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農林水産省

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作成日:平成29年7月19日

肉用牛農場のシガ毒素産生性大腸菌保有状況調査

 2.3.1.1. 牛農場

2.3.1.1.3. 肉用牛農場の菌保有状況調査(平成24年度)

肉用牛農場のシガ毒素産生性大腸菌O157及びO26の保有状況を把握するために、50農場において、1農場につき10頭(計500頭)を対象にシガ毒素産生性大腸菌O157及びO26の調査を行いました。

その結果、農場のシガ毒素産生性大腸菌O157保有率は50%、肉用牛のシガ毒素産生性大腸菌O157保有率は19%でした。シガ毒素産生性大腸菌O157を保有する農場の80%において、2頭以上の牛からシガ毒素産生性大腸菌O157が分離されました。また、農場のシガ毒素産生性大腸菌O26保有率は6%、肉用牛のシガ毒素産生性大腸菌O26保有率は1%でした。

(1) 目的

肉用牛農場と肉用牛のシガ毒素産生性大腸菌O157及びO26の保有状況を把握する。

(2) 試料の採取

平成24年8月~平成25年1月に、肉用牛を飼育する50農場で、1農場につき10頭(計500頭)の直腸便(1農場につき試料10点)を採取しました。調査対象の牛の平均月齢は23か月齢(3~38か月齢、調査対象の牛の約7割は21か月齢以上)でした。

(3) 微生物試験

直腸便を試料として大腸菌O157及びO26の定性試験(3.4.1.1 (1)3.4.1.1 (3)を行いました。分離された大腸菌O157又はO26がシガ毒素産生性大腸菌かどうかを判定するため、シガ毒素蛋白の産生の有無を逆受身ラテックス反応法(3.4.3.4)により確認しました。これらの試料(10頭の直腸便)のうち1点でもシガ毒素産生性大腸菌O157又はO26が分離された農場は、陽性(シガ毒素産生性大腸菌O157又はO26保有)と判定しました。

(4) 結果

肉用牛農場及び肉用牛のシガ毒素産生性大腸菌O157及びO26の保有状況

肉用牛農場のシガ毒素産生性大腸菌O157の保有率は50%(25/50)、牛のシガ毒素産生性大腸菌O157保有率は19%(94/500)でした。農場のシガ毒素産生性大腸菌O26の保有率は6%(3/50)、牛のシガ毒素産生性大腸菌O26保有率は1%(5/500)でした。(表9)

 表9:肉用牛農場におけるシガ毒素産生性大腸菌O157及びO26の保有状況

対象

調査数

シガ毒素産生性大腸菌O157

シガ毒素産生性大腸菌O26

陽性数

陽性率(%)

陽性数

陽性率(%)

肉用牛農場

   50農場

    25農場

50

   3農場

6

肉用牛

 500農場

 94頭

19

5頭

1

 

シガ毒素産生性大腸菌O157陽性農場の80%(20/25)において、調査対象の10頭のうち2頭以上が陽性でした。このうち、1農場では、10頭すべてが陽性でした。(表10)

一方、シガ毒素産生性大腸菌O26陽性農場の3農場のうち、1農場では1頭のみ陽性、2農場では2頭が陽性でした。

表10:各肉用牛農場のシガ毒素産生性大腸菌O157陽性牛の頭数

陽性牛の頭数

シガ毒素産生性大腸菌O157

該当農場数

割合(%)

1頭

5

20

2頭

6

24

3頭

4

16

4頭

2

8

5頭

2

8

6頭

2

8

7頭

0

0

8頭

2

8

9頭

1

4

10頭

1

4

合計

25

-

 


指導者・事業者の皆様へ

肉用牛を飼養する50農場のうち50%がシガ毒素産生性大腸菌O157を保有し、そのうち80%の農場において2頭以上の牛から菌が分離されました。過去の調査結果(2.3.1.1.1)と同様に、肉用牛農場では、シガ毒素産生性大腸菌O157が侵入すると、農場内の牛に感染が広がる可能性があることを示しています。農場にシガ毒素産生性大腸菌O157を「持ち込まない」、もし菌が農場に侵入したら、菌を農場内の牛に「広げない」、そして自分の農場から外に「持ち出さない」ように、衛生対策に取り組む必要があります。

有害微生物に感染した牛のと殺・解体時に、剥いだ体表が触れたり、消化管から漏れたふん便が付いたりすることにより、有害微生物が食肉を汚染すること(緒言)を考慮すると、農場でシガ毒素産生性大腸菌の保菌率を下げることは重要です。農場において有効と考えられる衛生対策を「牛肉の生産衛生管理ハンドブック」(生産者編、指導者編)で紹介しています。ご自身の農場における衛生対策の再確認や、食中毒を防ぐための追加の対策を検討したい方の参考になれば幸いです。

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