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農林水産省

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作成日:平成27年11月26日

ブロイラー農場のサルモネラ保有状況調査

 2.1.2.1. 肉用鶏農場

 2.1.2.1.1. ブロイラー農場の菌保有状況調査(平成19,21年度)

国内のブロイラー農場(鶏群)のサルモネラ保有状況や、衛生対策の実施状況を把握するために、延べ265農場において、各農場で1鶏群又は2鶏群(連続した生産サイクルの2鶏群)の計288鶏群を対象にサルモネラの調査を行いました。その結果、鶏群のサルモネラ保有率は86%でした。また、2鶏群を調べた23農場のうち14農場において、両鶏群から同じ性状5を示すサルモネラが分離されました。

5 血清型と薬剤耐性パターン

(1) 目的

国内のブロイラー農場(鶏群)のサルモネラ保有状況を把握する。

(2) 試料採取

平成19年11月~平成20年2月及び平成21年9月~平成22年2月に、ブロイラー生産者14社の延べ265農場において、288鶏群(242農場では1鶏群、23農場では2鶏群(第1鶏群とその次の生産サイクルの鶏群(第2鶏群)))の新鮮盲腸便を鶏舎内の床の5か所から(1鶏群につき試料5点)採取しました。鶏群は、出荷まで2週間以内のものを対象としました。

(3) 微生物試験

新鮮盲腸便を試料としてサルモネラの定性試験(3.2.1.1 (4) )を行いました。試料5点のうち1点でもサルモネラが分離された鶏群は、陽性(サルモネラ保有)と判定しました。分離されたサルモネラについては、O抗原及びH抗原を調べて血清型を特定(3.2.3.2)しました。また、血清型と併せて、菌株の同一性を確認するため、薬剤感受性試験(3.2.3.3)を行いました。

(4) 結果

鶏群のサルモネラ保有率は86%(248/288)でした。また、2鶏群の新鮮盲腸便を採取した23農場のうち20農場では2鶏群ともサルモネラ陽性で、うち14農場では2鶏群から分離された菌が同じ性状(血清型及び薬剤感受性)を示しました。残り3農場では、両鶏群ともサルモネラ陰性でした。

サルモネラを保有する248鶏群から分離された285株のサルモネラは、15以上の血清型に分類されました。分離株数で上位3血清型の鶏群の保有率は、Salmonella Infantisが61%(176/288)、S. Manhattanが12%(34/288)、S. Schwarzengrundが10%(28/288)でした。サルモネラ食中毒の原因として一番多い血清型のS. Enteritidisの鶏群の保有率は、1%(2 / 288)でした(表14)。

表14:ブロイラー鶏群から分離されたサルモネラの血清型と鶏群の陽性率(対象:288鶏群)

サルモネラ血清型

陽性鶏群数

陽性率(%)

S. Infantis

176

61

S. Manhattan

  34

12

S. Schwarzengrund

  28

10

S. Typhimurium

  10

  3

S. Nigeria

    7

  2

S. Brezany

    3

  1

S. Agona

    2

  1

S. Enteritidis

    2

  1

S. Isangi

    2

  1

S. Livingstone

    2

  1

その他の血清型

  19

  7

 

指導者・事業者の皆様へ

国内のブロイラー288鶏群のサルモネラ保有率は86%でした。また、鶏群から分離されたサルモネラの血清型の多くは、サルモネラ食中毒事例で分離される血清型でした(ただし、2,500以上の血清型のうち、サルモネラ食中毒の原因として一番多い血清型S.Enteritidisの鶏群の保有率は1%でした。)。農場でサルモネラの保有率を下げることによって、食中毒の発生の減少につながると期待できます。

また、2鶏群を調べた23農場のうち14農場では、両鶏群から同じ性状を示すサルモネラが分離されました。このことから、農場単位のオールインオールアウトに加え、出荷ごとに鶏舎を洗浄・消毒しても、サルモネラが農場環境中に持続的に生存する、または、農場やその周辺にサルモネラに感染した野生動物や昆虫等が存在し、次の生産サイクルの鶏群がサルモネラに感染する可能性があると考えられました。

農場や鶏舎、器具・器材の清掃や洗浄・消毒、野生動物や昆虫等の侵入防止など、農場において有効と考えられる衛生対策を「鶏肉の衛生管理ハンドブック」(生産者編・指導者編)で紹介していますので、参考にしてください。

なお、鶏は、サルモネラに感染しても症状を示すとは限らないので、自分の農場の状況を知るにはサルモネラの検査を行う必要があります。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:危害要因情報班
代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-0490
FAX:03-3597-0329