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農林水産省

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味の素株式会社

働き方改革インタビュー

   味の素グループは、「うま味」の発見を起点に、同社は、「おいしく食べて健康づくり」という創業の志のもと、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでおり、事業で産み出す未来の価値を、経済価値とSDGsで表わされる社会価値双方で表わすことを重視しています。

   この度、働き方改革の取組について、味の素株式会社 食品統括部スタッフグループシニアマネージャーの井上公司さん、人事部労政グループシニアマネージャーの菊地さや子さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

写真左:
食品事業本部 食品統括部スタッフグループ シニアマネージャー  井上公司様
写真右:
人事部 労政グループ シニアマネージャー  菊地さや子様
(2019年9月25日 味の素株式会社本社にて)
味の素の社内にて
写真左:
食品事業本部 食品統括部スタッフグループ シニアマネージャー  井上公司様
写真右:
人事部 労政グループ シニアマネージャー  菊地さや子様
~更なる先進的働き方を目指して~

背景、きっかけ

   弊社の働き方改革は、当初はワークライフ・バランス(WLB)の従業員の相互理解の普及として2008年から始め、各種の制度整備を進め、2014年にはコアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)の無いスーパーフレックス、時間単位有休制度、在宅勤務制度などを導入してきました。

   その後、弊社の取組は2016年に大きな転換期を迎えます。そのきっかけは、ブラジル味の素社の社長だった西井が、2015年夏に味の素社の社長に就任したことでした。西井は、「ブラジルでは家族との食事の時間を大切にし、また子供の有無に関わらず女性が仕事のキーポジションに就き、生産性の高い働き方をしている。一方日本に帰ってきたら、相変わらず残業が多く生産性の低い働き方で、これではグローバルの中で取り残されていく。」という問題意識が強くありました。
   こうして、まず長時間労働を解消するため、2016年からゼロベースでの働き方改革を開始しました。残業を前提とした働き方から脱却するためには、一人ひとりの働き方やくらし方の意識を変えることが必要であり、また、生産性向上のみを意識するのではなく、従業員自身の人生が充実していることが重要です。このため、働き方改革で生まれた価値(原資)は、人財に再投資するという方針のもと、経営主導で行うマネジメント改革と、個々人が取り組むワークスタイル改革の両輪を進めています。

働き方改革で生まれた価値

経営主導の「マネジメント改革」

   マネジメント改革として、まず推進体制を刷新し、人事部、経営企画部、情報企画部を事務局としました。これまで人事部主導でしたが、経営企画部の参画によって組織としての意思決定が早くなり、情報企画部の参画によって、軽量PCやスマートフォン等の業務ツールの社員への貸与についても、よりスピーティーに対応が可能となりました。
   また、部署ごとの業績評価の目標に「時間生産性」(総実労働時間1,800時間)を掲げたことにより、組織として時間生産性の向上に取り組むようになりました。
   会議については、参加範囲や頻度の見直しを行いました。経営会議は、これまで資料に間違いがあると微細なものでも印刷し直しをしていましたが、ペーパーレス化により、紙の差し替えも無くなり、時間もコストも削減されました。社内の公式会議の標準時間帯も、9時から16時までとし、金曜日の午後は、その週の振り返りや翌週の準備、有休取得に充てられるよう、公式会議を行わないことを原則としています。
   メールについても、これまでは、各種文書を一斉配信していましたが、処理に要する時間が膨大であったため、一斉配信文書を掲示板化し、必要な情報を必要に応じて各自が閲覧する方式に変更しました。

   働き方改革には、職場における課題を吸い上げる場として、部署ごとに開催する「職場懇談会」も活用しています。職場懇談会は、もともと労使の取組として開催していたものですが、総実労働時間1,800時間の目標を達成するには、どのように削減すればよいか、職場の課題はどこにあるのかを徹底的に検討し、職場でできることは職場で解決する、職場で解決できないことはマネジメント層に意見しています。前述の会議改革やメール改革も、ここから意見が上がったものです。

個々人が取り組む「ワークスタイル改革」

   個々人が取り組むワークスタイル改革は、「所定労働時間の短縮」、「どこでもオフィス」、「始終業時間の前倒し」の三位一体で進めています。

所定労働時間の短縮、始業時間の前倒し

   まず、所定労働時間について、2017年3月までの7時間35分を、2017年4月から20分短縮して7時間15分にしました。給与は変えず、実質14,000円相当の賃上げです。加えて、正社員の基本給を1万円ベースアップし、パートタイマーの時給もアップしました。
   また、所定労働時間の短縮に伴い、始業時間を8時45分から8時15分に、終業時間を17時20分から16時30分に前倒ししました。これにより、終業後、17時台には退社する人が増えています。
ワーキングマザーも、肩身狭くなく退社できますし、育児短時間勤務制度からフルタイムに勤務時間を変更する人も出てきました。
   併せて、本社ビルの消灯時間についても段階的に前倒ししています。その都度、従業員から無理だという声もありましたが、やってみたら意外とできた、やってみると身体が楽、家族との時間が増えてよかったなど、実際にやってみて効果を体感することが多く好評です。現在は19時消灯であり、かなり早く帰る意識が定着しています。

