指定の公示について(指定番号第157号)
更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。 |
Beacon Fell Traditional Lancashire Cheese(ビーコン・フェル・トラディショナル・ランカシャー・チーズ)
1 | 指定年月日 | 令和6年12月20日 |
2 | 指定番号 | 第157号 |
3 | 締約国の名称 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国) |
4 | 農林水産物等の区分 | 第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ) |
5 | 農林水産物等の名称 | Beacon Fell Traditional Lancashire Cheese(ビーコン・フェル・トラディショナル・ランカシャー・チーズ) |
6 | 農林水産物等の生産地 | イギリス ランカシャー(Lancashire)のフィルド(Fylde)地域。リブル川(River Ribble)の北部、ランカシャーのプレストン(Preston)地区とブラックプール(Blackpool)地区を含みます。 |
7 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 | (1)特性 ビーコン・フェル・トラディショナル・ランカシャー・チーズ(Beacon Fell Traditional Lancashire Cheese)は、全脂肪牛乳から製造されています。このチーズは、本質的に水分を含まないバター脂肪を最低48%、水分を最高48%含んでいます。チーズは伝統的に円筒形で製造されています。 風味:- 熟成期間の短いチーズは、さっぱりとしてまろやかです - 熟成されたチーズは、かなりシャープな味わいでピリッとしています 色:- 全体に均一なクリーム色です 状態:- 適度に固く、滑らかで絹のようです 食感:- バターのような、まろやかな口当たり、熟成されたチーズは口の中でとろけるように広がります 仕上がりと外観:- 伝統的な円筒形で、布が巻かれ、ワックスまたはバターで覆われています (2)生産方法 チーズは、指定された地域の農場から毎日集乳される全脂肪牛乳から、一年を通して製造されます。牛乳は酪農研究所によって試験され、バルクサイロに保管されます i) 牛乳がチーズ製造バットに供給されると、低レベルのチーズスターター培地が添加され、牛乳はゆっくりと攪拌されます ii) 酸度が所定のレベルに達したとき、レンネットが添加され、凝固を促進します iii) カードは指でサクッと割れる硬さになったらカードをカットします。カードはソラマメ程度の大きさにカットする必要があります iv) カードの酸度が適切なレベルになったら、カードを落ち着かせて、乳清を排出します v) カードが排出されたら、軽く押して粉砕します。このプロセスは、カードが十分に乾くまで4~5回繰り返されます。カードが固まるにつれて、プレスと粉砕のレベルが上がっていきます vi) 一部のカードは、65°F~70°Fの範囲の温度で24~48時間保持されます vii) カードの酸度が適切なレベルになったら、粉砕および加塩段階の新しいカードを、24時間経過したカードと48時間経過したカードをほぼ等しい比率で混ぜ合わせたカード、または24時間経過したカードと混ぜ合わせます。カードは細かく粉砕して完全に混合します。さらに、カード重量の約2.5%にあたる塩を添加します。必要な風味と食感を実現するには、カードを正しく混合することが重要です。 viii) チーズを2日間軽くプレスして、最終的な形状を作ります。その後、布を巻いてワックスまたはバターを塗ります ix) その後、チーズは温度管理された貯蔵所に移されて、最低3~4週間保管され、熟成されます。その後、チーズは貯蔵所から運び出され、マイルドチーズまたは熟成チーズとして販売されます。チーズは約6か月で完全に熟成します。好みに応じて、1か月の熟成期間のチーズから販売されます。 (検査機関) Product Authentication Inspectorate Ltd (PAI) (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 1179年、ヘンリー2世の治世中に、プレストンは定期市と市場を開催する最初の勅許状を授与されました。そこでは、北ランカシャーの農場で製造された多くのチーズが販売されました。記録によると、トラディショナル ランカシャーは、リブル川の北にあるフィルドの農場で最初に製造されました。1932年、プレストンタウン協議会(Preston Town Council)は、フィルドのチーフチーズメーカーからの請願に応えて、年間4回のチーズ定期市を開催することを決定しました。 しかし、1800年代後半までは製造方法にばらつきがあったため、製品には一貫性がありませんでした。ガースタングのジョセフ・ゴーナル(Joseph Gornall)氏が、ランカシャー郡評議会(Lancashire County Council)から任命され、ランカシャーの農場を見学し、農家に標準的な製造方法を教えるよう依頼されたのはこの頃でした。彼はこの依頼に対応し、またこのテーマについて本を何冊か書きました。 ゴーナル氏の製造方法は、1956年に農業省が発行したチーズ製造ハンドブックで厳密に再現されています。