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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第156号)

更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

Ayrshire New Potatoes / Ayrshire Earlies(エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ)


1 指定年月日  令和6年12月20日
2 指定番号  第156号
3 締約国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第1類 農産物類 野菜類(馬鈴しょ)
5 農林水産物等の名称  Ayrshire New Potatoes / Ayrshire Earlies(エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ)
6 農林水産物等の生産地  イギリス

スコットランド西部に位置するエアシャー(Ayrshire)県 の地域であり、北・東・南エアシャー評議会(North, East and South Ayrshire Councils)の地方自治体の境界内にあります。 西側をクライド湾(Firth of Clyde)に接し、北はスケルモーリー(Skelmorlie)、南はバラントレー(Ballantrae)、東はグレンバック(Glenbuck)までの海岸沿いに広がっています。 エアシャーにはアラン島(Isle of Arran)とカンブレー島(Cumbrae Isles)も含まれています。 地理的地域は以下の地図で示されています。

地図


7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、スコットランド南西部に位置するエアシャーで栽培されている、ナス科ナス属の馬鈴薯種の若いジャガイモに付けられた名前です。

エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、定義された地理的領域内に植えられ、栽培・収穫する必要があります。

エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、EU加盟国の品種登録簿(national registers of varieties of the Member States of the EU)に登録されている基本的な種イモ品種から栽培されています。 使用されている主な品種と市場推定シェアは、現在、エピキュア(Epicure)(8%)、カサブランカ(Casablanca)(40%)、アイル・オブ・ジュラ(Isle of Jura) (12%)、マリス・ピア(Maris Peer)(40%)となっています。 繁殖特性の変化に応じて品種も変化する可能性がありますが、エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズのベース品種に含まれるかどうかは、その特性と、主作物の収穫前、5月から7月末までに収穫期を迎えられるかどうかに大きく左右されます。

エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは乾物率が最大20%までと比較的低めです。 乾物率は品種や成熟度、季節によって異なります。

エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズには、以下のような特徴があります。若いジャガイモであるため、直径は15~70mmと小ぶりです。丸型または楕円形をしており、皮がやわらかく、土っぽいナッツの風味と香りが特徴的です。デンプン含量が10~15%と少ないため、クリーミーでしっかりとした食感があります。デンプン含量は品種や季節によって異なります。低デンプン含量であるため、エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは茹でた後でも形が崩れず、サラダなどでの使用に適しています。 中身の色は、品種によって白かクリーム色をしており、1つのジャガイモに2色が混ざることはありません。

エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、イギリス全土の地元市場、小売店、スーパーマーケット、ジャガイモ卸売業者などで販売されています。ジャガイモは、バラ売りまたはトレイや袋に入れて量り売りで販売されています。1作目は5月に収穫し、ジャガイモの柔らかい皮を保護するために、土をつけたまま洗わずに販売されます。土の含有量はジャガイモの重量の最大1%です。季節が進むにつれて、皮が十分に硬くなり洗えるようになります。PGI製品の最終消費者(買い物客やレストランの顧客)への販売日は、7月末日が最終日となります。

 
(2)生産方法
エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズの栽培を行うには、土壌の準備と種子の準備という、2つの植え付け前準備があります。その後、専門家によって植え付け、栽培、収穫の管理が行われます。

土壌の準備
土の温度が10℃に近づいたら(通常は2月の最後の2週間)、畑を耕して土をさらに分解し、できるだけ細かくて水はけの良い土壌を作ります。これで、土壌は植え付けの準備が整います。

種イモの準備
エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、種子分類スキーム(Seed Classification Scheme)または同等のものに登録された種イモから栽培されます。種イモは、大抵の場合、前の秋に農場に配達されます。 種イモの生理的老化は常に起こるわけではありませんが、1作目の作物には欠かせないものです。

