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農林水産省

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3 若い世代における食生活の現状


第3次基本計画において定められている数値目標のうち、若い世代に関連するものが4つあります。「朝食を欠食する若い世代の割合」、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」、「地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している若い世代の割合」、「食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する若い世代の割合」です。

(朝食を欠食する若い世代の割合)

朝食を欠食する(「週に2~3日食べる」及び「ほとんど食べない」)若い世代の割合については、令和2(2020)年度までに15%以下とすることを目指しており、令和元(2019)年度は25.8%でした。特に若い世代の男性では、31.5%が朝食を欠食、そのうち「ほとんど食べない」と回答した人の割合は21.0%と、5人に1人が朝食をほとんど食べていませんでした。また、「ほとんど毎日食べる」と回答した若い世代の割合は男性58.0%、女性69.2%であり、他の世代に比べ低値でした(図表1-7)。

図表1-7 朝食の摂取頻度(性・年代別)

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朝食を食べていない人(「ほとんど毎日食べる」と回答した人以外)に朝食を食べるために必要なことを聞いたところ、若い世代においては、男女ともに「朝早く起きられること」をあげる人が最も多く、次いで多いのが、男性では「自分で朝食を用意する時間があること」、女性では「朝、食欲があること」でした(図表1-8-1、1-8-2)。

図表1-8-1 朝食を食べるために必要なこと(男性・年代別)

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図表1-8-2 朝食を食べるために必要なこと(女性・年代別)

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事例:大学と連携した若い世代への食育推進事業
~朝食摂取に着目した取組~

長崎県

令和元(2019)年度の各大学の取組

令和元(2019)年度の各大学の取組

長崎県では、大学と連携し、学生自らの企画・提案による食育普及啓発活動を実践することで、学生を中心とした若い世代の食に関する興味、関心の向上を図るため、「大学と連携した若い世代への食育推進事業」を実施しています。平成30(2018)年度から長崎県内の4つの大学(長崎大学、長崎県立大学、長崎国際大学、活水(かっすい)女子大学)の学生と大学教員及び県職員で構成する大学生食育向上委員会を年4回開催しています。学生自らが、若い世代の食生活に関する課題抽出とその課題解決のための事業企画を提案し、学生の食生活の現状把握のためのアンケート調査項目の検討、若い世代向け朝食レシピ集のレイアウトの検討、食育に関する情報発信方法の検討等を行っています。

朝食に関する料理教室の様子

朝食に関する料理教室の様子

三角立て広告による食育の啓発活動

三角立て広告による食育の啓発活動

学生が運営するSNSで掲載している朝食メニューの一例

学生が運営するSNSで掲載して
いる朝食メニューの一例

平成30(2018)年度は、一人暮らしでも時間をかけず調理できる朝食レシピ集を学生のアイデアを取り入れながら作成しました。令和元(2019)年度は、学生が朝食摂取や健全な食生活の重要性を理解できるような啓発ポスターや三角立て広告の作成のほか、朝食を食べる習慣のない学生を対象として、朝食の必要性に関する講話や料理教室を実施しました。さらに、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)(*1)を利用したレシピ集の紹介や学園祭での朝食メニューの試食・販売など、学生を中心に若い世代に対して積極的に広報活動を行いました。

SNSを見た学生からは「美味(おい)しそう」、「作ってみたい」という声や、料理教室に参加した学生からは「習った朝食メニューを自分でも作ってみた」などの反響があり、各大学での取組が学生の朝食に対する意識改革につながっていることがうかがわれました。

この活動に参加した学生委員からは、「活動を通して、食育について深く考えるようになった」、「健康に関心が低い人を導くことや、同世代に働きかけることの難しさを知った」という声が聞かれました。また、今年度で卒業する学生委員からは、この活動を後輩につなげていきたいとの意見がありました。

今後も、学生が主体となって、若い世代の食生活の課題を解決するための取組を進めていきたいと考えています。

*1 登録された利用者同士が交流できるウェブサイトの会員制サービス

(主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合)

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事(*1)を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合については、令和2(2020)年度までに55%以上とすることを目指しており、令和元(2019)年度は37.3%でした。男女別に見ると、「ほぼ毎日」と回答した若い世代の割合は男性33.3%、女性40.5%であり、ともに他の世代に比べ低値でした(図表1-9)。

