指定の公示について(指定番号第179号)
更新日:令和6年12月20日
担当:輸出・国際局 知的財産課
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。 |
Welsh Leeks(ウェルシュ・リーキ)
1 | 指定年月日 | 令和6年12月20日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 指定番号 | 第179号 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 | 締約国の名称 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4 | 農林水産物等の区分 | 第1類 農産物類 野菜類(リーキ) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 | 農林水産物等の名称 | Welsh Leeks(ウェルシュ・リーキ) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
6 | 農林水産物等の生産地 | イギリス ウェールズ(Wales) |
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7 | 該農林水産物等の特性、生産の方法その他の当農林水産物等を特定するために必要な事項 |
(1)特性
ウェルシュ・リーキとは、ウェールズで育成・収穫した(種又は苗から育てられた)リーキをいいます。
種及び苗は認定種苗会社から持ち込まれ、認定ナーセリー(accredited nurseries)で苗として育てられます。認定ナーセリーは各苗に必要な植物パスポート(plant passport)を提供します。
リーキはネギ属のAllium. ampeloprasumに属し、この植物の可食部分は束状の葉鞘です。ウェルシュ・リーキは単一の品種というより、複数のハイブリッド変異種(The hybrid varieties)を総称した製品です。ウェルシュ・リーキを生産するために用いたハイブリッド品種は、ウェールズの生育条件に最も適した品種です。
ウェルシュ・リーキは他の地域で生育したリーキと比べると全く異なる特徴及び明確な「外観の違い」を持っています。ウェルシュ・リーキの主な特徴は、その極めて長い独特の濃緑色の葉部位(フラッグ)ですが、これがリーキ全長の40%以上を占めています。その残りの茎部分は明るい黄緑色で、根に近いわずか10 - 20mmのみが白色です。
ウェルシュ・リーキを他地方産リーキと比べた場合のこうした顕著な違いは、カーディフ・メトロポリタン大学食品産業センターZero2Fiveが実施した、第三者官能特性解析によって注目され、小売業者、メーカー、消費者のいずれにも認識されています。
物理的な特徴
官能特性のサマリー – 第三者官能特性解析委員会によって確認された特性を下表に示します
官能特性
ウェルシュ・リーキ - 生 (‘Welsh Leeks’ - Raw)
ウェルシュ・リーキをスライス/調理した場合(蒸し煮) (‘Welsh Leeks’ sliced and cooked (steamed))
ウェルシュ・リーキは一般に収穫後24-72時間の瑞々しい状態で販売されます。高湿度冷蔵を利用すれば、顧客の要求に応じて短期間の冷蔵は認められます(最長4週間)。ウェルシュ・リーキはその後ウェールズでパッキングされ、顧客の要求に応じてフレッシュな状態でバラ売りまたは箱に入れて、卸売り業者、個人/大手小売り業者に販売されます。
ウェルシュ・リーキの品質は、特にウェールズの顧客に好まれ珍重されています。ウェールズの小売り業者の多くは、ウェルシュ・リーキを購入する時、その品揃えを顧客の嗜好に合わせて調整します。
ウェルシュ・リーキのサイズ、茎径、緑の葉の多さがウェールズの消費者に好まれるため、このリーキがカウル(スープ)や「リーキ入りポークソーセージ」等の有名なウェールズ料理の食材として選ばれています。
(2)生産方法
ウェルシュ・リーキの生産は、土地のローテーション(輪作)から収穫まで数多くの段階を経て行われます。
ローテーション
ウェルシュ・リーキは全てローテーションの対象となります。この場合、家畜が放牧される草地がローテーションの 30%~90%を占めている必要があります。このやり方をすれば自然な肥料や有機物が得られます。イングランド東岸を含む主なリーキ栽培地域で、リーキが家畜を介さない純粋な耕作地で育てられているのとは大違いです。
