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農林水産省

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(3)食品の信頼確保のための取組


(風評対策強化指針の取りまとめ)

平成26(2014)年6月、震災から3年が経過しても、なお根強く残る風評被害の現状に鑑み、政府は「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」を開催し、平成25(2013)年度における取組状況の進捗管理とともに、課題を洗い出し、風評対策の強化について検討しました。

このタスクフォースの中で、取り組むべき施策を体系的に整理し、新たに3つの強化指針を定めた「風評対策強化指針」が取りまとめられました(図4-2-5)。この指針に基づき、食品等の安全と消費者の信頼の確保を図るとともに、被災地の産業を支援していくこととしています。


図4-2-5 風評対策強化指針の概要

(正確で分かりやすい情報の提供と被災地産品の販売促進の強化)

平成26(2014)年に消費者庁が実施した、風評被害に関する消費者意識の実態調査によれば、一部の消費者は福島県を始めとする被災地産食品の購入に依然としてためらいがある状況です(*1)。

このようなことから、関係府省庁の内閣府食品安全委員会、消費者庁、厚生労働省及び農林水産省は連携して、食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションに重点的に取り組んでおり、平成26(2014)年度は、意見交換会を全国で6回開催しました。

また、これまでに生産者や事業者等の努力により放射性物質を低減させる様々な措置がとられ、食品中の放射性物質の基準値に基づいた出荷制限、作付制限等の措置により農畜産物等の安全が確保されてきました。これらの取組について、政府は消費者やメディアに対して周知を図っています。また、福島県を始めとする被災地及びその周辺地域で生産・製造されている農林水産物・食品を積極的に消費することで被災地の復興を応援するため、「食べて応援しよう!」というキャッチフレーズの下、食品産業事業者、地方公共団体等の協力を得て、被災地産の農畜産物等の販売フェアや協力事業者等の社内食堂での積極的利用等の取組を進めており、平成27(2015)年3月末までに、1,106件の取組が行われました(*2)。

農林水産省は、今後とも、福島県産農産物等について、産地や関係府省庁と連携しつつ出荷時期に合わせて効果的にPRを行う取組を支援していくこととしています。


*1 消費者庁「風評被害に関する消費者意識の実態調査(第4回)」(平成26(2014)年10月公表)
*2 平成23(2011)年4月から平成27(2015)年3月末までの取組件数

事例:「食べて応援しよう!」の具体的な取組

(1)4か国の駐日大使が福島県の名産品を食べて応援

福島県名産品に舌鼓を打つ4か国の駐日大使ら
福島県名産品に舌鼓を打つ
4か国の駐日大使ら

平成27(2015)年1月、「食べて応援しよう!」に賛同したニュージーランド、豪州、カナダ及び英国の駐日大使が、東京都日本橋にある福島県のアンテナショップ「MIDETTE(みでって)」を訪問しました。

4か国の駐日大使は、農林水産大臣及び復興大臣とともに、福島県知事に店内を案内され、福島県産米「天のつぶ」のおにぎり、福島牛、あんぽ柿、大吟醸の日本酒、地ビール等の名産品を試食・試飲し、同行した各国大使館のシェフと一緒に食材を購入しました。駐日ニュージーランド大使は「原発事故から4年を経る今も、産地が苦しんでいるのは残念。食べて生産者を応援したい。」と話し、「食べて応援しよう!」をアピールしました。

 

(2)福島県の自治体による観光物産展の取組

北海道札幌市における観光物産展
北海道札幌市における観光物産展

福島県喜多方市(きたかたし)は、平成26(2014)年9月、北海道札幌市(さっぽろし)において、農林水産省北海道農政事務所と共催で「『食べて応援しよう!』喜多方観光物産展in札幌~福島・喜多方~」を開催しました。物産展には約5千人の来場者があり、被災地の復興に向けて、福島県の安全・安心でおいしい農産物や加工食品が販売されました。

 

(日本産農林水産物・食品の輸出回復に向けた取組)

東電福島第一原発の事故に伴い、多くの国・地域において、日本産農林水産物・食品の輸入停止や放射性物質の検査証明書等の要求、検査の強化といった輸入規制措置が実施されています(表4-2-3)。

これらの輸入規制の緩和・撤廃に向けて、輸入規制措置を実施している諸外国・地域に対して、我が国が実施している安全確保のための措置やモニタリング結果等の科学的データ等の情報提供を行うことにより、政府一体となって輸入規制の緩和・撤廃に努めてきました。これらの取組により、平成26(2014)年4月以降には、EUやシンガポール、タイ、米国等において、輸入規制措置の緩和の動きがみられました(表4-2-4)。



表4-2-4 平成26(2014)年4月以降の主な輸出先国・地域の輸入規制措置緩和の動き(平成27(2015)年3月現在)

(被害を受けた農業者への賠償等)

「原子力損害の賠償に関する法律」においては、「原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる」と規定しており、今回の東電福島第一原発の事故の損害賠償責任は一義的に東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が負っています。

農林水産省が関係都道県等から聞き取りを行った結果によると、平成27(2015)年3月末までに、農業関係の損害賠償支払額は合計で約5,505億円(*1)となっています。

また、東電福島第一原発の事故に伴う出荷制限や風評被害等を受けた農業者等に対しては、東京電力からの賠償が行われるまでの間、農協等の自主的な取組として、事業資金の一時的な不足を補うつなぎ資金の融資が平成23(2011)年3月31日から実施されており、平成27(2015)年3月末現在、つなぎ資金の貸付実績は、約2千件、約67億5千万円(*2)となっています。


*1、2 農林水産省調べ


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