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農林水産省

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3 若い世代に対する食育推進


若い世代は、食に関する知識、意識、実践等の面で他の世代より課題が多く、こうした若い世代が食育に関する知識を深め、意識を高め、心身の健康を増進する健全な食生活を実践することができるように食育を推進することが必要です。

また、厚生労働省の「平成27年国民健康・栄養調査」においては、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べることが「ほとんど毎日」の者の割合は、男女ともに若い世代ほど低い傾向にあることが分かりました。さらに、外食及び持ち帰りの弁当・惣菜を定期的に利用している者(*1)の割合は、男女とも20歳代で最も高いことに加えて、外食及び持ち帰りの弁当・惣菜を定期的に利用している者は、ほとんど利用していない者より、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が低い傾向が見られました。厚生労働省では、「健康日本21(第二次)」を推進する中で、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の実践に向けて、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店、社員食堂、学生食堂など様々な場面で栄養バランスの取れた食事の提供が促進されるように総合的な施策を推進しています。

農林水産省では、令和元(2019)年度に、若い世代に対する食育を推進していくため、ウェブ調査やグループディスカッション等を行い、明らかになった結果を踏まえ、啓発資材を作成しました(コラム:ウェブ調査結果等を踏まえた若い世代向けの啓発資材の作成 参照)。

*1 外食又は持ち帰りの弁当、惣菜のいずれかの利用頻度が週2回以上の者

事例:地域住民のヘルスリテラシー(健やか力)向上を目指した
「おかず味噌汁」の普及活動
(第3回食育活動表彰 農林水産大臣賞受賞)

公立大学法人青森県立保健大学

万能「おかず味噌汁」

万能「おかず味噌汁」

青森県立保健大学の学生と教員で構成される「おかず味噌汁健やか力向上委員会」では、大学生に必要な自炊習慣の定着及び食の自己管理能力向上とともに、地域住民の野菜摂取量の向上及び適正な食塩量の理解促進を目的に「おかず味噌汁」の普及活動を行っています。

「おかず味噌汁」とは、手軽に調理ができ、おかずにもなる具沢山の味噌汁のことです。忙しい朝でも鍋ひとつあれば作れる、栄養バランスの良い減塩の「おかず味噌汁」を通して、「実際に調理してみよう」、「健康に配慮した食生活を心がけよう」という意欲向上とヘルスリテラシー(健やか力)の向上を目指した活動を展開しています。

大学の寮生には「おかず味噌汁」を食べる機会を提供し、自身の食生活を振り返るよう促しています。学生のアンケートでは、朝、「おかず味噌汁」を食べたことにより、「集中力が増して、勉強がはかどった」という意見が多く寄せられ、「昼食や夕食にも気を遣うようになった」といった意識の変化や、「簡単に作ることができる料理教室を開いてほしい」といった行動変容にもつながる声も聞かれました。また、地域の夏祭りや大学祭での「おかず味噌汁」の提供、ひとり親家庭の小中学生向けの料理教室、独居高齢者向けの健康講話や健康体操も盛り込んだ試食会など、数多くのイベントを通じて地域住民との交流を図っています。さらに、県産食材や青森県が推進している「できるだし(*1)」を活用し、だしのうま味で塩分もコントロールしながら、どの年代でも実践しやすいレシピを作成しています。

学生の食生活改善を目的に始めた活動から、幅広い年齢層の地域住民も対象とし、「おかず味噌汁」の普及だけでなく健康講話や健康体操を取り入れるなど多面的に地域住民のヘルスリテラシー(健やか力)向上の推進につながる展開へと拡大しています。

高齢者の方と健康体操

高齢者の方と健康体操

「おかず味噌汁」レシピ集

「おかず味噌汁」レシピ集

*1 使用している青森県産農林水産物の合計重量が、原材料の中で最も大きな割合を占めるだし商品の共通名称

事例:地域とともに歩む農業高校として

福島県立相馬(そうま)農業高等学校

「相農(そうのう)みそ」出前授業と共食の様子01
「相農(そうのう)みそ」出前授業と共食の様子02

「相農(そうのう)みそ」出前授業と共食の様子

福島県立相馬(そうま)農業高等学校では、学校に代々伝わる「相農(そうのう)みそ」を活用した食育活動や、東日本大震災後にはハマナスの自生地再生を目指した「ハマナスProject」に取り組んでいます。

「相農(そうのう)みそ」は、本校創立(明治36(1903)年)後間もなく、授業の一環として製造が始まり、現在も当時の製造方法や味を忠実に守り、伝承されています。平成30(2018)年からは、地域の幼稚園及び小中学校の給食で定期的に使用していただき、あわせて、生徒たちが小学校で味噌の歴史や製造方法についての「出前授業」を実施するとともに、「相農(そうのう)みそ」を使用した給食を一緒に食べる取組を行いました。そのほか、地域の人が参加できる「高等学校開放講座」等でパンやクッキー作り講座も開催しており、参加者からは「来年も楽しみにしている」という声も聞かれ、地域に根付いた取組となっています。生徒たちは、子供たちや地域の人々に地域の食文化等を教え、一緒に作って食べる「共食」を通じ、伝える力を身に付け、人と人とのつながりの大切さを学んでいます。

また、自生数が激減していたハマナスが東日本大震災の津波により壊滅的な被害を受けたことから取り組み始めた「ハマナスProject」では、ハマナスの種子発芽率を高めるための条件調査や苗の植樹活動を行っています。ハマナスの実をハマナスジャムに、花弁をハマナス琥珀糖に加工し、地域ブランドとして商品化するなどの研究にも取り組んでいます。

さらに、福島県内や東京都で開催される復興イベントに積極的に参加しています。イベントで大勢の来場者と接し、自分たちの取組を紹介することにより、「積極性が出てきた」、「地域に貢献できることをしたいと思うようになった」という生徒が増え、卒業生の多くが地域に残り、農業や関連産業に携わっています。

今後も、地域とともに歩む農業高校として、農業や生産・加工・流通の中の「食」に関わる地域産業を支え、次世代につなげていく人材の育成を行っていきます。



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消費・安全局
消費者行政・食育課

担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4576)
ダイヤルイン:03-6744-1971
FAX番号:03-6744-1974

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