品種の選択
ウェルシュ・リーキの品種選択に影響するファクターとしてウェールズの生育条件、季節性(様々に異なる種まき時期、収穫時期があります)、そして、収穫高という観点から、最も適した品種が選ばれます。ウェールズで栽培されているリーキの作付面積は比較的狭いので、病害虫のリスクや発生は少ないと言えます。そのため、通常、病害虫に対する耐性を重視した品種選択は大きなファクターではありません。
ウェルシュ・リーキを育てる場合、一般に次の品種が使われますが、ここに挙げている品種が全てではありません。
・シャフトン(Shafton)
・クリプトン(Krypton)
・ベルトン(Belton)
・チーフトン(Chiefton)
・プラストン(Pluston)
・ラストン(Laston)
・ハウストン(Houston)
・リンクトン(Linkton)
苗床の準備
ウェルシュ・リーキを育てるには、良好な苗床と目の細かい耕土の最終耕作エリアが必要です。目の細かい耕土は根の発育を促進し最適化します。
種まき/苗植え
ウェルシュ・リーキは、種を直接畑にまくか、または苗床で発芽した苗を、耕作準備が整って土壌の温度が高くなる春初旬から中旬に植え替える方法が行われています。植替え用の苗には小型タイプと大型タイプがあります。一般に小型苗は大型苗の1/4のサイズです。小型苗は複数本まとめてテープに取り付けられており、植付けプロセスの迅速化が図られています。
大型苗の個体は、その高さが220mmに達し、幅が概ね鉛筆くらい(10mm)になると、通常そのまま最終耕作地に植え付けます。
ウェルシュ・リーキを苗から植える場合、より一貫した収穫高が見込まれ成功につながる確率が高くなりますが、初期費用が割高になります。
ウェルシュ・リーキはトラクター溝の間に、種類によって3列または4列で苗または種の植え付けをします。苗(小型苗又は大型苗)の場合、一般に3列の密度にすると1エーカー当たり苗 50,000本、4列にするとその約33%増しとなります。種を蒔く場合は、それより若干密度が高くなり、一般に3列蒔きで1エーカー当たり種67,000個、4列にすると1エーカー当たりその約33%増しとなります。
植え付け後の管理
除草剤
リーキは丈の高い紐状の植物であるため、分厚いグラウンドカバーを形成しません。そのため、雑草がはびこりがちになります。除草対策としては概ね機械的除草が行われていますが、必要な場合は除草剤の散布も認められています。
害虫と病気
ウェールズ地方ではネギ属の作付面積は小さいため、アブラムシの個体数は極めて少なく、病害虫の発生は少ないと言えます。ウェールズ地方で作物に病害虫予防を目的とした農薬散布が行われることは、極めてまれです。しかし、必要な場合は農薬散布も認められています。時おり発生する病気としては、雨天がちで多湿な時期に起きるサビ病や、ごくまれに起きるウドン粉病といったものに限られます。ウェールズ沿岸地方でリーキを栽培する場合、病害虫の発生率ははるかに低くなりますが、それは、大西洋からの強い風が疫病の広がりを防ぐためです。イギリスのその他の地方では、リーキはフザリウム感染症、フィトフソラ病、サビ病、白腐病といった病気や、アザミウマ、リークガ、ネギコガ、ミバエ等の害虫の被害を受けやすくなります。白腐病は土壌を媒体とする病気で、家畜の放牧が介在しないローテーションで密に植え付けされると起こりやすくなりますが、 これは、家畜の放牧される草地がローテーションの30%~90%を占めるウェルシュ・リーキでは問題になりません。
肥料
リーキ類は本来は肥料を多く必要とします。しかし、ウェールズで栽培されるウェルシュ・リーキは、作物に必要な栄養素の醸成をうながす牧草地のローテーションによって、天然の肥料を与えられています。輪作地に家畜を放牧することで、天然の肥料や有機物が取り込まれ、人工肥料の必要性を低減できるのです。それに対し、イギリス国内のリーキ栽培地の多くでは、リーキは一般に家畜を介さない純粋な耕作地で育てられています。
ウェールズの土壌で栽培されるリーキの主な要件は、pH値です。ウェールズの土壌は本来的に酸性土壌です。リーキの生育に必要なpH6-7という指標を達成するためには、pH値を上げるために石灰を加える必要があります。
灌漑
ウェールズの天候は湿度が高く、冬場の降水量が多いため、イギリスの他の地方とは異なり、リーキのための灌漑は極めてまれであり、例外的に乾燥したシーズンにのみ灌漑が行われます。
収穫
