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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第175号)

更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

Swaledale Ewes Cheese(スウェイルデール・ユーズ・チーズ)


1 指定年月日  令和6年12月20日
2 指定番号  第175号
3 締約国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ)
5 農林水産物等の名称  Swaledale Ewes Cheese(スウェイルデール・ユーズ・チーズ)
6 農林水産物等の生産地  イギリス

 ノースヨークシャー(County of North Yorkshire)のスウェイルデール(Swaledale)
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
 スウェイルデール・ユーズ・チーズ(Swaledale Ewes Cheese)は、スウェイルデールで放牧された羊の乳から伝統的なスウェイルデールのレシピにより製造される成分無調整乳を使ったハードチーズです。
 このチーズには以下のような特徴があります。
風味:新鮮で、わずかに酸味があり、甘くて苦味がなく、マイルドですが独特な風味があります
色:   白色
状態:かなりしっかりしていますが、硬くはありません
食感:粗い口当たりで、しっとりしていますがポロポロした食感もあります
仕上がりと外観: 緑がかった青灰色のカビまたはワックスで覆われた伝統的な円筒形です


(2)生産方法
 チーズは、指定された地域の農場で毎日生産され、チーズ製造所に毎日配送される全脂肪羊乳から、一年を通して製造されます。
i) 羊乳はチーズ製造バットに供給されます。温度を28°Cに調整し、あらかじめ決められた量の乳酸培養物を加え、2時間熟成させます。
ii) 羊乳の凝固を促進するためにレンネットを添加し、1時間凝固させます。
iii)カードの酸性度が適切なレベルになったら、カードを立方体にカットし、28°Cの温度を維持しながら40分間手で攪拌します。
iv) カードを、ナイフでカットするのに十分固くなるまで安定させ、水気を切ります(それでも非常に湿った状態です)。
v) カードを30cm x 15cmのブロックにカットし、一定期間水分を排水します。
vi) カードを再び15cm x 15cmのブロックにカットし、2段に積み重ね、一定期間放置します。
vii)カードを小さな塊に手で砕き、モスリン(薄地の織物)を敷いた型に入れます。
viii) チーズを20°Cの温度で18時間軽くプレスします。約4時間後に1つの固まりになります。
ix) プレス後、チーズを型から取り出し、塩水計で85%溶液であることを維持しながら24時間塩水に浸します。
x) 塩水に浸した後、チーズから排水を行い、次のいずれかを実施します。
  a. 温度/湿度が管理された熟成倉庫に移し、最低3~4週間の間、2日ごとにひっくり返しながら熟成させます。
  b. 冷蔵倉庫に移して24時間保管し、その後ワックスで被覆を作り、5℃で最低3~4週間保管します。
xi) チーズは、販売するときに倉庫から取り出します。


[検査機関]
 Product Authentication Inspectorate Ltd (PAI)

(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 ヨークシャーデールズと同様に、スウェイルデールにも、この地域の地質学的構成や気候、牧草地のハーブや草を反映した独特の特性があります。これらすべてが組み合わさり、スウェイルデールに個性を与えています。
 スウェイルデール チーズは、何世紀にもわたり、その名の由来であるデールで製造されてきました。チーズ作りは、ほぼ1000年前に、ノルマンディーから地元の修道院に定住したキリスト教の修道士によって、最初にヨークシャーデールズにもたらされたと考えられています。修道士たちは、順番にチーズ製造技術をスウェイルデールの地元の農家に教え、スウェイルデール チーズが誕生しました。
 もともとスウェイルデール チーズは、スウェイルデール羊の乳から製造されていました。17世紀になると、乳牛がデールズに持ち込まれました。農家は、子牛を出産した母牛の余った牛乳を保存してチーズを製造しました。チーズは家族の食料として消費されましたが、食料雑貨店や雑穀商店で、食品や小麦粉と、チーズとを物々交換することもありました。
 18世紀になるまでに、数多くの乳製品製造所が開設されました。農場から収集された牛乳は乳製品製造所に運ばれ、チーズが大量に製造されるようになりました。これにより、スウェイルデールの農場でのチーズ製造は衰退を始めました。そして、2度にわたる世界大戦の後には、スウェイルデールの農場でのチーズ生産は、ますます衰退していきました。1980年には、伝統的なスウェイルデール チーズを生産するのは、スウェイルデールのリース北部のハーカーサイドに住むロングスタッフ(Longstaff)夫妻だけとなってしまいました。謎に包まれたレシピは、何世代にもわたり、その家族に受け継がれてきたものでした。
 1980年代初頭にロングスタッフ氏が亡くなると、ロングスタッフ夫人は彼女の持ち株を売却し、チーズ製造から引退しました。そのため、スウェイルデール チーズの生産は全く行われなくなってしまいました。
 1986年11月、ロングスタッフ夫人はリード(Reed)夫妻にオリジナルのレシピを提供しました。そして、自らがチーフテイスターとなり、本物のスウェイルデール チーズを再生産できるようサポートを開始しました。スウェイルデール チーズ カンパニー(The Swaledale Cheese Company)は、1987年2月にリード夫妻によって創業されました。それ以来、事業は年々成長を続けてきました。同社は現在、週に約1トンのスウェイルデール チーズを生産しています。そして、専門のチーズショップ、デリカテッセン、1社のスーパーマーケットチェーン、イギリス国内の様々な販売店にスウェイルデール チーズを供給しています。
 リード夫妻の目的は―他の地域でチーズを大量に生産し、それをスウェイルデール チーズと呼んでいる大規模な乳製品製造所を恐れることなく―伝統的なレシピで作られた本物のスウェイルデール チーズを生産し続けることです。かつてはイギリスの各地で生産されていた多くの伝統的なチーズに降りかかった運命。
 このチーズの特徴は、主にノースヨークシャーのスウェイルデールとして知られている地域の地理的環境に由来すると考えられています。デールの土地と気候により、牛を放牧する牧草地が育ちます。この牧草がチーズに独特の風味を与えます。これが、本物のチーズを製造するための不変のレシピと相まって、スウェイルデール チーズに独特の個性が生まれ、イギリス国内の専門家チーズ市場で非常に高い評価を受けるようになりました。スウェイルデール チーズの製造に使用される生乳は、すべてスウェイルデールで生産されています。
 スウェイルデールは、デール国立公園の一部であるペナインデールズ環境配慮地域(Pennine Dales Environmentally Sensitive Area、ESA)に位置しています。この地域には、イギリスで最も脆弱な生息環境である ー ヘイ メドウズ(Hay Meadows/干し草用の牧草地)― の代表的な区域があり、そこでは春の終わりから初夏にかけて多種多様な野生の花々が咲きほこります。この地域で放牧される牛や羊から生産される生乳には独自の風味があり、この風味は、この地域の生乳を原材料として生産されるチーズにも反映されています。


8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234