このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

実施中の試験研究課題(短期課題解決型研究)

  • 印刷
令和4年11月21日更新
農林水産省では、安全な農畜水産物を安定的に供給し、食の安全及び消費者の信頼を確保するため、食品安全、動物衛生、植物防疫等の分野の行政施策・措置(法令・基準・規則等)の決定に必要な科学的知見を得るため、安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業を実施しています。本事業のうち、短期課題解決型研究で実施中の試験研究課題は以下のとおりです。また、課題解決型プロジェクト研究で実施中の試験研究課題はこちらを御参照ください。

食品安全に関する研究

カキ中のノロウイルス低減対策に関する研究

  • 課題番号:20330964
  • 研究期間:令和2年度~令和4年度
  • 研究概要:
    ノロウイルス(NoV)による食中毒は、国内の病因物質の中で患者数が最多となっています。特にカキは生食が多い食材であり、NoVに汚染されたものが食中毒の原因となることから、カキ中のNoV 汚染を低減することは、食中毒の発生及びその後のヒト間の感染を防ぐ上で重要な対策となります。
    国内の産地で主として実施されている汚染低減処理は、養殖後のカキを一定時間、殺菌した海水などの中で蓄養する浄化処理ですが、浄化処理によるNoVの低減効果は、従来、NoV以外のウイルスを用いて評価することが一般的であり、また検査の精度管理の問題があり、これまでのところ十分に評価されていません。
    このため、NoV低減効果の検証に必要なNoV汚染カキ試料作製法を確立します。また、本技術により作製した試料を用いて、蓄養海水の塩濃度、温度等の違いによる浄化効果を検証し、カキ生産現場において実行可能な低減対策を提案します。
  • 研究実施機関:カキ中のノロウイルス低減対策に関する研究グループ
  • コンソーシアム構成員:
    (国研)水産研究・教育機構、国立医薬品食品衛生研究所、宮城県水産技術総合センター、国立感染症研究所

乳児用調製乳中のクロロプロパノール類及び関連物質の高感度分析法の開発

  • 課題番号:21454605
  • 研究期間:令和3年度~令和4年度
  • 研究概要
    乳児の健康保護の観点から、乳児用調製乳中のクロロプロパノール類及び関連物質(3-MCPD脂肪酸エステル類(3-MCPDE)/グリシドール脂肪酸エステル類(GE))の濃度を低減するための努力を継続することが国際的に推奨されています。このような中、関係事業者は、関係団体と農林水産省が連携して策定した「食品中の3-MCPDE/GE低減のための手引き」(令和2年10月公表)を活用して低減対策を実施しており、その効果を検証することが必要となっています。しかし、現在、国内外において、これら物質を十分低い濃度範囲で精確に定量できる分析法は確立していません。また、関連物質である2-MCPD脂肪酸エステル類(2-MCPDE)についても、食品中の含有実態や健康影響に関する知見の蓄積が求められています。
    このため、AOAC International の合同試験の候補となっている2つの分析法を対象に、3-MCPDE、2-MCPDE 及びGE 濃度の精確な分析が可能か検証し、要すれば、それらの方法を改良又は新たな分析法の開発を行います。また、検証、改良又は開発した分析法について、単一試験室での妥当性確認を行います。
  • 研究実施機関:(一財)日本食品分析センター

農業用水中に含まれる大腸菌を対象とした簡易検査法の開発

  • 課題番号:21454554
  • 研究期間:令和3年度~令和4年度
  • 研究概要:
    生食用野菜が原因と考えられる食中毒を防ぐため、令和2年9月に公表した「栽培から出荷までの野菜の衛生管理指針」(試行版第2版)において、野菜の栽培に使う水に対して、水質を評価するための大腸菌数の目安を記載したところです。しかしながら、現状、生産者が水質検査を実施する場合には、分析機関への依頼分析が必要となるため、生産現場において、指針に基づき、水質検査を実施し、結果に応じて対策を実施するのは難しい状況にあります。 このため、農業用水の糞便汚染の可能性を判断する根拠となりうる、比較的安価かつ簡易で迅速な大腸菌の検査法を開発します。
  • 研究実施機関:(国研)農業・食品産業技術総合研究機構

農業環境(水、土壌等)からの農産物へのPFOA及びPFOS 等のPFAS の移行(蓄積動態)に関する基礎研究

  • 課題番号:22682068
  • 研究期間:令和4年度
  • 研究概要:
    我が国の主要な農地土壌や農産物などにおける、PFOA及びPFOSを含む多種PFASの一斉分析法の性能検証、妥当性確認を行います。水環境中のPFOA及びPFOSが報告された複数地域において、自治体の連携・協力の下で、農業用水、農地土壌及び農産物を採取し、PFOA及びPFOSを含む多種PFASの分析を行い、国産農産物への移行、蓄積が懸念されるPFASの分子種の予備的な探索を行います。また、農業環境におけるPFASの動態把握に必要な、農業用水や農地土壌のサンプリング法の検討、提案を行います。
  • 研究実施機関:農水(RS研究)PFASコンソーシアム
  • コンソーシアム構成員:
    (国研)農業・食品産業技術総合研究機構、(国研)産業技術総合研究所、(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所