現在、ウェルシュ・リーキの大半は手作業で収穫されています。このため、ウェルシュ・リーキの栽培は商業的にはコストと労力が掛かります。小規模農家にとって収穫用機械は簡単に利用できるものではありませんが、将来的にテクノロジーが進歩すれば、小規模農家でも機械による収穫が可能になると考えられます。イングランド東岸及びヨーロッパ本土とは異なり、ウェールズでのリーキ栽培は往々にして狭い傾斜地で行われます。
リーキはかなり長い間、畑に植えておくことができます。春に蒔かれたウェルシュ・リーキは、その植え付けの時期に応じて、8月中旬から4月/5月まで収穫が可能になります。それ以外のリーキ栽培エリアと比較して、ウェルシュ・リーキは成熟するまでの期間が長く、その風味を十分に引き出せるまでに時間が掛かります。ウェルシュ・リーキは、望ましいサイズに成長したら収穫します。まだ成長し足りない個体は、大きくなって重量が増えるまで地面に植えたまま残します。リーキは冬季も穏やかな気候のもとで成長を続け、翌年の春まで畑に留まります。リーキは格別に丈夫な作物で、冬季も畑に残しておくことができます。ただし、霜の影響を受けやすく、霜の多い状態の中では成長が止まります。ペンブルックシャーの様な沿岸地域は霜の降りる日がほとんどないので、この作物の品質を保つのに役立ちます。
収穫後はリーキをすぐに洗浄してパック詰めします。ウェルシュ・リーキの大半は収穫したての状態で販売されますが、顧客の需要と供給のバランスに応じて短期間の冷蔵は可能です(最長4週間)。
パッキング
完全なトレーサビリティと正統性を確保するために、ウェルシュ・リーキのパッキングはウェールズで行われる必要があります。
また、ウェルシュ・リーキは、顧客の要求に応じて、バラ売りまたはパックに入れて量り売りで販売されています。
[原産地証明]
ウェルシュ・リーキはその種苗販売元から農園にくるまで完全なトレーサビリティを維持しています。その後も生育・収穫・販売の全段階でウェルシュ・リーキのトレーサビリティは維持され、「畑からフォークまで」(‘field to fork’) の完全なトレーサビリティが確保されています。
種子/苗から;
ウェルシュ・リーキは種または苗から育成されます。種及び苗は認定種苗会社から持ち込まれ、認定ナーセリーで苗として育てられます。認定ナーセリーは各苗に必要な植物パスポートを提供します。
ウェルシュ・リーキはその後全てウェールズで育てられ、これは各畑のOSグリッド・レファレンス(OS Grid Reference)に記録されます。
農場にて;
収穫直後、ウェルシュ・リーキを農場から出荷する前に、ウェルシュ・リーキの各バッチには、収穫日と収穫した畑、ウェルシュ・リーキの出荷元になるウェールズの農場名と住所を参照できる固有の番号が割り当てられます。顧客/消費者に完全なトレーサビリティを保証するために全ての情報が記録されます。
農場後の包装と流通;
ウェルシュ・リーキは大手スーパーやバイヤーに販売されます。ウェルシュ・リーキはウェールズでパッキングされ、顧客の要求に応じて、バラ売りまたはパックに入れて量り売りで販売されています。
トレーサビリティを含む農場後の保証は、英国小売業協会食品安全グローバル基準 (British Retail Consortium Global Standard for Food Safety)、またはそれに相当するものに準拠しています。このシステムは、処理および市場への流通までの全工程で製品ロットを特定し、追跡するために求められています。また、このシステムは、トレーサビリティを容易にするために、顧客に供給される農産物が適切にラベル付けされているか、または識別されていることを保証します。使用するシステムにより、原料ロット番号から完成品コードまで結び付けることが可能です。これにより、特定のバッチをリコールする必要がある場合などに、完成品を特定することができます。トレーサビリティシステムは、一次包装 (食品と直接接触する)、印刷された外包装材などその他の梱包材、加工助剤を対象としています。「将来」と「過去」の両方向性でトレーサビリティを提供し、少なくとも年に1回、トレーサビリティシステム全体の独立監査を実施しています。
[検査機関]
The City & County of Swansea
(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
ウェルシュ・リーキの品質と評判は、その産地であるウェールズに直接結びついています。
この地理的表示保護 (PGI)の申請は次の3つの要素に基づいています: -
・ウェルシュ・リーキは、それが生育し収穫される地理的地域に直接結びついた特性を持つ、独特の生産物です。
