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農林水産省

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生食用野菜の有害微生物の実態調査(平成25-28年度)

作成日:令和4年12月26日

2.1.1. ほ場・生産施設

2.1.1.2. 生食用野菜の有害微生物の実態調査(平成25-28年度)

栽培から出荷までの野菜の衛生管理指針(平成23年策定)が現場で有効に機能しているかを確認するため、以下のとおり、収穫直後における生食用野菜の有害微生物の実態を調査しました。

・ ほ場から採取したレタス(結球)、きゅうり、トマト及びはくさいを対象とした腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ、リステリア・モノサイトジェネス及びふん便汚染の指標である大腸菌(衛生指標菌)の調査
・ 野菜が栽培されているほ場の土壌及び栽培に使用する水を対象としたサルモネラ、リステリア・モノサイトジェネス及び大腸菌の調査
・ 生産者を対象としたほ場での栽培・衛生管理状況のアンケート調査

その結果、いずれの野菜からも腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ及びリステリア・モノサイトジェネスは検出されませんでした。一方で、一部の野菜から大腸菌が検出されました。

(1) 目的

生食用野菜が原因とされる食中毒発生の未然防止を目的として平成23年に策定して以降普及している「栽培から出荷までの野菜の衛生管理指針」が現場で有効に機能しているかを確認するため、収穫直後の生食用野菜の、有害微生物(腸管出血性大腸菌(O157)(3.1.1.)、サルモネラ(3.1.2.)及びリステリア・モノサイトジェネス(以下、リステリアという。)(3.1.3)やふん便汚染の指標である大腸菌(3.2.1.)の実態を把握する。

(2) 調査対象の野菜

生鮮として消費される量の多いレタス(結球)、きゅうり、トマト、はくさいを対象としました。

(3) 試料採取・アンケート

各野菜について全国の合計出荷量の上位6割を占める都道府県を中心に、任意でほ場を選定し、以下のとおり試料を採取しました。

✓ レタス、はくさいは5個(1ほ場の5カ所から1玉ずつ)を試料1点とした。
✓ きゅうりは10本(1ほ場の5カ所から2本ずつ)を試料1点とした。
✓ トマトは大玉種の場合は5個(1ほ場の5カ所から1個ずつ)、中玉種の場合は20個(1ほ場の5カ所から4個ずつ)を試料1点とした。
✓ ほ場の土壌は、野菜を採取した日に、野菜を収穫した植物体の株元5箇所から、表面の乾燥している部分を除いて容量10 ml程度のスプーン3杯ずつ表層土壌を採取して混合したものを試料1点とした。
✓ ほ場の水は、野菜を採取した日に、同じほ場で栽培に使用する水を約1.5~2.5 L採取し試料1点とし、1ほ場につき複数の井戸水等を使用している場合にはそれぞれの水を採取。ただし、水道水、飲用井戸水等の保健所等が飲用にできると認めた水や既に水試料を採取した他のほ場と同じ水を使用している場合には採取せず。

また、各ほ場の生産者を対象に生産段階における栽培方法や衛生管理の実態を把握するため、栽培形態、農業用水の使用、家畜ふん便を原料とする堆肥の使用、収穫・調製器具の取扱い、収穫物の取扱い、野生動物・ペットの侵入状況、ほ場作業者の衛生管理等の栽培・衛生管理状況に関するアンケートを行いました。

(4) 微生物試験

レタス、きゅうり、トマト、はくさいについて腸管出血性大腸菌(O157)の定性試験(4.1.1.4.)、きゅうり、トマト及びその土壌、水についてサルモネラの定性試験(4.2.1.4.及び4.2.1.5.)、レタス、きゅうり、トマト、はくさい、土壌及び水についてリステリアの定性試験(4.3.1.3.及び4.3.1.4.)を行いました。また、大腸菌をふん便汚染の指標として、レタス、きゅうり、トマト、はくさい、土壌及び水について定量試験(4.1.2.3.及び4.1.2.4.)を行いました。

(5) 結果

  • 生食用野菜からの腸管出血性大腸菌、サルモネラ、リステリア及び大腸菌の検出状況

腸管出血性大腸菌(O157)は、レタス、きゅうり、トマト、はくさいのいずれからも検出されず、サルモネラは、きゅうり及びトマトのいずれからも検出されず、リステリアは、レタス、きゅうり、トマト、はくさいのいずれからも検出されませんでした。ふん便汚染の指標である大腸菌は、一部のレタス、きゅうり、はくさいから検出されました(表2.1.1.2-1)。

