食品中のPFASに関する情報
最終更新:令和7年7月29日
このウェブページでは、食品中のペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(これらの有機フッ素化合物は、総称して「PFAS」と呼ばれています)について、農林水産省が実施している取組やこれまでに得られている知見等についてお知らせします。 |
PFASとは
炭素とフッ素が結合した分子構造をもつ化合物を有機フッ素化合物と呼びます。PFASとは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされています。
1万種類以上あるとされるPFASの中には撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を示すものがあり、そのような性質を利用して、撥水・撥油剤、界面活性剤、半導体用反射防止剤等の幅広い用途で使用されています。
PFAS の中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきました。具体的には、PFOS については、半導体用反射防止剤・レジスト(保護膜)、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOA については、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきました。
PFOSやPFOAは、自然界で分解されにくい(難分解性)ため、環境中に蓄積されやすく(高蓄積性)、また風や水などに乗って長距離を移動するという性質(長距離移動性)があるため、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)に基づき、PFOSは2009年に「制限」、PFOAは2019年に「廃絶」とそれぞれ対象物質に分類されました。また、PFOSの一代替物質であるPFHxSも2022年に「廃絶」として対象物質に分類されました。
これを受けて、わが国でも、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づき製造・輸入等を規制しています。
PFOSやPFOAは、現時点では世界中に広く残留しており、環境や食物連鎖を通じて人の健康や動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が指摘されています。農林水産省は、優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質の一つとして位置付け、食品中の含有実態の把握や、農業環境から農畜水産物への移行等に関する情報の収集をしています。
農林水産省の取組
食品中のPFASについて、農林水産省がこれまでにどのような取組みを行っているのかを解説します。
1.食品中のPFASに関する実態調査
農林水産省は、食品の安全性に関するリスク管理に不可欠なデータを得るため、農畜水産物中に存在しうる有害化学物質の含有実態を調査しています。
食品中のPFASについては、これまで食品群ごとのPFOS及びPFOAの平均含有濃度等を把握するための予備調査を実施し、一般的な食生活では魚介類(=水産物)が主たる摂取源であると推定しました(平成24年度~平成26年度)。その後、水産物中のPFOS、PFOAの予備的な調査を実施しました。
引き続き、農畜水産物の生産段階における対策など食品中のPFASに関するリスク管理措置の必要性の検討を行うため、国産農畜水産物のPFAS含有実態を調査します。
- PFOSとPFOAを対象としたトータルダイエットスタディ(平成24~26年度実施)
有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成25~26年度)に掲載しています。
食品の安全性に関するサーベイランス・モニタリングの結果【有害化学物質】(農林水産省) - 令和3~4年度水産物中のパーフルオロアルキル化合物の実態調査結果(令和5年11月公表)
PFASのうち、PFOS、PFOAの2種について、水産物を対象に実施した予備的な調査結果です。
有害化学物質リスク管理基礎調査委託事業調査結果(令和3・4年度)(PDF:137KB)(農林水産省) - 令和6年度の農畜水産物のPFASの含有実態調査
PFASのうち、PFOS、PFOA、PFNA、PFHxSの4種類について、国産農畜水産物を対象に調査を実施します。
<対象品目>
農産物:ばれいしょ、キャベツ、トマト、コメ
畜産物:牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、鶏卵
水産物:マイワシ、カツオ、マダラ、アサリ、アユ - 令和6年度の農水産物のPFASの含有実態調査(補正予算)
PFASのうち、PFOS、PFOA、PFNA、PFHxSの4種類について、国産農水産物を対象に調査を実施します。
<対象品目>
農産物:ダイコン、ニンジン、ホウレンソウ、タマネギ、ブロッコリー