技術の向上によってもたらされた小さな変更点を除いては、本物のトラディショナル ランカシャーは、現在も同じ方法で製造されています。 トラディショナル ランカシャー チーズは、穏やかな復活を遂げていますが、過去50年間には、さまざまな理由により、ほとんど「消滅」しかかっていました。 戦前には、年間約4800トンを生産する200軒以上の農場といくつかの乳製品製造所がありましたが、現在は、年間1650トンを生産する5軒の農場と6軒の乳製品製造所しかありません。最初の打撃は第二次世界大戦でした。ハードチーズは配給用に簡単にカットすることができたため、ハードチーズ以外の生産は禁止されてしまいました。そのため、トラディショナル・ランカシャー・チーズの生産を戦後に回復することが難しくなりました。1948年にはトラディショナル・ランカシャー・チーズを生産している農場は僅か22軒となってしまいました。 2番目の打撃は、1960年代と1970年代に起こった、「偽」ランカシャー チーズの開発でした。「偽」ランカシャー チーズは、「生産ライン」またはフローシステムで大量生産できるため、大規模なメーカーに非常に歓迎されました。しかし、トラディショナル ランカシャーは、大量生産を行うことができません。大企業は、この模倣品を製造し、ランカシャーという名前を付けました。この模造品チーズは、酸味があり、もろい食感で、あまり特徴のない、ただの白いチーズで、クリーミーなトラディショナルランカシャーの品質を損なうものでした。ランカシャー チーズ メーカー協会(Lancashire Cheese Makers Association)は、この低品質の製品が自分たちの製品に与える脅威を認識していなかったため、この低品質の製品が広まることを防ぐ努力をしませんでした。このため、全く非がないと言うことはできないかもしれません。ありがたいことに、いくつかのメーカーが、本物のランカシャー チーズを生産しています。今はまだ以前の栄光を取り戻してはいませんが、それを超えて復活する可能性もあります。 ランカシャー チーズ メーカー協会(The Lancashire Cheese Makers Association)は、1900年代初頭に設立され、かつては30名から40名の会員を抱える大規模な組織でした。正確な記録はありません。戦争とそれに続く労働力と資源の不足により、ランカシャー チーズ メーカー協会は弱体化してしまい、現在は6名の会員とファームハウススキームを実践する5社の製造業者だけしか残っていません。 本物のトラディショナル ランカシャーは現在、指定された地域の外で製造されていません。また、ランカシャー チーズ メーカー協会の会員が知る限り、過去においても指定された地域の外で製造されたことはありません。 ランカシャー チーズ メーカー協会の会員が使用する生産方法とスキルは世代を超えて受け継がれており、Joseph Gornall(ジョセフ・ゴーナル)の教えに厳密に従っています。 協会は、トラディショナル ランカシャーの宣伝に取り組んでいます。しかし、模倣品がその名前を傷つけたり、品質レベルを再び低下させたりしないように、その伝統を保護する必要があります。 トラディショナル・ランカシャー・チーズは、何世代にもわたり、フィルド、ノースプレストン、ガースタング地域で独占的に生産されてきました。 このチーズのバターのような食感とまろやかさは、ランカシャーの砂岩の岩盤、その軟水と豊かな放牧に由来しています。 この地域はまた、海岸と「メキシコ湾流」に近いため、気候は温暖です。極端な低温または高温になることがないため、牛乳の脂肪成分は比較的安定しています。 また、偏西風が優勢であるため、指定された地域は比較的多く雨が降ります。このため、放牧用に十分な牧草が成長し、牧草が清潔に(つまり、ほこりと大腸菌群が少ない状態で)保たれます。 ランカシャー地域は、ヨーロッパでも最も安定した温暖な気候に恵まれているため、伝統的に酪農地域となっています。年間降雨量が多い(1450mm)ため、新鮮でほこりのない環境で放牧を行うことができます。また、乳牛に一年を通して、同じ飼料レベルを供給することができます。これにより、柔らかい脂肪成分を含む牛乳を安定して供給することができます。 上記に加えて、この地域の熱心なチーズメーカーによって慎重に守られてきた伝統的なスキルがあります。これは、他のチーズ製造方法とは大きく異なり、指定された地域外では使用されないスキルです。 従来の製造方法 - 乳清の中で脂肪が分解されたり失われたりしない方法 - を使用することで、繊細なカードを保護し、独特の風味と食感を生み出しています。マスター チーズ メーカーは、その経験に基づき、工程の各段階で正しい時間を決定します。ビーコン・フェル・トラディショナル・ランカシャー・チーズの製造には時間がかかるため、乳製品に存在する特定の微生物が吸収され、このチーズに独特の風味と特性を加えています。 上記の理由から、この地域は、トラディショナル・ランカシャー・チーズの生産および当該チーズ用の牛乳生産のための指定地域にすべきだと考えています。 |
8 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |
(2)登録商標 | - | |
(3)指定商品又は指定役務 | - | |
(4)商標登録の登録番号 | - | |
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234