第17回ジャガイモシロシストセンチュウ対策検討会議(令和6年3月14日開催)
本会議においては、今年度の対応を報告するとともに、今後の対応について検討が行われ、以下の対応とすることが妥当とされた。1.令和5年度の緊急防除対策の実績
網走市、清里町及び斜里町において、令和4年度までの調査でジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)が確認され、検出限界以下になっていない50ほ場179haのうち、43ほ場137haにおいて対抗植物による防除を実施。2.令和5年度の調査結果
(1)防除効果確認調査網走市、清里町及び斜里町において、本年度の防除により、防除が完了した43ほ場151haにおいて防除効果を確認するための調査を実施し、28ほ場116haで検出限界以下となっていることを確認。
(2)検出限界以下ほ場における調査
令和4年度までに検出限界以下が確認された網走市、斜里町及び清里町のほ場のうち、令和5年度に、Gp抵抗性品種を植付けた又は馬鈴しょの代わりに他の作物を植え付けた54ほ場186haにおいて調査を実施したところ、49ほ場171haで検出限界以下を維持していることが確認された。一方、5ほ場15haにおいてはGpが再び確認された。
(3)出作ほ場調査
令和4年度の種馬鈴しょ検疫の検査においてGpが確認された網走市のほ場を所有する生産者が他の大字に所有するほ場(出作ほ場)1ほ場8haにおいて調査を実施したところ、Gpは確認されなかった。
(4)新たなGpの確認
令和5年度の種馬鈴しょ検疫の検査において、防除区域から既に除外された網走市内の区域の1ほ場1haでGpを確認。
(5)Gpの発生状況(令和6年3月時点)
現在、Gpが確認されているほ場は3市町9大字23ほ場64ha。
(上記(2)の検出限界以下のほ場における調査でGpが再確認された5ほ場15haを除く。)
3.Gpの新たな確認等に伴う対応
(1)種馬鈴しょ検疫の検査における確認(ア)これまでの対応等
令和5年8月、上記2.(4)のとおり網走市の1ほ場においてGpが確認されたことを受け、当該ほ場を含む同地区内の一部区域において、
ア農業機械等の洗浄等による土壌分散防止措置の徹底
イ植物防疫官による移動検査
等により、本線虫のまん延防止対策を講じてきたところ。
Gpが確認されたほ場を含む一部区域を、今後、防除区域に追加し、当該ほ場においては、来年度以降、Gp密度の低減のため、対抗植物の植栽による防除を実施。
(イ)発生要因調査
遺伝子系統解析の結果、南米が起源で、現在、欧州、米国等で発生しているものと遺伝的に近い関係にあり、これまでに網走市及び斜里町で確認された本線虫と同一系統であることを確認。
本線虫の発生要因について生産者等への聞き取り調査を実施したものの、その特定には至らなかった。
(2)検出限界以下となったほ場における調査での再確認
(ア)これまでの対応等
令和5年12月、上記2.(2)のとおり網走市及び斜里町の検出限界以下となった5ほ場におけるGpの再確認を受け、当該ほ場においては、既に取り組んでいる再発防止対策について徹底するよう指導。
当該ほ場においては、来年度以降、対抗植物の植栽による防除を実施。また、防除と並行して、非寄主植物の栽培等によるGp密度の低減効果を確認する。
(イ)再確認された要因の検討
遺伝子系統解析を実施した結果、これまでに網走市及び斜里町で確認された本線虫と同様の系統であることを確認。
また、当該ほ場において検出限界以下が確認された後にGpが再確認された要因に関して、生産者への聞き取り調査を実施したものの、その特定には至らなかった。
一方、専門家からは、検出限界以下の確認以降にGp抵抗性品種の作付け等によりGpが増殖して確認(再発)されたということではなく、検出限界以下となった後もほ場に残存していたごくわずかなGpが検出された可能性が高いことが示唆された。
4.今後の対策について
(1)検出限界以下ほ場におけるGpの再確認を踏まえた対応(ア)Gpが再確認されたほ場に係る対応
上記3.(2)(イ)のとおり、今回のGpの再確認は、Gpが増殖し確認(再発)されたことによるものとは考えられないため、Gpのほ場内の密度は検出限界に近いレベルと推測され、Gpのまん延リスクは限りなく低いと考えられることから、今回の再確認を受け、確認ほ場を含む地域について防除区域への追加は行わず、再確認ほ場では現在実施している再発防止対策を引き続き実施。
➁他の検出限界以下ほ場への対応
今後、仮に、検出限界以下ほ場における調査の結果、Gpが確認された場合であっても、まん延リスクが低いことを考慮すれば、当該ほ場での輪作体系を崩してまで迅速に防除を実施する必要はないが、小麦収穫後の対抗植物の植栽による防除等、通常の営農の中でできる限り速やかに防除を実施することが重要。
来年度以降の検出限界以下となったほ場における調査については、仮に調査でGpが再確認された場合に、できる限り速やかに小麦収穫後の対抗植物の植栽による防除が実施できるように、営農計画において、原則として(馬鈴しょ栽培後の)土壌調査の後に小麦を栽培する輪作体系とすることについて、関係者間で調整を行う。
(2)防除区域の追加及び除外
(ア)本年度の種馬鈴しょ検疫の検査において新たにGpが確認された網走市の一部区域を防除区域に追加。
(イ)これまでにGp発生状況が明らかとなった網走市の防除区域(1大字)のうち、全てのほ場においてGp密度が検出限界以下となった一部区域を防除区域から除外。
(ウ)本年度の調査の結果、これまでに防除を実施した全てのほ場においてGp密度が検出限界以下となったことが確認された網走市5大字(昭和、豊郷、中園、藻琴、山里)及び斜里町1大字(以久科北)を防除区域から除外。
5.緊急防除終了を見据えた対応
(1)Gpの緊急防除においては、生産者、農業者団体等と緊密に連携し防除を行ってきた結果、これまでにGpが確認されたほ場(330ほ場(1,236ha))のうち9割以上のほ場で検出限界以下となっていることが確認されている状況。(2)一方、検出限界以下となったとしても、わずかにGpが存在することを否定できないことから、検出限界以下ほ場においては、輪作体系においてGp抵抗性品種を栽培する等のGpを再発させないための取組を継続して実施することが重要。
(3)また、緊急防除終了後、これまでにGpが確認されたことのある大字においては、ほ場単位での発生歴の有無にかかわらず、Gpを発生させない取組を地域全体で実施していくことが重要。
(4)このことについて、Gpの再発生を確認する体制の構築や再発生が確認された場合の対応等と併せて検討し、引き続き、生産者を含め関係者間での認識の統一を図る。
添付資料
議事概要(PDF : 234KB)お問合せ先
消費・安全局植物防疫課
担当者:国内防除第1班
代表:03-3502-8111(内線4564)
ダイヤルイン:03-3502-5976