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農林水産省

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食品中のPFASに関するQ&A

最終更新:令和6年8月6日

本Q&Aは現時点での知見に基づいて作成しています。
今後、さらなる科学的知見が得られた場合には、適宜必要な見直しを行っていく予定です。

  1. 有機フッ素化合物(PFAS)とは何の略称ですか。
  2. PFASとはどのような物質ですか。
  3. PFASがヒトの体の中に入ると、どのような影響が生じますか。
  4. どのような食品にPFASは多く含まれていますか。
  5. 日本人は水や食品を通してどれくらいPFASを摂取していますか。
  6. PFASに関し、国内で流通している食品を食べても大丈夫ですか。
  7. PFASに関し、食生活で気を付けることはありますか。
  8. 農林水産省は食品に含まれるPFASに関してどのような調査・研究をしていますか。

1.有機フッ素化合物(PFAS)とは何の略称ですか。

(A)炭素とフッ素が結合した分子構造をもつ化合物を有機フッ素化合物と呼びます。PFASとは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされています。このうち、最も代表的な有機フッ素化合物がPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の2種類です。

2.PFASとはどのような物質ですか。

(A)1万種類以上あるとされるPFASの中には撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を示すものがあり、そのような性質を利用して、撥水・撥油剤、界面活性剤、半導体用反射防止剤等の幅広い用途で使用されています。

PFAS の中でも、PFOS及びPFOAは、かつて幅広い用途で使用されてきました。具体的には、PFOS については、半導体用反射防止剤・レジスト(保護膜)、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOA については、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきました。

PFOSやPFOAは、自然界で分解されにくい(難分解性)ため、環境中に蓄積されやすく(高蓄積性)、また風や水などに乗って長距離を移動するという性質(長距離移動性)があるため、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)に基づき、PFOSは2009年に「制限」、PFOAは2019年に「廃絶」とそれぞれ対象物質に分類されました。また、PFOSの一代替物質であるPFHxSも2022年に「廃絶」として対象物質に分類されました。

これを受けて、わが国でも、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づきPFOS、PFOA及びPFHxSについて製造・輸入等を規制しています。

3.PFASがヒトの体の中に入ると、どのような影響が生じますか。

(A)食品安全委員会は、PFASのうち、PFOS、PFOA及びPFHxSの3物質を対象として食品健康影響評価を行いました。健康影響に関する知見については、海外の評価機関等による評価書を参考に、(1)肝臓への影響、(2)脂質代謝への影響、(3)甲状腺機能と甲状腺ホルモンへの影響、(4)生殖・発生への影響、(5)免疫への影響、(6)神経への影響、(7)遺伝毒性、(8)発がん性の8つのエンドポイント(有害影響を評価するための指標)についてそれぞれ検討しました。これらのエンドポイントのうち、PFOSについてはラット2世代生殖・発生毒性試験でみられた2世代目の児動物における体重増加抑制を、PFOAについてはマウス生殖・発生毒性試験でみられた胎児の前肢及び後肢の近位指節骨の骨化部位数の減少、雄の児動物の性成熟促進を採用し、それぞれ耐容一日摂取量として20 ng/kg体重/日を設定しました。PFHxSについては、評価を行う十分な知見は得られていないことから、現時点では指標値の算出は困難であると判断しています。詳細については、食品安全委員会が取りまとめた評価書をご参照ください。

なお、当該評価書において、食品安全委員会は「現時点の情報は不足しているものの、通常の一般的な国民の食生活(飲水を含む)から食品を通じて摂取される程度のPFOS 及び PFOAによっては、著しい健康影響が生じる状況にはないものと考える」との見解を示しております。

一方、PFOS 及び PFOA をはじめとする PFAS については、健康影響に関する情報が不足しており、不明な点等は多いことも考慮して、
・まずは、今回設定した TDI を踏まえた対応が速やかに取られること
・PFAS にばく露され得る媒体(飲料水、食品等)における濃度分布に関するデータの収集を早急に進めること
・その調査結果等をもとに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を一層進めること
が重要と評価しています。