・ウェールズにおけるウェルシュ・リーキの栽培は難しく、特定のスキルを必要とします。そのスキルは指定の地理的地域に存在し、そこで開発されたものです。
・指定の地理的地域で育成され、その地域と結びついたウェルシュ・リーキの評判と歴史的重要性
ウェルシュ・リーキの特徴を定義づけるのが、この自然の要因と人的要因という2つのファクターの組み合わせです。
自然の地理的要因
ウェルシュ・リーキはそのウェールズの気候に適応した方法で栽培されており、最終的に独自の特徴を持つ特産品となります。
土壌と気候
リーキは商業的に栽培するのは難しい作物です。作物は概ね非常に肥沃な深い土壌で栽培しますが、リーキの生育期シーズンは比較的短く、迅速に成熟します。
しかし、ウェールズでは、リーキは主として農地区分等級(ALC)の第2等級または第3等級という、あまり肥沃でない土壌で育ちます。こうした土壌は比較的浅く、石が多く、とくにペンブルックシャーの様なウェールズの沿岸地域では、主に砂岩混じりの砂壌土質です。ウェルシュ・リーキは、こうした肥沃でない土壌で栽培されるので、根が深くまで延びず、あまり根が張りません。根の構造はその植物の安定性に影響を及ぼします。ウェールズ沿岸地域はしばしば強い南西の風にさらされます。ウェルシュ・リーキはこの様な生育環境に順応して、イギリスの他の地方の深い土壌で育つリーキと比べ、より幅広い胴囲を持つ「強い」リーキになりました。
その胴囲は38mmから 42mmもあります。この「太短い」リーキは、ウェールズ沿岸地域にしばしば吹き付ける時速70マイル以上の南西風にさらされても耐えることができるのです。風の強くない地域で栽培されるリーキは、丈の高い細長い作物になる傾向があります。
ウェルシュ・リーキを栽培するのに最も適した土地は、自然な排水が促進される傾斜のある土地です。ウェールズでリーキを栽培する場合、ウェールズは降水量が多いので、自然に排水できる土壌は極めて重要です。こうした畑に通常より多く雨が降っても、土壌の自然な排水特性により迅速に排水されます。リーキは、水に浸かった状態や水はけの悪い状態で育てるのに適さない作物です。自然に排水できる土壌は、種の発芽も早めます。ウェールズの降水量の多さ(年間の平均最大降水量が1,479mm)は、特別な状況がない限り、生育シーズンを通して、作物に灌漑を行う必要が無いことを意味します。
もう一つの大きな違いは、リーキが一般に家畜を介さない純粋な耕作地で育てられているのに対し、 ウェルシュ・リーキには牧草地ローテーションが適用され、家畜が放牧される草地がローテーションの 30%~90%を占めている点です。リーキは栄養に富んだ土壌を必要としますが、家畜の放牧でリーキの生育に必要な自然の肥料や有機物が土壌に取り込まれるため、人工肥料の必要性を低減できます。
ウェールズの沿岸諸州は、メキシコ湾流の北大西洋海流によって暖められた海からの温気の恩恵が受けられる、独特のロケーションにあります。メキシコ湾流は、フロリダの先端から始まる、力強く、温かく、流れの速い北大西洋の海流です。この海流により、イギリスの西海岸は東側より温暖です。このため、ウェールズ沿岸諸州は、内陸と比べて夏は冷たく冬には温かい海のおかげで、内陸部よりも均等かつ湿潤で穏やかな気候になっています。海からの温暖化効果により、この地方の土壌はイギリス国内の他のどの地域よりも早くから温かく、植物の成長を促進し、霜害を防ぎます。激しい霜害は、育ち始めたリーキに被害を及ぼす可能性があります。ウェールズの気候が温暖で均一であることは、ウェルシュ・リーキの成長にとって多大なる恵みとなります。
ウェルシュ・リーキは通常、2月下旬から5月にかけて植え付けが行われ、8月中旬から4月/5月までの期間に収穫されますが、中には最長12ヶ月も植えられたままのものもあります。均等で穏やかなウェールズの気候のおかげで、リーキを畑に残しておいても、品質に悪影響は及びません。これは、ウェルシュ・リーキがゆっくりと成熟し、生育シーズンが長いため、「ピリッとした」風味と「土っぽさのある甘くまろやかな香り」が醸成されるまで十分な時間があることを意味します。
1年の様々な時期に成熟する色々な品種があり、その収穫シーズンに応じて異なるロケーションが選ばれています。早植えの品種は沿岸近くのシェルターのある南向きの畑で栽培し、遅植えの品種は標高の高い土地で栽培し、リーキに種が付く時期を遅らせます。
ときには生育環境が厳しいウェールズでのウェルシュ・リーキの栽培は難しく、特定のスキルを必要とします。そのスキルは指定の地理的地域に存在し、そこで開発されたものです。