このプロセスは、芽出し用ハウスのような温度管理された建物の中で種イモを貯蔵し、そこで芽出しの作業をすることが含まれます。一つひとつ種イモに光が届くように、一層の箱に入れられます。ハウスは、病気のリスクを最小限に抑え、15℃以上の温度上昇を防ぐために十分に換気されています。寒冷時には通気口を閉め、ハウス内の温度を10℃以上に保つためにヒーターを使用します。2月中旬までに、種イモから25mm程の立派な芽が出てきます。

植え付け
土壌に浅い植え溝を掘り、種イモを手作業または機械により植え付けを行います。種イモは、6~14cm間隔に植えられ、主作物のジャガイモに比べて比較的浅めに設定されています。こうすることで、土壌がより早く暖められ、発芽も早くなります。エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは収穫時のサイズが小さいので、あまり深い植え溝は必要ありません。

植え付け後の管理
3月中旬には発芽し始めます。発芽した後、5月初旬から7月末まで、作物の健康状態を監視し、健康上の問題があれば適切に管理します。たとえば、10日ごとに薬剤を散布することで、疫病を予防・防除することができます。浅い植え溝に植えた植物は乾燥しやすいため、土壌の水分レベルに細心の注意を払い、可能な場合は灌漑を行います。

収穫
試験掘りに続いて、ジャガイモの収穫は5月上旬から7月末まで行われます。ジャガイモを掘り起こしやすいように茎は切り落とされます。掘取り機を使ってジャガイモを掘り起こした後、手作業で拾い集めるか、または、ジャガイモ用収穫機で掘り起こし・拾い集めを一度に行い、ジャガイモの土をはらい、トレーラーやジャガイモ箱に入れます。また、手作業でジャガイモを掘ることもあります。

エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、イギリス全土の地元市場、小売店、スーパーマーケット、ジャガイモ卸売業者などで販売されています。また、ジャガイモは、顧客の要求に応じて、バラ売りまたはトレイや袋に入れて量り売りで販売されています。ジャガイモの鮮度と若い特性を確保するために、掘り起こしてから梱包するまでの時間枠は、可能な限り最小限に抑えられています。これは通常24時間から48時間を目安にしており、製品は通常7日以内に販売されます。PGI製品の最終消費者(買い物客やレストランの顧客)への販売日は、7月末日が最終日となります。

[原産地証明]
種子ジャガイモ
種イモは、産地から農場に到着するまで完全なトレーサビリティを維持し、栽培・収穫・処理・販売のすべての段階でもトレーサビリティが維持されているため、「畑から食卓まで」完全なトレーサビリティが確保されています。

農場にて
収穫直後、ジャガイモを農場から出荷する前に、ジャガイモの各バッチには、収穫日と収穫した畑、ジャガイモの出荷元になるエアシャーの農場名と住所を参照できる固有の番号が割り当てられます。この情報は、業者が利用することができます。

農場後の包装と流通
エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは、イギリス全土の地元市場、小売店、スーパーマーケット、ジャガイモ卸売業者などで販売されています。

1トン箱のジャガイモを洗って、上記のような小さなパックに入れるなど、さらなる処理が行われる場合、各パックには、ジャガイモが入っていた1トン箱を参照できる別の番号が割り当てられます。トレーサビリティを含む農場後の保証は、英国小売業協会(British Retail Consortium Global Standard for Food Safety)、またはそれに相当するものに準拠しています。このシステムは、処理および市場への流通までの全工程で製品ロットを特定し、追跡するために求められています。また、このシステムは、トレーサビリティを容易にするために、顧客に供給される農産物が適切にラベル付けされているか、または識別されていることを保証します。

使用する品質管理システムにより、原料ロット番号から完成品コードまで結び付けることが可能です。これにより、原料の特定のバッチをリコールする必要がある場合などに、完成品を特定することができます。トレーサビリティシステムは、一次包装(食品と直接接触する)、印刷された外包装材などその他の梱包材、加工助剤を対象としています。 製品バッチのトレーサビリティにより、あらゆる品質試験・残留物試験の結果まで結び付けることができます。「将来」と「過去」の両方のトレーサビリティを提供するため、少なくとも年に1回、システムの全体がテストされます。

[ラベリング]
それぞれのジャガイモ箱や袋には、原産地証明の項で規定されているように、北・東・南エアシャー県議会が発行した農場識別番号が付けられています。

[検査機関]
NSF Certification UK Ltd.
 
