第1節 ボランティア活動等における取組
食生活が多様化する中で、地域の郷土料理や伝統料理等の食文化を大切にし、次の世代への継承を図るには、地域の食生活改善推進員など国民の生活に密着した活動を行っている食育ボランティアの役割が重要です。
食生活改善推進員は、郷土料理や食文化の継承を目的とした「おやこの食育教室」等を実施しており、令和3(2021)年度は令和2(2020)年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の発生状況を踏まえ、料理講習会の実施が困難な地域では、家庭訪問活動を行い、家族で食事をする時間が増えた今を家庭における伝承料理の継承のチャンスと捉え、レシピの配布等を通して普及啓発しました。
また、地域に伝わる郷土料理を知ってもらおうと作成した「日本の味 郷土料理めぐり」を活用し、郷土料理の伝承に努めました。
さらに、一般財団法人日本食生活協会では、日本の食に対する興味や関心を高め、郷土料理の更なる活性化に寄与することを目的として、平成28(2016)年度に「郷土料理スペシャリスト」の認定制度を開設し、「郷土料理スペシャリスト」として認定された人々が活動しています。
事例:食生活改善推進員による食文化継承の取組
一般財団法人日本食生活協会
鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会「郷土料理の伝承 ~さつまの郷土料理の普及~」
薩摩川内市(さつませんだいし)食生活改善推進員連絡協議会では、市民大学(公民館講座)において、月に1回、料理教室を実施しています。参加者は成人で、メニューは毎回異なりますが、1品は鹿児島の郷土料理を入れ、「さつま汁」、「からいもねったぼ」、「きびなごの南蛮漬け」などの普及をしています。「さつま汁」は鶏肉を使った具だくさんみそ汁のことで、「薩摩旧伝集(さつまきゅうでんしゅう)」によると、江戸時代に薩摩武士たちが闘鶏(とうけい)で負けた鶏をみそ汁にしたのが始まりとも言われています。野菜をたくさん入れることで、減塩効果も期待できる郷土料理の一つです。「からいもねったぼ」のからいもとは、特産のさつまいものことで、つきたての餅に、煮たさつまいもを入れて混ぜて食べる餅料理です。また、市内の甑島(こしきしま)は日本有数のきびなごの産地であり、市の魚として制定されています。「きびなごの南蛮漬け」は、唐揚げにしたきびなごと一緒に、季節の野菜をたくさん添えて食べます。
郷土料理の伝承とともに、減塩や野菜摂取の大切さについても伝えています。
長野県食生活改善推進協議会「「長野色の食」の伝承 ~食文化をよりよく次世代へ伝承することを願って~」
先人の生きる知恵と技などを知り、その食文化をよりよく伝承していきたいと願い、また、食卓や地域で集まる場で「食」の話に花が咲き、健康づくりの一助となるよう、各地域で様々な郷土料理を掘り起こし、伝える活動をしています。
具体的には、長野県の健康長寿を支える「長野色の食」をまとめ、各地域の食材や行事などにちなんだ郷土料理を公民館や学校と連携して、親子、小・中・高校生など多くの人に伝えています。
長野県を代表する粉食に「おやき」があります。昔、中身は味噌という素朴なものでしたが、現在のおやきの具は、春の摘み草や山菜、旬の野菜など多彩なものが工夫され、バランスのとれた1品となっています。おやきは四季を感じさせ、郷愁を誘う長野県ならではの故郷の味です。
若い人たちからは、講習会を通じて、自分で作る楽しさ、達成感などを感じ、家族との会話が生まれたと感想が寄せられています。
ほかにも、五平餅(ごへいもち)、やしょうま、こねつけ、にらせんべいなど、その地域に伝わる郷土の味を次世代に伝えることを活動の柱としています(*1)。
*1 うちの郷土料理 長野県(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/area/nagano.html
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