このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定の公示について(指定番号第169号)

更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

New Season Comber Potatoes / Comber Earlies(ニュー・シーズン・コンバー・ポテト / コンバー・アーリーズ)


1 指定年月日  令和6年12月20日
2 指定番号  第169号
3 締約国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第1類 農産物類 野菜類 (馬鈴しょ)
5 農林水産物等の名称  New Season Comber Potatoes / Comber Earlies(ニュー・シーズン・コンバー・ポテト / コンバー・アーリーズ)
6 農林水産物等の生産地  イギリス

 もともとはハミルトン モンゴメリー(Hamilton Montgomery)の土地とされていた地域です。南部はアーズ半島(Ards peninsula)のアードキン(Ardkeen)まで、ストラングフォード湾(Strangford Lough)の西側にあるクロスガー(Crossgar)とキリーリー(Killyleagh)、ノースダウンバラ評議会(North Down Borough Council)、およびカースルレー(Castlereagh)の一部、ベルファスト(Belfast)とダウン郡議会(Down District Council)のキャリーダフ(Carryduff)からセイントフィールド(Saintfield)とクロスガー(Crossgar)を経由してキリーリー(Killyleague)まで走る道路(A7)の東側が含まれます。
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズは、ナス科ナス属の馬鈴薯種の若いジャガイモに付けられた名前です。ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズは、EU加盟国の品種登録簿(national registers of varieties of the Member States of the EU)に登録されている基本的な種イモ品種から栽培されています。このジャガイモは、指定された地域内に要求所要期間内に植え付け、栽培、および収穫しなければなりません。このジャガイモには以下のような特徴があります。

- サイズが小さい(直径30~70mm)
- 円形または楕円形
- 中身は白/クリーム色
- 皮は、品種によって色が異なるが、性質は柔らかく、滑らかで、薄く、剥けやすい
- 土っぽく、甘い、ナッツのような風味 – 「アーリー」ポテト独特の風味
- 葉は深い緑色
- 量り売りまたはさまざまな重量でパッケージして販売します。

 ジャガイモの収穫は、5月の始めから7月の終わりまでに行わなくてはなりません。

(2)生産方法
種イモおよび種イモの準備
 毎年、新しい種イモは、成熟度を高めるために一度栽培されます。つまり、種イモは別の場所で栽培され、たとえば9月初旬に収穫されます。
 農家で最初に植え付けするジャガイモ(ファーストアーリー)の種イモは、7月初旬に収穫され、「芽出し」の準備に入ります。この生理学的熟成(休眠)の間、種イモは箱の中に重ねずに並べ、風通しをよくします。植え付け時の種イモの芽は、1cm(0.5インチ)未満でなければなりません。
土づくり
 土壌は軽いため、すぐに温まります。土づくりは予定されている植え付け時期の少し前に行い、土壌の迅速な乾燥を促します。溝切りの前に、2度耕運機で耕します。
植え付け
 1月初旬に、溝に種イモを植え付けます(条件が許せば出来るだけ早い方が良いでしょう)。この時期の植え付けは、北アイルランドの他のどの場所よりもはるかに早いタイミングとなります。北アイルランドでは、2回目以降のジャガイモの植え付け(セカンドアーリー)や、主な作物の植え付けは、多くの場合、3月下旬以降まで行われません。前述した長い熟成(休眠)期間が、アーリー品種の早期植え付けを可能にしているのです。
栄養管理
 北アイルランドが硝酸塩警戒ゾーン(NVZ:Nitrate Vulnerable Zones)であることを踏まえたうえで、肥料勧告に従って、窒素(N:Nitrogenous)、リン酸(P:Phosphate)、およびカリウム(K:Kalium)を施します。土づくりの期間に肥料を撒きます。
雑草防除
 ジャガイモへの使用が許可されており、次の作物への影響が残らない成分を使用します。
立ち枯れ管理
 ジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)が広がるのに適した気候条件であるため、立ち枯れ管理は必須となります。5月半ばの噴霧期には全体への活性化合物を使用しますが、それ以降は、スーパーマーケットなどの小売業者の要求に従い、収穫を早めるために許可された化学薬品を使います。
害虫管理
 問題となる害虫はいないため、必要ありません。
落葉
 茎が萎れてきたら(the haulms are pulverised)、作物の茎葉は緑のまま取り除きます(the crop is lifted green)。
収穫
 ジャガイモの収穫は、5月の始めから7月の終わりまでに行ないます。1条用ジャガイモ収穫機(single row harvester)を可能な限りゆっくり動かし、ジャガイモへの損傷を最小限にとどめ、皮は無傷のまま収穫します。栽培者は、試し掘りを行ない、試食して、ジャガイモが収穫できる状態になっていることを確認します(理想的には30~60mm)。ジャガイモは収穫から1日以内に販売されます。小売業者は毎朝、農家から取れたてのジャガイモを購入します。