動物衛生に関する研究

いのしし用国産CSF経口ワクチンの開発

  • 課題番号:20320649
  • 研究期間:令和2年度~令和4年度
  • 研究概要:
    国内で発生している豚熱(CSF)への防疫対策として、CSF感染野生いのししを介したCSFウイルスの拡散防止対策を講じるため、野生いのししに対し輸入経口ワクチンを散布しています。EUの事例を踏まえれば、野生いのしし対策が長期化することが予想され、経口ワクチンの継続使用とその散布地域の拡大が見込まれることから、安定的に国内に製品を供給する必要があります。
    このため、経口ワクチンに適したウイルス株を作出するとともに、国内での使用に適したベイト剤を開発し、いのしし用国産CSF経口ワクチンを試作します。また開発した試作品について、その有効性を確認します。
  • 研究実施機関:CSF経口ワクチンコンソーシアム
  • コンソーシアム構成員:
    (国研)農業・食品産業技術総合研究機構、共立製薬(株)先端技術開発センター、県立広島大学
豚熱(CSF)に関する研究については、令和2年度~令和6年度まで「CSFの新たな総合的防除技術の開発」を実施中です。

牛伝染性リンパ腫の伝播リスクの高い牛を摘発するための多検体処理診断法の開発

  • 課題番号:21453644
  • 研究期間:令和3年度~令和4年度
  • 研究概要:
    「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン」を策定し5年が経過するが、牛伝染性リンパ腫の国内での発生報告件数は増加しています。 農場内の感染拡大防止対策や清浄化にあたっては、牛伝染性リンパ腫ウイルスの感染牛と非感染牛を識別することが重要ですが、現行法であるリアルタイムPCR 法等は、検査検体数が限られること、検査コストが高いことなどから、現場での利用が進んでいない状況にあり、さらに、農場内清浄化のための感染牛の更新を進めるにあたって、ウイルスを伝播させるリスクの高い牛(ハイリスク牛)の目安が明確ではないため、更新の優先順位付けが困難となっています。 このため、低コスト・多検体処理を可能とする簡便リアルタイムPCR法を開発します。また開発した簡便リアルタイムPCR法による、伝播リスクの高い牛の摘発の有効性を検証します。
  • 研究実施機関:(国研)農業・食品産業技術総合研究機構を代表とする研究グループ
  • コンソーシアム構成員:
    (国研)農業・食品産業技術総合研究機構、(地独)北海道立総合研究機構、国立大学法人宮崎大学

病原体の侵入・拡散防止のための効果的な小型野生動物・害虫対策の検討

  • 課題番号:22682159
  • 研究期間:令和4年度
  • 研究概要:
    高病原性鳥インフルエンザ及び豚熱の発生事例においては、疫学調査チーム検討会の取りまとめ等として、ネズミ、イタチ等の小型野生動物の畜舎への侵入によるウイルス伝播の可能性が指摘されています。しかし、病原体の侵入・拡散防止を目的とした、農場及びその周辺において活用可能で効果的な小型野生動物等の防除・駆除方法はこれまでに確立されておらず、生産現場における家畜衛生対策の推進のために総合的な対策マニュアルの整備が必要です。 このため、農場のネズミ等に関する論文をもとにしたデータベースの作成や農場で行われているネズミ対策に関するアンケート調査を行うことで、ネズミ等の小型野生動物の生態に関する既知の知見の収集及び畜舎内及びその周辺における小型野生動物等の農場間の動態や対策効果のデータを収集し、平時及び防疫措置実施時の効果的な防除方法を検証します。
  • 研究実施機関:小型野生動物対策マニュアル策定に向けた基盤的研究コンソーシアム
  • コンソーシアム構成員:
    国立大学法人東京大学、(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、学校法人ヤマザキ学園ヤマザキ動物看護専門職短期大学

植物防疫に関する研究

Tomato brown rugose fruit virusの多検体診断技術及び防除技術の開発

  • 課題番号:20320466
  • 研究期間:令和2年度~令和4年度
  • 研究概要:
    Tomato brown rugose fruit virus (ToBRFV)は、日本を含む多くの国 でナス科植物の生産に被害をもたらしている Tobacco mosaic virus (TMV) や Tomato mosaic virus (ToMV)と同じ Tobamovirus に含まれる新種のウイルスです。ToBRFVは、2014年にイスラエルで発見された以降、米国や中国等新規発生報告が相次いでいること、果実が奇形となるなどの経済的被害が報告されていること、ToMV 等の抵抗性品種に対する打破能を有することが報告されていることなどから、世界的に未発生地域・国への侵入が警戒されています。
    このため、ToBRFVについて、RT-PCRや血清学的手法を用いた検出方法を開発するとともに、多検体サンプルからの効率的な検出技術を開発します。また、ToBRFVの生物学的基礎情報(宿主範囲、種子伝染のメカニズム等)の収集、ToBRFVの感染拡大リスクを低減させるための防除方法(土壌中のウイルス不活化、消毒薬剤の効果確認、弱毒ウイルス株の活用等)の開発を行います。
  • 研究実施機関:(国研)農業・食品産業技術総合研究機構

