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農林水産省

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(1)食品の安全性の向上に向けた取組


(食品の安全性の向上のためには科学的根拠に基づいたリスク管理が重要)

食品の安全を確保するため、「後始末より未然防止」の考え方を基本に、科学的根拠に基づき、生産から消費にわたる取組を進めることが重要です。

農林水産省は、食品の安全性を向上させるため、食品安全に関する情報を収集し、優先的にリスク管理の対象とする有害化学物質・有害微生物を選定した上で、農畜水産物・加工食品中の含有実態調査を行っています(図1-4-1)。実態調査の結果を評価し、必要がある場合は、当該有害化学物質等に係るリスク管理措置を検討・実施するとともに、その効果を検証し、必要に応じてリスク管理措置の見直しを行っています。

また、我が国の実態を反映させつつ、食品安全に関する国際基準や規範の策定に貢献するため、これらの取組により得た科学的知見やデータをコーデックス委員会(*1)等の国際機関へ提供しています。


1 [用語の解説]を参照

図1-4-1 食品の安全性の向上の取組

食中毒の発生を防ぐため、農林水産省は、生産から消費にわたる各段階における対策について調査や研究を行うとともに、その対策の普及を図っています。平成27(2015)年7月、鶏卵の生産現場への食中毒菌の侵入やまん延を防ぐ対策をまとめた「鶏卵の生産衛生管理ハンドブック」を改定し、鶏卵の表面のサルモネラ汚染や、農場や鶏舎内の感染拡大の程度を軽減させる対策の科学的根拠となる新たなバックデータとして、ふん便へのサルモネラ排出量に関するデータを追加しました。

また、消費者が安全で健やかな食生活を送るためには、健康に悪影響を及ぼす可能性のある有害化学物質等の摂取量を可能な限り減らすことが重要です。平成27(2015)年10月、消費者向けに、食品中のアクリルアミドやヒジキ中の無機ヒ素を減らすために家庭でできることをまとめた冊子等を公表しました。さらに、平成27(2015)年11月から平成28(2016)年2月にかけて、「家庭でできる食品安全」と題したセミナー等を全国6会場で開催し、バランスの良い食生活の大切さや食品中のアクリルアミドを減らす調理法等を紹介しました。

(「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」の更なる普及の推進)

食品の安全性を向上させるため、生産段階においては、農業生産工程管理(GAP)(*1)の取組を推進することが重要です。GAPを多くの生産者や産地が取り入れることにより、食品の安全性の向上のみならず、環境の保全、労働安全の確保、競争力の強化、品質の向上、農業経営の改善や効率化につながります。

現在、都道府県、JAグループ、実需者、民間団体等様々な主体が独自にGAPを策定していますが、農林水産省では、食品安全、環境保全や労働安全に関して実践すべき取組を明確化した「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に則したGAPへの取組を推進しています。

このガイドラインに則したGAP導入産地数は平成26(2014)年3月末現在で、1,010産地であり、調査対象4,410産地の23%にすぎない状況です(図1-4-2)。

図1-4-2 GAP導入産地数の推移
データ(エクセル:39KB / CSV:1KB

このため、農林水産省は、平成27(2015)年3月に立ち上げたGAP戦略協議会において、ガイドラインに則したGAPの普及・活用の促進や輸出促進等に向けた検討を行っています。また、GAPの質の向上に向けた指導者や生産者リーダーを養成する研修の開催等の取組や、輸出を目指す生産者・産地がICT(*2)を活用してGLOBALG.A.P.(*3)等の認証を取得する取組への支援を実施しました。


1 [用語の解説]を参照
*2 Information and Communication Technology の略。情報や通信に関する技術の総称
*3 [用語の解説]を参照

(HACCP導入の推進)

食品の安全性を向上させるため、食品の製造段階においては、HACCP(危害要因分析・重要管理点)(*1)の導入を推進することが重要です。

HACCPの導入に際しては、その前段階として手洗いや施設の洗浄・殺菌といった一般的衛生管理(*2)、消費者の信頼確保のための体制や施設の整備(高度化基盤整備)を十分に行う必要があります。

また、中小企業においては専門人材の確保が困難なこと等を背景に、HACCPに取り組みにくい状況があります。このため、農林水産省では高度化基盤整備の徹底やHACCP導入促進のための責任者及び指導者の養成研修の取組への支援を実施しています。加えて、これらに取り組む場合に必要な体制や施設の整備を政策融資の対象としています。

また、EUではEU規則により平成18(2006)年から、米国では食品安全強化法により平成28(2016)年から、衛生基準としてHACCP導入を義務付けているほか、中国でも食品安全法において平成21(2009)年からHACCP導入を奨励するなど、諸外国でHACCPの導入を求める動きがある中、我が国の食品等の輸出を促進するため、輸出先国が求めるHACCPに対応できるよう、研修の取組を支援しています。

さらに、民間取引では、HACCPを含む食品安全マネジメントに係る認証取得を取引相手に求める動きがあり、我が国においても、全ての食品関連事業者にとって分かりやすく、国際的な取引にも通用するHACCPをベースとした日本発の食品安全管理規格・認証スキームの検討が官民連携で進んでいます。平成28(2016)年1月には、有志の食品関連事業者や学識経験者が設立者となって、食品安全管理規格・認証スキームの作成・運営や人材育成等を実施していく民間団体「一般財団法人食品安全マネジメント協会」が発足しました。


1~2 [用語の解説]を参照



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