水産物:サケ・マス類(ギンザケ(海面養殖)、ニジマス(内水面養殖))、ホタテガイ、マサバ - 令和7年度の農畜水産物のPFASの含有実態調査
PFASのうち、PFOS、PFOA、PFNA、PFHxSの4種類について、国産農畜水産物を対象に調査を実施します。
<対象品目>
農産物:ハクサイ、キュウリ、ナス、サトイモ、ダイズ、小麦(玄米)、リンゴ、ミカン(温州みかん)
畜産物:牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、鶏卵
水産物:クロマグロ、マダイ、ブリ、マゴイ、マガキ、ワカメ(海藻加工品)
2.食品中のPFASに関する試験研究
- 農業環境(水、土壌等)からの農産物へのPFOA及びPFOS 等のPFAS の移行(蓄積動態)に関する基礎研究(終了)
研究期間:令和4年度
研究概要:PFASは水や土壌から農畜水産物や飲料水などを介してヒトの体内にも蓄積し、健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。農畜水産物中のPFASのリスク管理の必要性を検討するためには、環境水や土壌から農畜水産物へのPFASの移行の情報が重要になりますが、十分な知見が得られていません。
本研究では、農地土壌におけるPFOA及びPFOSを含む多種PFASの一斉分析法の検証やPFASの土壌から農産物への移行・蓄積に関する予備的な研究を実施しました。
研究成果報告書:終了した試験研究課題(有害化学物質)(農林水産省)
- 持続可能な農林水産業推進とフードテック等の振興に対応した未来の食品安全プロジェクトのうち、農産物中PFASの分析法の確立、農地土壌、水等からのPFAS移行特性の解明(実施中)
研究期間:令和5年度~令和9年度
研究概要及び最新の実績報告書:令和5年度安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業(農林水産省)
3.PFAS分析法
食品などの各種媒体に含まれるPFASの濃度を精確に知るためには、信頼できる分析法を用いて、適切な品質保証体制が整っている試験所で分析を実施する必要があります。現時点では、農地土壌や食品を対象とした国際的に標準的とされるPFAS分析法はありません。そこで、農林水産省では、PFOS、PFOAを含む多種PFASについての一斉分析法の開発に取組んでいます。
〇農地土壌
農地土壌の分析法の暫定マニュアルは、こちら(農研機構、外部サイト)から入手可能です。
また、環境省は、土壌中のPFOS、PFOA及びPFHxSに係る暫定測定方法(溶出量試験、含有量試験)を公表しています。
河川水等でPFOS、PFOAが検出されている自治体等から、農産物中のPFASの実態把握に関する問い合わせが複数あったことから、米国食品医薬品局が開発した分析法について、国内で入手可能な機器、器具、試薬等を用いて、農産物(穀類、葉菜類)を対象にPFOS、PFOA、PFHxS、PFNAの4種について性能の検証を行いました。その結果、農産物の調査に使用できる十分な性能を有していることを確認しましたので、自治体の試験研究機関や民間分析機関の皆様にご利用いただけるよう、分析の標準作業手順書を作成しました。
標準作業手順書は、こちら(PDF : 2,121KB)からご利用ください。
なお、PFASは、その汎用性の広さから、分析に通常使用される理化学機器や各種消耗品、分析者が身に着ける衣服や化粧品などにも使用されているため、信頼できる分析法の利用に加えて、周辺環境等により分析結果が影響を受けないような対策が重要です。
食品中のPFASの測定は分析機関へ依頼することができます。受託分析が可能とWeb等で公表していることを確認できた機関は、別表のとおりとなりますので、各機関へご相談下さい。その際、分析機関により、受託分析が可能な食品やPFASの種類、定量下限、価格、納期等は異なりますので、依頼者の目的に合った分析機関を選択してください。
なお、本表に掲載した分析機関の分析技能やデータの信頼性を、農林水産省が保証しているわけではありません。
新たに別表への掲載を希望する分析機関は、本ページ下部の「お問い合わせ先」までご連絡下さい。
4.食品中のPFASに関するQ&A
食品や農畜水産物中のPFASについてよくある質問をQ&Aとしてまとめました。
- 食品中のPFASに関するQ&A(農林水産省)
内閣府食品安全委員会がQ&Aを作成していますので、併せてご参照ください。
5.その他
〇汚泥肥料中のPFOS及びPFOAに関する情報
他省庁における取組
1.食品安全委員会
内閣府食品安全委員会は、食品健康影響評価を行い、令和6年6月に「評価書 有機フッ素化合物(PFAS)」を公表しました。
本評価では、PFASのうち、PFOS、PFOA、PFHxSの3種類の評価が行われました。
「有機フッ素化合物(PFAS)」の評価に関する情報(食品安全委員会)
2.環境省
環境省はPFASに関するポータルサイトを立ち上げております。
有機フッ素化合物(PFAS)について(環境省)
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674