[原産地証明]
 収穫したジャガイモは、サイズごとに等級分けされ、箱詰めして出荷されます。各箱または袋に、個々の農家固有のUKNI番号が付けられます。この番号は、農業農村開発省品質管理部により発行されます。この個別の農家番号により、ジャガイモの各バッチがどの農家により収穫されたかを追跡することができます。
 
 
[ラベリング]
 ジャガイモの箱および袋に、北アイルランド農業農村開発省から発行された植物防疫ID番号を貼付します。これは、原産地証明の項で説明したように、個々の農家に固有の番号です。
 伝統的に、この製品は地元では「コンバー アーリーズ」の名前で知られており、この名前で出荷されます。ラベルには、「New Season Comber Potatoes(ニュー・シーズン・コンバー・ポテト)」または「Comber Earlies(コンバー・アーリーズ)」という文字が含まれていなければなりません。
 
 
[検査機関]
 Ards Borough Council Environmental Health
 
 
(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
•飼料(feedstuffs)の豊富な成長をもたらす地理、地形、気候条件
 指定された地域は、イギリス諸島の最も大きい入り江であるストラングフォード湾(150km平方キロメートル)沿いにあります。ストラングフォード湾は、北アイルランド、ダウン州の東海岸に位置しています。この入り江の約3分の1が潮間帯であり、干潮時には北端に砂地が大きく広がります。入り江の北端を取り巻く土壌の起源は、三畳紀の赤い砂岩と砂利です。これは、土壌が軽く、排水が不要であることを意味します。このため、土壌は素早く乾燥し、北アイルランドの他の地域の土壌よりも早く温まります。
 東はアーズ半島に、南はモーン山地に保護されているため、北アイルランドの他の地域よりも暖かい気候となります。この地域の大部分は低地ですが、冬季のストラングフォード湾には強力な温暖化効果があるため、北アイルランドの他の場所よりもはるかに穏やかな気候となるのです。このため土壌も温かく、ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズは、北アイルランドのその他の場所のジャガイモよりも早く栽培期間が始まります。平均栽培期間は、北アイルランドのどの場所よりも長く、270日以上です。このような気候と地形により、指定地域では霜のリスクも低く、北アイルランドの他の場所のジャガイモよりも早くに植え付けして収穫されます。
 
