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農林水産省

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食品中のトランス脂肪酸を測定したい事業者の方へ

作成日:2021年10月15日
更新日:2022年12月16日

食品中のトランス脂肪酸には、反すう動物由来の脂肪や乳製品などに含まれている天然由来のものと、油脂の加熱や部分水素添加などの加工由来のものがあります。油脂の加工由来のトランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂を原料に使った食品には、そうでない食品よりもトランス脂肪酸が多く含まれます。

また、部分水素添加油脂を使っていない食品であっても、反すう動物由来の脂肪や乳製品を原料に使った食品であれば、天然由来のトランス脂肪酸を含んでいることがあります。

このように、同じ種類の食品でも、原材料や製造方法によってトランス脂肪酸の濃度は異なります。なお、トランス脂肪酸は脂質の一種であるため、脂質を含まない食品にはトランス脂肪酸も含まれません。食品中のトランス脂肪酸を測定したい場合は、以下をご参考にしてください。

1.自社製品中のトランス脂肪酸濃度  

食品事業者の皆様が、諸外国への輸出や取引先からの要望等に対応するため、自社製品中のトランス脂肪酸濃度をお知りになりたい場合は、当該製品中のトランス脂肪酸濃度を分析する必要があります。
トランス脂肪酸濃度が既知の原材料を用いている場合は、その使用割合から製品中のトランス脂肪酸濃度を推定することも可能です。ただしこの値はあくまで推定値であり、実測値と異なる場合があります。そのため、自社製品の輸出をお考えの場合は、輸出先国におけるトランス脂肪酸の表示や最大基準値等の規制の内容、さらに採用すべきトランス脂肪酸濃度の分析法が定められているかどうかをよく確認の上、分析の実施をご検討ください

また、栄養成分表示においてトランス脂肪酸を「0 g」と表示できる条件は、国によって異なります。日本では、消費者庁が、食品100 gあたりのトランス脂肪酸の含有量が0.3 g未満である等の条件を満たす場合に「0 g」と表示ができるとしていますが、この条件を満たしても他国で同様に表示できるとは限りません。輸出する製品にトランス脂肪酸の含有量を「0 g」と表示する場合には、輸出先国のトランス脂肪酸の表示に関する規制の内容をご確認ください。

なお、EUをはじめ食品中のトランス脂肪酸濃度の最大基準値を定めている国では、天然由来のトランス脂肪酸を基準値の対象外としています。一方、食品には動物性脂肪と植物性油脂の両方を原料とするものもあり、このような食品は天然由来のトランス脂肪酸と油脂の加工由来のトランス脂肪酸の両方を含む可能性がありますが、現時点では両者を区別して分析できる方法はありません。そこでEUは、このような食品における基準値への適合性を判断するため、乳脂肪に含まれる酪酸や牛脂に含まれる9c,11t共役リノール酸を指標として天然由来のトランス脂肪酸濃度を推定するとともに、油脂の加工由来のトランス脂肪酸濃度を推定する方法を2021年12月に公表しました(詳しくはこちら)。必要に応じてご参照ください。


<参考>栄養成分表示における許容差の範囲 

日本では、食品表示法に基づく栄養成分表示において、栄養強調表示や栄養機能食品の表示をする場合等を除き、各栄養成分の表示値が許容差の範囲に収まることが困難な場合、根拠資料を保管すること等を条件として、合理的な推定により得られた値を表示することが認められています。

しかし、諸外国では、実際の含有量が各国で定める表示値の許容差の範囲を超えないことを求められることがあります。日本からの製品輸出時に、輸出先国政府が分析した結果、実際の含有量(実測値)と表示値とが許容差の範囲を超えて乖離していると、当該製品の輸出先国での販売ができなくなる場合があります。製品を輸出する際には、栄養成分表示に表示した値と実際の含有量との間に輸出先国で認められている許容差の範囲を超える乖離がないか、注意する必要があります。

2.流通する食品(特定の品目を含む)中のトランス脂肪酸濃度

国内で流通する食品中の脂質やトランス脂肪酸濃度の分析結果

農林水産省は、消費者の皆様・食品事業者の皆様に情報提供するため、国内で流通する様々な食品中のトランス脂肪酸濃度を調査しました。こちらのページで、穀類加工品、豆類加工品、肉類、乳類、油脂類、菓子類、嗜好飲料類、調味料・香辛料類、調理加工食品中の脂質やトランス脂肪酸濃度の分析結果(濃度範囲や中央値)をご紹介しています。

これらの結果は、調査当時に国内で流通していた食品のデータであり、食品事業者の皆様が現在製造されている食品とは実態が異なる可能性がありますので、おおよその目安としてご覧ください。


<参考>食品中の脂質やトランス脂肪酸の濃度を収載しているデータベース

注)以下でご紹介するデータベースの情報は、上記の農林水産省の調査結果と同様、食品事業者の皆様が製造されている製品にそのまま当てはめることはできません。参考としてご覧ください。

【日本のデータベース(脂質濃度)】

文部科学省は、日本でよく食べられている食品の標準的な成分の濃度を「日本食品標準成分表」として公開しています。このデータベースでは、食品の脂質濃度を調べることができます。

【米国のデータベース(脂質濃度・トランス脂肪酸濃度)】 

米国農務省(USDA)が公開している栄養素やその他食品成分に関するデータベース(FoodData Central)では、食品中の脂質濃度、トランス脂肪酸濃度を調べることが出来ます。このデータベースには、米国における食品の成分濃度の情報をまとめたFoundation Foodsや、特定の製品の成分濃度や原材料等、食品企業から提供された情報をまとめたUSDA Global Branded Food Products Database等、計5つのデータベースの情報が収載されています。

【豪州のデータベース(脂質濃度・トランス脂肪酸濃度)】

オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)が公開している食品成分データベース(Australian Food Composition Database)では、食品中の脂質濃度、トランス脂肪酸濃度、総脂肪酸中のトランス脂肪酸の割合を調べることができます。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731

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