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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第164号)

更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

Fal Oyster(ファル・オイスター)


1 指定年月日  令和6年12月20日
2 指定番号  第164号
3 締約国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分 第4類 水産物類 貝類(まがき、その他かき類)
5 農林水産物等の名称  Fal Oyster(ファル・オイスター)
6 農林水産物等の生産地  イギリス

ファル・オイスターが生産されている地域は、トルロ港漁場(Truro Port Fishery)内です。法的範囲は、漁業命令(1936年、1975年に修正)では、トルロ(Truro)港とファルマス(Falmouth)港、および、トルロ(Truro)川・ファル(Fal)川・トレジリアン(Tresillian)川の河床(面積は、2721エーカー[1,101ヘクタール])と記載されています。

この地域は、トレフューシス ポイント(Trefusis Point)とセントモース城(St Mawes Castle)の間に引かれた、通常の潮汐の平均干潮線の北側となります。漁場の端は平均干潮線にあたり、これは、マイラー(Mylor)、セントジャスト(St Just)、マルパス(Malpas)での漁場の上限を示す各小川の入り口を除いては、海岸線と一致しています。

定義された地域は、イングランド南西部で唯一のヨーロッパヒラガキ(Ostrea edulis)の規制オイスター漁場です。
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
ファル・オイスターは、指定された地域で伝統的な帆船と手漕ぎ船のみを使用して漁獲されたオイスターに付けられた名称です。

ファル・オイスターは、ヨーロッパヒラガキの一種です。表面は粗い鱗状で、貝殻の形状はいびつな円形または不均一な円形です。貝殻の色は茶色またはクリーム色で、外面に薄茶色または青みがかった同心円状の帯があります。内側の表面は、真珠のように非常に滑らかで、色は白または青みがかった灰色ですが、濃い青色の部分もあります。

身はしっかりしていて、表面は滑らかです。身の色はクリーム色ですが、端の部分はくすんだ灰色です。味は、他の種や地域のオイスターよりも塩辛く、少し金属的な味わいがあり、クリーミーで甘いと言われています。味の微妙な違いは、オイスターが育つ環境によるものです。ファル・オイスターの漁場の水には豊富な生物とミネラルが含まれています。水は潮の満ち引きとともに循環し、変化するため、独特のレベルの塩分を含んだ海水と、塩分を含まない川の水が循環することになります。生物とミネラルの含有量は、オイスターが餌とするプランクトンの素混合を左右するため、この地域の特性がオイスターの風味に大きな影響を与えることになります。

2枚の貝殻は異なる形状をしています。左側の殻は凹面で基層に固定されており、右側の殻は平らで左側の殻の内側に位置しています。オイスターは3年で約50mmまで成長し、更に約110mmまで成長することができます。ファル・オイスターは、その地域特有の伝統的な漁法で漁獲されます。
漁獲されたファル・オイスターは浄化された後、「殻付き」でイギリス中の小売店やレストランに販売されます。生のオイスターの貯蔵期限は約5日です。

(2)生産方法
ファル・オイスターは、漁場内の海底で自然に成長します。また、何世紀にもわたり海底で成長してきました。天然のオイスターは、河口に豊富にあるプランクトンを食べます。プランクトンの発生は、気候条件と水柱内の栄養素に依存しています。ファル・オイスターにその特別な風味を与えるのは、気候とプランクトンの組み合わせです。その風味は、世界中の愛好家から非常に高く評価されています。

ファルは、オイスターが養殖も飼育もされていない自然の漁場です。野生床や天然床により少量のオイスターが「飼育」(husbandry)されています。漁獲の過程で基質(採苗用の貝殻)が浚渫(dredges)によって動かされ、漁場を良好な状態に保ちます。また、漁獲せずに牡蠣床をときどき余分に浚渫すること(砕土と呼ばれます)は、牡蠣床をさらに改善し、良いオイスターの付着を促進します(若いオイスターが着床します)。

オイスターの成長率は餌をどれだけ食べるかにより異なりますが、通常4~7年で、(水温が温かいときに)天然のオイスターは産卵します。子オイスター(若いオイスター)の生存率は年ごとに異なります。産卵は夏に行われるため、毎年4月1日から10月31日までの間は「休漁シーズン」となります。これにより、重要な産卵の時期に産卵個体群に与える影響を抑えることができます。休漁シーズン中に漁場からオイスターを漁獲することは刑事犯罪となります。