•長い伝統と高い評価
 アイルランドといえば、一般的にジャガイモが連想されます。『ジャガイモの歴史と社会的影響(The History and Social Influence of the Potato)』(レドクリフ・N・サラマン、1949年)では、「ジャガイモは、世界の半分以上の人々にとって、大昔からアイルランドとは切っても切れない関係にあります…..良きにせよ悪しきにせよ、アイルランドはジャガイモ文化の昔からの故郷であり(実際には他から導入されたのですが)、ジャガイモが国民生活や経済生活に与える影響を、アイルランドほど研究している国は他にありません」と記述されています。
 ジャガイモは他の場所からアイルランドに伝えられた作物ですが、アイルランドの地形はジャガイモ栽培にとても向いています。1657年には、イギリスの植物学者、ウィリアム・コールスが、自著『エデンのアダム、植物のパラダイス(Adam in Eden, or the Paradise of Plants)』のなかで、以下のように述べています。
「ジャガイモは....[イングランド内の]私たちの農園の多くで植えられていますが、その数は増えるよりはむしろ減少しています。しかし、アイルランドの土壌はジャガイモ栽培と非常に相性が良いため、成長も旺盛で、アイルランドの田畑にはジャガイモが生い茂っています」
 指定地域の歴史は、アルスター スコットランド人の2家族、ハミルトン家とモントゴメリー家の歴史と絡み合っています。1605年、ジェームス・ハミルトンとヒュー・モンゴメリー卿(後のアーズのモンゴメリー子爵)は、スコットランドで個人向け大農場事業を始めました。このとき、大農場事業の対象となった地域が、今日に至るまで、北アイルランドで最も有名なジャガイモ産地となっています。スコットランドから北アイルランドに移住した初期の時代については、ヒュー・モンゴメリー卿の孫、ウィリアム・モンゴメリーによる『モンゴメリー家の記録(The Montgomery Manuscripts)』に記載されています。このなかには、1606年の記録として、アイルランドにおけるジャガイモ栽培に関する最古の記録と思われる部分があります。
「奥方(ヒュー卿の妻、ジェーン・ショー)も、グレイアビー、コイナー(コンバー)、それからニュータウンで栽培しており、いずれも新しく入ってきた人達と彼女自身の家に供給するためにジャガイモを栽培していた。彼女は、耕作や納屋を建てるための男性労働者をうまく見つけ出した ....... 労働者には毎年イネ科の植物と十分な量の穀物を与え、さらには庭つきの家、亜麻とジャガイモを栽培するための土地を与えた」
 そこは、コンバー、グレイアビー、ニュートナーズを始めとする、ハミルトン家とモンゴメリー家の土地でした。この土地で、ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズが、今もなお栽培されています。もともとの大農園事業との歴史的なつながりは、いまだに多くのハミルトン家が、ニューシーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズを栽培していることからも明らかです。
 コンバーとその周囲地域は、ジャガイモ栽培の代名詞となってきました。1837年の陸地測量報告では、コンバーの農業は「主に、トウモロコシ、イネ科の植物、ジャガイモ、亜麻」と記録されています。
 コンバーの『バセッツ カントリー ダウンーガイド アンド ディテクトリー(Basset’s County Down – A Guide and Directory)』(1886年)では、以下のように記録されています。
「亜麻、ジャガイモ、およびオーツが、主要作物である。毎週火曜日にジャガイモ、乾牧草とわら、カブの市がある」
 コンバーの街は、コンバーのジャガイモの本場として宣伝されており、ジャガイモ栽培国の心臓部として説明されています。
 北アイルランド中のレストランが、メニューのなかで、ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズを、毎年最初に食べられる地元のジャガイモとして紹介しています。
 ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズの独特の風味に関する評判は、北アイルランド中(および、その他の地域)で広く知られているため、入手可能になっても、価格は高くなります。ニュー・シーズン・コンバー・ポテト/コンバー・アーリーズがいつ入荷されるかを知りたい地元消費者のため、最初のジャガイモが小売店に出荷されたときには、地元で報道されます。
北アイルランド議会議員のジム・シャノン(Jim Shannon)は、こう述べています。
「この地域で育ったので、幼い頃、ニューポテトが収穫されるのをわくわくした気持ちで待っていたことをよく覚えています。
成長してからも、バターと一緒に食卓に出されるニューポテトは、ただただ素晴らしいの一言です」
 グレイト ブリティッシュ メニューのファイナリスト、ダニー・ミラー(Danny Millar)はこう述べています。
「コンバー ポテトにはその存在を際立たせる、独特の味わいと品質があります。私のレストランでは、もちろん、コンバー ポテトを使っています」

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234