシステムは使用せず、廃棄物が与えられることはない。 -家畜は、夏の間、放牧される。4月から12月までは、伝統的に夏季放牧が行われる。これは季節に依存しているが、羊の健康的な生活(以下「福祉」という)が損なわれることはない。したがって、気候条件により上記の予定より早く畜舎に入り、遅く出ることがあっても、食餌の70%以上がまぐさであれば容認される。 -冬の数か月の間は、家畜によっては、牧草サイレージ(サイロに入れて保存された貯蔵生牧草)又は干し草で冬を越したり、飼料用ビート、ケールなどのその他の種類のまぐさを食べたりする。地域によっては、降雨量の多さと土壌の構造のために、多くの羊が畜舎に入れられ、主に牧草サイレージ又は干し草の餌を与えられる。 -最終段階又は離乳期に栄養補助食品を与えてもかまわないが、その場合、農場が材料と購入の詳細を食事記録に記入し、保証検査機関がチェックする。羊が栄養補助食品を与えられる期間は、羊の福祉、売買などの要因を考慮に入れて決定され、与える栄養補助食品の上限は30%で、70%はまぐさになる。栄養補助食品は、冬期、離乳期、最終段階など、必要な場合に与えられる。餌やりの時間は決まっておらず、売買や福祉の要因によって影響されるため、最大量は規定されていない。つまり、羊が最適な市場要件を満たすのにまぐさだけで十分なことは滅多にないため、最終段階では栄養補助食品が与えられるが、健康的な生活が損なわれないようにするため、栄養補助食品は、冬期又は干ばつや洪水など極端な状態が発生し、まぐさが十分に供給されず、またその品質が不十分な場合に与えられる。 農場が自己申告書を記入し、それを食肉処理場に到着した時に提示して、手順が忠実に実行されていることを明示する。申告書は処理場で保管される。 肥育の仕上げ期間の長さは、本産品の生産にとって決定的な意味を持たない。仕上がり重量は、9kgから26kgの間でなければならない。農場又は食肉処理業者は、視覚評価又は物理的な評価のいずれかによって羊が屠殺にふさわしいと見なせる時期を決定する。羊の形態と脂肪レベルを評価し、農場が最適だと思うタイミングで羊を屠殺する。 2)農場から食肉処理場へ 屠殺できる状態の羊が選ばれたら、農場又は委託を受けた輸送業者が、トレーラー又はローリーで、食肉処理場に直接又はMSWが承認した畜羊競り市場を通じて羊を輸送する。輸送業者は全てMSW承認の保証スキームの下で作業する。自分の羊を自分で輸送する農場は、自分の農場保証スキーム内でMSW承認規格に従って輸送する。 3)食肉処理場にて 大部分の羊はウェストカントリーの区域内で屠畜されるが、生産者は区域外にあるMSW承認の食肉処理場も使用できる。全ての食肉処理場が、牛の処理方法及び枝肉の処理方法を明確に示したMSW承認スキームの手順に従う。 食肉処理場は、追跡性を支援するために、受け取った羊、農場による自己申告書、及び屠畜上の詳細情報を保管する。 EUROP分類スキーム(又は同等スキーム)に従ってR以上(又は15kg以下の枝肉の場合は0)に分類されており、脂肪レベル2~3Hの枝肉のみが、本産品の生産に使用される。EUROPグレードとは関係なく、分類前にウェストカントリーの羊から臓物を収穫できる。屠畜番号、屠畜の日付、分類の詳細、及び冷蔵枝肉の重量が記録され、追跡可能性を確保するためのラベルが枝肉に添付される。 肉は、適宜、冷蔵温度で少なくとも5日間調整されており、このプロセスは、熟成と呼ばれる。熟成中に、肉に含まれる自然の酵素で筋肉組織が壊され、肉の柔らかさと食味が上がる。高電圧又は定電圧刺激を使用する場合は、コールドショートニングのリスクが低減し、肉の柔らかさが増すため、それに応じて熟成時間を短縮することができる。枝肉を正しく冷蔵及び熟成するため、記録が保管され、温度、処理、及び時間がわかるようになっている。本産品は、調整の温度と長さについても最適な調整手順を実行しているため、最適な風味と食感が確保されており、これにより、イングランドのウェストカントリーでの羊の生産に結び付いた官能品質及びその他の品質が強化される。 