 
(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
エアシャー県は、1793年にスコットランドで、初の商業ベースのジャガイモの栽培が報告されて以来、スコットランドの(そして、もちろんイギリスの)ジャガイモ産業の中心となってきました。この地域では、1年で最初に商業生産されるスコットランド産ジャガイモが栽培されており、「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」は、その品質、風味、そして新しい季節のシンボルとして全国的に有名です。 歴史的にも、現在でも新聞等では、本製品は「サウスウェスト アーリー」や「アーリー エアシャー」としても知られています。

エアシャー県におけるエアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズの生産は、スコットランド西部の人口の大部分にとって大きな雇用源であり、地元の住民はもとより、「ポテト労働者(タッティー ハウカー)」として知られるアイルランドからの出稼ぎ労働者も多く含まれます。伝統的に、エアシャーの沿岸地域でたくさん採れる、栄養豊富な海藻を集めて(「レッキング」と呼ばれる工程)、冬の間の肥料として畑に撒いていました。また、この地域に豊富にある肥料、家畜の糞尿も活用されていました。エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズは手作業で植えられ、スコットランドの伝統的な言葉で「鋤(すき)」を意味する「グレイプ」(graip)を使って収穫されていました。

軽い砂質土壌とメキシコ湾流の影響で春の訪れが早いため、エアシャー県の農場、沿岸地域の農場では、スコットランドの他の地域よりも数週間早くジャガイモを植えることができます。本来のジャガイモの収穫サイクルは、6月に植え付け、中秋に収穫されます。

ジェイムズ・A・ガスリー(James A. Guthrie)の『コーナー オブ キャラック(A Corner of Carrick)』という本に、「アーリー エアシャー(The Early Ayrshires)」という章があります。 そこでは、このアーリーポテトの商業に関する情報が書かれています。1857年に2人のエアシャー農民が(ダンロップとハンナ)、チャンネル諸島を訪れ(長年、若いジャガイモが栽培されていた場所)、どうやってジャガイモを早く収穫できるのか調査したことを紹介しています。その2年後、いくつかの実験を経て、「エアシャー アーリー」が栽培され、商業ベースで販売されるようになりました。1860年にガーバンとグラスゴーを結ぶ鉄道が完成したことで、この産業は転機を迎えます。これにより、グラスゴーやその他の地域へのジャガイモの需要が増え、豊かな土壌を作るために必要な、大量の肥料を農場に届けることができるようになりました(アイルランドからスコットランドに牛を輸送する荷船から調達していました)。また、鉄道網のおかげで、午前中にジャガイモを収穫し、その日の午後にはグラスゴーとエディンバラで販売することもできるようになりました。

1881年には、「ジャガイモの芽出し」と言われる新しい生産技術が開拓され、多くのエアシャー農家がこの地域で導入しました。 この新しい作物管理法では、植え付けサイクルは2月上旬に開始されます。これにより、5月下旬にエアシャーの沿岸地域では1作目の「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」を収穫でき、季節が進むにつれて、収穫期は徐々に内陸に移動します。

20世紀初頭のエアシャー県におけるジャガイモの品種改良は、「アラン」種のジャガイモを生産していた、ラムラッシュの食料雑貨商、ドナルド・マッケルビーと関連があります。 アラン種のジャガイモは、おそらくエアシャー県で最初に栽培されたアーリーポテトで、現在ではエピキュアやカサブランカなど、現代の商業用品種に追い越されています。 多くの人が「エピキュア」種をエアシャーだと考えますが、実際には、これはジェームズ・クラークによってイギリスで品種改良されたものです。 エピキュアは、成長度の速さと、葉の霜害に耐えて回復する能力の高さで知られています。 このため、エピキュアはスコットランドで栽培されるジャガイモの中で最も早く市販されるようになった品種であり、新シーズンが始まると、食料品店やスーパーの棚、キッチン、レストランで「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」が販売されるようになります。「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」として使用されるカサブランカ、アイル オブ ジュラ、マリス ピアなどの他の品種も、その後すぐに市場に出回るようになります。