*1 第3次基本計画では、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事」を栄養バランスに配慮した食事の目安としている。主食とは、ごはん、パン、麺等、主菜とは、肉・魚・卵・大豆製品等を使ったメインの料理、副菜とは、野菜・きのこ・いも・海藻等を使った料理

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べていることが「ほぼ毎日」ではない人(「週に4~5日」、「週に2~3日」、「ほとんど食べない」と回答した人)に、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を食べる回数を増やすために必要なことを聞いたところ、男女ともに「時間があること」をあげる人が最も多く、他の世代に比べ高値でした。次いで多いのが「手間がかからないこと」でした(図表1-10-1、1-10-2)。

朝食の摂取や主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の摂取には、時間や生活リズムと関連があることが推測されました。総務省「平成28年社会生活基本調査」によると、25~34歳の男性は他の世代に比べ朝食及び夕食にかける時間が少なく、15~34歳の女性は他の世代に比べ朝食にかける時間が少ないという結果が出ています(図表1-11-1、1-11-2)。

事例:大学生のごはん適量摂取への行動変容を目指した取組
~「3・1・2弁当箱法」体験セミナーの実施~

公益社団法人米穀安定供給確保支援機構(東京都)

公益社団法人米穀安定供給確保支援機構では、大学生向けに、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事について学ぶ「3・1・2弁当箱法」体験セミナーを平成22(2010)年から実施しています。若い女性にやせの人が多い、主食(ごはん)の摂取量が少ない人が多いという現状を踏まえ、身近な食具である弁当箱を用いて食事をつくり、実際に食べて主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事、ごはんの適量を知ってもらおうという取組です。令和元(2019)年度は管理栄養士・栄養士養成課程のある大学を中心とした63大学で実施し、3,785名の学生が参加しました。

「3・1・2弁当箱法」(以下「弁当箱法」という。)は、弁当箱をはかりとして、“1食に何をどれだけ食べたらよいか”を示した食事づくり(料理の組合せ)のものさしです。5つのルールに基づき主食・主菜・副菜を詰め合わせると、適量で栄養バランスがよく、おいしい食事(1食)にすることができる食事法です。

体験セミナーでは、始めに講義で「弁当箱法」の趣旨やルール、「弁当箱法」を活用して主食(ごはん)を適量食べることで食料自給率の向上につながることを学びます。その後の実習ではまず、ふだん自身が使っているごはん茶碗にいつも盛り付けているようにごはんを盛り、その量を量ります。そして、「弁当箱法」の5つのルールに基づき料理を詰め、詰めたごはんの量とふだんの量の違いを確認するとともに、実際に食べてみて、1食の適量とバランスを体感し、全体の食事量、主食(ごはん)、主菜、副菜の量が自分にあった量であったかを評価します。参加者からは、実習中に「ごはんの量が多い」、「こんなに食べられない」といった声も聞かれますが、平成30(2018)年度のセミナーで実施したアンケート結果によると、ほぼ全員が主食(ごはん)をしっかり(十分)とることの大切さを理解し、主食(ごはん)をしっかりとることができると思うと回答しました。

10年目を迎え、多様な専門を学ぶ学生にも取組の輪を広げ、参加者も年々増えています。また、体験セミナー後、参加した学生が学んだことを他者に伝えるといった活用事例もみられ、学生同士の対話を通して学ぶピア・エデュケーションのツールとしての可能性も期待されています。

「3・1・2弁当箱法」の5つのルール

「3・1・2弁当箱法」の5つのルール
資料:NPO法人食生態学実践フォーラムの資料を基に作成
https://shokuseitaigaku.com/2014/bentobako(外部リンク)

弁当箱に詰めたごはんの重量を量る参加者

弁当箱に詰めたごはんの重量を量る参加者

事例:「未病改善!U-40クッキング」(若い世代向け料理教室)

神奈川県

神奈川県では、県民が「食」、「運動」、「社会参加」を通じて、より健康な状態となることを目指す「未病改善(*1)」の取組を推進しています。その中で、食生活が乱れがちな若い世代が健康的な食生活の重要性を認識し、「食」の自立を図ることができるよう「若い世代の食育プロジェクト」に取り組んでいます。