4)カッティング工場における加工 バッチレベルでのトレーサビリティは、カッティング工場でも終始維持される。 ラム肉は、通常、枝肉又は枝肉半丸としてカッティングルームに送られる。バッチシステムは、カッティングルーム内で終始維持されており、カッティングルーム内では、ラム肉が市場の要件に合わせてさらに小さい切り身に分割され、骨付きにも骨なしにもできる。カッティング設備が屠畜設備と隣接していない場合もあるが、その場合は、肉はカッティングを行う場所まで衛生的に輸送されるため、本産品としての特性は維持される。全ての枝肉が、少なくとも小売り用の部分肉にまで分割される。全ての肉の輸送は冷蔵車で行なわれる。 5)販売時 消費者は、個々の必要性に見合うように整えられた伝統的な幅広い種類の切り身でラム肉を購入する。本産品は、冷凍又は冷蔵で、パッケージ化した形か又はサービスカウンターで販売できる。肉は、伝統的な切り身の名前又は料理法で記述される。 「ウェスト・カントリー・ラム」は、そのように謳われるラム肉の全てが本産品であり、用語の使い方、製品の広告、ラベル表示、及び説明が不正確でも誤解を招くような形でなければ、ラム肉の名前として、あるいは小売店又は飲食店でラム肉製品の肉材料の名前として使用することができる。 枝肉/枝肉半丸を冷蔵したら、冷蔵と同じ加工場又はラベリングされた枝肉/枝肉半丸を冷蔵車両で運び込んだ別の加工場で、プライマルカットにし、真空パックで保管することができる。その後、枝肉/枝肉半丸/プライマルカットは熟成され、バッチ番号を表す個別ラベルが付けられる。熟成後、そのまま販売されるか、又はさらに細かくカットされ、パッケージ商品として販売される。 加工場では、牧場や保証内容の詳細情報、ならびに監査目的のバッチ番号や自己申告フォーム等の記録を保管する。特定のバッチから取られた本産品であることを明確に示すラベルが全てのラム肉に付けられる。 (検査機関) 1.PAI Ltd 2.Integra Ltd (NSF認証代理) 3.SAI Global (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 ウェストカントリーは、イングランド内で最も大きく、最も農業の盛んな地域であり、イギリス国内で最も豊かな環境を有する場所の一つである。その農園は、推定でイングランドの21%のラム肉を生産しており、牛肉生産の24%のシェアと合わせて、この地域の景観と遺産を形成し、維持するのに役立ってきた。家畜の高い密度によって大規模な食肉加工部門の発展が促進され、この地域での大きな雇用機会を生み出してきた。ミートサウスウェストは、赤身肉部門でウェストカントリー経済に貢献しており、経済効果は年間30億ポンド、28,000件の雇用を生み出していると推定される。この地域の環境及び地位を保護する場合、家畜生産の継続は必須となる。実際に、この地域で飼育された本産品の基本的な特性を育むのは、この地域の特別な環境に他ならない。 ウェストカントリーの暖かくて穏やかな気温、年間を通じて良好に分散された降雨、深くて保湿力の高い土壌の組み合わせにより、ほぼ一年中いつでも草と飼料作物が育ち、家畜の放牧が可能になる。この地域の大部分で、草は年間300日を超えて成長する。このように、年間を通じた生産がウェストカントリーの標準であり、家畜の生産が優勢となっている所以である。さらに、ウェストカントリーの草原の25%以上が国立公園又は特別自然美観地域(AONB)のいずれかにあたり、また、イギリス国内で花が豊富に咲く草原の57%がこの地域内にある。 ブリストル大学が行った研究により、濃厚飼料よりも放牧の方が、ラム肉をより味わい深く、より好まれるようにすることが示された。 イングランドのウェストカントリーは、その気候、地形、地質により、牧草が生い茂り、牧草はこの地域で飼育される羊やそこから得られる肉製品に特別な品質を授けている。