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農林水産省

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第2節 農業の構造改革の推進


担い手の減少、高齢化が進行する中、我が国農業を持続可能なものにするためには、農地利用の最適化や担い手の育成・確保等を推進し、効率的で生産性の高い農業経営に取り組んでいく必要があります。このような農業の構造改革について、近年では、農地の集積・集約化(*1)を通じた規模拡大や経営の法人化等の動きが見られます。

*1 用語の解説3(1)を参照

(1)農地中間管理機構の活用等による農地の集積・集約化

(農地面積は緩やかに減少、荒廃農地面積は横ばい)

令和元(2019)年における我が国の農地面積は、荒廃農地(*1)からの再生等による増加があったものの、耕地の荒廃、宅地等への転用、自然災害等による減少を受け、前年に比べて2万3千ha減少の440万haとなりました(図表2-2-1)。作付(栽培)延べ面積も減少傾向が続いており、この結果、平成30(2018)年の耕地利用率は91.6%となっています。

また、荒廃農地の面積は、前年と同水準の28万haとなりました。このうち、再生利用が可能なもの(遊休農地(*2))は9万2千ha、再生利用が困難と見込まれるものは18万8千haとなっています。このような傾向の中、国内の農業生産に必要な農地を確保するためには、地域における積極的な話合いを通じ、農地を担い手に集積・集約化すること等で荒廃農地の発生を未然に防ぐこと等が重要です。

図表2-2-1 農地面積、作付(栽培)延べ面積、耕地利用率

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*1、2 用語の解説3(1)を参照

(担い手への農地集積率は年々上昇)

より効率的な農業経営を進めていくためにも、担い手への農地の集積・集約化を進める必要があります。

図表2-2-2 農地バンクを活用して分散錯圃を解消した事例

平成26(2014)年に発足した農地中間管理機構(以下「農地バンク」という。)は、地域内に分散・錯綜(さくそう)する農地を借り受け、条件整備等を行い、再配分して担い手への集約化を実現する、農地中間管理事業を行っています。

農地バンクの活用により、実際に、地域の話合いを通じて農地の再配分を行い、分散錯圃(さくほ)(*1)が解消された地区や、担い手が不足していたため、地域関係者との連携の下に県外から企業を誘致した地区等、全国で様々な優良な事例が見られるようになっています(図表2-2-2)。

このような取組の結果、近年、担い手への農地集積率は年々上昇しており、平成30(2018)年度末時点で56.2%になりました(図表2-2-3)。これを地域別に見ると、農業経営体(*2)の多くが担い手である北海道では集積率が9割を超えるほか、水田率や基盤整備率が高く、集落営農(*3)の取組が盛んである東北、北陸では集積率が高い傾向にあります。一方で、大都市圏を抱える地域(関東、東海、近畿)や中山間地を多く抱える地域(近畿、中国四国)の集積率は総じて低い傾向にあります(図表2-2-4)。

図表2-2-3 担い手への農地集積率

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図表2-2-4 地域別の担い手への農地集積率(平成30(2018)年度)

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*1 農業者が利用する農地が互いに入り組んで分散している状態。一般的に作業効率に支障が生じやすい。

*2 用語の解説1、2(1)を参照

*3 用語の解説3(1)を参照

(経営耕地面積が10ha以上の層の面積シェアは年々増加)

このような取組によって、経営耕地面積が10ha以上の層の面積シェアは年々増加し、平成31(2019)年には53.3%となっています(図表2-2-5)。また、意欲ある担い手がその活動領域を継続的に拡大している動きもあり、平成31(2019)年では複数の市町村で農地を利用する農地所有適格法人は2,243法人に上っています。

図表2-2-5 経営耕地面積規模別カバー率(構成比)

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(農地集積・集約化の加速のため農地中間管理機構法を見直し)

担い手への農地の利用集積率については、令和5(2023)年度までに8割に引き上げる目標が設定されており、今後はその達成に向け、取組を一層加速させていく必要があります。

このような中、農地中間管理事業の根拠法である「農地中間管理事業の推進に関する法律」が施行から5年を迎えたため、この間に明らかになった課題も踏まえて更に事業を加速化させるべく、「人・農地プラン」の実質化、手続きの簡素化と支援体制の一体化を内容とする「農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「改正農地バンク法」という。)が令和元(2019)年5月に公布されました。

(「人・農地プラン」の実質化へ向けた取組)

