第2節 専門調理師等の活用における取組
一般社団法人全日本司厨士協会は、各地の保育所・幼稚園・小学校での親子料理教室などのイベント開催や福祉施設での継続的な慰問活動など、総合的な食育の推進・普及を実施しています。また、世界のシェフ団体と連携し、毎年10月20日をシェフズデー(Chefs Day)とし、その年の世界共通テーマに応じた活動を行っています。令和元(2019)年は、テーマ「How Healthy Food Works」に沿った活動として、一般社団法人ニュートリション運動推進会議子どもの健康づくり委員会との共催で、体験・参加型の食育授業を行いました。
また、令和元(2019)年5月にアジア各国からシェフが集まるWORLDCHEFSアジア会長会議がタイ・バンコクで開催され、日本代表が参加しました。このイベントでは、料理人の育成について意見交換したり、他国との情報交換や交流を行いました。
さらに、世界各地に配属される公邸料理人の育成に当たって、希望者に情報を提供するとともに、和食団体との共催で講習会を開催するなど、伝統的な日本料理やその文化の普及に努めています。
公益社団法人日本調理師会では、食を通じて親子の心の触れ合いを図り愛情を深めるとともに、地域の特産品を主な食材とした手作り弁当により子供の味覚を育み、それによって食育の推進に寄与することを目的に、令和元(2019)年度に「第10回全国こどものための愛情弁当コンテスト」を開催しました。本コンテストには、全国から、育ち盛りの子供たちに対して、応募者が食べさせてあげたい地域の特産品を用いたお弁当レシピが多数寄せられました。また、東海3県(愛知県、岐阜県、三重県)の調理師会による合同展のほか、千葉県及び長野県の調理師会において、地域の食材を使った伝統的な日本料理や郷土料理を主とし、その他西洋料理・中国料理などの部門を含めた料理コンクールを開催し、日本古来の伝統料理の伝承や地産地消の推進について広く普及啓発しています。
事例:シェフが小学校で体験・参加型の食育授業を実施
一般社団法人全日本司厨士協会
一般社団法人全日本司厨士協会では、一般社団法人ニュートリション運動推進会議子どもの健康づくり委員会との共催で、令和元(2019)年9月に千葉県富津市(ふっつし)立富津(ふっつ)小学校5・6年生に、体験・参加型の食育授業を行いました。
世界の110か国のシェフが会員となっている世界司厨士協会連盟(WORLD CHEFS)では、毎年10月20日をシェフズデー(Chefs Day)とし、その年のテーマに応じた活動を行っています。今回の富津市(ふっつし)の食育授業は、全日本司厨士協会の総本部及び関東総合地方本部、千葉県本部との合同で開催しました。令和元(2019)年の世界共通テーマが「How Healthy Food Works」であったことから、「インド風スパイシーチキンカレー」、「人参とトマト、玉子のサラダ」、「ラッシー」を児童と一緒に調理をしました。
児童は、自ら包丁や調理器具を使い、楽しみながら調理し、シェフからおいしく作るコツを学びました。また、授業では児童が調理するだけでなく、テーマに沿って食材の効能を学ぶことができるように、カレーに使うスパイスの話をしながら、実際にスパイスを試食してもらい、記憶に残るように工夫しました。
児童は調理の前に手洗いをしっかり行い、小さなコック帽とエプロンを着用し、調理室に集合しました。本日のメニューのデモンストレーションの後、いよいよ実習を開始。本格的な料理を作ることにみんな緊張しながらも笑顔があふれ楽しく料理作りがスタートしました。調理の後は、完成した料理をランチルームに児童自らが運び、テーブルにクロスを掛けた本格的なスタイルで、マナーを学びながらみんなで食事をしました。総本部副会長からは「食材に敬意を払って残さず食べるようにしましょう」と食べ物に感謝する気持ちの大切さを伝えました。
また、東京地方本部においては、外部から講師を迎え、若いシェフ等が外食産業と食品ロスの現状を学び、将来的にどのように食品ロスを無くすべきか意見交換しました。さらに、参加者による携帯電話のアプリケーションソフトを使ったリアルタイムでのアンケートを実施し、勉強会の内容とともにインターネットで周知しました。今後は、食材の大切さを学ぶ食育授業においても食品ロスについて子供たちに伝え、共に学ぶ必要があると考えています。
このように全日本司厨士協会では、調理師及び専門調理師の技能の伝承にとどまらず、広く一般の国民に食育を通して食の大切さを普及していきます。
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