(5)経営所得安定対策の推進、収入保険制度等の検討
(新たな経営所得安定対策)
我が国の農業を安定的に発展させ、食料を安定的に供給していくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を構築することが重要です。
このような観点から、平成25(2013)年に経営所得安定対策の見直しを行い、平成26(2014)年6月に「農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律」が成立したところです。平成27(2015)年産からは、新たな対象者要件等で実施されることとなります。
具体的には、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営改善を図ろうとする「認定農業者」、将来的に法人化して認定農業者になることも見込まれる「集落営農」に加えて、将来的に効率的かつ安定的な農業経営を目指す「認定新規就農者」も対象とし、意欲と能力のある「担い手」の経営安定を図ることとしました。
また、従来の面積規模要件については、小規模であっても、収益性の高い作物との複合経営や6次産業化により、所得を向上していこうとする農業者もいることから、担い手であれば、規模要件は課さないこととしました。
このような「担い手」に対し、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利がある麦・大豆等に対して、標準的な生産費と標準的な販売価格の差に相当する額を交付する「畑作物の直接支払交付金」(ゲタ対策)と、米・畑作物の収入変動に対するセーフティネットとして、農業者の拠出を前提に、収入減少の一定額を補填する「米・畑作物の収入減少影響緩和対策」(ナラシ対策)を措置することとしています(図2-1-23、図2-1-24)。
なお、ゲタ対策については、数量払を基本とし、面積払(営農継続支払)をその内金とする方式とするとともに、対象農産物として平成27(2015)年産からそば、なたねが追加されます。


(収入保険制度導入の検討)
現行の農業共済制度は、自然災害による収量減少を対象とし、価格低下等は対象外です。また、対象品目は収量を確認できるものに限定されており、農業経営全体をカバーしていない等の課題があります。このため、農業経営全体の収入に着目した収入保険の導入について調査・検討を進めていくことが必要です。このことを踏まえ、平成26(2014)年度は、収入保険の制度設計を進めるために必要な過去の農業者の収入データの収集等を行うとともに、平成27(2015)年産を対象に、農業者の協力を得て、どのような仕組みであれば、的確な保険の運営ができるかなどを調べる事業化調査を開始しました。本調査は平成28(2016)年度にかけて実施する予定であり、引き続き制度の法制化に向け、検討を進めることとしています。
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