第8章 調査、研究その他の施策の推進
厚生労働省では、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため、国民健康・栄養調査を毎年実施。平成27年には、社会環境の整備の状況を主要テーマとして調査を実施し、その結果を平成28年11月に公表。
文部科学省では、国民が日常摂取する食品の成分に関する基礎データを提供することを目的として日本食品標準成分表を作成。平成28年度は、日本人の伝統的な食文化を代表する食品、健康志向を反映した食品、現在の食習慣の中で食べる機会が増えた食品など45食品を追加等し、食品数や成分項目の内容を更に充実。
農林水産省では、食育を推進する上で必要となる農林漁業の姿や食料の生産、流通、消費に関する基礎的な統計データや意識調査の結果等を広く国民に提供。
コラム:平成27年国民健康・栄養調査結果の概要
平成27年の国民健康・栄養調査では、重点項目として、社会環境の整備の状況について把握。
このうち、食・食生活に関する調査結果は以下のとおり。
〈若い世代ほど栄養バランスに課題〉
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べることが、「ほとんど毎日」の割合は、男性47.6%、女性52.7%。年代別にみると、男女ともに若い世代ほどその割合が低い傾向。
また、特に20~30歳代の女性では、たんぱく質、カルシウム、食物繊維及びカリウムなどの摂取量が60歳以上に比べて少ない傾向であるという特徴。


今後も、国民健康・栄養調査では、引き続き実態の把握を行い、様々な取組の推進に役立つデータを発信。
コラム:「食生活及び農林漁業体験に関する調査」について
「食生活及び農林漁業体験に関する調査」では、「食生活指針」の認知度・実践度、農林漁業体験への参加経験割合等について全国の20歳以上を対象に調査を実施。
農林漁業体験への参加経験(本人または家族)の有無と「食生活指針」の実践度との関連については、農林漁業体験への参加経験があると回答した人の方が「食生活指針」の実践度が高い傾向。

政府は、我が国の食育の理念や取組等を積極的に海外に発信し、「食育(Shokuiku)」という言葉が日本語のまま海外で理解され、通用することを目指している。特に近年、「食育(Shokuiku)」に対する各国の研究者の関心は高く、研修や共同研究を通じてその手法や成果を世界に発信。
官民連携による「栄養改善事業推進プラットフォーム」が、平成28年9月に独立行政法人国際協力機構(JICA)と一般財団法人食品産業センターを共同議長として正式に発足。
事例:2017年冬季アジア札幌大会におけるフードレガシーを活かした食育
平成29年2月「2017年冬季アジア札幌大会」が開催された。
本大会では、フードレガシーを「HOT(ほっと)(ほっと)ネットワーク~広げよう世界へ、つなげよう未来へ~」と決め、この最高の舞台をサポートするため、大会参加アスリートや関係者に対して、北海道の食材利用による、安心で心のこもった、スポーツ栄養にも配慮した食事を提供し、情報を発信。
また、大会開催100日前記念イベントと合わせて、北海道の食材の魅力を知ってもらうこと(→広げよう世界へ)、北海道の食を支える人材育成(→つなげよう未来へ)を目的とした食育イベント「HOT(ほっと)・ほっと北海道レシピコンクール」を開催。調理審査では、入賞レシピをイベント会場に展示するとともに、来場した市民にも投票してもらった。これらのレシピは、実際に選手や関係者が滞在するホテルでも提供。
今回の機会を通じて、食の未来の担い手となる学生達が、北海道の食材を使用し、市民やアジア大会参加者にPRできたことは、フードレガシーを活かした食育にもつながった。
コラム:官民連携「栄養改善事業推進プラットフォーム」の設置

平成28年9月、官民連携による「栄養改善事業推進プラットフォーム」が発足。
民間企業を中心に、共同議長であるJICA、食品産業センターのほかJETROなどの政府関係機関、学術研究団体や学識経験者、NGO、コンサルタント等が参加し、関連情報を共有・発信しつつ、企業のアイデアを基にして案件を形成。関係省庁は政府内に作業部会を設置し、プラットフォームが進める具体的事業への支援や要望や提案に応じた支援策を検討する。
このように、官民連携の枠組みの中で国際的な栄養改善事業を推進していくことで、途上国への支援の役割を果たすとともに、日本の経済成長にも寄与し、世界の栄養改善に継続的に貢献する。
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