これまで、地域の農業・農地の維持・発展に必要なほ場整備や機械・施設の導⼊、共同活動等の取組は、各地域の話合いによりその方針が決められてきました。

「人・農地プラン」は、農業者の話合いを基に、地域農業における中心経営体、地域における農業の将来の在り方等を明確化する地域農業の将来の設計図として取りまとめるものです。「人・農地プラン」の作成は、平成24(2012)年度から全国で開始され、平成30(2018)年度末時点で、1,583市町村の1万5,444の地域で作成されています。この中には、地域の徹底した話合いに基づいて作成されているものがある一方、地域の話合いに基づくとは言い難いものもあります。

そこで、今回の改正農地バンク法の公布に伴い、農林水産省では、担い手への農地の集積・集約化を加速させる観点から、農業者、市町村、農協、農業委員会、土地改良区等の関係者が徹底した話合いを行い、5年後から10年後の農地利用を担う経営体の在り方を決定するという取組を令和2(2020)年度末までに全国で集中的に推進することとしています。また、このような「人・農地プラン」の実質化に際しては、農業者の年齢や後継者の有無等をアンケートで確認し、これを地図化するなどにより、5年後から10年後に後継者がいない農地を「見える化」することが重要です。

このため、今般の改正農地バンク法では、「人・農地プラン」の実質化の取組に当たっては、市町村が農地に関する地図を活用して、農業者の年齢別構成や後継者確保の状況等の情報を提供するよう努めることとされたほか、農業委員会による農地に関する情報提供や農業委員・農地利用最適化推進委員の農業者等による協議への出席等の協力を行うことが明確化されました。

また、市町村、農業委員会、農協、土地改良区等のコーディネーター役を担う組織と農地バンクとが一体となって推進する体制を構築することとしています。

(農地集積・集約化の手続の簡素化と支援体制の一体化)

また、改正農地バンク法では、担い手への農地の集積・集約化を加速する観点から、農地バンクによる農地の借入れ・転貸の手続を更に簡素化するため、これまで市町村の集積計画と農地バンクの配分計画の2つの計画が必要であったところ、従来の方式に加えて、市町村の集積計画のみで一括して権利設定を可能とする仕組みが新たに創設されました(図表2-2-6)。

また、農地の集積・集約化を支援する体制の一体化を図る観点から、農協等が担う農地利用集積円滑化事業を農地中間管理事業に統合一体化することとされました。

図表2-2-6 集積計画による一括処理のイメージ

事例:「人・農地プラン」の見直しを通じ分散錯圃を解消(滋賀県)

滋賀県彦根市

滋賀県彦根市南三ツ谷町(ひこねしみなみみつやちょう)地区では、地区内外の担い手や小規模農家同士が利用調整を行う機会がなく、農地が分散していました。

このため、市は、地区内の担い手間で農地の交換が行われることを契機に、「人・農地プラン」を見直し、分散錯圃を解消することを提案しました。この結果、主要耕作者を中心とした農地集積推進委員会が設置され、農地バンクを活用した集約化に取り組むことになりました。

市は、現況の耕作地図と、今後の農地の集約化案を作成した上、農業委員会・農地バンクの現地駐在員と連携して話合いを進めました。集約過程では、担い手間の農地交換を促したほか、希望農地等の条件を調整しながら、集約化案を計21回作成し、地区内外の耕作者での徹底的な話合いを行いました。また、地権者に対しては、農地バンク・市・推進委員会等が説明を実施することで、合意を取り付けました。

このような「人・農地プラン」の見直しを通じて、南三ツ谷町地区では担い手への集積率を97%にまで上昇させることができました。

分散錯圃の解消

分散錯圃の解消

(2)担い手の動向と人材力の強化
ア 担い手の動向

(法人経営体数は増加傾向)

平成31(2019)年における基幹的農業従事者数(*1)は、前年に比べ3.2%減少の140万4千人となり、平均年齢は67歳となりました。また、農業経営体数は、前年に比べ2.6%減少の118万9千経営体となりました(図表2-2-7)。一方、組織経営体(*2)数は3万6千経営体と前年に比べ1.4%増加しており、このうち法人経営体数(*3)は2万3千経営体と前年に比べ3.1%の増加となりました。

農業経営体数が一貫して減少していく中、法人経営体は従業員を集めやすい、経営継続がしやすいなどの利点があることから、年々増加しています。農業経営の法人化に関しては、都道府県段階に設置した農業経営相談所において専門家派遣等による相談対応が実施されています。

図表2-2-7 農業経営体数と組織経営体数

データ(エクセル:32KB / CSV:1KB

*1 用語の解説1、2(4)を参照

*2 用語の解説1、2(1)を参照

*3 農産物の生産を行う法人組織経営体であり、一戸一法人は含まない数

(認定農業者数は横ばいで推移)

