このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

作成日:平成27年11月26日

各処理日の1番目・2番目に処理されるブロイラー鶏群から製造された鶏肉のリステリア・モノサイトジェネス汚染状況の比較調査

2.1.3.2. 食鳥処理場

 2.1.3.2.2. 各処理日の1番目・2番目に処理されるブロイラー鶏群から製造された鶏肉の菌汚染状況の比較調査(平成23年度)

次のことを把握するために、食鳥処理場2か所において、11処理日にわたり、計44鶏群の鶏肉を対象にリステリア・モノサイトジェネスの調査を行いました。

  • 鶏肉は、食鳥処理場で包装された時点でリステリア・モノサイトジェネスに汚染されているのかどうか。
  • 各処理日の1番目に処理される鶏群から製造される鶏肉と、2番目に処理される鶏群から製造される鶏肉で汚染状況は異なるのかどうか。

その結果、一方の食鳥処理場では、鶏肉からリステリア・モノサイトジェネスは分離されませんでした。もう一方の食鳥処理場では、鶏肉の15%からリステリア・モノサイトジェネスが分離されました。1番目に処理される鶏群から製造された鶏肉の汚染率は22%、2番目に処理される鶏群から製造された鶏肉の汚染率は7%でした。

(1) 目的

鶏肉は、食鳥処理場で包装された時点でリステリア・モノサイトジェネスに汚染されているのか、各処理日の1番目に処理される鶏群から製造される鶏肉と、2番目に処理される鶏群から製造される鶏肉で汚染状況は異なるのかどうかを把握する。

(2) 試料採取

食鳥処理場2か所(A及びB)19において、平成23年9月~平成24年2月の間に、それぞれ11処理日ずつを選び、第1鶏群(1番目に処理される鶏群)及び第2鶏群(2番目に処理される鶏群)を調査対象としました(計44鶏群)。各鶏群から、解体・包装後の鶏肉(ムネ肉及び肝臓)を5袋(1鶏群につき試料10点)採取しました。

19 食鳥処理場名A及びBは、他調査の結果で用いられている食鳥処理場名と関連ありません。

(3) 微生物試験

鶏肉を試料としてリステリア・モノサイトジェネスの定性試験(3.3.1.2)を実施しました。分離されたリステリア・モノサイトジェネスについては、血清型を特定(3.3.2.1)しました。

(4) 結果

◯食鳥処理場Aの鶏肉の汚染状況

食鳥処理場Aでは、22鶏群から製造されたムネ肉110点、肝臓110点のいずれの試料からも、リステリア・モノサイトジェネスが分離されませんでした。

◯食鳥処理場Bの鶏肉の汚染状況

食鳥処理場Bでは、調査対象の22鶏群から製造された鶏肉の汚染率は15%(32 / 220)でした。部位別にみると、製造されたムネ肉の23%(25 / 110)、肝臓の6%(7 / 110)からリステリア・モノサイトジェネスが分離され、ムネ肉の汚染率の方が高いことがわかりました(表25)。

また、全11処理日の第1鶏群から製造された鶏肉の汚染率は22%、第2鶏群から製造された鶏肉の汚染率は7%でした。部位別にみると、第1鶏群から製造されたムネ肉と肝臓の汚染率はそれぞれ33%(18 / 55)と11%(6 / 55)であり、第2鶏群から製造されたムネ肉と肝臓の汚染率はそれぞれ13%(6 / 55)と2%(1 / 55)でした。ムネ肉・肝臓ともに、第1鶏群から製造されたものの方が、第2鶏群から製造されたものより、リステリア・モノサイトジェネス汚染率が高いことがわかりました(表25)。

表25:鶏肉のリステリア・モノサイトジェネス汚染状況(食鳥処理場B)

鶏肉

鶏群

試料点数

陽性点数

陽性率(%)

ムネ肉 第1鶏群

  55

18

33a

第2鶏群

  55

  7

13a

110

25

23c

肝臓 第1鶏群

  55

  6

11b

第2鶏群

  55

  1

  2b

110

  7

  6c

 注釈 ap<0.02(98%以上の確率で、第2鶏群から生産されたムネ肉は、第1鶏群から生産されたムネ肉よりも、リステリア・モノサイトジェネス陽性率が低い。)

bp<0.05(95%以上の確率で、第2鶏群から生産された肝臓は、第1鶏群から生産された肝臓よりも、リステリア・モノサイトジェネス陽性率が低い。)

cp<0.001(99.9%以上の確率で、肝臓はムネ肉よりもリステリア・モノサイトジェネス陽性率が低い。)

 

 

 

ムネ肉の汚染状況を時期別にみると、平成24年1月~2月に採取されたムネ肉の汚染率(3%、1 / 40)は、平成24年9月~12月に採取されたムネ肉の汚染率(32%、24 / 70)よりも低いことがわかりました。

なお、食鳥処理場Bで製造された鶏肉から分離されたリステリア・モノサイトジェネスは、1 / 2a(7 / 32)及び1 / 2b(25 / 32)の2血清型でした。

まとめ

食鳥処理場2か所のうち、一方の食鳥処理場において22鶏群から製造された鶏肉の15%がリステリア・モノサイトジェネスに汚染されていました。また、各処理日の1番目に処理される鶏群から製造された鶏肉の方が、2番目に処理される鶏群から製造された鶏肉よりも、リステリア・モノサイトジェネスの汚染率が高いことがわかりました。今回の調査の結果は、各処理日の食鳥処理が始まる前から、食鳥処理場の機械や器具等が汚染されていた可能性があることを示しています。鶏肉のリステリア・モノサイトジェネスの汚染源を明らかにするため、引き続き菌保有状況の調査等を進めていきます。

食鳥処理場2か所のうち、もう一方の食鳥処理場で製造された鶏肉からは、リステリア・モノサイトジェネスが分離されず、鶏肉のリステリア・モノサイトジェネス汚染状況は食鳥処理場によって大きく異なる可能性があると考えられました。

なお、今回の調査で鶏肉から分離されたリステリア・モノサイトジェネスの血清型は1 / 2a及び1 / 2bであり、リステリア・モノサイトジェネスに感染した国内外の患者の便からも分離されている血清型でした。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:危害要因情報班
代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-0490
FAX:03-3597-0329