2 貧困等の状況にある子供に対する食育の推進

子供食堂における衛生管理のポイントに
おけるチェックリスト(厚生労働省)
子供の貧困率(*1)は、「令和元(2019)年国民生活基礎調査」において、平成30(2018)年は13.5%となっています。また、平成29(2017)年「生活と支え合いに関する調査(特別集計)」によると、子供がある全世帯の16.9%に食料が買えない経験がありました。こうした中、地域住民等による自主的な取組として、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する子供食堂等が増えており(*2)、家庭における共食等が難しい子供たちに対し、共食等の機会を提供する取組が広まっています。
政府では、内閣府を中心として、貧困の状況にある子供たちに対する食育の推進や貧困の連鎖の解消につながる子供食堂等の活動への支援を含む官公民の連携・協働プロジェクトとして、「子供の未来応援国民運動」を推進しています。この国民運動では、民間資金による「子供の未来応援基金」を通じて、子供食堂や子供宅食等を運営するNPO等を支援するほか、広く国民を対象に、支援の輪を広げることを目的としたフォーラムを開催しています。また、全国の子供食堂が加盟する団体との連携等を通じて、子供食堂等を運営する団体と団体の活動への支援を希望する企業等とのマッチングを推進しています。「子供の未来応援基金」については、令和2(2020)年7月には、新型コロナウイルス感染症に係る情勢を踏まえ、感染防止対策の観点から、子供食堂での会食に代えて弁当や食材の配布等を追加的に行うNPO等を対象に緊急支援を実施し、また、令和3(2021)年度においても、子供食堂、弁当や食材の配布等を行うNPO等を支援しました。さらに、内閣府では、地方公共団体が実施する子供の貧困対策の取組を支援する「地域子供の未来応援交付金」を拡充し、子供食堂など子供の居場所を整備する地方公共団体へ緊急支援を行いました。
厚生労働省では、ひとり親家庭の子供に対し、基本的な生活習慣の習得支援や学習支援と併せて、食事の提供を行うことが可能な居場所づくりを行っています。また、子供食堂に対して、活用可能な政府の施策や、食品安全管理など運営上留意すべき事項を周知するとともに、行政・地域住民・福祉関係者・教育関係者等に対して、子供食堂の活動への協力を呼び掛ける通知を、平成30(2018)年6月に発出しました。令和3(2021)年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、子供食堂の活動に関する感染拡大の防止に向けた対応や、居場所づくりに関する補助等の周知に加え、生活困窮世帯等に対する栄養・食生活支援の推進について通知を発出しました。また、困窮するひとり親家庭を始めとした要支援世帯の子供等を対象とした子供食堂、子供宅食、フードパントリー等を実施する事業者を対象に広域的に運営支援、物資支援等を行う民間団体を公募し、その取組に要する経費を助成する「ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業」を実施しました。
農林水産省では、子供食堂と連携した地域における食育が推進されるよう、ウェブサイトにおいて関連情報を紹介しているほか、地域における共食のニーズを把握するアンケート、ヒアリング等の調査や、食材の提供に向けた生産者とのマッチングの実施を支援しています。また、令和2(2020)年度から子供食堂や子供宅食等において、食育の一環として使用できるよう、政府備蓄米を無償で交付しています。この、子供食堂等の食育の取組を支援するため、農林水産省のウェブサイトでごはん食や食育に関する啓発資料(チラシ、パンフレット等)を掲載しています。新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、令和3(2021)年7月からは、交付した数量を適切に使用した場合に追加の申請を可能としたほか、令和4(2022)年1月からは、子供食堂の申請1回当たりの交付数量を増やしました。さらに、令和2(2020)年度から令和3(2021)年度にかけて、新型コロナウイルス感染症に伴う需要減の影響を受けた国産農林水産物等を食育活動を行う子供食堂等へ提供する際の食材調達費や輸送費等を支援する事業を実施しました。
1 17歳以下の子供全体に占める、貧困線に満たない17歳以下の子供の割合。貧困線とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得(総所得(収入)から税金・社会保険料等を除いたいわゆる手取り収入)を世帯員数の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分の額
2 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ及び全国の子供食堂の地域ネットワークの調査によると、令和3(2021)年12月現在、子供食堂は全国で少なくとも6,014か所
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