認定農業者(*1)制度は、農業者が作成した経営発展に向けた計画(農業経営改善計画)を市町村が認定するもので、認定を受けた農業者(認定農業者)には、計画の実現に向け、農地の集積・集約化や経営所得安定対策、低利融資等の支援措置が講じられています。

農業経営改善計画の認定数は、平成31(2019)年3月末時点で23万9千となっており、近年はほぼ横ばいで推移しています(図表2-2-8)。ただし、認定された農業経営改善計画のうち法人のものは一貫して増加しており、平成31(2019)年3月末では前年度に比べて6%増加の2万5千経営体となりました。

認定農業者の年齢構成(*2)は、29歳以下が1%、30歳代が6%、40歳代が14%、50歳代が24%、60から64歳が18%、65歳以上が37%となっており、60歳以上が全体の55%を占めています。

図表2-2-8 認定された農業経営改善計画の推移

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*1 用語の解説3(1)を参照

*2 法人と共同申請によるものを除く。

(国・都道府県が農業経営改善計画を認定する仕組みの導入)

近年、都道府県の区域や市町村の区域を越えて農業経営を行う農地所有適格法人が過去5年間で6割増加しているなど、営農活動の広域化が進展しています。これを踏まえ、令和2(2020)年4月に改正される農業経営基盤強化促進法により、担い手の営農範囲に応じ、国又は都道府県が農業経営改善計画を認定する仕組みが新たに設けられることとなりました。

(集落営農組織の新しい動き)

集落営農は、農作業の共同化や機械の共同利用を通じて経営の効率化を目指す取組で、個人の担い手が少ない地域において、農地等の受け皿として農業生産を担ってきました。

近年、後継者の確保や農産物のブランド化等の観点から、年々、集落営農組織の法人化が進展しており、令和2(2020)年2月時点で5,458法人となっています(図表2-2-9)。また、その組織形態は、農事組合法人が87.7%、株式会社が10.9%、合名会社・合資会社・合同会社が0.8%等となっており、いずれの組織形態も増加しています(図表2-2-10)。

一方で、依然として3分の2は法人化されておらず、オペレーター不足等のために、解散する集落営農組織も見られます。

このような中、集落営農組織についての現状を打破すべく、様々な新しい動きが見られるようになってきました。例えば、複数の集落営農が共同して法人を設立するといった取組や、経営の経験が豊かな担い手を外部から招致するといった動きがあります。

図表2-2-9 集落営農組織数

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図表2-2-10 形態別集落営農組織数(法人)

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(新規就農者数は前年並、49歳以下は減少傾向)

平成30(2018)年の新規就農者(*1)は前年並(0.3%増加)の5万6千人となっており、その多くが自家農業に就農する新規自営農業就農者(*2)となっています(図表2-2-11)。一方で、農業法人等に雇われる形で就農する新規雇用就農者(*3)は、平成27(2015)年以降、1万人前後で推移しており、平成30(2018)年は9,820人となりました。この新規雇用就農者は49歳以下が全体の71.9%を占めており、また、非農家出身者も81.9%に上っています。

また、将来の担い手と期待される49歳以下の新規就農者は、他産業との人材獲得競争が激化する中で、平成30(2018)年は1万9千人であり、近年は減少傾向となっています。

図表2-2-11 新規就農者数

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*1~3 用語の解説2(5)を参照

(青年就農者に対する支援)

農林水産省では、青年の新規就農を促進するため、平成24(2012)年度から就農準備段階(準備型、最大150万円を最長2年間)や経営開始時(経営開始型、最大150万円を最長5年間)を支援する資金を交付する農業次世代人材投資事業を実施しています。平成30(2018)年度の交付実績は、準備型で2,176人、経営開始型で11,498人となりました。

令和元(2019)年度は、これまで原則44歳以下だった交付要件を49歳以下に拡大し、中山間地域等での担い手不足解消に向けて、活用を促進しています。

その他にも、認定新規就農者には、農業経営の開始に必要な機械や施設を取得する際の資金を無利子で借入れできる青年等就農資金等の支援策が用意されており、これらを活用して新規就農者が大規模生産に取り組む事例も見られるようになってきています。

(地域における新規就農受入体制の構築)

新規就農者が就農地を選択した理由を見ると、「取得できる農地があった」が最も多く回答されている一方、「就業先・研修先があった」「行政等の受入れ・支援対策が整っていた」という、研修や就農支援体制も重視されていることが分かります(図表2-2-12)。

