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農林水産省

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野生動物の有害微生物の保有状況調査

作成日:平成29年4月7日

2.1.2. 生産環境

2.1.2.1. 野生動物の有害微生物の保有状況調査(平成22年度)

野菜を生産するほ場に侵入する可能性のある野生動物の有害微生物の保有状況を把握するために、食肉処理施設14か所において、野生のイノシシ及びシカの直腸便を採取し、腸管出血性大腸菌(O157及びO26)、サルモネラ、リステリア・モノサイトジェネス、カンピロバクターの調査を行いました。
その結果、イノシシの直腸便から、サルモネラは7%、カンピロバクターは1%検出されました。シカの直腸便から、腸管出血性大腸菌O157は2%、O26は1%、リステリア・モノサイトジェネスは6%検出されました。


(1) 目的

野生動物の有害微生物(腸管出血性大腸菌 (O157及びO26)(3.1.1.)、サルモネラ(3.1.2.)、リステリア・モノサイトジェネス(3.1.3.)及びカンピロバクター(3.1.4.))の保有状況を把握する。


(2) 調査対象の野生動物

野菜の生産ほ場に侵入する可能性がある野生のイノシシ及びシカを対象としました。

 
(3) 試料採取

平成22年7月~12月に、野生動物の肉を扱う食肉処理施設14か所において、イノシシ121頭、シカ128頭の直腸便を採取しました。 


(4) 微生物試験

イノシシとシカの直腸便について、腸管出血性大腸菌(O157及びO26)の定性試験(4.1.1.3.(1)(2))、サルモネラの定性試験(4.2.1.3.)、リステリア・モノサイトジェネス1の定性試験(4.3.1.2.)、カンピロバクターの定性試験(4.4.1.2.)を行いました。
なお、検出された菌について、以下のとおり性状を解析しました。

・ 腸管出血性大腸菌O157又はO26
シガ毒素産生性大腸菌かどうかを判定するため、PCR法(4.1.3.1.)により、シガ毒素遺伝子(stx)の有無の確認を行うとともに、病原性に関わる遺伝子であるインチミン2遺伝子(eae)やエンテロヘモリシン3遺伝子(hlyA)の有無を確認しました。また、シガ毒素蛋白の産生の有無を逆受身ラテックス反応法(4.1.3.2.)により確認しました。

 サルモネラ

O抗原とH抗原を調べて血清型を特定(4.2.2.1.)しました。

リステリア・モノサイトジェネス

血清型を特定(4.3.2.1.)しました。

カンピロバクター

生化学的試験(4.4.2.1.)により菌種(Campylobacter jejuni, C.coli)を同定しました。

1  一部のイノシシ及びシカからは試験に必要な量の直腸便を採取できなかったため、イノシシは121頭のうち75頭、シカは128頭のうち114頭分の直腸便を用いて行いました。
人の腸管粘膜への定着に関わる因子
3  溶血(赤血球の破壊)に関わる因子

(5) 結果

イノシシの直腸便から、サルモネラは7%(9/121)、カンピロバクターは1%(1/121)検出され、腸管出血性大腸菌(O157及びO26)及びリステリア・モノサイトジェネスは検出されませんでした。また、シカの直腸便から、腸管出血性大腸菌O157は2%(3/128)、腸管出血性大腸菌O26は1%(1/128)、リステリア・モノサイトジェネスは6%(7/114)検出され、サルモネラ及びカンピロバクターは検出されませんでした(表8)。

表8:野生動物の有害微生物の保有状況(1)
動物 試料点数 検出点数(括弧内は検出率(%))
腸管出血性大腸菌 サルモネラ カンピロバクター
O157 O26
イノシシ 121 0(0) 0(0) 9(7) 1(1)
シカ 128 3(2) 1(1) 0(0) 0(0)
分離菌の性状等  全てstx2ceae遺伝子保有、シガ毒素2型産生 1株のみhlyA遺伝子保有 stx1aeaehlyA遺伝子保有、シガ毒素1型産生  血清型
S. Agona:3株
S. Narashino:2株
S. Enteritidis:1株
S. Havana:1株
S. Infantis:1株
S. Thompson:1株
菌種
C. jejuni




表8:野生動物の有害微生物の保有状況(2)
動物 試料点数

検出点数(括弧内は検出率(%))

リステリア・モノサイトジェネス
イノシシ 75 0(0)
シカ 114 7(6)
分離菌の性状等  血清型
1/2a:2株
1/2b:3株
4b:2株

 

 

指導者・事業者の皆様へ

今回の調査では、イノシシの直腸便からサルモネラとカンピロバクターが、シカの直腸便から腸管出血性大腸菌(O157及びO26)とリステリア・モノサイトジェネスが検出されました。これらの結果は、野生動物が生産現場に侵入し、排便した場合、ふん便によって農業用水、堆肥等の資材、野菜等が有害微生物に汚染される可能性があることを示唆しています。
安全な野菜を生産するためには、動物の侵入によって生産現場が有害微生物に汚染されないよう、動物の侵入防止対策に取り組むことも必要です。生産現場に動物を近づけないために、野菜残さ等を生産現場やその周辺に放置しない、ビニールハウスなどではネットを設置するなどの対策が有効です。その他、ほ場や関連施設の管理について、衛生上の注意すべき点をまとめた野菜の衛生管理指針をご覧いただき、実践していただければ幸いです。



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