更新日:平成29年7月19日
作成日:平成29年7月19日
肉用牛の消化管内・肝臓・胆汁のシガ毒素産生性大腸菌分布状況調査
2.3.1.2. 食肉処理加工施設
2.3.1.2.2. 肉用牛の消化管内・肝臓・胆汁のシガ毒素産生性大腸菌分布状況調査(平成24年度)
と畜時の肉用牛の消化管内・肝臓(表層と内部)・胆汁のシガ毒素産生性大腸菌O157の分布を把握するために、1か所のと畜場において以下のとおり採取した試料を対象に、シガ毒素産生性大腸菌O157の調査を行いました。 その結果、第1回調査では、シガ毒素産生性大腸菌O157は、肉用牛72頭のうち3頭(4%)の直腸内容物から分離されました。また、第2回調査では、肉用牛138頭のうち2頭(1%)から分離され、そのうち1頭では肝臓表層から、別の1頭では肝臓表層と胆汁から分離されました。 |
(1) 目的
と畜時の肉用牛の消化管内・肝臓・胆汁のシガ毒素産生性大腸菌O157の分布を把握する。
(2) 試料の採取
第1回調査
平成24年5月~6月に、1か所のと畜場で、解体処理された肉用牛72頭から第一胃内容物、十二指腸内容物、直腸内容物、肝臓(表層と内部)、胆のう内の胆汁を採取しました。
○第2回調査
平成24年5月~7月に、第1回調査と同じと畜場で、解体処理された肉用牛138頭から肝臓(表層と内部)と胆のう内の胆汁を採取しました。
(3) 微生物試験
第一胃内容物、十二指腸内容物、直腸内容物、肝臓(表層:表面を含む36 cm2 x 深さ1cmの表層、内部:火炎殺菌した表面を取り除いた、その下層部分36 cm2 x 深さ1cm)、胆汁を試料として、大腸菌O157の定性試験(3.4.1.1 (2)、 3.4.1.3 (1)、 3.4.1.3 (2))を行いました。分離された大腸菌O157について、シガ毒素産生性大腸菌かどうかを判定するため、PCR法(3.4.3.3 (1))により、シガ毒素遺伝子(stx)の有無の確認及び亜型の分類を行うとともに、病原性に関わる遺伝子であるインチミン14遺伝子(eae)やエンテロヘモリシン15遺伝子(hlyA)の有無を確認しました。また、シガ毒素蛋白の産生の有無を逆受身ラテックス反応法(3.4.3.4)により確認しました。
これらの試料(第一胃内容物、十二指腸内容物、直腸内容物、肝臓表面、肝臓内部、胆汁)のうち1点でもシガ毒素産生性大腸菌O157が分離された肉用牛は、陽性(シガ毒素産生性大腸菌O157保有)と判定しました。
14 人の腸管粘膜への定着に関わる因子
15 溶血(赤血球の破壊)に関わる因子
(4) 結果
第1回調査
シガ毒素産生性大腸菌O157は、肉用牛72頭のうち3頭(4%)の直腸内容物から分離されました。
分離された3株は、すべてシガ毒素2型蛋白を産生していました。3株のうち2株は同じ性状(シガ毒素遺伝子stx2c保有、インチミン遺伝子(eae)保有)の菌株でした。
第2回調査
シガ毒素産生性大腸菌O157は、肉用牛138頭のうち2頭(1%)から分離されました。そのうち1頭では肝臓表層から、別の1頭では肝臓表層と胆汁から分離されました。
分離された3株は、すべてシガ毒素2型蛋白を産生し、インチミン遺伝子(eae)及びエンテロヘモリシン遺伝子(hlyA)を保有していました。シガ毒素遺伝子型はstx2 又はstx1/stx2でした。
指導者・事業者の皆様へ 1と畜場において、牛体内のシガ毒素産生性大腸菌O157の分布を調査した第1回調査では、シガ毒素産生性大腸菌O157は、肉用牛72頭のうち3頭(4%)の直腸内容物から分離されました。また、第2回調査では、肉用牛138頭のうち2頭(1%)から分離され、そのうち1頭では肝臓表層と胆汁から同じ性状の菌が分離されました。解体時に、胆のう内の胆汁に存在するシガ毒素産生性大腸菌O157が、肝臓の表面を汚染した、あるいは、胆管を通って肝臓に入った可能性がありました。引き続き、シガ毒素産生性大腸菌O157が肝臓に入る可能性について情報を収集します。 と畜場は、受け入れる牛がシガ毒素産生性大腸菌O157に感染し、シガ毒素産生性大腸菌O157が直腸以外の消化管にも分布している可能性を考慮して、衛生対策を実施する必要があります。厚生労働省は、と畜場における衛生管理措置及び食肉検査(外部リンク)や、と畜・食肉処理場におけるHACCP(外部リンク)の導入を推進しています。関連法令や通知(検索画面へ)(外部リンク)等を参照してください。 |
お問合せ先
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