農場面積の高い比率が草原となっていることも、畜羊生産には理想的であり、牧草は補助的な餌としても使用できる。その結果、ウェストカントリーで生産される羊は、イギリス国内のその他の地域の羊と比べて、より多くの草や草製品を食べて成長することになる。新鮮なものであれ保存されたものであれ、草はα-リノレン酸の源である。α-リノレン酸は、動物の体内で、人間の食事にとって貴重な栄養源である長鎖n-3(オメガ-3)多価不飽和脂肪酸(PUFA)に変わる。草にはビタミンE及び両方のn-3脂肪酸が含まれており、草を食べて育った羊の方が高い濃度のビタミンEを含むことになる。これらの栄養素は、肉の味にも影響を及ぼすことから、食餌に多くの草を確保できること、食餌となる草の信頼性が高いことが、肉に含まれるn-3 PUFAとビタミンEの濃度を高くする。イングランドのウェストカントリーで生産され処理されたラム肉の品質の高さには、地域的特徴と本質的なつながりがあるということが、科学的にも客観的に証明されているのである。 イングランドのウェストカントリー地域は草原半島とも呼べる。草原と耕作農業の区別は、部分的にはその土壌の型の違いにより発生する。ウェストカントリーは、草の成長を支える一方で、耕作農業には決して最適とは言えないグライ土壌と褐色土壌の比率が高くなっている。 耕作地域は粘土質の土壌及び砂地の比率が高く、水はけが良いという特徴がある。また、ウェストカントリーはイギリス国内では平均気温が最も高く、最低気温と最高気温も最も大きい地域となっている。 草の成長は、土壌の型、気温、降雨量、及び日照時間に影響されるが、さらに重要な要因となるのが、地形、つまり標高であり、標高が高くなると、草の成長は鈍化する。ウェストカントリーでは、有利な気候条件により、草が成長できる日数が他の地域より多くなっている。ウェストカントリーでは、全ての場所で草が年間220日以上成長するが、イギリス国内の他の場所ではこのようなことはなく、さらに、場所によっては、草が成長できる期間が300日を超える場所もある。 ウェストカントリーでは、新鮮な草及び保存した草に依存する度合いが高い。これが - 脂肪酸の組成、ビタミンE含有量、及び官能的品質について - ラム肉の品質や栄養価に特徴的な影響を与えており、これらの影響は、科学的な実験で明確に示されている。 これらの実験で、穀物中心の食事(濃厚飼料)で生産された子羊と、草中心の食事で生産された子羊の間には、脂肪酸組成に違いがあることが示された。牧草サイレージを与えられた羊は、筋肉中の脂肪レベルが高く、脂肪酸プロファイルも全く異なる。濃厚飼料を与えられた子羊の筋肉中には、リノール酸とその生成物(アラキドン酸)、両n-6(オメガ-6)脂肪酸が多く、牧草サイレージを与えられた子羊の筋肉中には、リノレン酸とその生成物EPA及びDHA、全てのn-3(オメガ-3)脂肪酸が多くなる。全n-6脂肪酸の全n-3脂肪酸に対する比率は、濃厚飼料を与えられた羊の方がはるかに高くなった。人間の食事に推奨される比率は4以下で、牧草を食べた子羊の方が栄養面でもより好ましいという結果が出た。 以上の実験から、草及び飼料草の飼料からは、濃厚飼料とははっきり異なる脂肪酸プロファイルが筋肉中に生み出されることが明確に示されており、草で飼育された子羊は、リノレン酸1.5%より上、EPA0.8%より上、DHA0.3%より上であると言及されている。これは、本産品にも良い影響を与えており、草に自然に含まれているビタミンEが、羊の筋肉と脂肪組織に取り込まれることになるため、牧草サイレージを与えられた羊は、筋肉中のビタミンEの濃度が、濃厚飼料を与えられた羊と比べて少なくとも4倍になることから、肉が小売店でディスプレイされている間、明るい赤色を保つ期間が長くなる。 イギリスの研究では、ラム肉の味は穀物を与えられた羊より、草で育った羊の方が良いと結論付けられた。ラム肉の風味のスコアは、濃厚飼料を与えるよりも草の方がほぼ2倍高くなった。異常な風味のスコアは、草の飼料でははるかに低くなった。 