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農林水産省

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(1)農地・農業用施設の復旧の取組


(農林水産関係の被害)

東日本大震災における農林水産関係の被害は東北地方を中心として全国に及び、その被害額は2兆3,841億円に上り、このうち、農業関係の被害額は9,049億円となっています(表4-1-1)。

また、津波により被災した復旧が必要な農地は、6県(*1)合計で2万1,480haとなっています。


*1 青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県


(農地・農業用施設の復旧状況)

農地・農業用施設の復旧に当たり、農林水産省は、平成23(2011)年8月に策定した「農業・農村の復興マスタープラン」において、津波被災農地についての復旧スケジュールと復旧までに必要な措置を明確化するとともに、東北を新たな食料供給地域として復興することを目指すこととしています。

津波により被災した農地2万1,480haについては、損壊か所の農地復旧や除塩を実施しており、平成26(2014)年12月末までに、70%(1万5,060ha)で営農再開が可能となりました(図4-1-1)。また、営農再開後もきめ細かい対処を行い、営農の確保を図っていきます。残りの農地については、公共用地等への転用が見込まれる農地もありますが、農地復旧と大区画化の一体的な実施を予定している農地、海水が浸入しているなど被害の甚大な農地及び福島県の避難指示区域内の農地があり、それぞれの課題に対処しつつ、復旧を進めています。

津波被害のあった農業経営体については、1万100経営体のうち55%(5,610経営体)が経営を再開しています。

復旧が必要な主要な排水機場については、98か所のうち92%(90か所)が復旧完了又は実施中となっています。また、復旧が必要な農地海岸(*1)については、127地区のうち79%(100地区)が復旧完了又は実施中となっています。さらに、被災した農業集落排水施設については、11県401地区のうち96%(386地区)が復旧完了又は実施中となっています。


*1 農地を保全するために必要な施設等がある海岸

図4-1-1 農地・農業用施設等の復旧状況(平成26(2014)年12月末現在)

東日本大震災では、総量約2千万tの災害廃棄物と津波により約1千万tの津波堆積物が発生しました。

災害廃棄物等の処理については、平成23(2011)年5月に環境省が策定した「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」を基に進められ、岩手県・宮城県では、平成26(2014)年3月末までに処理が完了しています(表4-1-2)。

また、福島県(避難区域を除く)では、仮置場への搬入はおおむね完了し、処理が完了していない地域については、国の代行処理を進めるとともに、市町と連携してできるだけ早期の処理完了を目指すこととしています。


表4-1-2 沿岸市町村の災害廃棄物等の処理割合(平成26(2014)年3月末時点)

(農地・農業用施設の復旧に向けた取組)

農林水産省では、被災した農地・農業用施設等の復旧を進めています。特に農地・農業用施設等の直轄特定災害復旧事業等については、地震被災地域6地区(迫川(はざまがわ)上流・荒砥沢(あらとざわ)ダム、迫川上流、河南(かなん)、白河矢吹(しらかわやぶき)、阿武隈川(あぶくまがわ)上流、芳賀(はが)台地)及び津波被災地域1地区(定川(じょうがわ))では復旧事業が完了し、地震被災地域1地区(請戸川(うけどがわ))及び津波被災地域5地区(仙台東(せんだいひがし)、名取川(なとりがわ)、亘理山元(わたりやまもと)、亘理・山元農地海岸、南相馬(みなみそうま))では引き続き事業を実施しています(図4-1-2)。

平成26(2014)年7月には津波被災地域である定川地区において、全ての排水機場が本格稼働し、更に同年10月には名取川地区においても全ての排水機場が本格稼動しました。仙台東地区においては、平成26(2014)年度内に全ての農地復旧工事が完了し、引き続き農地の大区画化等の整備を実施しています。亘理・山元農地海岸については、平成26(2014)年度末までに太平洋に面した海岸延長5.7kmのうち86%(4.9km)の復旧工事が完了しました。


図4-1-2 直轄特定災害復旧事業の実施地区

また、津波被災農地の原形復旧と併せて、周辺の未被災農地を含めた農地の大区画化等の整備も進められています。

名取地区(仙台市、名取市)では、復興交付金事業により、生産性の高い大規模な営農を展開するため、平成27(2015)年度までに被害が甚大であった農地を中心として大区画化を進めています(図4-1-3)。


図4-1-3 名取地区(仙台市、名取市)大区画化整備(予定)図

(農業農村整備事業と防災集団移転促進事業の連携)

表4-1-3 農業農村整備事業の計画市町村

防災集団移転促進事業と連携して農業農村整備事業を実施し、高台への集団移転と併せて、移転跡地を含めた農地整備を行う計画が宮城県、福島県の10市町(16地区)で進められています(表4-1-3)。このうち、平成26(2014)年度は、両県下の12地区で工事が実施中となっています。また、残りの4地区についても、工事に向けた調査設計が進められています。今後とも、地域住民の意向を踏まえながら、関係機関とも連携強化を図り事業の円滑な実施を図っていくこととしています。

具体的な事例の一つとしては、宮城県南三陸町の南三陸地区(西戸川(さいどがわ)工区)では、復興交付金を活用して「農地整備事業」と「防災集団移転促進事業」を一体的に実施し、住宅地の移転に必要な用地の創出や移転跡地を含めた農地整備を行うことにより、効率的な土地利用の実現とともに農業農村整備事業の事業期間の短縮を図っています(図4-1-4)。

 
図4-1-4 宮城県南三陸町の事例


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