調理中の様子

調理中の様子

具体的には、平成25(2013)年度から委託事業により管理栄養士等の指導の下、18歳から39歳までの県内在住、在勤の方を対象に、楽しみながら、手軽に美味(おい)しく作れるレシピを紹介する料理教室を企業と連携して開催しています。

令和元(2019)年度は「未病改善!U-40クッキング」と題し2回開催し、あわせて40名が参加しました。献立は、栄養バランスに優れた「日本型食生活」の良さを実感できるよう和食とし、1回目は「スピードおうちで和ごはん」、2回目は「秋を感じるスタミナメニュー」をテーマとしました。また、材料は、可能な限り神奈川県産の食材を使用しました。

調理後は皆で共食を楽しみます。参加者からは、「簡単でおいしく家でも実践しやすそうなメニューだった」、「知らなかった料理や調理法、野菜に関する知識が得られた」などの感想が得られ、未病改善のための健康的な食生活への関心度が高まったことがうかがえます。

引き続き、広報の拡充や開催方法等を検討しつつ、若い世代の未病改善の推進に取り組んでいきます。

調理後の共食の様子(1回目)

調理後の共食の様子(1回目)

調理後の共食の様子(2回目)

調理後の共食の様子(2回目)

*1 私たちの健康状態を見ると、「ここまでは健康、ここからは病気」と、明確に区分できるわけではなく、その間で連続的に変化しています。そうした状態を「未病」、さらに、より健康な状態に近づける取組を「未病の改善」と表現しています。神奈川県では、「食」、「運動」、「社会参加」の3つの取組で、未病の改善に取り組んでいます。(「第3次神奈川県食育推進計画」より)

(地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している若い世代の割合)

地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している若い世代の割合については、令和2(2020)年度までに60%以上とすることを目指しています。令和元(2019)年度は61.6%であり、目標を達成していました(図表1-12)。男女とも地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を受け継いでいる人は、受け継いでいない人と比べ、食育に「関心がある」と回答していました(図表1-13)。

図表1-12 地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している人の割合(性・年代別)

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図表1-13 若い世代における伝統的な料理や作法等の継承と食育への関心との関連(性別)

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「#がめ煮つくろう」~郷土料理を未来につなぐ~

福岡100ロゴ

福岡市(ふくおかし)(福岡県)

「#がめ煮つくろう」の動画01
「#がめ煮つくろう」の動画02

「#がめ煮つくろう」の動画

福岡市(ふくおかし)では、人生100年時代を見据えて、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会をつくるプロジェクト「福岡(ふくおか)100」を進めています。その事業の一つとして、「食」をテーマにした新たなチャレンジ「#がめ煮つくろう」が令和元(2019)年度から本格的に始まりました。

「がめ煮」は、鶏肉、ごぼう、れんこん等の食材を炒め煮したもので、正月やお祭り、結婚式などのお祝いの際によく食べられる福岡(ふくおか)の郷土料理です。「#がめ煮つくろう」は、自分たちで「がめ煮」を作ることによって、「食」を通じた健康づくりについて考え、実践すること、地元食材を日々の食事に生かすこと、「食」を楽しむこと、そして、福岡(ふくおか)の食文化を知り、伝えていくことのきっかけとすることを目的としています。様々な世代の人々に興味を持ってもらえるよう動画やパンフレットを作成したほか、専用サイト(*1)で情報発信するなど、積極的な取組を行っています。

令和元(2019)年度は、中学校の家庭科の授業での「がめ煮」作り、各地域での夏休み親子料理教室、自由な発想・豊かな想像力でいろいろな食材をがめくりこんだ(*2)「創作がめ煮」のレシピコンテスト等を実施しました。令和元(2019)年8月23、24日に市内の公民館2か所で開催した親子料理教室では、食生活改善推進員(ヘルスメイト)の指導の下、野菜の下ごしらえから調理、盛り付けまで、親子で「がめ煮」作りに挑戦し、皆で楽しく会食しました。参加した子供たちからは「お父さんと料理できて、楽しかった」、「野菜を切るのが難しかったが、上手にできてうれしかった」、保護者からは「家でも、また子供と一緒にがめ煮を作りたい」、「子供と料理したり、地域の皆さんと食事をしたり、貴重な体験ができた」といった感想がありました。