食品安全委員会HP:「有機フッ素化合物(PFAS)」の評価に関する情報

4.どのような食品にPFASは含まれていますか。

(A)農林水産省が平成24~26(2012~2014)年度に実施したトータルダイエットスタディ(※)でどのような食品群にPFOS、PFOAが含まれるか調べたところ、限られた情報ではありますが、当時の結果では、魚介類、藻類、肉類に含まれていました。ただし、どのような食品にPFOSやPFOAといったPFASが含まれているのかについては、情報やデータが不足しています。

※広範囲の食品を小売店等で購入し、必要に応じて摂食する状態に加工・調理した後、食品群ごとに消費量に応じて混合し、対象とする化学物質を分析し、食品群ごとに化学物質の平均含有濃度を算出、平均的な化学物質の消費量を推定する手法。

5.日本人は水や食品を通してどれくらいPFASを摂取していますか。

(A)農林水産省が平成24~26(2012~2014)年度に実施したトータルダイエットスタディでどのような食品群にPFOS及びPFOAが含まれるか予備的に調べたところ、限られた情報ではありますが、日本人の食生活において1日あたりのPFOSの平均的な推定摂取量は、体重1kgあたり0.60~1.1 ngの間に、PFOAの平均的な推定摂取量は、体重1kg当たり0.066~0.75 ngの間にあると推定されていました。ただし、調査点数が少なくデータが不十分であること、調査実施当時の分析技術では、PFOS及びPFOAの食品中の濃度と比較して検出下限(LOD)及び定量下限(LOQ)が高く、LOD未満又はLOQ未満の分析値が多かったことから、推定値の範囲が大きく、不確実性があることに留意が必要です。

こうした状況も鑑み、農林水産省では令和6年度から国産の農畜水産物を対象としたPFASの含有実態調査を実施し、品目ごとの濃度分布についてのさらなる知見やデータの集積に努めてまいります。

6.PFASに関し、国内で流通している食品を食べても大丈夫ですか。

(A)食品安全委員会は、「まずは、今回設定したTDIを踏まえた対応が速やかに取られることが重要」であり、「PFASにばく露され得る媒体(飲料水、食品等)における濃度分布に関するデータの収集を早急に進め、その調査結果等をもとに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を一層進めることが必要である。」としています。

一方で、「現時点の情報は不足しているものの、通常の一般的な国民の食生活(飲水を含む)から食品を通じて摂取される程度のPFOS及びPFOAによっては、著しい健康影響が生じる状況にはないものと考える」としています。

これらの評価内容を考慮すると、通常の一般的な食生活ではPFOS及びPFOAを心配する必要はないものの、今後、国や自治体等による実態調査の結果、PFAS濃度が非常に高い食品の存在が明らかとなった場合は、耐容一日摂取量(TDI)と比較して個別に対応を検討していく必要があると考えます。農林水産省では、引き続き農畜水産物中のPFASについて知見の集積を進め、関係省庁や自治体と連携して対応していきます。

7.PFASに関し、食生活で気を付けることはありますか。

(A)食品安全委員会が取りまとめた食品健康影響評価書、及び同委員会が公表している「「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&A(2024年6月25日)」によると、通常の一般的な国民の食生活から食品を通じて摂取される程度のPFOS及びPFOAによっては、著しい健康影響が生じる状況にはないものと考えられ、PFOS、PFOA等のリスクを過剰に懸念して食生活を変更することには、栄養学的な過不足をもたらす等の新たな異なるリスクをもたらすおそれがある、との見解が示されております。こうした見解を受け、農林水産省としては様々な産地で収穫・水揚げされた、様々な品目を摂取する等、引続きバランス良く摂取いただくことがまずは重要と考えております。

8.農林水産省は食品に含まれるPFASに関してどのような調査・研究をしていますか。また、これまでに得られた成果は何ですか。

(A)農林水産省では、令和3年度から4年度にかけて水産物中のPFOS・PFOAの含有実態調査を実施したほか、令和6年度には国産の農畜水産物を対象に食品中のPFASの含有実態調査を実施します。この他、農地土壌や農業用水、食品中のPFASの一斉分析法の開発、農業環境から農産物への移行、蓄積等に関する研究も進めているところです。こうした調査・研究を通じて得られた知見は、農林水産省のホームページ等に順次掲載し、本Q&Aも充実していきます。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674

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