臭化メチルの飼料用植物への使用に関する安全性の確保

  • 課題番号:22682198
  • 研究期間:令和4年度~令和5年度
  • 研究概要:
    経時的に残留量が減衰するという臭化メチルの特性を踏まえ、輸入時のサイロ及び倉庫で行われる飼料用植物に対する消毒について、臭化メチルの残留が生じにくい消毒方法・くん蒸後の排気方法を確立します。また、輸入時に臭化メチルでくん蒸した飼料用植物について、国内飼料工場での多様な製造工程を経た際の臭化メチル残留量のデータを収集し、減衰傾向を特定します。
    そして、臭化メチルの残留が生じにくい消毒と製造工程の両方を経ることで生じる残留低減効果を検討し、畜産物の安全性を確保した各種飼料用植物での新たな臭化メチルの消毒基準を構築します。
  • 研究実施機関:臭化メチル安全性確保共同研究コンソーシアム
  • コンソーシアム構成員
    (一財)残留農薬研究所、(一社)日本くん蒸技術協会

ドローン等を活用した効率的な誘殺板の散布手法に関する調査研究

  • 課題番号:22682195
  • 研究期間:令和4年度~令和6年度
  • 研究概要:
    現在、ミカンコミバエの誘殺板の散布には、多大な労力と時間を要します。 本研究では、人が立ち入りにくい山間部等の地域において、迅速かつ省力的に誘殺板を散布するために、ドローンや無人ヘリコプターといった機器の開発及び改良を行います。また、ドローン等の機器を活用し、安全かつ正確に誘殺板を散布するための実証試験を行うとともに、この試験結果等を踏まえ、散布手法を確立し、ミカンコミバエの防除を行うための空中散布マニュアルを作成します。
  • 研究実施機関:誘殺板散布技術確立コンソーシアム
  • コンソーシアム構成員
    (一社)農林水産航空協会、ヤマハ発動機(株)

その他の分野に関する研究

栽培用種苗中の未承認遺伝子組換え体の迅速検査法の開発

  • 課題番号:21454496
  • 研究期間:令和3年度~令和4年度
  • 研究概要:
    海外では新たな遺伝子組換え作物の開発が進展しており、中には日本で未承認遺伝子組換え作物もあり、万が一、我が国に輸入する栽培用種苗に未承認遺伝子組換え体が混入した場合、我が国の生物多様性や、農業生産・食料供給に悪影響が生じ、重大な経済的・社会的な混乱をもたらす可能性があります。 このようななか、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づき、農林水産省では、未承認遺伝子組換え作物種苗の検査法を開発するとともに、栽培用種苗の輸入時検査を行っているが、今後は未承認組換え体が混入する可能性があると考えられる作物種が増えることにより検査体制がひっ迫することが予想されます。 このため、現行のリアルタイムPCRに比べ迅速に検出可能なLAMP法を利用した検査法を開発します。
  • 研究実施機関:(国研)農業・食品産業技術総合研究機構を代表とする研究グループ
  • コンソーシアム構成員
    (国研)農業・食品産業技術総合研究機構、(株)ファスマック、(株)ニッポンジーン

被覆を必要とする農薬の使用時におけるリスク低減に関する研究

  • 課題番号:21453799
  • 研究期間:令和3年度~令和4年度
  • 研究概要:
    クロルピクリン剤については、土壌病害虫を防除する上で有効な農薬であり、国内各地で使用されていますが、刺激性があり、農薬使用時に適切な被覆が行われなかったこと等を原因とするクロルピクリン剤による事故が毎年報告されています。日本では、ほ場が住宅地近辺に存在することがあり、これらの地域では農業者自身だけでなく、周辺住民に被害が生じることがないよう、同剤の使用時に被覆を適切に行うことが極めて重要となります。
    同剤の使用によるリスクを更に低減する対策を検討し、また、適切な取扱いの指導や規制の検討に活用するため、被覆資材の種類や環境条件による同剤の揮散防止効果等の科学的知見等を収集します。
  • 研究実施機関:(国研)農業・食品産業技術総合研究機構を代表とする研究グループ
  • コンソーシアム構成員
    (国研)農業・食品産業技術総合研究機構、高知県農業技術センター、徳島県立農林水産総合技術支援センター

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課食品安全科学室
担当者:レギュラトリーサイエンス対応推進班
代表:03-3502-8111(内線4451)
ダイヤルイン:03-3502-5722
FAX:03-3597-0329