エアシャー県におけるジャガイモの栽培面積のピークは1918年で、11,400エーカー以上で栽培を行っていました。1960年代になると収穫作業は機械化され、その結果、雇用が減っていきました。
長年にわたり、この製品の販売先は、小さな地元市場から大型のスーパーマーケットや小売店まで多岐にわたります。例えば、生協は1940年代までさかのぼって農場からこのジャガイモを購入しています。

評判

エアシャー ポテトは、スコットランド産の新ジャガイモの販売開始のサインとして長年の評判があります。沿岸地域の軽い砂質土壌、温暖な気候、肥料、市場への出荷の速さなど、多くの要因がエアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズの風味に影響を与えると言われています。エアシャーで栽培されるアーリーポテトに関する記事は、1857年には『ノース ブリテッシュ アグリカルチャリスト(North British Agriculturalist)』、『エディンバラ イーブニング ニュース(Edinburgh Evening News)』などの日刊紙で、「沿岸地域の軽い砂質土壌で、広範囲にジャガイモ生産が行われている」と掲載されています。ほぼ100年後、グラスゴー・ヘラルド農業調査(Glasgow Herald Agriculture Survey:1956年2月1日)による「サウスウエスト アーリーズ ウィン ザ レース(SouthWest Earlies Win The Race)」と題した記事には、「ほぼ1世紀にわたり、アーリーポテトは、サウスウエスト スコットランドの農業経済において最も重要な役割を果たしてきた」と書かれています。ジョン・ストローホーンとウィリアム・ボイドの共著『スタティスティカル アカウント オブ スコットランド(The Statistical Account of Scotland)』 によると、1951年には、エアシャー県教区メイブールでは、「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」の栽培が「主な職業」であると書かれています。ヘザー・ホームズは、著書『タティ ホーカーズ(Tattie howkers)』(2005年)の中で、「アーリーポテトは、”エアシャー”や”エアシャー ポテト”という用語と同様に、エアシャー県の同義語となり、その生産は「エアシャー農業の進出の要であった」と引用しています。1901年、日刊紙『ノース ブリテッシュ アグリカルチャリスト(North British Agriculturalist)』に、ガーバンにおけるジャガイモは「この地区で最も重要な生産物」であると掲載されました。 モリー・ブライスの『オールド ウェスト キルブライド(Old West Kilbride)』という書籍には、「ポテト タウン(The Tattie Toon)」という副題が付いており、それは、エアシャーの海岸沿いの町とジャガイモの栽培、特に「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」との関連性を表しています。

また、ウェブサイト「Farming UK」には、「夏の代名詞ともいえるエアシャーの新ジャガは、最も美味しいジャガイモの一つとして広く評価されており、その8週間のシーズンには爆発的に売れている」という記事もありました。

シェフ兼料理本著者のクリストファー・トロッターは、「エアシャーポテトに勝るものはない」と述べ、2016年6月、自身のFacebookページでは、「本物の新ジャガはエアシャー県から届く。すばらしく美味しい」と投稿しており、「土の香りと新鮮な美味しさは、待つ価値がある」と語っています。

「エアシャー・ニュー・ポテト / エアシャー・アーリーズ」を使ったレシピを提供しているインターネットサイトもたくさんあります。 レシピサイト「レッド ブック レシピ(Red Book Recipes)」には、「エアシャーで採れるアーリーポテトは、イギリスでも最高の品質である」と掲載されています。このサイトでは、アーリーポテトの詳細や、おすすめのジャガイモ料理などを紹介しています。(redbookrecipes.com)

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234