第15回ジャガイモシロシストセンチュウ対策検討会議の概要(令和5年3月8日開催)
本会議においては、今年度の対応を報告するとともに、今後の対応について検討が行われ、以下の対応とすることが妥当とされた。
1.令和4年度の緊急防除対策の実績
網走市、清里町及び斜里町において、令和3年度までの調査でジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)が確認され、検出限界以下になっていない95ほ場330haのうち、64ほ場197haで対抗植物による防除を実施。
2.令和4年度の調査結果
(1)防除効果確認調査
網走市、清里町及び斜里町において、本年度の防除により、ほ場全体での防除が完了した61ほ場194haにおいて防除効果を確認するための調査を実施し、46ほ場154haで検出限界以下となっていることを確認。
(2)検出限界以下ほ場における調査
令和3年度までに検出限界以下が確認された網走市のほ場のうち、令和4年度に、Gp抵抗性品種の馬鈴しょを植付けた又は馬鈴しょの代わりに他の作物を植え付けた64ほ場255haで調査を実施したところ、全てのほ場で検出限界以下を維持していることが確認された。
(3)出作ほ場調査
令和3年度に斜里町でGpが確認されたほ場を所有する生産者が他の大字に所有するほ場(出作ほ場)65ほ場164haで北海道が主体となり調査を実施したところ、全てのほ場でGpは確認されなかった。
(4)新たなGpの確認
令和4年度の種馬鈴しょ検疫の検査において、防除区域から既に除外された網走市内の区域の1ほ場でGpを確認。
(5)Gpの発生状況(令和5年3月時点)
現在、Gpが確認されているほ場は3市町15大字50ほ場179ha
3.Gpの新たな確認に伴う対応
(1)これまでの対応等
令和4年8月、上記2.(4)のとおり網走市の1ほ場においてGpが確認されたことを受け、当該ほ場を含む同地区内の一部区域において、
ア)農業機械等の洗浄等による土壌分散防止措置の徹底
イ)植物防疫官による移動検査
等により、本線虫のまん延防止対策を講じてきたところ。
今般Gpが確認されたほ場を含む一部区域を、今後、防除区域に追加し、当該ほ場においては、来年度以降、Gp密度の低減のため、対抗植物の植栽による防除を実施。
(2)発生要因調査
遺伝子系統解析の結果、南米が起源で、現在、欧州、米国等で発生しているものと遺伝的に近い関係にあり、これまでに網走市及び斜里町で確認された本線虫と同一系統であることを確認。
本線虫の発生要因について生産者等への聞き取り調査を実施したものの、その特定には至らなかった。
4.今後の対策について
(1)来年度以降の防除対策の内容
今年度に得られた知見を踏まえ、小麦作付け後の対抗植物(トマト野生種)の植栽による防除について、追加的な防除として、実施可能なほ場で実施する。
(2)新たな対抗植物の作付け
試験研究の結果、緑肥用トマト品種の一種がGpに抵抗性があるとの知見が得られたことから、対抗植物の植栽による防除に供するため、適切な作付けの指導をしつつ、作付け禁止の対象となる植物から除外する。
(3)検出限界以下ほ場における新たなGp抵抗性品種の作付け
試験研究の結果、馬鈴しょ品種の「ユーロビバ」が、「フリア」と同様にGpに対して相当の抵抗性を有している品種であるとの知見が得られたため、作付けを推進する。
(4)防除区域の追加及び除外
ア)本年度新たにGpが確認された網走市の一部区域を防除区域に追加。
イ)これまでにGp発生状況が明らかとなっている斜里町の防除区域(4大字)について、大字内のGp発生状況や地理的条件等を踏まえて、その一部を防除区域から除外。
5.その他
これまでにGpが確認されたことのある大字においては、ほ場単位での発生歴の有無にかかわらず、Gp抵抗性品種の栽培等のGpが検出されないような管理を地域全体で実施していくことが重要。このことについて、引き続き、生産者を含め関係者間での認識の統一を図る。
添付資料
お問合せ先
消費・安全局植物防疫課
担当者:国内防除第1班
代表:03-3502-8111(内線4564)
ダイヤルイン:03-3502-5976