このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定の公示について(指定番号第161号)

更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

Carmarthen Ham(カーマーゼン・ハム)


1 指定年月日  令和6年12月20日
2 指定番号  第161号
3 締約国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ハム類)
5 農林水産物等の名称  Carmarthen Ham(カーマーゼン・ハム)
6 農林水産物等の生産地  イギリス

 別添(PDF : 902KB)
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
「カーマーゼン・ハム」は、自然乾燥・塩漬けした豚脚の生ハムです。ハムは、室温16~26℃に保たれた環境で6~9ヶ月間吊るして熟成されます。「カーマーゼン・ハム」の熟成期間は塩漬けの初日から数えます。
根元が丸みを帯びた外形をしており、上部に向かって先細りになっています。外観は濃いベージュ色で、皮は硬く乾燥した「革のような」感触です。
「カーマーゼン・ハム」をスライスすると、濃いピンクから深い赤色をしており、全体にクリーム色の脂肪が散りばめられています。 ほのかな塩気と甘みのある豚肉の味わい、ふっくらとした弾力のある食感が特徴です。繊細でまろやかな風味に塩味が加わり、柔らかさととろける口当たりのバランスがとれています。「カーマーゼン・ハム」は、生ハム特有の繊細な香りが特徴です。ハムは引っ張ると簡単に千切れ、絹のような柔らかい食感があります。

カーマーゼン・ハム化学成分:
グラム/100g
タンパク質含有量 26.8
炭水化物含有量 0.0
~糖類  0.0
脂肪分  5.9
~飽和脂肪  2.5
ー価不飽和脂肪酸  2.8
多不飽和  0.5
エネルギー値  673.9KJ/100g
160.3キロカロリー/100g
塩分  7.3g/100g

皮の下にあるクリーム色の脂肪層は、最大許容である深さ5mmを超えてはなりません。
顧客の要望に応じて、ハムは丸ごと、骨付き、スライス、様々な重さや形に梱包して販売されています。


(2)生産方法
「カーマーゼン・ハム」の組成物は、次のように構成されます。
- 豚脚全体(公認と畜場が生産した、重量8~10kgの生の豚の後脚。ランドレース、ラージホワイト、ウェルシュなどの品種、またはそれらの交配種のもの)
- 食塩
- 防腐剤兼発色剤として硝酸カリウム(E252)、亜硝酸ナトリウム(E250)
「カーマーゼン・ハム」は以下の工程で製造されます。
- 豚脚のトリミングと整形
- 防腐剤の添加
- 塩の添加
- 塩の追加添加
- 塩を洗い流す
- ハムのネット張り
- ハムの熟成

豚脚の整形と食塩・硝酸カリウムの添加
[1日目] 体重8~10kgの生の豚の脚は、腓骨と脛骨の半分と大腿骨全体を含む骨付き肉です。骨付きの尻肉は、切り離された大腿骨から2cm辺りで、軸と平行にまっすぐに切断されます。ハムの内側の面は、下の方まで露出しています。ゆるんだ肉を手で取り除き、根元は丸みを帯び、上部に向かって先細りになるように形作ります。硝酸カリウム(E252)と亜硝酸ナトリウム(E250)を含む防腐剤を手のひらに乗せて豚脚に擦り込み、プラスチック製の桶に入れて室温16~26℃で24時間、放置して汗をかかせます。E252とE250は、鮮やかな赤色を保つための防腐剤として使用します。防腐剤の正確な使用量は、脚の大きさや時期によって異なりますが、EU法で定められた最大レベルを超えることはありません。使用量は、精肉店の技術と個人的な経験により判断されます。

塩の添加
[2日目] たっぷりの塩を手のひらに乗せて豚脚に擦り込み、プラスチック製の桶に入れて3℃に設定された冷蔵室に7日間保存します。また、塩は細菌の増殖を押さえるため防腐剤としての役割も果たします。塩の使用量は、脚の大きさや時期によって異なりますが、ハム1つで65gを超えることはありません。使用量は、個人の技術と経験により判断されます。
塩の追加添加
豚脚に塩を擦り込みむという手順を週に1回、4週間繰り返した後、ハムを2~4℃で保存します。
ハムの塩を洗い流す
[35日目] 冷たい水道水でハムの塩を洗い流し、水を入れたプラスチックの桶に3日間入れて余分な塩分を取り除きます。桶の水は毎日交換します。
ハムのネット張り
[39日目] ハムを水から取り出し、その年の週ごとに番号を付け、細かいメッシュのモスリンネットを張り、ハムが作られた週を表す番号と色分けされたステンレス製のフックに吊るします。そのまま、ハムを自然乾燥させます。
ハムの熟成
次に、ハムを衛生的で風通しの良い専用の部屋に吊るし、室温16~26℃で乾燥させながら6~9ヶ月間熟成させます。技術と個人的な経験から、ハムの乾燥が速すぎると判断された場合は、扇風機などで室内の空気を断続的に循環させ、室内のハムの場所を循環させます。ハムの「完成の印」は、「カーマーゼン・ハム」職人の技術と個人的な経験により、ハムの乾燥度と固さで決まります。ハムが「完成」すると、「カーマーゼン・ハム」の皮はこげ茶色になり、革のような質感と手触りとなり、ハムの肉は深い赤色になります。成熟したハムは、最大50%の重量を失っています。皮の下にあるクリーム色の脂肪層は、最大許容値である深さ5mmを超えてはなりません。

