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農林水産省

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カナダ

更新日:2022年12月16日

カナダは、栄養成分表示の一つとして、包装された食品中のトランス脂肪酸の含有量表示を世界で最初に義務づけた国です(2005年施行)。その後、食品中のトランス脂肪酸の濃度の制限を検討し、低減目標を定めました。また、2018年9月17日からは、部分水素添加油脂の食品への使用を禁止しました。

栄養成分表示

食品・医薬品法(FDR)では、トランス脂肪酸の量を一食あたり又は一定量あたりで表示することを義務付けています。
同法では、栄養成分表示におけるトランス脂肪酸を「一つ以上の独立した、又は非共役のトランス配位の二重結合を持つ不飽和脂肪酸」と定義しています。さらに、次の(a)、(b)の両方を満たす場合、製品に「トランス脂肪酸フリー(トランス脂肪酸は含まれていない)」と表示できることを定めています。(また、この場合、栄養成分表示にトランス脂肪酸含有量を「0 g」と表示できます。)

  • (a)参照量(Reference Amount)及び1食分(Serving of Stated Size)(注)当たり(包装された食品の場合には1食分当たり)のトランス脂肪酸が、0.2 gより少ないこと
  • (b)「低飽和脂肪酸」と表示できる条件(以下の両方)を満たしていること
    • 参照量及び1食分当たり(包装された食品の場合には100 g当たり)の飽和脂肪酸とトランス脂肪酸との合計が2 gより少ないこと
    • 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸とを合わせたエネルギー量が、その食品のエネルギー量の15%を超えないこと

(農林水産省注)参照量(Reference Amount)は、普通の人が一回の食事で食べる量として、カナダ保健省が食品カテゴリーごとに定めたものです。カナダ保健省は、この参照量とあわせて、提供量(Serving Size)を、幅をもって示しています。食品事業者はこれらを参照し、各製品について、普通の一回の食事で食べられる量(Serving of Stated Size)を設定します。

カナダ食品検査庁(CFIA:Canadian Food Inspection Agency)は、トランス脂肪酸の定量分析法として、AOAC Official Method 996.06を推奨しています。

トランス脂肪酸タスクフォースの勧告

2007年6月、カナダ保健省(Health Canada)は、さまざまな関係者で構成された「食品中のトランス脂肪酸に関する特別調査委員会(The Trans Fat Task Force)」の勧告を採択しました。そして、カナダの食品事業者に対して次の2点を呼びかけ、2年以内に達成するよう求めました。

  • 植物油脂並びにソフトタイプのマーガリン及びファットスプレッドについては、トランス脂肪酸の濃度が総脂質の2%を超えないようにする。
  • その他のすべての食品については、レストラン向けに販売される食品原材料も含めて、トランス脂肪酸の濃度が総脂質の5%を超えないようにする。

カナダ保健省は、食品事業者による低減の取組状況を確認するため、「トランス脂肪酸モニタリングプログラム」として、2年間、食品中のトランス脂肪酸濃度を調査しました。そして、1回目(2007年12月)、2回目(2008年7月)、3回目(2009年2月)、4回目(2009年12月)の調査結果を公表し、どの程度トランス脂肪酸の低減が進んだのか、消費者に対し情報提供しました。(参考リンク中「Trans Fat Monitoring Program」を参照)

リスク評価

    2011年、カナダ保健省は、トランス脂肪酸のリスク評価結果を公表しました。評価結果の概要は以下のとおりです。
  • 「トランス脂肪酸モニタリングプログラム」によって、多くの食品中のトランス脂肪酸濃度は、トランス脂肪酸タスクフォースの勧告した低減目標を達成したことがわかったが、いくつかの食品は未だに高い濃度のトランス脂肪酸を含むことが示唆された。
  • カナダ人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、総摂取エネルギーに占める割合で、1995年に3.7%相当、2004年に2.0%相当、2008年に1.4%相当の量であり、減少してきた。
  • 2008年時点でのカナダ人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、WHOの設定した上限量(総エネルギー摂取量の1%に相当する量)より多いので、消費者に供給される食品中のトランス脂肪酸の濃度を、いっそう低減することが必要である。

部分水素添加油脂の食品への使用の禁止

カナダ保健省は、2017年9月15日、カナダ国内における部分水素添加油脂を含む食品の流通を禁止することを決定し、この規制を2018年9月17日に開始しました。この規制は、輸入食品も対象です。

カナダ保健省は、部分水素添加油脂を「水素添加がされており、ヨウ素価が4を超える油脂」と定義しました。これは、米国の規制における部分水素添加油脂の定義と同じです。

カナダ保健省は、この規制の決定に当たり、規制することそのものの是非と具体的な規制案について、国民への意見募集を2回にわたって行いました。寄せられたコメントへの回答の中では、部分水素添加油脂を代替するものとして、飽和脂肪酸が少ない油脂を推奨するとの見解も示しました。

カナダ保健省は、部分水素添加油脂の食品への使用の禁止は、消費者に供給される食品中のトランス脂肪酸の濃度を可能な限り低くし、多くのカナダ人のトランス脂肪酸摂取量を、総エネルギー摂取量の1%相当より少なくすることに役立つとしています。そして、冠状動脈性疾患のリスクの全体的な低下につながることを期待しています。

なお、部分水素添加油脂の食品への使用の禁止によるトランス脂肪酸摂取量低減への効果を明らかにするため、カナダ保健省は、この規制を取り入れる前後のカナダ国民のトランス脂肪酸摂取量と血中トランス脂肪酸濃度を分析することとしています。

参考リンク

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当:化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)

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