2 海外における食生活の改善等
世界では現在、約8億人が栄養不足に苦しんでおり、その大半が開発途上国で暮らしていると推計されています。
このような窮状を改善するため、我が国は様々な形で取組を行っています。政府としては、食糧不足に直面している開発途上国からの援助要請を受け、食糧援助規約に基づき食糧援助を実施しており、平成28(2016)年度には二国間又は国際機関との連携で94.3億円(平成27(2015)年度95億円)の支援を実施しました。また、我が国は、国連食糧農業機関(FAO)に対して、平成29(2017)年度に約58億円の分担金を拠出するとともに、国連世界食糧計画(WFP(*1))に対して、難民や被災者に対する緊急食料支援等を行うために、平成28(2016)年度には約140億円を拠出しました。
また、我が国は、平成29(2017)年12月に国際社会におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を促進するため、UHCフォーラム2017を開催しました。本フォーラムでは水・衛生分野とともに栄養分野をUHC達成のための重要な基礎分野として取り上げました。また、我が国が2020年に栄養サミットを開催することを宣言しました。このような取組を通して、我が国は引き続き栄養改善の重要性を国際社会へ訴え続けていきたいと思います。
さらに、官民連携による栄養改善の取組の国際展開を推進するため、平成27(2015)年3月に健康・医療戦略推進本部の下に栄養改善事業の国際展開検討チームが設置され、検討の結果、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて世界的な栄養改善の取組を強化するために、平成28(2016)年9月に官民連携「栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP(*2))」が設立され、活動を行っています(ホームページ:http://njppp.jp/)(外部リンク)。設立以降、NJPPPには約50の民間企業及び団体が加入し、営利事業として持続可能なモデルを構築することを目指して一体的に活動しています。平成29(2017)年にはインドネシアやカンボジアなど東南アジアにて、現地政府の協力の下、職場食を通じた栄養改善プロジェクトを発足させました。本プロジェクトでは主に、日本企業が運営する工場に勤務する若年女性労働者を対象とし、衛生・栄養教育などと組み合わせながら栄養バランスのとれた職場食を提供し栄養改善に寄与することを目的としています。結果として、プロジェクトを導入した工場では、職員の欠勤率の減少や生産性の向上が期待されています。
加えて、JICAは、平成28(2016)年8月に開催されたTICAD(*3) VIにおいて、「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA(*4))」を立ち上げました(コラム:「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)」への日本の貢献 参照)。本イニシアチブは、マラボ宣言及び持続可能な開発目標(目標2及びその他)の掲げる「飢餓の根絶と栄養状態改善」を考慮し、アフリカにおける飢餓と栄養不良の克服を図るために必要な国際社会の取組を加速化するものです。平成29(2017)年には重点国における実情や課題を踏まえたアクション・プランの策定を進めたほか、南アフリカの「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD(*5))」事務局に、IFNA事務局を開設しました。今後、農業・食料アプローチに焦点を当てたマルチセクターの栄養改善の取組を推進します。
NJPPPはこのIFNAとも連携を図りながら、こうした我が国の官民が持つ技術・ノウハウを活用し、持続性の高い栄養改善の取組を世界各国で支援していく予定です。
*1 United Nations World Food Programmeの略
*2 Nutrition Japan Public Private Platformの略
*3 Tokyo International Conference on African Developmentの略
*4 Initiative for Food and Nutrition Security in Africaの略
*5 New Partnership for Africa's Developmentの略

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