どこでもオフィス

   2017年4月より、全従業員を対象に、テレワークの実施場所や利用回数の上限を大幅に緩和した「どこでもオフィス」を導入しています。育児、介護等の様々な事情の有無に関わらずオフィスに出勤せずに働くことができるほか、不要な打合せや事業所間の出張も減ったという効果も出ています。
   また、台風や大雪の場合には、これまでは何とかして出勤しようと駅で2~3時間待つ人もいましたが、テレワークをすれば、その分自宅で仕事ができます。また、夜に台風や大雪がくる場合には、早く帰宅し、自宅で仕事をすることもできます。
   社外との接点を増やして自身の視野を広げ新たな価値を創造する、自律的に働く場所と時間を選択して生産性を最大化し、通勤時間の削減分を仕事や育児・介護に充てて両立することができます。

フリーアドレスなど

クリップを付けて仕事をするクリップ付きのカードをパソコンに装着

   2018年度には、本社でフリーアドレスを導入しました。固定席に縛られず、自身が所属している組織や分野の枠を越えてつながるイノベーディブな業務スタイル、働き方の高度化を目指しています。
   フリーアドレスを導入すると、どこの部署だか分からない人が隣に座ることもあるので、表に部署を、裏に簡単な自己紹介を記載したクリップ付きのカードをパソコンに付ける工夫をしています。
   また、フリーアドレス化やペーパーレス化に伴い、オフィスの総面積に占める書類を保管していたキャビネットや倉庫の面積の割合が減り、逆に、執務スペースを増加(35%→50%)することができました。
   その他、領収書・請求書の申請の電子化に取り組んでおり、これまでは、営業から会社に戻り、経費の申請書等を印刷して、ホッチキスで留めて…という作業を行っていましたが、いつでも、どこからでも、携帯端末のカメラでレシート等を撮影・送信するだけで経費の申請が可能になりました。領収書・請求書の電子申請は、営業部門から始め、2019年度中には全社に展開する予定です。今後も引き続き、紙を出さない、紙に縛られない働き方を進めていきます。

フリーアドレス化やペーパーレス化

生産部門での取組

在宅勤務等の推進

   「生産部門でも在宅でできる仕事があるよね」ということで、日勤者の棚卸データ入力、生産計画資料作成などの事務作業の在宅勤務を進めています。
   また、生産部門のマルチスキル化の取り組みにより、交替勤務者でも時間単位有休を取得し、その分を日勤者がカバーしたり、さらに、在宅勤務にもチャレンジしています。
   まだ事例は少ないですが、生産部門では難しいと思われがちな在宅勤務なども工夫次第で働き方改革の取り組みは可能だと思います。

ICT技術の活用

   工場のパトロールについては、従来、決められたコースを回り、現場計器の指示値のチェックや五感による判定を行い、その結果をメモし、パトロール終了後に記録書に手書きで記録していました。しかし、これには、教育・習熟が必要だったり、パトロール項目を忘れたり、メモを取り忘れてしまったり、作業結果として不完全という課題がありました。現在は、ICT技術を活用することで、あらかじめ設定されたガイダンスに沿ってパトロールし、確認結果も音声入力できるので、メモの必要がなく、作業報告書も自動的に作成され、誰でも簡単に確実にパトロール業務をできるようになりました。

ICT技術の活用

   また、交替勤務の方が勤務を交替する際の申し送りや、全体ミーティングの内容の周知においても、PC動画録画ソフトや360度VRカメラを活用し、効率的・効果的なものとしています。
   その他、全工場一体プロジェクトとして、九州事業所では「カエル!KYUSHUプロジェクト」を推進しています。
   みんなが楽しく参加できる雰囲気づくりのため、カエルをキャラクターとし、また、意識を変えるために、「業務の視える化ボード」により、時間、優先度、業務進捗を視える化したり、早く帰りやすくするために、「早くカエルボード」で早く帰る人をみんなで共有しています。
   有休を取りましょう、早く帰りましょうと、文書やメールで推奨されてもなかなか進みませんが、みんなで取り組むムーブメントを作っていくことが重要だと思います。

総労働時間の縮減、退社時間の早期化等

   このような働き方改革に取り組んだ結果、総実労働時間も着実に減っており、2016年には18時前に退社する人は50%でしたが、2017年には75%に増加しています。
   また、空いた時間を研修やマネジメントスクールに通う時間に充てる人も増えています。

今後

   2019年度の目標である「平均総実労働時間1,800時間」の達成については、ある程度目処がつき、「どこでもオフィス」も概ね順調に進んでいます。今後は、平均総労働時間の1,800時間の中身(=質)を高めることに注力し、2020年度までの社内資料完全ペーパーレス化、既存の組織や分野の枠を越えた働き方の推進を通じ、働き方の行動姿勢を変え、速く決めて速くやる風土、よりイノベーションの萌芽を生む先進的な働き方の実現を目指しています。
   「時短」や「どこでもオフィス」は見た目にも分かりやすく、施策の打ちようもありますが、質を変えるのはかなり難しく、日々、悩みながらアイデアを考えています。
   例えば、「やりたいことをやるために止める仕事を決める」ということで、「Let’s働き方改革2018」(既述の職場課題検討会のバージョンアップ版)で取り上げられた未解決のテーマに全社横断的に取り組んでいくため、経費処理方法の見直し等について検討しています。
   また、2019年度は、まず公式会議を含めた社内会議や打合せの完全ペーパーレス化を進めます。
   さらに、意思決定等を速くするため、メールからビジネスチャットへ移行し、もっとコミュニケーションをフラットにしていこうと考えています。

平均総実労働時間
味の素株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました。

そのほか、SDGsの取組に関するインタビュー記事もありますので是非そちらもご覧下さい。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/ajinomoto.html#com_top

お問合せ先

食料産業局企画課

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