表2.1.1.2-1 野菜からの大腸菌の検出状況

調査対象品目 調査年度 試料点数 大腸菌の検出点数(括弧内は検出率(%)
レタス H26 358 8(2.2%)
きゅうり H27 236 0
H28 244 1(0.4%)
トマト H27 205 0
H28 226 0
はくさい H26 192 3(1.6%)

※レタス及びはくさいについては、平成26年度調査においてのみ大腸菌を検査しました。

  • ほ場の土壌及び水からのサルモネラ、リステリア及び大腸菌の検出状況

サルモネラについてはほ場から採取した土壌及び栽培に使用する水からは検出されませんでしたが、リステリアについてはほ場から採取した土壌1点から検出されました。ふん便汚染の指標である大腸菌は、野菜を採取したほ場の土壌及び栽培に使用する水の一部から検出されました(表2.1.1.2-2)。

表2.1.1.2-2:ほ場の土壌及び水における大腸菌の検出状況

調査対象ほ場 調査年度 土壌
試料点数 大腸菌の検出点数(括弧内は検出率(%)) 試料点数 大腸菌の検出点数(括弧内は検出率(%))
レタス H26 158 12(7.6%) 77 7(9.1%)
きゅうり H27 236 5(2.1%) 172 0
H28 244 9(3.7%) 189 2(1.1%)
トマト H27 184 3(1.6%) 114 0
H28 207 8(3.9%) 129 3(2.3%)
はくさい H26 92 10(10.9%) 35 0

※レタス及びはくさいについては、平成26年度調査においてのみ大腸菌を検査しました。

  • ほ場における栽培・衛生管理状況について

ほ場における栽培・衛生管理状況に関するアンケート結果(PDF:320KB)のうち、特に注意が必要と考えられたものは以下のとおりです。

(栽培に使用する水の管理)

・レタス、きゅうり、トマト及びはくさいのほ場(ハウスを含む。以下同じ。)の6~8割では、農薬・肥料(葉面に散布するものを含む)の希釈に、水道水等の飲用にできる水以外のものを使用していた。

・かん水を実施しているレタス及びはくさいのほ場の9~10割では、水が野菜に直接かかるようなかん水(頭上かん水)を行っていた。また、これらほ場の7~9割では、かん水に水道水等の飲用にできる水以外のものを使用していた。

・収穫したレタス、きゅうり、トマト及びはくさいの洗浄をする生産者の1~3割が、水道水等の飲用にできる水以外のものを使用していた。

(動物の侵入防止対策)

・レタス、きゅうり、トマト及びはくさいのほ場の3~9割では、イノシシ、シカ、鳥等の野生動物の侵入が確認されていた。

・レタス及びはくさいのほ場の1割では、ペットをほ場に入れていた。

・レタス及びはくさいのほ場の5割では、栽培や収穫時に生じる野菜等の残渣をほ場の中に置いていた。


指導者・事業者の皆様へ

今回の調査では、収穫直後のレタス(結球)、きゅうり、トマト及びはくさいから、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ及びリステリアは検出されませんでした。一方で、野菜の0.2~2.2%から、ふん便汚染の指標である大腸菌が検出されました。
これらの結果は、生産段階において、野菜が、これらの有害微生物に汚染される可能性は低いものの、ふん便又はふん便に汚染されたものに接触する可能性があることを示しています。
安全な野菜を生産するためには、農薬の適正使用、環境中の汚染物質などによる汚染の防止だけでなく、有害微生物に汚染されないよう、衛生管理に取り組むことも必要です。栽培に使用する水、家畜ふん堆肥、ほ場や栽培施設の管理など、衛生上の注意すべき点をまとめた野菜の衛生管理指針(PDF : 2,256KB)をご覧いただき、実践していただければ幸いです。

野菜の安全性を向上させるため、今後も生産段階における野菜の衛生管理を推進するとともに、野菜における有害微生物の実態を把握するための調査等を継続して実施します。

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:安全企画班
代表:03-3502-8111(内線4521)
ダイヤルイン:03-3502-7569