ミートサウスウェストが委託して作成した、上記結論を引き出した独立系の報告書では、高濃度のn-3脂肪酸とビタミンEという特別な特性が示されている。 -ラム肉の腰肉脂肪酸組成でリノレン酸が1.5%を超える -ラム肉の腰肉脂肪酸組成でEPAが0.8%を超える -ラム肉の腰肉脂肪酸組成でDHA0.3%を超える -ラム肉の腰肉組成でビタミンE 3.5µg/gを超える 以上の値は、暖かくて湿った気候のため他の地域よりも羊が新鮮な草を食べられる期間が長く、生産システムが幅広い草からの生産に基づいているイングランドのウェストカントリーで生まれ、飼育され、完成した羊から取れたラム肉において達成されたものであり、今後の気候の変化で、ウェストカントリーの牧草は現在よりもさらに良好になると考えられている。 報告書は、草原の風景と結び付けられたイングランドのウェストカントリーは、高い品質のラム肉を生産しているというイギリスでの一般的な見識に、科学的観点を付け加えるべきであると結論づけている。 羊の品種のうちボールドーセットとドーセットホーンが、繁殖が頻繁であるという理由から多くの農場で使用されている。このため、子羊の秋の出産が可能になり、1月下旬からは市場に出せる状態のラム肉を生産することができる。その他の低地の羊は1月と2月に生まれ、ボドミンムーア、ダートムーア、エクスムーアなどの高地に位置する農場では羊が4月と5月に生まれるため、自然に一年を通してラム肉が生産され供給される。 ウェストカントリーは歴史的にも畜産地域で、ロンドン及びその他の大都市圏への、さらにはプリマスやブリストルなど、重要なウェストカントリーの港への食肉の供給元として重要な役割を果たしてきた。エリザベス一世の統治における最高の食料供給者たちは、サマセットを「食糧貯蔵のための牛肉と羊肉の生産者」と見なしていた。1935年、ノースデヴォン(当時、大量の羊を生産していた)の羊肉が、複数の鉄道駅を通じてスミスフィールドに供給されたという記録が残っている。 現在、イングランドのウェストカントリーで飼育されている羊は、その多くが何世紀も前にこの地方で見つかった羊の子孫である(エクスムーアホーンなど)。その他の品種は、この自然に恵まれた地域を特徴づける特に優れた気候と地形に引き寄せられ、もっと後に入って来た(最も古く登録された羊は、110年前に登録されたデヴォンクローズウールなど)。このような持続性と秀逸性は、ウェストカントリーの畜産農業に特有のものである。 羊は、エクスムーアでは3000年にわたり、放牧されてきた。同様に、ダートムーアの羊は、有史以前からそこにいて、おそらく鉄器時代の原種ソアイから派生したと思われる。1190年、リチャード一世は修道士が羊を放牧することをバックファスト修道院に許可し、放牧は何世紀もの間続いた。羊をイングランドのウェストカントリーの湿原地及び低地で飼育するという伝統は、遠い過去の時代に遡ることができる。今日の農場は今でも伝統的な慣習に基づく手順を踏襲している。 本産品の価値に関するこのような称賛は、現在においても変わらない。多数の主要小売業者がこの地域のラム肉の品質を認識しており、消費者は販売されているラム肉のラベルに、横向きの羊と小さな畑が描かれていることに好意的なイメージを持っている。同様に、多数の小規模小売店、レストラン、及びその他の仕出し会社が、取り扱うラム肉に「ウェスト・カントリー・ラム」のラベルを付けている。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2)登録商標 | - | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3)指定商品又は指定役務 | - | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4)商標登録の登録番号 | - | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234