近年、市町村や農協、農地バンク等地域の関係機関が連携して、就農相談や短期農業体験、実践研修、農地や住宅の斡旋、就農後の農業技術向上や販路確保の支援等によって、新規就農者を地域全体で支援する取組が広がりつつあり、新規就農者の経営発展や地域への定着に効果が見られるところです。

農林水産省は、今後も地域の新規就農受入体制を調査・分析し、受入体制の構築を進めるとともに、就農希望者が情報を容易に入手することができるようWebサイト等の充実を行っていくこととしています。

図表2-2-12 新規参入者の就農地の選択理由

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コラム:「あふてらす 農林漁業はじめるサイト」を公開

農林水産業は、国民への食料の安定供給や国土・生物の保全等重要な役割を担っており、国の基(もとい)を成すものですが、我が国の農林水産業は担い手の高齢化や減少が課題となっています。

一方、近年、農業法人等での雇用が拡大し、若手の新規就業者数が比較的高い水準で推移するなど、明るい兆しも見られます。

しかしながら、これまで農林水産業とつながりのなかった皆さんが「農林水産業について知りたい!始めたい!」と思っても、品目、規模、地域、本人のスキルなどによって、仕事の選び方、始め方はさまざまであり、どこを見て、どこに相談したらよいか分かりにくい状況でした。

あふてらす

そこで、農林水産省は、令和元(2019)年6月に、農業・林業・漁業、その加工・販売に興味がある人や、これから始めたい人に向けた情報を発信するポータルWebサイト「あふてらす 農林漁業はじめるサイト」を公開しました。「あふてらす」では、農林水産業との関わりがなかった皆さんへの一次産業の魅力の紹介のほか、農林水産業に仕事として関わりたい人のための全国各地の求人情報や就業支援フェア等の開催情報、就業に当たっての支援制度や関連する情報、生産品の6次産業化(*)や付加価値の向上に挑戦するための情報を掲載するなど、農林漁業を始めるための情報を「テラス」のように集めたWebサイトとなっています。

* 用語の解説3(1)を参照

事例:農業次世代人材投資事業等で機械をそろえ地域を代表する担い手へ(長野県)

長野県飯田市
清水優一郎さん、由枝さん

清水優一郎(しみずゆういちろう)さん、
由枝(よしえ)さん

長野県飯田市(いいだし)の清水優一郎(しみずゆういちろう)さんは、地域食品の企画・製造・販売会社で約10年勤めていましたが「生まれ育った地域を守りたい」という強い思いにより、地元に戻って妻の由枝(よしえ)さんと夫婦での就農を決意しました。実家は農家でしたが親元就農ではなく、飯田市内の後継者のいない梨園70aを借りて、平成24(2012)年に就農、経営を開始しました。

しかし、経営1年目は、主に中山間地域の農作業を請け負うために設立した「農援隊」の作業受託面積は50aで、農業所得もマイナスでした。

経営3・4年目では、地域行事や地域活動等に多く参加して周囲からの信頼を得るとともに、青年就農給付金(現 農業次世代人材投資事業)や経営体育成支援事業(現 強い農業・担い手づくり総合支援交付金)を活用して農業用機械等をそろえました。その結果、経営8年目現在、「農援隊」の作業受託面積は1ha(受託戸数50戸)、自身の経営面積は265aまで拡大し農業所得も安定してきました。今後も地域に密着した農業を行い、代表的な担い手となることが期待されます。

事例:青年等就農資金等の活用で就農4年目で100ha経営に(埼玉県)

埼玉県加須市
中森剛志さん

中森剛志(なかもりつよし)さん

東京都出身の中森剛志(なかもりつよし)さんは高校生の時に読んだ本をきっかけに農業に強い関心を持ち、大学時代から農業関連事業を展開してきました。東日本大震災の復興支援に関わった際に、地方の基幹産業である農業を立て直そうと思い就農を決意し、埼玉県内の農業法人で2年間研修に取り組みました。

埼玉県加須市(かぞし)で独立した際には、データ収集や実地調査を実施し、農地を集積しやすい地区を約1年かけて選定しました。このような徹底した準備に加え、青年等就農資金を活用して設備投資を行ったことにより、初年度から水田10haを作付けすることができ、黒字経営を実現しました。

就農4年目にあたる令和元(2019)年は経営規模を100haまで拡大しており、4人の雇用者とともに、スマート農業の導入やGAP認証・有機JASの取得に取り組んでいます。

今後は更なる規模拡大を目指し、将来的には我が国農業を牽引(けんいん)するメガファームを目指したいと語っています。

(経営継承の取組を推進)

基幹的農業従事者の減少・高齢化が進む中、農業の持続的な発展を維持していくためには、農地等の資産を後継者や他の農業者に円滑に引き継いでいく経営継承の取組が重要となっています。