[原産地証明] 
「カーマーゼン・ハム」の製造に使用される全ての豚肉の切り身には、生の後脚を生産したと畜場を識別するインキマーク/ロゴが必要です。「カーマーゼン・ハム」の製造には、公認と畜場による消せない刻印がついた、生の後脚のみが使用されます。
「カーマーゼン・ハム」の生産者は、環境衛生官またはそれに準ずる者からライセンスを取得し、EU食品規格に準拠しなければなりません。カーマーゼン・ハムの生産はHACCPの規制を受けています。
危害要因分析重要管理点(HACCP:Hazard Analysis Critical Control Point)により、製品の安全とトレーサビリティを確保するために、生産工程全体が管理・記録されています。HACCPは現在採用されているシステムですが、同様または同等のシステムを使用することもあります。
「カーマーゼン・ハム」の製造において、生産者が独自に開発したシステムにより、生産の全工程でトレーサビリティの記録を保管しています。「カーマーゼン・ハム」の製造を成功させるには、生産の全工程でハムの成熟期間を把握し、監視することが重要です。
ハムの塩漬けに使用されるプラスチック製の桶には、消せないインクで番号が付いています。その後、桶からハムを取り出して洗浄した後、各バッチのハムには、消せないインクでその年の何週目に当たるかを表す番号が付けられます。
「カーマーゼン・ハム」を成熟まで吊るす時、正確な成熟期間が一目でわかるように、色分けされたステンレス製のフックに吊るします。
最終製品には、生の後脚を生産したと畜場を示すマークと、各バッチのハムの週番号を識別するマークが付けられます。すべての情報は生産日誌に記録されます。

[検査機関]
Carmarthenshire County Council


(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
「カーマーゼン・ハム」は、自然乾燥・塩漬けした骨付きの生ハムです。重さ4~5kg、6~9ヶ月かけて熟成させます。養豚は、ウェスト ウェールズやカーマーゼン地域を含むウェールズ全土で長い歴史を持っています。カーマーゼン、ペンブローク、カーディガンの各県を対象範囲に含む、ウェスト ウェールズ ウェールズ豚協会(The Welsh Pig Society for West Wales)は1922年に設立されました。この協会は後にウェールズ豚協会(The Welsh Pig Society)に発展し、血統ウェルシュ豚の品種開発にも貢献しました。何世代にもわたって、ウェールズ全域とカーマーゼン地域の家庭では、ウェールズ産の豚肉を乾燥・塩漬けして保存してきました。豚は余すことなく活用され、ほんの少しでも無駄になることは一切ありませんでした。秋には、余った生肉を塩漬けにして保存し、冬の間の食料にしていましたが、1950年代に冷凍庫や冷蔵庫が登場したことで、塩漬け技術は衰退していきました。ウェールズ各地では、保存した豚脚を伝統的に熟成3ヶ月で揚げたり茹でたりして食べていました。今でも、その保存技術が続いています。1970年代後半のカーマーゼン地域では、生ハムを3ヶ月以上熟成させ、コンチネンタルハムのように生で食べたいという需要がありました。こうして「カーマーゼン・ハム」が誕生しました。
「カーマーゼン・ハム」の生産様式の多くは家内産業であり、その技術(臨機応変の対応、経験)は、家族ごとに世代から世代へと受け継がれてきました。30年以上にわたって培われた技術は、指定された地域だけに存在するものとして、ウェールズ全土、イギリス、そして海外でも広く認知されています。生産工程全体を通して、専門的な技術と経験が求められますが、特に次の工程では技術が必要とされます。
〇豚脚の整形ー余分な脂肪と肉を取り除き、望ましい形状を作ります。
〇防腐剤と塩の正確な使用量は、ハムの重さや大きさ、生産する時期によって若干異ります。より重くて大きいハムの場合は、防腐剤と塩が少し多めに必要になります。夏場の気温が高い時期に作るハムは、冬場の気温が低い時期に比べて、保存のために防腐剤と塩が少し多く必要になります。
〇ハムに塩を追加添加してマッサージします。塩を足すことで、ハムの肉から水分を取り除きます。「カーマーゼン・ハム」の製造には、水分が十分取り除かれたタイミングを知る技術が必要です。これには、筋肉の固さを見極める技が必要になり、この「感触」を身につけるには、代々受け継がれてきた知恵が必要となります。
〇ハムの熟成具合を観察し、固さと乾燥度を手で触って調べ、「完成の印」を見極めます。熟成し終わった「カーマーゼン・ハム」の正しい「感触」を見極めることは、世代から世代へと受け継がれている技です。
「カーマーゼン・ハム」は1970年代後半から、歴史的に有名なカーマーゼン市場で販売されるようになりました。その後、「カーマーゼン・ハム」の人気は高まり、ウェールズ、イギリス、そして海外の消費者に認知され、需要も増えています。ロイヤル ガーデン パーティや、2010年のライダー カップが開催されたケルティック マナー(Celtic Manor)をはじめ、多くの有名ホテルやレストランで提供されています。「カーマーゼン・ハム」は、テレビ番組やマスコミでも定期的に取り上げられています。
以下に、「カーマーゼン・ハム」の品質、味、産地に関するコメントを抜粋しました。

ボブ・ファーランド(Bob Farrand)、ファイン フード リテーラーズのディレクター
「カーマーゼン・ハム」は、「ベスト ウェールズ スペシャリティ」でグレート テイスト アワードを受賞しました。受賞者は、この素晴らしいハムを作るための技術と献身的な努力を評価されるに値します。まさに、グレート テイスト アワードの名に相応しい、素晴らしい一品です」
マシュー・フォート(Matthew Fort)、料理評論家
「カーマーゼン・ハムは、ほのかなピンク色をしており、塩味と甘みがあり、しっとりとした、柔らかい口溶けのハムです」
コリン・プレスディー(Colin Presdee)、料理評論家
「独特の風味があり、世界中の最高級ハムに肩を並べる最高のハムです」


8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader