(5)果実
(果実の生産量は横ばい)
果実の生産量については、近年、横ばいで推移しています。平成25(2013)年度の果実の生産量は、前年度に比べ5万t減少し、301万tとなっています(図2-4-9)。これを品目別にみると、みかんは前年度に比べ5万t増加し、90万tとなっており、りんごについては、前年度に比べ5万t減少し、74万tとなっています。
果実の需要構造をみると、果実全体では、国産が4割、輸入が6割となっています(図2-4-10)。国産のうち9割は生鮮用である一方、輸入の6割は果汁等の加工用となっています。
このような状況の中、国産果実の需要拡大を進めていくためには、実需者・消費者ニーズに対応した優良品目・品種への転換や、新たな栽培管理技術の導入、6次産業化(*1)の取組等が重要です。
例えば、うんしゅうみかんから高単価・高品質のかんきつへの転換や、観光農園の経営、ジュース等加工品の製造・販売等の取組を推進し、果樹産地の収益力の強化と農業者の経営安定を図ることが重要です。
(加工向け果実の開発・利用の推進)
加工向け果実については、主に生食用を前提として生産されたもののうち、傷果等の選果落ちしたものが果汁や缶詰等の加工に仕向けられる場合が多くあります。また、果実の加工用原料価格は、くりやうめ等を除き、生食用に比べて著しく低くなっている状況です。
加工向け果実の安定供給を図るためには、選果落ちしたもの中心の利用ではなく、加工原料用を想定した低コスト生産や契約取引等の取組が必要です。
また、農林水産省が食品小売業者を対象に行った調査によると、近年、カットフルーツに対する消費者の需要が増えたこと等を背景に、8割の事業者がカットフルーツの販売量が増えたと回答しています(*1)。
果実の摂取量が減少傾向で推移する中(*2)、果実の需要を掘り起こすには、実需者・消費者ニーズに対応した果実加工品の開発が必要であり、新技術の導入による新たな果実加工品の開発等を推進することが重要です。
事例:独自技術によるカットりんごの全国展開
青森県平川市(ひらかわし)の株式会社アップルファクトリージャパンは、りんごの果肉が変色せず、鮮度を保つ独自技術を確立し、カットりんごを全国に販売しています。
代表取締役である大湯知己(おおゆ ともみ)さんは、昭和55(1980)年に親からりんご園を引き継ぎ、当初はりんごの生産のみを行っていましたが、平成11(1999)年頃からカットりんごの取組を開始しました。その後、製造技術の未熟さによる会社倒産などを経て、独学で新しい褐変防止及び鮮度保持の技術を開発し、平成20(2008)年には、全国展開が可能な販売力を持つ商社との共同出資により同社を設立させました。
現在、カットりんごは、青森県内の学校給食や病院食等への供給を始め、県外の学校給食、ホテル、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等にも供給されています。学校給食用は個包装し、介護施設へはすり下ろしたものや煮て柔らかくしたものを提供する等、販売先のニーズにきめ細かく対応しています。また、全国で初めて導入したカットりんごの自動販売機は、地下鉄の駅やオフィスビル、高速道路のサービスエリア等、全国16か所に設置されています。
今後は、海外展開を目指し、新商品開発等に取り組んでいく考えです。
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