親子料理教室の様子

親子料理教室の様子

小学生、そしてその親である若い世代を含め、一人でも多くの人が「がめ煮」を囲んで大切な人との「食」を楽しみ、郷土料理を未来へつないでいくこと、そして、それが「いつまでも元気に暮らせるまち」につながる第一歩となるよう、市民とともに取組を進めています。

*1 インスタグラムページ「#がめ煮つくろう」:https://www.instagram.com/gamenitsukurou/(外部リンク)

*2 「がめくりこむ」とは「寄せ集める」という意味の方言。「がめ煮」という名の由来には諸説あるが、「がめくりこむ」から名前がついたという説もその一つ

(食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する若い世代の割合)

食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する若い世代の割合については、令和2(2020)年度までに65%以上とすることを目指しています。令和元(2019)年度は、安全な食生活を送ることについて「判断している(「いつも判断している」及び「判断している」)」と回答した若い世代の割合が70.3%であり、目標を達成していました(図表1-14)。また、56.6%が食品の安全性に関する基礎的な知識が「あると思う(「十分にあると思う」及び「ある程度あると思う」)」と回答していました(図表1-15)。

図表1-14 食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する人の割合(性・年代別)

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図表1-15 食品の安全性に関する基礎的な知識を持つ人の割合(性・年代別)

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食品安全に関する情報を入手したい情報源については、男女ともテレビ、若い世代では、インターネット上のニュースサイト等をあげた人が多く、半数以上を占めました(図表1-16-1、1-16-2)。

図表1-16-1 食品安全に関する情報を入手したい情報源(男性・年代別)

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図表1-16-2 食品安全に関する情報を入手したい情報源(女性・年代別)

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大学生と考える食品安全~カフェインをテーマに~
「身体、ごまかしてない?」/「本当に必要?そのカフェり」

名古屋市(なごやし)保健所(愛知県)・食品安全委員会

食品安全委員会からの情報提供

食品安全委員会からの情報提供

名古屋市(なごやし)、食品安全委員会の職員を囲んで意見交換

名古屋市(なごやし)、食品安全委員会の職員を
囲んで意見交換

名古屋市(なごやし)と食品安全委員会は、令和元(2019)年8月に共同で、食品・栄養学を専攻する大学生と食品の安全に関する意見交換会を開催しました。

意見交換会は、まず食品安全委員会から食品の安全に関する基本的な考え方(リスクアナリシス)とエナジードリンクやサプリメントによる過剰摂取が懸念されているカフェインについて、次に名古屋市(なごやし)保健所から名古屋市(なごやし)における取組について話題を提供し、質疑応答を行いました。

続いてグループに分かれ、カフェインの過剰摂取について注意を促すポスターのデザイン案を作成しました。

(カフェインで)「身体、ごまかしてない?」、「本当に必要?そのカフェり」(そのカフェイン、摂る必要ある?)など、大学生らしいキャッチコピーが考案され、そのキャッチコピーに印象的なイラストを組み合わせて、同世代の若者に一目で伝わるデザインに仕上げました(今回考案されたデザイン案からポスターが制作され、今後、名古屋市(なごやし)の啓発活動で活用される予定です)。

グループワークの様子

グループワークの様子

グループワークの成果物

グループワークの成果物

大学生からは、「カフェインという身近なものでも、摂りすぎると危険なことを知ることができてよかった」、「他大学の学生と意見交換することで、自分では気付かなかった視点を得ることができた」、「食品の安全性についての情報を伝えることの難しさが良く分かった」などの感想が聞かれました。カフェインの過剰摂取について情報を聞くだけでなく、それを同世代の若者にどのように伝えるか、グループワークで考え、工夫することで、「食品の安全について正しい知識を得ることの重要性、伝えることの難しさ」が分かったようです。

この意見交換会の経験を友人らと共有するだけでなく、将来、社会人として、それぞれの立場から食品の安全について正しい情報を発信してくれることが期待されます。

食品安全委員会は、今後も、リスクコミュニケーションを通して、若い世代への食品の安全に関する正しい知識の共有に努めていきます。



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消費・安全局
消費者行政・食育課

担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4576)
ダイヤルイン:03-6744-1971
FAX番号:03-6744-1974

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