オイスターは自然に繁殖するため、資源量は季節ごとに変動します。乱獲を防ぐために最小サイズが設定され、評議会のオイスター保安官がその管理を担当します。すべての浚渫者は免許を取得しなければなりませんが、発行できる免許の数に制限がないため、オープンな漁業となります。

漁法は、海底を地引する浚渫です。歴史的かつ伝統的な方法に従い、浚渫は帆船または手漕ぎ船で行われます。オイスターの漁獲にモーター動力を使用することはありません。浚渫作業と同時に船を航行するには、かなりのスキルが必要です。この方法はこの地域に固有のものであり、国内の他の場所では実施されていません。

海底の浚渫を行った後、船上に運ばれ、甲板上にあけられます。浚渫は手作業または手動ウインチで引き上げられます。販売するオイスターはメッシュバッグに入れられます。メッシュバッグは、漁師ごとに異なります。漁獲されるオイスターの最小サイズは、漁業条例によって決定されます(2007年の条例では、直径2 5 / 8インチ(66.3mmに相当)のリングにぶら下がった牡蠣だけを漁獲できます。リングを通過したカキは船から漁場に戻さなければなりません)。この段階で、漁師は生貝移動文書(Live Shellfish Movement Document)に日付、漁獲地域、量を記録します。

漁師は牡オイスターを販売業者や加工業者に販売します。また、オイスターを産卵場で短期保管することもあります。 販売業者または加工業者は、海岸からオイスターをメッシュバッグに集め、コーンウォールの工場に運びます。販売時点で、文書(生貝移動文書)に購入者の詳細情報が記入され、この文書のコピーが港湾保健局に送付されます。

次の工程では、貝殻の洗浄、重量による等級付け、および洗浄が行われます。加工には、顧客に配達するためにオイスターにラベルを付けて包装することも含まれます。洗浄では、殻を洗浄することで付着した泥や海藻を除去します。これに続いて、各オイスターの重さを量り、重量帯により異なるサイズに分類します。たとえば、60~80グラム、80~100グラム、100グラム以上というように分類します。貝製品の洗浄と衛生に関するEUの規則に従い、浄化した循環水をUV処理したタンクに浸して、オイスターを洗浄します。使用パッケージには、バスケットや段ボール、またはラベル付きのポリスチレンボックスが含まれます。生のオイスターは、生きたまま輸送できるように、正しい方法で梱包しなければなりません(殻を覆います)。

[原産地証明 - トレーサビリティ]
本申請は、伝統的な方法を使用して船を航行および漕ぐことによって、トルロ港漁業地域内で漁獲したオイスターを対象とします。特定の法律が、漁場で使用する漁法を管理しています。以下に説明する漁獲方法により、ファル・オイスターは他の土地固有のオイスターと区別されます。(下記の漁獲方法をご参照ください)。

漁師は、オイスターを漁獲する前に、漁業規制当局から免許を取得する必要があります。これは、1シーズンのみ発行される年間免許です。これにより、オイスターの漁獲を許可されたすべての漁師を確実に記録することができます。

漁師がオイスターを漁獲したら、「生貝移動文書(Live Shellfish Movement Document)」に記入する必要があります。この文書には、次の詳細情報を記載します。
I. 漁獲日
II. 漁獲の地理的領域
III.漁獲地域の分類
IV. 品種
V. 漁獲した貝の量
VI. 漁獲した者の名前と住所
VII.購入者の名前とEU承認番号(浄化センター)
文書のコピーは、漁獲者、ファルマス港保健局、トルロ港保健局によって保管されます。これにより、サプライチェーン全体でトレーサビリティが確保されます。

漁師や販売業者は、野生の牡蠣床からオイスターを最初に収穫した後、隣接する川の浅い牡蠣床や、一般に産卵場と呼ばれるファル河口の小川でオイスターを養殖することがあります。産卵場は漁場よりもアクセスしやすく、短期間保管用に使うことができます。オイスターを短期的に保管する利点は、需要と供給のピークを管理できることです。しかし、漁場のごく一部が検査により低水質であることが判明し、水分類C等級相当と判断されたため、安全なオイスターを確保するために、これらの区域で短期間保管することは、衛生要件の面から必須となっています(水分類C等級が変わらない場合)。トレーサビリティは、漁師と販売業者によって維持されます。漁師と販売業者は、オイスターの保管期間が終了し産卵場から移動するときに、同じ文書(生貝移動文書)に記入し、港湾保健局にコピーを提出します。産卵場を使用しない場合、オイスター(Bクラスのみ)は、元の移動文書とともに浄化施設に送られます。

