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農林水産省

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3 国際的な情報交換等


食品安全委員会では、年に数回、海外から有識者を招いて意見交換会や勉強会を開催しており、国際的に活躍されている方々から食品の安全性に関する最新の知見を直接聞くことができる貴重な機会となっています。平成29(2017)年4月には、「食品安全のための科学的国際協力の未来には何があるのか」と題して、欧州食品安全機関(EFSA(*1))と食品のリスク評価分野における国際協力について議論する国際会議を開催しました。本会議では、日本、東南アジア及び欧州のリスク評価機関が参加し、それぞれが直面している問題、現在の取組及び今後の展望について認識を共有するとともに、食品のリスク評価分野における今後の効果的な国際協力の在り方について議論しました。

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所では、「栄養と身体活動に関するWHO(*2)協力センター」として、アジア太平洋地域の研究機関等とのネットワークづくりを目指して研究交流を継続的に行っています。平成29(2017)年3月に日本学術会議IUNS(国際栄養科学連合)分科会、公益社団法人日本栄養・食糧学会、特定非営利活動法人日本栄養改善学会と国立健康・栄養研究所の4団体共催にて開催した「IUNS栄養学のリーダーシップ育成国際ワークショップ(会場:国立健康・栄養研究所)」は、平成22(2010)年9月、平成26(2014)年3月に続いて日本で第3回目の開催となったものであり、アジアを中心とする海外から20名、国内から20名が参加しました。全体テーマ「Food environment and food choice for disease prevention(疾病予防のための食環境と食選択)」の下で、講演、関連施設の見学、グループワークで構成される3日間のワークショップが進められ、関連施設の見学では我が国のスーパーマーケットにおける食環境整備の取組事例視察及び学校レベルの食育の現場視察を行いました。

IUNS栄養学のリーダーシップ育成国際ワークショップ(平成29(2017)年3月7日~9日)

IUNS栄養学のリーダーシップ育成国際ワークショップ
(平成29(2017)年3月7日~9日)

*1 European Food Safety Authorityの略

*2 World Health Organizationの略

コラム:オリンピック・パラリンピック栄養プロセス

平成25(2013)年成長のための栄養、パネルディスカッションの様子

平成25(2013)年成長のための栄養、
パネルディスカッションの様子

平成24(2012)年英国にてロンドン・オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。英国政府はこの機会を利用して、国際社会における栄養改善への取組を加速させるために、国際的な取組として、「オリンピック・パラリンピック栄養プロセス」を開始しました。このとき開催された「オリンピック飢餓サミット」は英国政府のみならず、次回オリンピック開催国であったブラジル政府も共催として加わり、平成28(2016)年までに発達阻害(stunting)の子どもの数を2千5百万人まで減らすことを、各参加国、国際機関等と共に約束しました。

我が国はこの「オリンピック・パラリンピック栄養プロセス」に平成25(2013)年から参加しています。この年、英国が議長国となったG8ロック・アーン・サミットのサイドイベントとして、「成長のための栄養(N4G(*1)):ビジネスと科学を通じた飢餓との闘い)が開催されました。本イベントの成果文書として「成長のための世界的な栄養コンパクト」が作成され、2020年までに、少なくとも2千万人の子どもを発育阻害(stunting)から守り、170万人の命を救う、という目標が設定されました。我が国はこのとき、官民連携のもと世界の栄養改善に取り組むことを約束し、この約束が「栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)」の設立へと繋がりました。

平成28(2016)年のリオ・デ・ジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会では2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催国である我が国も加わり、ブラジル政府、英国政府と共に「N4G:全ての人々の健康な食へのアクセス促進の為の行動で栄養不良に対する進捗を加速させること」を共催しました。また平成29(2017)年には、かねてから栄養問題に関心を払ってきたイタリア政府が、本プロセスに賛同し、G7ミラノ保健大臣会合のサイドイベントとして、「国際栄養サミット」を開催しました。我が国は2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会開催国として、同年に栄養サミットを開催する予定です。このように、栄養改善に対する国際社会の関心は年々高まってきています。

*1 Nutrition for Growthの略

事例:「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)」への日本の貢献

独立行政法人国際協力機構(JICA)

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、平成28(2016)年8月に「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」事務局とともに立ち上げた「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)」を通じて、栄養改善のための国際協調の枠組みを強化しています。栄養改善は保健活動の一部とみなされがちですが、国連児童基金(UNICEF(*1))は、病気と食料不足の両方が子供の栄養不足の主要因であると定義しており、食を通じたアプローチの重要さが注目を集めています。これを踏まえIFNAは、栄養改善活動の中に「食と農業」を明確に位置付けることを提唱し、それに関わる現場行動を支援しています。平成29(2017)年度はアフリカ21か国及び国際機関等から163名が参加する第1回パートナー会合を開催し、また、アフリカ10か国において、IFNAを進めるための国別戦略の策定を支援しました。

我が国では、約130年前に一部地域から学校給食が始まったとされますが、現在では食育と組み合わせた実施となっており、重要な栄養教育の取組のひとつとして海外でも紹介されています。また、従来の米と魚中心の食事に肉や牛乳、果物等が加わって、昭和50年代ごろに確立した「日本型食生活」は、バランスのとれた食文化として国際的にも評価されてきました。JICAはIFNAの一環として海外から研修員を招聘して、これらの事例を「農業を通じた栄養改善」コースの中で紹介しています。

このように、食と農業を通じた栄養改善アプローチは日本にも存在しており、その考え方や経験は、アフリカの栄養改善にも参考となることが期待されています。

栄養改善のための“畑がなくてもできる野菜栽培”(マダガスカル)

栄養改善のための“畑がなくてもできる野菜栽培”
(マダガスカル)

*1 United Nations Children's Fundの略



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