このため、農林水産省は、「人・農地プラン」の実質化を通じ、農地バンクも活用しながら次世代への経営ノウハウを含めた円滑な経営継承ができるよう、税理士や中小企業診断士等の専門家による相談対応を推進しています。このほか、農地、農業用機械等に係る贈与税・相続税の納税猶予等の各種税制特例や、後継者不在の農業者の農業用ハウスや果樹園・茶園等の再整備・改修、畜舎の補修等担い手等に資産を引き継ぐための取組の支援等を行うこととしています。

イ 多様な人材力

(農業生産基盤強化プログラムにより人材のすそ野の拡大と定着を促進)

地域の農林水産業を確実に次世代に引き継ぐため、令和元(2019)年12月に決定された農業生産基盤強化プログラムでは、中小・家族経営の経営基盤の継承のための仕組みと合わせて、農林水産業に新たに就業する人材のすそ野の拡大と定着を促進することとされました。これを受けて、農林水産省では、就職氷河期世代の就業を後押しするための研修期間に必要な資金の交付や、50歳代を対象とする研修について農業研修機関への支援等を行うこととしています。

(企業による農業参入の促進)

図表2-2-13 農地を利用して農業経営を行う一般法人数

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農地を利用して農業経営を行う一般法人数は平成30(2018)年時点で3,286法人となっており、農地のリース方式による参入が自由化された平成21(2009)年以前と比較して、1年当たりの平均参入数は5倍のペースとなっています(図表2-2-13)。参入した企業の業務形態別の割合を見ると、農業・畜産業が27%、食品関連産業が20%、建設業が10%、特定非営利活動が8%となっています。

(若い世代に支えられる雇用労働)

図表2-2-14 常雇い数と全経営体数に占める常雇いがいる経営体の割合

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近年、法人経営体数の増加等の結果、雇用によって労働力の確保を進める動きが見られるようになっています。このような常雇い(*1)がいる農業経営体の割合は、平成31(2019)年2月時点では、前年に比べ0.2ポイント増加の5.5%となっています(図表2-2-14)。また、常雇い全体のうち、49歳以下の占める割合は50.7%となっており、雇用労働が若い世代に支えられていることが分かります。

*1 用語の解説1、2(4)を参照

ウ 外国人材の活用

(農業分野における外国人材の受入数は年々増加)

近年の深刻な人手不足を受けて、農林水産省は、これまで、生産性向上のための対策や国内での人材確保対策に取り組んできました。しかし、農村では人口減少が全国を超えるペースで進行しており、高齢化率も都市を上回る水準で推移しています。

一方、令和元(2019)年10月末時点での外国人の雇用状況は、農業分野では、総数が3万5,500人となっています。このうち、3万1,900人が外国人技能実習生となっています。平成27(2015)年と比べると、外国人雇用数全体は1.8倍、外国人技能実習生は1.9倍に増加しています。このような中、外国人材を受け入れることは農業の生産基盤を維持・強化する上で不可欠となっています。

(技能実習の適正な実施に向け農業技能実習事業協議会を設置)

外国人技能実習制度は、外国人技能実習生への技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的とした制度であり、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っています。農業分野においても、全国の農業生産現場で多くの外国人技能実習生が受け入れられています。一方で、農業分野では、技能実習生の失踪や技能実習生への賃金未払いといった問題が生じています。このため、農業の実情を踏まえた技能実習の適正な実施と技能実習生の人権保護を図るため、農業関係の業界団体と関係省庁で構成する農業技能実習事業協議会において失踪問題への対応、不正行為等の情報共有及びその防止に向けた対応等の協議、周知依頼等を行っています。

(新たな在留資格「特定技能」による外国人材の受入れを開始)

深刻化する人手不足に対応するため、平成31(2019)年4月に改正された出入国管理及び難民認定法により、新たな外国人材の受入れのための在留資格である特定技能制度が創設されました。この制度では、農業を含む14の特定産業分野が受入対象分野となっており、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れることとしています。

この制度により令和2(2020)年3月末時点で、農業分野で686人の外国人材が働き始めています。農林水産省では制度の適切な運営を図るため、受入機関、業界団体、関係省庁で構成する農業特定技能協議会及び運営委員会を設置しています。令和元(2019)年度末時点で、協議会を1回、運営委員会を4回開催し、農林水産省を始めとした関係省庁、農業関係団体等の構成員とともに、本制度の状況や課題の共有、その解決に向けた意見交換等を行っています。

エ 将来の農業者の育成

(農業分野を支える人材を育成する農業高校と農業大学校)

