第4節 栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践の推進
「日本型食生活」とは、ごはんを中心に魚、肉、牛乳・乳製品、野菜、海藻、豆類、果物、茶といった多様な副食等を組み合わせて食べる食生活をいいます。
日本の気候風土に適した多様性のある食として地域や日本各地で生産される豊かな食材を用いた日本型食生活には、旬の食材を利用して季節感を取り入れることや、地域の気候風土にあった郷土料理を活用すること、ごはんを中心に洋風や中華風など多彩な主菜を組み合わせることにより、幅広く食事を楽しむ要素があり、かつ、栄養バランスに優れているといったメリットがあります。
近年ライフスタイルが多様化しており、家庭での調理のみを前提とせずに、ごはんと組み合わせる主菜、副菜等に、中食、冷凍食品、レトルト食品、合わせ調味料などを活用することで、日本型食生活を実践することが可能です。
農林水産省では、これら「日本型食生活」の実践等を促進するために民間団体の実施するモデル的な食育活動や地域の実情に応じた食育活動に対する支援を行っています(事例:ショッピングモール、クッキングスクール、人間ドックにおいて“内臓脂肪をためない”「スマート和食®」という食事法の提案の啓発と実践を推進 参照)。
事例:ショッピングモール、クッキングスクール、人間ドックにおいて“内臓脂肪をためない”「スマート和食®」という食事法の提案の啓発と実践を推進
静岡県立大学
花王株式会社

スマート和食の教材
静岡県立大学と花王株式会社は、「新たな食環境に対応した食育活動モデル推進事業(*1)」を活用し、ごはんを中心に多様な食材をバランス良く食べる日本型食生活の考え方をベースに、食事の量を減らすことなく余分な内臓脂肪を減らすことを目指して自ら開発した食事法「スマート和食」の啓発活動に取り組みました。
まず、平成28(2016)年9月~平成28(2016)年11月にかけて、内臓脂肪の測定とセミナーを組み合わせた啓発イベントを、山形県のショッピングモールにて、2か月の期間を置いて2回開催しました。延べ807名の来場者が参加して、その場で内臓脂肪面積値が得られる医療機器で内臓脂肪を測定し、一人一人に簡単な生活改善目標を立てていただくとともに、生活改善への動機付けのためのセミナーを実施しました。セミナーでは、ごはんを中心に野菜、魚介、大豆などを積極的に摂取する「スマート和食」の食べ方と、スマート和食の食卓を作るための『買い物』の仕方を学んでいただきました。
また、平成28(2016)年9月にクッキングスクールにおけるスマート和食の体験モデル事業「おいしく食べても太りにくい!スマート和食レッスン」を静岡で開催し、30歳代から50歳代までの女性8名が参加しました。初回のレッスンで内臓脂肪を測定した後、約2か月をかけて自身の食習慣を見直しつつ、講義や調理実習・試食のレッスンを6回繰り返し、身体の変化を観察することによって、“しっかり食べて太らない”「スマート和食」の長所を実感していただきました。
*1 「日本型食生活」の普及・実践や、農林漁業体験による食や農林水産業への理解増進を通じた消費拡大を図るため、民間団体が実施するモデル的な食育活動を支援することを目的として農林水産省が平成28(2016)年度に実施した事業。
また、静岡の2か所の健診施設において、約6千人の人間ドック受診者を対象としてスマート和食教材を用いて日本型食生活の啓発を行うとともに、内臓脂肪を測定してその結果を説明しました。事業の成果を評価するため、内臓脂肪測定前に日本型食生活の実践状況を調査し、内臓脂肪測定後に、日本型食生活への関心向上等の調査を実施しました。その結果、内臓脂肪測定により、日本型食生活への関心が高まることが示され、今回の事業を通して、日本型食生活の良さについての再認識が図られました。
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