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農林水産省

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更新日:平成27年11月26日

作成日:平成27年6月25日

ブロイラー鶏群から製造された鶏肉のカンピロバクター汚染状況調査

 2.1.1.2.食鳥処理場

 2.1.1.2.1. ブロイラー鶏群から製造された鶏肉の菌汚染状況調査(平成21年度)

次のことを把握するために、食鳥処理場1か所において、9処理日にわたり、計24ブロイラー鶏群の盲腸内容物や鶏肉を対象にカンピロバクターの調査を行いました。

  • カンピロバクター汚染鶏肉はカンピロバクター陽性鶏群から製造されるのかどうか。
  • 陽性鶏群のカンピロバクターが、食鳥処理場の機械や器具等を介して陰性鶏群から製造される鶏肉を汚染するのかどうか。

その結果、カンピロバクター陽性の14鶏群から製造された鶏肉の汚染率は51%、カンピロバクター陰性の10鶏群から製造された鶏肉の汚染率は7%でした。今回の調査におけるカンピロバクター汚染鶏肉の91%が、陽性鶏群から製造された鶏肉でした。また、カンピロバクター陰性鶏群から製造された汚染鶏肉の78%は、ある陽性鶏群の直後に処理された陰性鶏群から製造された鶏肉であり、かつ、その陽性鶏群から分離されたカンピロバクターと同じ性状5の菌が分離されました。

5菌種、フラジェリン遺伝子の型及び薬剤耐性パターン。

 

(1) 目的

カンピロバクター汚染鶏肉はカンピロバクター陽性鶏群から製造されるのかどうか、また、陽性鶏群が処理された後に陰性鶏群が処理される場合、陽性鶏群のカンピロバクターが、機械や器具等を介して、陰性鶏群から製造される鶏肉を汚染するのかどうかを把握する。

 

(2) 試料採取

食鳥処理場1か所において、平成21年9~12月の間の9処理日を選び、3処理日は第1鶏群(1番目に処理される鶏群)及び第2鶏群(2番目に処理される鶏群)を、6処理日は第1鶏群、第2鶏群及び第3鶏群を調査対象としました(計24鶏群)。各鶏群から、中抜き工程において10羽分の盲腸内容物と(1鶏群につき試料10点)、解体・包装後に鶏肉(モモ肉、ムネ肉、ササミ、砂肝及び肝臓の5種類)を5袋ずつ(1鶏群につき試料25点)採取しました。

 

(3) 微生物試験

盲腸内容物及び鶏肉を試料としてカンピロバクターの定性試験(3.1.1.1(1)3.1.1.6 )を実施しました。盲腸内容物の試料のうち、1点でもカンピロバクターが分離された鶏群は、カンピロバクター陽性と判定しました。分離されたカンピロバクターについては、生化学的試験及びPCR法により菌種(Campylobacter jejuni, C.coli)を同定(3.1.3.1 )しました。また、菌株の同一性を確認するため、フラジェリン遺伝子を利用した型別試験(3.1.3.2 )及び薬剤感受性試験(3.1.3.3 )を行いました。

 

(4)結果

カンピロバクター陽性の14鶏群から製造された鶏肉の51%(180 / 350)からカンピロバクターが分離され、一方、カンピロバクター陰性の10鶏群から製造された鶏肉については、7%(18 / 250)のみカンピロバクターが分離されました(表9)。今回の調査におけるカンピロバクター汚染鶏肉の91%(180/198)が、カンピロバクター陽性鶏群から製造された鶏肉でした。

表9:鶏肉のカンピロバクター汚染状況 

鶏群

鶏肉

試料点数

陽性点数

陽性率(%)

 カンピロバクター陽性鶏群 全体 

350

180 

 51  

モモ肉

  70

 42

60a 

 ムネ肉

   70 

 46

 66ab

 ササミ

  70

 32

 46ab

 砂肝

   70 

 41

59a

 肝臓

  70

 19

27a

 カンピロバクター陰性鶏群  全体

  250 

  18 

    7  

 モモ肉

   50

   2

  4

 ムネ肉

    50 

   6

12

 ササミ

    50 

   2

  4

 砂肝

   50

   7

14

 肝臓

    50 

   1

  2

注釈 ap<0.017(98.3%以上の確率で、カンピロバクター陽性鶏群から製造された肝臓は、同鶏群から製造された他の製品よりも、カンピロバクター陽性率が低い。)

bp=0.013(98.7%の確率で、カンピロバクター陽性鶏群から製造されたササミは、同鶏群から製造されたムネ肉よりも、カンピロバクター陽性率が低い。)

 

 

カンピロバクター陰性鶏群から製造された汚染鶏肉の78%(14 / 18)は、ある陽性鶏群の直後に処理された陰性鶏群から製造された鶏肉であり、かつ、その陽性鶏群から分離されたカンピロバクターと同じ性状の菌(C.jejuni、8種の抗菌性物質に感受性、フラジェリン遺伝子5型)が分離されました。

また、カンピロバクター陰性鶏群のうち3鶏群は、3処理日において陽性鶏群の直後に処理されており、これら3鶏群から製造された鶏肉の汚染率は21%(16 / 75)でした。一方、カンピロバクター陰性の残り7鶏群は、5処理日において陽性鶏群の前に処理されており、これら7鶏群から製造された鶏肉の汚染率はわずか1%(2 / 175)でした。

指導者・事業者の皆様へ

 

食鳥処理場1か所において、カンピロバクター陽性の14鶏群から製造された鶏肉の51%、陰性の10鶏群から製造された鶏肉の7%からカンピロバクターが分離されました。そして、カンピロバクター汚染鶏肉の91%が、カンピロバクター陽性鶏群から製造された鶏肉でした。したがって、農場で鶏群のカンピロバクターの保有率を下げることによって、鶏肉の汚染率が下がり、食中毒の発生の減少につながると期待できます。また、カンピロバクター陰性鶏群から製造された汚染鶏肉の78%は、ある陽性鶏群の直後に処理された陰性鶏群から製造された鶏肉であり、かつ、その陽性鶏群から分離されたカンピロバクターと同じ菌が分離されました。陽性鶏群を介して食鳥処理場にカンピロバクターを持ち込むと、それが食鳥処理場の機械や器具等を汚染し、その後に処理される鶏群を汚染するので、農場で衛生対策を実施することが重要です。

ブロイラー農場(鶏群)のカンピロバクター保有率は約5割であった(2.1.1.1.1)ため、食鳥処理場は、受け入れる生鳥がカンピロバクターに感染している可能性があることを考慮して、衛生対策を実施する必要があります。厚生労働省は、食鳥処理場における衛生管理措置及び食鳥検査(外部リンク)や、食鳥処理場におけるHACCP(外部リンク)の導入を推進しています。関係法令や通知(検索画面へ)(外部リンク)を参照してください。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:危害要因情報班
代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-0490
FAX:03-3597-0329