農業高校では、農業実習等の実践的・体験的な学習や、生徒自らが課題を発見し、解決方法を探求するプロジェクト学習等に取り組んでいます。また、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」や「GAP普及大賞」等の様々な大会でも農業高校生が活躍しています。このような生徒たちに農業を将来の職業の選択肢の一つとして考えてもらうには、在学中から農業の楽しさや、やりがいを感じる機会を提供することが重要です。このため、地域の特産品を利用した6次産業化の学習や、農業用ドローン操縦実習等、特色あるカリキュラムを導入する動きもあります。

また、農業高校等の中には、先進的な卓越した取組を行う専門高校等としてスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールに指定され、人材育成の実践研究を行っている学校や、「地域の協働による高等学校教育改革推進事業」の対象校として指定され、地域の産業界等との連携・協働による実践的な職業教育を推進している学校もあります。

一方、農業経営に関する知識、生産技術の習得等、実践的な教育を行う農業大学校の卒業生は将来の地域の中心的なリーダーとなって活躍することが期待されています。

平成30(2018)年度の卒業生1,755人のうち、卒業後すぐに就農した者は947人で、卒業生全体の54.0%となっています(図表2-2-15)。就農の形態別に見てみると、雇用就農の割合が自営就農に比べて大きく伸びていることが分かります。また出身別では、農家出身の学生の就農率は横ばいが続いていますが、農家出身でない学生の就農率は法人経営体の増加等によって農業分野の求人倍率が上昇していること等を背景に、平成23(2011)年度から平成30(2018)年度において32.8%から46.5%に上昇しています。このように、農業大学校が、農家の子弟が親元就農することを前提に学ぶ場から、雇用就農希望者や農家出身でない者も学ぶ場へと、その役割の幅を広げてきている傾向がうかがえます。

また、農業教育の高度化のニーズに対応して、農業大学校が専門職大学へ移行する動きもあり、令和2(2020)年4月には、農林分野で初めて、静岡県立農林環境専門職大学が開学されることとなりました。

さらに、直接就農せず農業関連の業種で活躍する卒業生もいるなど、農業高校や農業大学校は、幅広く農業分野を支える人材を育成する場となっています。

図表2-2-15 農業大学校卒業生の就農率

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事例:遠農物語(北海道)

北海道遠別町
北海道遠別農業高等学校の生徒

北海道遠別(えんべつ)農業
高等学校の生徒

北海道遠別(えんべつ)農業高等学校は、我が国の水田作付けの北限である北海道遠別町(えんべつちょう)にある、生徒数64人の日本最北端の農業高校です。同校では、「遠農」のブランド化の一環として、国産自給率の低いサフォーク種の羊に校内で栽培したもち米のくず米を飼料として与え、「もち米ラム」として飼育・加工・販売しています。その加工品は、ふるさと納税返礼品として取り扱われているほか、Webサイトでも販売されています。

このような取組の結果、同校の産品が町や学校の評判を呼び、道外からの生徒数の増加につながっています。また、ふるさと納税の寄付金が校内のICT(*)の整備やドローンの導入という形で教育現場に還元されていることも評価され、株式会社トラストバンクが主催する「2019年ふるさとチョイスアワード」では「未来を支える部門」の大賞を受賞しました。

さらに、令和元(2019)年5月には、地元の農業者・農協・町役場と高校が一体となり、地域課題の収集、学校での実践、地域への還元を目指した「遠別農業高校 農業教育推進連絡協議会」を設立しました。現在は、同校のASIAGAP認証取得の経験を活かして近隣農家へ普及活動を行っています。

このような同校の取組は、農山漁村の有するポテンシャルを引き出し、地域の活性化、所得向上に寄与するものとして、同校は第6回「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」において、準グランプリを受賞しました。

* 用語の解説3(2)を参照

(農業経営力や指導力の強化のための研修を各地で展開)

就農後は、生産に関わる技術はもとより、マネジメント力や課題解決力等、経営に関する能力が必要となります。平成29(2017)年に農林水産省が行った49歳以下の農業経営者へのアンケート(*1)でも、農業経営で大切なこととして、経営分析能力を挙げた回答が最も多くなりました。

こうした中、地域の農業者が経営に関する能力を向上させる場として、農業大学校等が運営主体となった、農業経営塾が展開されています。ここでは、マーケティングや組織経営等に関する座学や演習等が実施されており、令和元(2019)年度は41都道府県で開講されました。

また、農林水産省では、地域農業のリーダーとなる人材の層を厚くするため、意欲の高い農業大学校の学生等を対象とした高度な農業経営等に関する研修や、農業大学校の教員等の地域の農業経営者育成教育を担う指導者等を対象とした、指導力を高めるための研修について支援をしています。

