このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

作成日:平成27年11月26日

ブロイラー鶏群から製造された鶏肉のリステリア・モノサイトジェネス汚染状況調査

 2.1.3.2. 食鳥処理場

 2.1.3.2.1. ブロイラー鶏群から製造された鶏肉の菌汚染状況調査(平成24年度)

次のことを把握するために、食鳥処理場2か所で処理される25鶏群について、各鶏群の出荷1週間前に8農場で採取した新鮮盲腸便と、処理当日に食鳥処理場2か所で採取した盲腸内容物や鶏肉を対象に、リステリア・モノサイトジェネスの調査を行いました。

  • 鶏肉は、食鳥処理場で包装された時点でリステリア・モノサイトジェネスに汚染されているのかどうか。
  • リステリア・モノサイトジェネス汚染鶏肉はリステリア・モノサイトジェネス陽性鶏群から製造されるのかどうか。

その結果、食鳥処理場では、リステリア・モノサイトジェネス陽性鶏群は4%(1鶏群)でした。また、鶏肉の14%からリステリア・モノサイトジェネスが分離されました。これらの汚染鶏肉は、リステリア・モノサイトジェネス陽性の1鶏群、陰性の16鶏群から製造されたものでした。リステリア・モノサイトジェネス陽性鶏群の盲腸内容物から分離された菌の血清型は、その鶏群を扱った食鳥処理場の鶏肉から分離された菌の血清型と異なっていました。

(1) 目的

鶏肉は、食鳥処理場で包装された時点でリステリア・モノサイトジェネスに汚染されているのか、リステリア・モノサイトジェネス汚染鶏肉はリステリア・モノサイトジェネス陽性鶏群から製造されるのかどうかを把握する。

(2) 試料採取

食鳥処理場2か所(A及びB18)において、平成24年8月~12月の間に、それぞれ5処理日、20処理日を選び、第1鶏群(1番目に処理される鶏群)を調査対象(計25鶏群)としました。これらの鶏群は、7農場から出荷されたものでした。

各鶏群の出荷1週間前に、新鮮盲腸便を鶏舎内の床の5か所から(1鶏群につき試料5点)採取しました。続いて処理当日に、各鶏群から、中抜き工程において採取した5羽分の盲腸内容物を混ぜた試料を4点(1鶏群につき試料4点)調製するとともに、解体・包装後に鶏肉(ムネ肉及び肝臓)を5袋ずつ(1鶏群につき試料10点)採取しました。

18 食鳥処理場名A及びBは、他調査の結果で用いられている食鳥処理場名と関連ありません。

(3) 微生物試験

新鮮盲腸便、盲腸内容物及び鶏肉を試料としてリステリア・モノサイトジェネスの定性試験(3.3.1.1 (2)3.3.1.2)を実施しました。盲腸内容物の試料4点のうち1点でもリステリア・モノサイトジェネスが分離された鶏群は、リステリア・モノサイトジェネス陽性と判定しました。分離されたリステリア・モノサイトジェネスについては、血清型を特定(3.3.2.1)しました。

(4) 結果

調査対象の25鶏群について、出荷1週間前に農場で採取した新鮮盲腸便からリステリア・モノサイトジェネスは分離されませんでした。処理当日に採取した盲腸内容物では、食鳥処理場Aの1鶏群(4%、1 / 25)から分離されました。

25鶏群から製造された鶏肉の汚染率は14%(34 / 250)でした。部位別にみると、ムネ肉の26%(33 / 125)、肝臓の1%(1 / 125)からリステリア・モノサイトジェネスが分離され、ムネ肉の汚染率の方が高いことがわかりました(表24)。これらの汚染鶏肉は、リステリア・モノサイトジェネス陽性の1鶏群と、陰性の16鶏群から製造されたものでした。

表24:鶏肉のリステリア・モノサイトジェネス汚染状況

鶏肉

処理場

試料点数

陽性点数

陽性率(%)

ムネ肉

A

  25

13

  52a

B

100

20

  20b

125

33

26

肝臓

A

  25

1

  4a

B

100

0

  0b

125

1

1

注釈 ap<0.01(99%以上の確率で、食鳥処理場Aでは、肝臓はムネ肉よりもリステリア・モノサイトジェネス陽性率が低い。)

bp<0.01(99%以上の確率で、食鳥処理場Bでは、肝臓はムネ肉よりもリステリア・モノサイトジェネス陽性率が低い。)

 

また、食鳥処理場Aで製造された鶏肉から分離されたリステリア・モノサイトジェネスは、1 / 2b(13 / 14)及び4b(1 / 14)の2血清型に分類され、盲腸内容物から分離された菌株の血清型(1 / 2a)と異なっていました。

一方、食鳥処理場Bで製造された鶏肉から分離されたリステリア・モノサイトジェネスの血清型は、全て1 / 2a(20 / 20)でした。

まとめ

食鳥処理場2か所において、調査対象の25鶏群のうち、リステリア・モノサイトジェネス陽性鶏群は4%(1鶏群)でした。食鳥処理場で包装された鶏肉の14%がリステリア・モノサイトジェネスに汚染されており、これらはリステリア・モノサイトジェネス陽性の1鶏群と、陰性の16鶏群から製造されたものでした。盲腸内容物から分離された菌の血清型は、その鶏群を扱った食鳥処理場の鶏肉から分離された菌の血清型と異なっていました。したがって、今回の調査では、どのようにして鶏肉がリステリア・モノサイトジェネスに汚染されたのか推測できませんでした。

また、今回の調査で鶏肉から分離されたリステリア・モノサイトジェネスの血清型は1 / 2a、1 / 2b及び4bであり、リステリア・モノサイトジェネスに感染した国内外の患者の便からも分離されている血清型でした。

鶏肉のリステリア・モノサイトジェネスの汚染源を明らかにするため、引き続き菌保有状況の調査等を進めていきます。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:危害要因情報班
代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-0490
FAX:03-3597-0329