ウェルシュ・リーキには牧草地ローテーションが適用され、混合農地で栽培されますが、この様な農地は家畜の放牧にも農作物の耕地としても利用されています。これには、リーキの栄養面の要件と家畜糞尿の栄養的価値に対する理解が必要であり、また、この両者のバランスを取ること、そして、土壌のpHを5から最低でも6にまで改善することが必要となります。
(家畜を放牧した)牧草地を輪作地に組み込んだ場合と、家畜を介さない純粋な耕作地を輪作地にした場合とを比較すると、(リーキ栽培での)雑草による負担に大きな差が生じます。成功を生み出す重要なファクターの1つに、個々の雑草の種類を特定し、それが耕地で繁茂する前に根絶することが挙げられます。雑草は通常、リーキの3倍の速度で成長します。雑草駆除は主に農機を使った掘り起こしや人力による雑草抜き、そして必要な場合は除草剤の散布によって行われます。除草に使う除草剤の大半は、駆除できる雑草の種類が極めて限られています。除草剤は認められていますが、多くの除草剤はリーキの生育も遅らせて収穫高が減るため、除草剤の散布は避けられています。農学的な決定は全て、農園内及び外部の農業専門家により、原理と現実に対する知識を踏まえて行われています。
収穫-ウェルシュ・リーキの大半は人力により収穫されています。ブレードを下に置いて土壌を緩め、各チームが畝を歩きながら仕様に適合するリーキを選びます。板の下側に合わせて根を切り落とし、葉の一部をトリミングし、外側の葉を茎から取り除きます。その後リーキをすぐに洗浄してパック詰めします。小規模農家にとって収穫用機械は簡単に利用できるものではありませんが、将来的にテクノロジーが進歩して、狭い農地でも効果的に収穫できるようになれば、収穫用機械の利用も検討できると考えられます。
ウェルシュ・リーキの収穫に関わる主なスキルは次の通りです:
・生産計画に、シーズン全体を通して収穫できるような品種の品揃え、土壌タイプ、ロケーションを組み込んで、作物の連続性を確保します。
・顧客の要求に合わせて、収穫する作物の成熟度と収穫高を予測します。特に重要なのがウェールズの守護聖人である聖デビッドの日前後で、この時期にウェルシュ・リーキに対する需要は最大となります。これには、人が実際に作物をチェックする場合もありますが、畑・品種ごとの作物予測モデルや個別農業データを活用することもあります。
・人力による収穫では、畑を歩いて作物を複数回にわけて収穫することができます。こうすればより均一な作物を収穫し、収穫量を増やし、作物のロスを減らせます。
・温和なウェールズの気候の中でも、人力によるリーキの収穫は非常に重労働です。収穫チームは顧客の要求を理解しており、買い手が示す「ウェルシュ・リーキ」の仕様に適ったリーキを収穫します。
・大半のウェルシュ・リーキは収穫後24-72時間の瑞々しい状態で販売されます。シーズン中、ウェルシュ・リーキは畑から収穫されると、品質を維持するために、管理された環境の中で保管されます。これにより賞味期限が確保され、テレスコーピングのリスクが低下します。ウェルシュ・リーキは全て主な保管・パッキング施設近隣の耕地で栽培されることになっています。
評判と歴史
「国の象徴となる栄光に浴する野菜の数はそう多くない。しかし、リーキは何世紀にもわたりウェールズの文化と結びつき、今もなお、この国の料理で重要な役割を果たしている」 National Geographic Traveller 国際増補版 2021年10月
ブリテン島で錫の交易をしていたフェニキア商人が、ウェールズにリーキをもたらしたと言われています。これから始まり、この慎ましい野菜は数千年後には予想もできなかったほどの国家的地位へと上りつめたのです。リーキは、10世紀のウェールズ統治者Hywel Ddaの法の中でその名が挙げられている、数少ない耕作野菜の一つでした。
また、633年にヒースフィールドの戦いでサクソン族に勝利したウェールズ軍は、国の象徴としてリーキを身に付けており、そこからリーキはウェールズの民間伝承の一部となりました。紀元640年、ブリトン王Cadwalladerとその家来は侵略者のサクソン族と戦っていたと言い伝えられています。その時、デビッドという名のケルト人僧侶が、「味方を敵と見分けるために、カブトにウェルシュ・リーキを付けておきなさい」とウェールズ人兵士らに言い聞かせました。こうして兵士らは敵を打ち負かし、戦いに勝利をおさめました。その後、リーキはウェールズ人に幸運の護符と呼ばれるようになりました。僧侶デビッドは、ウェールズの守護聖人の聖デビッド(ウェールズではDewi Saint)となりました。