*1 農林水産省「若手農業者向けアンケート調査」

(3)女性農業者の活躍

特集2参照

(4)農業金融

(農業向けの新規貸付は近年増加傾向)

農業は、天候等により減収や品質低下の影響を受けやすい、収益性が低く投資回収までの期間が長い、融資を受ける際に供する物的担保が農地等の特殊なものにならざるを得ないなど、他産業には見られない特性があります。このため、農業向けの融資においては、農協、信用農業協同組合連合会、農林中央金庫(以下「農協系統金融機関」という。)と地方銀行等の一般金融機関が短期の運転資金や中期の施設資金を中心に、公庫がこれらを補完する形で長期・大型の施設資金を中心に、農業者への資金供給の役割を担っています。

近年、農業経営の規模拡大や人手不足等を背景として、省力設備の導入等の資金需要の高まりが続いており、農業向けの新規貸付額が増加傾向となっています(図表2-2-16)。農業向けの新規貸付額の伸びを見ると、一般金融機関は5年間で1.6倍、農協系統金融機関は3年間(*1)で1.5倍、公庫は5年間で1.8倍に増加しています。

図表2-2-16 農業向けの新規貸付額

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*1 農協系統金融機関においては、農業向けの新規貸付額を平成27(2015)年度から調査している。

(一般金融機関と公庫との協調融資が増加)

農業者による農地の集積・集約化、経営の規模拡大を目的とした設備投資等に対応していくため、一般金融機関と公庫が連携し、協調融資を積極的に行っています。公庫は、一般金融機関との間で情報交換を行うとともに、農業融資についてのノウハウの提供を行うことで、安定した資金供給を実現しています。平成30(2018)年度の一般金融機関と公庫との協調融資の実績は、前年度に比べ36.8%(665億円)増加の2,473億円となりました(*1)。

*1 株式会社日本政策金融公庫調べ

(5)経営所得安定対策

(担い手に対する経営所得安定対策を実施)

経営所得安定対策は、米、麦、大豆等の重要な農産物を生産する農業の担い手(認定農業者、集落営農、認定新規就農者)に対し、経営の安定に資するよう、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するための交付金(以下「ゲタ対策(*1)」という。)や農業収入の減少が経営に及ぼす影響を緩和するための交付金(以下「ナラシ対策(*2)」という。)を交付するものです(図表2-2-17)。

令和元(2019)年度の加入申請状況を見ると、ゲタ対策は対象とならない作物への転換等により、加入申請件数が前年度に比べ1千件減少の4万3千件、作付計画面積は前年度に比べ7千ha減少の49万4千haとなりました。また、ナラシ対策は収入保険への移行等により、加入申請件数が前年度に比べ1万3千件減少の8万8千件、申請面積は前年度に比べ11万8千ha減少の88万3千haとなりました。

図表2-2-17 経営所得安定対策の仕組み

*1 対象作物は、麦、大豆、てんさい、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたね

*2 対象作物は、米、麦、大豆、てんさい、でん粉原料用ばれいしょ

(6)収入保険の実施

(収入保険の普及促進・利用拡大が課題)

農業は自然環境からの影響を受けて作柄が変動しやすいため、従来から、法律に基づいて、自然災害等による被害の程度を外見で確認できる品目を対象として、収量減少等を補償する農業共済が措置されています。

これに加えて、農業者の自由な経営判断に基づき、収益性の高い作物の導入や新たな販路の開拓にチャレンジする取組等に対する総合的なセーフティネットとして、品目の枠にとらわれず、自然災害だけでなく価格低下等、様々なリスクによる収入の減少を補償する収入保険が平成31(2019)年1月から始まりました。この収入保険は、青色申告を行っている農業者を対象に、保険期間の農産物の販売収入が基準収入の9割を下回った場合に、下回った額の9割を補てんするものです(図表2-2-18)。

図表2-2-18 収入保険の概要

初年である令和元(2019)年の収入保険の加入実績は2万3千経営体となりました。これは、実施主体である全国農業共済組合連合会が、令和4(2022)年度を見据えて早期に達成すべき加入推進目標として設定した10万経営体の23%となっています。都道府県別の加入状況を見ると、果樹の生産が多い愛媛県(70%)、青森県(63%)等において、加入推進目標に対する割合が高くなっています(図表2-2-19)。品目別の加入状況を見ると、米(1万5千件)に続いて、野菜(1万1千件)、果樹(7千件)が多くなっています(図表2-2-20)。農業共済、ナラシ対策、野菜価格安定制度等の類似制度の加入者の収入保険への移行割合を見ると、果樹共済は全加入件数の9%、ナラシ対策は同8%と比較的高く、野菜価格安定制度は全加入件数の3%と低くなっています(図表2-2-21)。