オイスターの販売業者と加工業者は、オイスターを誰から購入し、誰に販売するかに関する詳細な記録を保管します。彼らはまた、浄化システムを通じて、オイスターの各バッチに関する日程記録も保管します。販売業者は、販売時に使用されるパッケージのラベルに、種、バッチ番号、EU承認番号、日付などの情報を表示します。これらの記録は、貝製品のトレーサビリティと衛生に関するEUの法律に準拠するために、加工業者が保管します。

ラベルには具体的に、バッチ番号などのすべての情報を記載し、漁師の名前、漁獲の日付と場所、短期保管場所と期間、浄化の時間と状態に関する情報を、行程記録と移動文書を使えば追跡できるようにします。ラベルには、加工業者の健康マーク(health mark)と承認番号に加え、種、重量、梱包日も記録します。ラベルの情報は、関連する法律に準拠するものです。オイスターのトレーサビリティ、水の循環、日付と時刻など、浄化システムの記録も保管されます。これらの記録は、地方自治体/港湾保健局によって定期的にチェックされ、加工業者の定期検査中には、環境水産水産科学センター(CEFAS:Centre for Environment,Fisheries and Aquaculture Science)によってもチェックされます。加工業者は、各バッチの販売者も記録します。

[検査機関]
Trading Standards
Cornwall County Council
County Hall

(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
オイスターの生態と歴史

オイスターの味は、育つ環境によって決まります。ファル地域の川は急斜面の谷から、水を供給されているため、豊富なミネラルと生物を含んでいます。河口も非常に深いので、水は循環するだけでなく、潮の干満のたびに変化します。この独特の環境がプランクトンを育て、オイスターに餌を与えます。味は、他の種や地域のオイスターよりも塩辛く、少し金属的な味わいがあり、クリーミーで甘いと言われています。味の微妙な違いは、オイスターが育つ環境によるものです。ファル・オイスターの漁場の水には豊富な生物とミネラルが含まれています。生物とミネラルの含有量は、オイスターが餌とするプランクトンの構成を左右するため、この地域の特性がオイスターの風味に大きな影響を与えることになります。
ファル・オイスターの特徴は、伝統的な地域特有の漁獲方法に基づいているため、この地域に深く結びついています。
漁法は、帆船や手漕ぎ船により海底を地引する浚渫です。これらの浚渫と船は、歴史的に使用されてきたものと同じスタイルで、その歴史は1750年にまでさかのぼることができます。

漁獲地域と製品との強いつながりは、ファル川と隣接する川の周辺で、ファル・オイスターを漁獲、育成、販売する方法を説明する漁獲記録からも明らかです。歴史的な記録には、帆船や手漕ぎ船を使用する浚渫による漁獲が記載されています。この記録は、今日使用されている方法や装備に非常に似ています。他の地域では使用されていない、この地域に特有の歴史的および現代の漁獲方法を解説する記録が数多くあります。

歴史的かつ伝統的な方法に従い、浚渫は帆船または手漕ぎ船で行われます。オイスターの漁獲にモーター動力を使用することはありません。漁業の伝統は、何世代にもわたり、漁師たちに受け継がれてきた知識と装備を見れば明らかです。使用されている船は何世代にもわたって受け継がれており、一部の船は100年以上前に造られたという証拠もあります。(ファルマス漁船の歴史[A History of the Falmouth Working Boats]、アラン・デイビース [Alun Davies]、1997年)受け継がれているスキルには、オイスターを見つける能力、漁獲物の慎重な取り扱い、潮と風により特定の牡蠣床を浚渫する方法が含まれます。

1800年代の歴史的な参考資料でも、オイスターの漁獲、成長、選別、販売など、ファルマス港地域でのオイスターの漁獲と成長について言及されています。

1900年代には、漁法は伝統的な技術に制限されるようになりました。特に、帆船と手漕ぎ船だけが許可され、長期的に漁業を保護するための付属定款が制定されました。しかし、1980年代にオイスターの病気により資源が大幅に減少してしまい、オイスター漁業は不採算となってしまいました。このため、約100隻もの船が減少してしまい、壊滅的な打撃となりました。病気からの回復には時間が掛かっていますが、船隊は徐々に拡大し、オイスター漁業管理グループ(Oyster Fishery Management Group)が漁師、加工業者、規制当局を集めて漁業を管理しています。

ファル・オイスターという名前の使用と、その上質な味と品質に対する評判は、オイスター漁業管理グループに所属する加工業者やメンバーたちの懸命な努力によって向上してきました。すべてのメンバーは、ファル・オイスターという名前を使用し、卸売サプライチェーンを通じて高品質の製品を販売しています。

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234