リーキがウェールズの国民的象徴となった理由を物語るもう一つの説は、「ウェールズの守護聖人の聖デビッドが奇跡的にリーキと水だけで生き延びていた」という俗信に由来しています。聖デビッドが生きていた中世には、リーキは健康的で高潔な植物だと見なされており、繊維質が多く、血液を浄化し、風邪を予防し、傷を癒す「尋常ならざる性質を持っている」と考えられていました。
中世にはリーキにまつわる神秘的な話もあります。ウェールズの娘たちは、「聖デビッドの日に枕の下にリーキを入れて眠ると未来の夫が夢に出てくる」と言われていました。後世のキリスト教の祭りである受難節の最中、肉が食べられない時期に、リーキが有益なビタミン源となって体力の維持に一役買っていたようです。
14世紀に恐れられていたウェールズの弓兵も、クレシーの戦いでリーキの緑と白にちなんだ軍服を着ていたことが知られています。
ウェルシュ・リーキ (そしてラッパ水仙)は、15世紀のバラ戦争の間、ウェールズの紋章として広く使われていました。チューダー家のヘンリー(のちのイングランド王ヘンリー7世)の紋章は緑と白だったので、ウェールズ人の従者も、その象徴的な緑と白の茎を持ったリーキとラッパ水仙の紋章を採用したと言われています。ウェールズではラッパ水仙は「ピーターの西洋ネギ(Peter’s Leek)」(ウェールズ語では「Cenhinen Bedr」)として知られています。リーキをウェールズの紋章とする最も初期の文献では、ヘンリー8世の娘であるメアリー女王が、1537年の聖デビッドの日にYeomanの衛士からリーキを渡された事が記されています。このウェールズの紋章としてのリーキに関する言及は、Account Book of Princess Mary Tudorに見られます。
ウェルシュ・リーキは各国の紋章と共にエリザベス2世の戴冠式のガウンに表されていましたが、ウェルシュ・リーキは今でも英国軍近衛師団の一部隊である近衛ウェールズ連隊の帽子バッジとして使われています。現在のウェールズ兵は、毎年聖デビッドの日には帽子にリーキを付けます。
ウェルシュ・リーキはウェールズの大手小売業者数社のリストに収載されています。とくにウェールズの消費者は、この商品にまつわる由来と、サイズ・太さ・豊かな緑色の葉といった独特の特徴に強い嗜好を示しています。この様なリーキの葉は、「強く瑞々しい風味」と「ねっとりと土っぽさのある、甘く、まろやかな香り」を醸し出すのです。
「この生活協同組合(Co-op)では地域の商品を採用する方針を取り入れており、会員様が求める地元の商品を提供しています。ウェシュ・リーキは主要商品の1つであり、ウェールズの中に数多くある素晴らしい生産地で古くより栽培されています。私どもの店舗に来られる会員様は、この野菜独特の緑色をした長い葉、強く土っぽい風味や瑞々しい香りを好まれます。それは古来ウェールズの消費者に求められてきたものなのです」生活協同組合(Co-op)バイヤー
ウェルシュ・リーキは、この地域とその由来を象徴する作物という評判を持っており、カウル(スープ)等あまたのウェールズ独特の料理レシピに登場します。また、ウェールズの食肉メーカーEdwards of Conwyは、リーキ入りポークソーセージ等の製品の食材として、つねにウェルシュ・リーキを指定しています。
「リーキはウェールズ産でなければなりません。この土地のリーキは他の地方のものと比べて、格別に甘い風味があり、我が社の香ばしいソーセージのシーズニングに最適の取り合わせです。柔らかな黄緑と白の茎、豊富な緑色の葉の比率により、ソーセージ全体にバランス良い風味と美しい緑色の斑紋を作り出せるわけです。とくにこのウェルシュ・リーキは、疑う余地なく栄誉あるグレートテイスト・アワード(Great Taste Award)を受賞した我が社製品の成功に貢献しています。」
Edwards of Conwy マーケティングマネージャー
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8 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2)登録商標 | - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3)指定商品又は指定役務 | - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4)商標登録の登録番号 | - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234