図表2-2-19 令和元(2019)年の収入保険の都道府県別の加入実績

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図表2-2-20 令和元(2019)年の収入保険の品目別の加入件数

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図表2-2-21 令和元(2019)年の収入保険の主な類似制度からの移行件数

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初年は、掛金の負担感等から様子見の農業者も多く、また、収入保険の仕組みの周知が不十分といった声もありました。このため、令和2(2020)年の収入保険からは農業者の意向を踏まえ、補償の下限を選択することにより、保険料が最大4割安くなるタイプを新たに設けました(*1)。引き続き、農業者の声を聞きながら、制度改善できるものは、随時実施していくこととしています。また、今後は地域において、農業共済組合を始め、行政、農協、農業法人協会等の関係団体等が連携して推進体制を構築し、これまでアプローチが不十分だった野菜生産者等、幅広い農業者に対する加入促進に取り組んでいくこととしています。

さらに、農業経営の着実な発展を図るためには、自らの経営を客観的に把握し経営管理を行うことが重要なことから、収入保険の普及と併せて、農業者による青色申告の推進にも取り組んでいくこととしています(図表2-2-22)。

図表2-2-22 農業所得者の青色申告者数の推移

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*1 基準収入の7割を補償の下限として選択した場合、保険料が4割引

事例:収入保険加入者の声(北海道)

北海道芽室町
黒田栄継さん

黒田栄継さん

北海道芽室町(めむろちょう)の黒田栄継(くろだよしつぐ)さんは、小麦7ha、ばれいしょ5ha、ながいも3.8ha、スイートコーン3ha、ユリネ2ha、ワイン用ぶどう0.7haを栽培しています。

ながいも等の野菜の市場価格の変動にリスクを感じ、契約栽培を増やして経営の安定を図っていますが、万全ではないので、価格低下等による収入減少も補償対象となる収入保険に加入しています。

収入保険の保険料は、被害がなければ年々下がっていき、努力の成果が反映されるので頑張りがいがあるとのことです。

また、加入申請の際は、過去の青色申告実績を整理することによって、自分の経営を改めて把握する良い機会になったとしています。

黒田さんは、「品目ごとの収入の増減が相殺されるのではという考え方もありますが、自分の経営に必要な保険と考えれば、自分の収入全体を見てくれる収入保険は魅力的ですね。来年も継続加入するつもりです。」と語っています。

事例:収入保険加入者の声(山形県)

山形県鶴岡市
佐藤吉紀さん

佐藤吉紀さん

山形県鶴岡市(つるおかし)の佐藤吉紀(さとうよしのり)さんは、水稲9ha、大豆4haを栽培しています。

農業共済組合の広報紙や新聞等で、収入保険が始まることは知っており、個人の収入を補償する保険ということで興味を持っていたところ、地区の青色申告連合会の会議で、農業共済組合に詳しく説明してもらったのが加入のきっかけでした。

佐藤さんは、「水稲主体の経営のため、収入保険に加入するメリットがあるのかとも思いましたが、ナラシ対策は県平均を基準にしているので、自分が悪くても発動するとは限りません。そう考えると、自分の収入を基準に補償される点で、収入保険は魅力的でした。」と語っています。

また、「近所に野菜や花を生産している若い農家がいて、収入保険は大きな安心につながると思い、彼らにも勧めて一緒に加入しました。今後、規模拡大等を考えている農家には、補償範囲の広い良い保険だと思います。」とも語っています。

事例:収入保険加入者の声(鳥取県)

鳥取県大山町
高見達雄さん

高見達雄さん

鳥取県大山町(だいせんちょう)の高見達雄(たかみたつお)さんは、ブロッコリー6ha(初夏1.5ha、秋冬4.5ha)、スイートコーン10aを栽培しています。

高見さんは、「ブロッコリーは根が短いため、長雨等で水に浸かってしまうと、根が枯れてしまい商品になりません。これまでブロッコリーには自然災害等で出荷できない場合の補償がありませんでした。近年は被害の大きな自然災害が多く、台風被害も鳥取県では風より雨被害が目立つようになってきたので、自然災害による減収も対象となる収入保険の存在は大きいですね。」と語っています。

また、収入保険の加入対象要件となる青色申告は7年前に始めており、青色申告をすることで、自分の経営を分析して今後の経営に活かせるのでおすすめとのことです。



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